258話 インヴィクタ捨て身の作戦
------(暗黒島内西側エンケラトス付近)------☆
『とりゃ~!』
自身を加速させ、釵型のタガーで、エンケラトス(地変の龍)の右側の側面
を横一文字に切りつけるインヴィクタさん。
”ガガガガガ――”
しかし、インヴィクタさんが、切りつけたはずの傷は、瞬時に元に戻った。
『なんと!』
≪フフッ≫
にやりと笑うエンケラトスは、すぐさま反撃する。
”ボシュ”
”ボッシュ”
背中から尾にかけて、タコの吸盤のようなものが、
2列に並び、そこから火山弾を真上に発射する。
”ドスン”
”ドスン”
インヴィクタさんの頭上に、火山弾が降り注ぐ。
が、
それを、加速装置を使い、華麗にかわすインヴィクタさん。
『何の!』
”ビッシューン”
ミオン(マークⅢ)が、フリーザービームを放つ。
"ピキピキピキ”
たちまち凍り付く、エンケラトス。
しかし、
≪フンッ!≫
”ゴー”
”パリン”
”パリン”
全身から熱を出して、氷を剥がしてしまうエンケラトス。
『うんっ、もう~!』
悔しがるミオン(マークⅢ)。
エンケラトスが、ミオン(マークⅢ)を睨みつけ、火山弾を放とうとし
たその時だった。
空から、
「ライトニングアロー!ディバイダー」
電気を帯びた6つの矢がエンケラトスの頭上に降り注ぐ。
”カンカンカン”
エドナさんの放つ矢は、まるで奴には通じていないようだ。
≪えぇぃ~!五月蠅いハエ目ぇ~≫
”ボシュ”
”ボッシュ”
と言いながら、火山弾を真上に発射するが、それを華麗に避けるエドナ
さん。
そこへ、
「今、太陽剣の力を借りて、必殺の~」
頭上にかざした太陽剣の少し上の空間に、俺のプラズマボールのような高温
の光の球が形成され、太陽剣を振り下ろし言う。
「メテオ・アタッ~ク!!」
形成された高温の光の玉は、真直ぐエンケラトスに向かい……。
\\\ドッ~カン///
命中するも……。
≪はぁ~ん?≫
エンケラトスは無傷だった。
しかし、
『ケハッ、はぁ、はぁ』
放ったエドモンド王は、かなり息切れを起こしているようだ。
そこへ、
”ズキュ~ン”
”ズキュ~ン”
遠くから、轟雷号の主砲(ショックカノン砲)放たれた。
”ズバ~ン!”
”ズバ~ン!”
エンケラトスの体に大きな穴が2つあき、横倒しで倒れる。
\\\ドスン!///
『なんだ!?』
振り返るエドモンド王に、聖霊リンクで呼びかけるカカ皇帝。
≪大分へばっておるようだなエドモンド≫
それに対して、
≪はぁ、はぁ、何のこれしき……、まだまだ!≫
と剣を振りかざし言うエドモンド王。
そこに、
≪陛下、もうお引きください、この後、大物がまだ控えておりますよ≫
と、ニールさんが発言する。
それを聞いて、
≪んっ、ああ、はぁ、はぁ……そうだな今が引き時か!≫
ニールさんの言葉に、素直に引くことを認めるエドモンド王。
≪エドナ、あなたも戻ってきなさい≫
続いて、エドナさんに声を掛けるニールさん。
≪えぇ~でもぉ~、まだ、私は大丈夫ぅ~ですよw≫
と渋るエドナさんに、
≪言っては悪いが、地変の龍相手に、あなたの攻撃は無力です≫
とはっきり言うニールさん。
≪えぇ~っ、ショックぅ~です≫
その言葉に、ショックを受けるエドナさんだったが、
≪分かりました、陛下と共に帰投しまぁ~す≫
と意外と素直に従うエドナさんだった。
エドモンド王とエドナさんが、轟雷号に帰投仕掛けた時だった。
倒れたはずのエンケラトスが、むくっと起き上がると同時に、
先ほど、轟雷号に開けられた大穴2つがみるみる治っていく。
『えぇ~っ、これじゃきりがないよぉ~』
と、ミオンがぼやく。
≪多少、堪えたわい……じゃが、それでは我は倒せんぞ!≫
”ボシュ”
”ボッシュ”
と、火山弾を放つエンケラトス。
”ドスン”
”ドスン”
頭上から、火山弾が降り注ぐ。
『ああぁ~』
と言いながらホバー走行で避けるミオンに、
加速装置で、俊敏に回避するインヴィクタさん。
”ズキュ~ン”
”ズキュ~ン”
そこに、再び轟雷号の主砲(ショックカノン砲)放たれる。
そして、再びエンケラトスの体に大きな穴が2つあき、横倒しで倒れる。
\\\ドスン!///
それを見て、インヴィクタさんが、ミオン(マークⅢ)に近寄り、
ミオン(マークⅢ)の肩を右手で掴み言う。
「ミオン殿、我に策がある」
「えっ、何っ、ああ」
突然の接触通信に、驚くミオンだったが、アニメ、ガンボーイでの
”接触通信”を思い出し、
「なになに、作戦って?」
と聞き直すミオン。
「奴は、足からこの魔王島の魔力を吸い上げている」
「うん、うん……それが」
インヴィクタさんに、それは分かってると、言わんばかりに答える
ミオン。
「如何に奴とて、その魔力を断ってしまえば、
そうそう自己修復は出来ないと思うのだが……」
「まぁ、そうだけど……でも、どうやって?」
「それは……」
ここで、俺は死霊魔将軍ジルとの戦闘に入り、意識がミオン達から離れた。
この後、その作戦を、ミオン(マークⅢ)が、轟雷号にモールス信号で送り、
それを、受け取った、轟雷号のパーマーさんが、翻訳し、カカ皇帝に伝えたよ
うだ。
『では、参る!』
インヴィクタさんは、自身の加速装置を使い、一気に加速し、
『インヴィクタ・タックル』
エンケラトスを、突き上げるようにタックルを決める。
\\\ドッ~カン///
結果、エンケラトスの体に大ダメージを与えると同時に、空高くエンケラトス
の体を飛ばした……が、
その衝撃で、インヴィクさんの体は粉々に飛び散った。
(えっ、えぇ~!)
↑聖霊リンクで思う俺。
≪ぬぉ―――!≫
叫ぶエンケラトス。
そこへ、ミオン(マークⅢ)が、フリーザービームを放つ。
”ビッシューン”
”ビッシューン”
"ピキピキピキ”
インヴィクさんの攻撃のダメージを修復する間もなく、一瞬にして、
凍り付くエンケラトス。
≪なっ、何を!≫
インヴィクさんの攻撃のダメージと、凍り付いた体を元に戻そうと、
一気に体に魔力を込めようとするエンケラトスだったが……。
”ズキュ~ン”
”ズキュ~ン”
”ズキュ~ン”
そこに追い打ちを掛けるように轟雷号が、ショックカノン砲を放
つ。
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
自身を回復する間もなく、粉々に散るエンケラトス。
やがて、粉々に散ったエンケラトスの破片は、次々と虹色の泡になり消えて
行った。
その時、空からふらふらと、地上に落下するものがあった。
それを、ホバー走行で、追いかけるミオン(マークⅢ)。
”ゴー”
『おっ、ナイスキャッチw』
空からの落下物をキャッチして、自画自賛のミオン(マークⅢ)だった。
『かたじけない』
ミオン(マークⅢ)の手の中で言うその声は……。
インヴィクタさんだった。
(ふぅ、生きていたのか……良かったw)
と聖霊リンクでその様子を感じていた俺がそっと、胸をなでおろす。
空からの落下物は、パラシュートで落下するインヴィクタさんの頭部
だった。
インヴィクタさんは、エンケラトスに体当たりする寸前、自身の頭部
を切り離し、飛ばしたみたいだ。
そこへ、轟雷号の側に近づくギラン。
ギランは、轟雷号の横に付けると、ソンブル翁がみんなに言った。
『全機、帰還せよ』
その言葉に、
『『『『Roger』』』』
ミオン、シノブ、ディノッゾさんにジェームズさん達に加え、ローゼが
答える。
皆に、帰還を命令したソンブル翁は、側に立つアロガンに告げる。
『もうじき、あれが出て来るぞ、アロガン準備せい!』
その言葉に、黙って頷き、ブリッヂを後に出て行くアロガンだった。
◇
------(暗黒島内地下)------☆
そのころ、俺は、通路奥にある部屋の扉の前に立っていた。
『では、一丁、派手に行行くとするかMrセイア』
と俺に呼びかけるルズドさん。
『はいw』
それに俺は元気よく返事をする。
『Fire!』
”ズキュン”
ルズドさんの掛け声とともに、戦車(M1 エイブラムス)の主砲が火を噴く。
\\\ドッ~カン///
俺の目の前の重たい扉が吹っ飛ぶ……。
俺が、皆より真っ先に部屋に入ってみると……。
部屋の中は、真っ暗……ってもんじゃなく、暗黒!?
自身の視界を暗視モードに切り替えてみても、何も見えない。
≪本当、真っ暗ねぇ~≫
俺の頭の中で、ソアラねぇ~ちゃんも呟くのだった。
(ここに、ラスボス……いるよな!?)
と心に一瞬よぎる俺だった。
次回、暗黒大魔将軍ゲークがいよいよ登場となります。
どんな感じか、おたのしみに




