255話 森の消失……それが意味するものは
”ピッ"
≪Enemy≫
≪名称 ベヒモス ≫
≪体長 20m≫
≪体高 12m≫
≪体重 500t≫
≪戦闘力 280,000≫
≪防御力 300,000≫
≪スピード 300 ≫
≪MP 60,000≫
≪特技≫
・黒い汗を掻き、それにより魔法攻撃を無効化出来る。
・なんでも飲み込む、大きな口
×1
(ああ、ベヒモスね)
『ソフィーっち、クレアっち、行くよ~!』
『はい♪』
『心得た!』
電龍の掛け声に、ソフィーとクレアさんが返事をし、
3人で、息をそろえて言う。
『『『トリプル・バーニングファイヤー!!!』』』
これは、電龍が口から炎を吐き、クレアさんの剣の先から炎を出す
「ソードオブファイヤー」と、ソフィーがバルタンク備え付けの赤い
ボタンを押しての「ファイアーボルト」、これを同時に撃つ技!?
名づけ親は……言わずと知れたミオン大先生。
”ボ――――ッ”
大熱量の炎が、ベヒモスを襲たのだが……。
ベヒモスは、わずかに右耳をくるくるっと回す程度で、”ぽか~ん”とし
ている……。
ってか、元々こいつは、とぼけた顔をしているので、俺にはそう見えるだけ
かもしれんが……。
『あれれぇ~!』
『な・なんですって~』
『まぁ!』
驚く3人。
そこに、すかさずルズドさん達が乗る戦車(M1 エイブラムス)が、
火を噴いた。
『Fire!』
”ズキュン”
しかし、ベヒモスは大きな口を開け砲弾を飲み込む。
”あ~ぐむ”
”ボンッ”
ベヒモスのお腹が少しだけ、膨らみ鼻から黒い煙が出る。
『OH. My. God!!!(なんてこった)』
目をむき驚くルズドさん。
それを見て、ソアラねぇ~ちゃんは、”ふぅっ”と、ため息をつき言う。
≪あの~みんな、聖霊ウインドウに書いてあるのちゃんと見ようよ≫
≪(特技)・黒い汗を掻き、それにより魔法攻撃を無効化出来ると、
なんでも飲み込む、大きな口って書いてあったでしょ≫
『あ~ん……』
『そうでした』
『まぁ!』
電龍、クレアさん、ソフィーに続き、ルズドさんが、
『Oops!(おっと)』
と、ばつ悪そうに言う。
『ならば!』
以上のことを踏まえて俺が言う。
『アンチマジック&ブーストスマッシャーパンチ!』
まず、右掌にアンチマジックシールドを展開し、それをそのまま
握り込む。
すると、右腕を、アンチマジックシールドが包み込み黒い腕となる。
そして、そのまま腕を発射する。
”バッシューン”
案の定、奴は大きな口を開け、俺の右腕を飲み込んだ。
”んがっ”
と同時に奴の体が虹色の泡となって消えて行った。
『後は、この左側の通路を通って……』
ベヒモスを倒した俺はそう呟くのだった。
◇◇◇◇◇
------(暗黒島内東側森上空)(第三者視点)------☆
”ヒュ――ン”
”ヒュ――ン”
”ヒュ――ン”
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
”ボッワ”
”メラメラメラ”
暗黒島内東側にある森の南側上空から、轟雷号下部格納庫から次々と
ナパーム弾が投下され、森を焼いて行く。
【ナパーム弾とは、主燃焼材のナフサにナパーム剤と呼ばれる増粘剤を
添加し、ゼリー状にしたものを充填した油脂焼夷弾である。
きわめて高温(900-1,300度)で燃焼し、広範囲を焼尽・
破壊する。】
一方、森の中心部では……。
真ん中の少し土を盛ったようなところに妖魔草木ジルが立っていた。
ジルは、顔がバラの蕾に目と口があり、両腕、両足、胴体が茨の茎を束
ねた構造をしていた。
その妖魔草木将軍ジルの前には、パインエントジェネラル、オークエント
ジェネラル、チェストナットジェネラルのエント幹部にネペンテスが、
立っている。
因みに、パインエントは、松の木のエント。
オークエントはブナの木、チェストナットエントは栗の木であり、
ネペンテスは、ウツボカズラである。
≪このままでは、森が焼き尽くされてしないまする≫
パインエントジェネラルが、進言する。
≪何とかならんものか≫
とオークエントジェネラルが、こぼす。
それを聞いて、
≪我らも応戦はしておるが、ああ空高くから攻撃されてはのう≫
チェストナットジェネラルが言う。
≪このまま、我らは座して死を待つだけ……か≫
とネペンテスが、漏らした時だった。
何かを思いついたのか、妖魔草木将軍ジルは部下たちにこう言った。
≪あれを使う、皆の命わしにくれ~い≫
≪≪≪≪はっ!≫≫≫≫
妖魔草木ジルの言葉に、部下たちは一斉にそう返事を返した。
いったい、何が起ころうとしているのか、それは妖魔草木軍団以外、
誰も分からないであろう。
◇◇◇◇◇
------(轟雷号第一艦橋内)------☆
”ヒュ――ン”
”ヒュ――ン”
”ヒュ――ン”
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
”ボッワ”
”メラメラメラ”
引き続き、空爆を続ける轟雷号。
「陛下!森が急速に消失していきます!」
と本来、コンピューター解析担当のパーマーさんだが、
今はレイダー及び通信士を兼務している。
そのパーマーさんの報告を聞き、何を当たり前のことを
言ってるのだって感じで、
「当たり前であろう、我らが森を焼いておるのだから」
それに対して、パーマーさんは、
「いえ、我々が空爆しているのは、現在森の南側だけです」
と答え、
「ああそうじゃが」
と答えるカカ皇帝。
「我々が攻撃していない森の北側、東側、西側を含め、森全体が急速に
減少しているのです」
それを聞き、
「なんじゃと!」
と艦長席から身を乗り出し、パーマーさんに聞き返すカカ皇帝。
その時だった、パーマーさんが大声で言う。
「ああ、これは!!」
焦るパーマーさんにカカ皇帝が、
「どうしたのじゃ!」
と皇帝も大声で聞き返した。
「ああ、いえ、森の消失が中心部へと進むにつれ、森の中心部
に膨大な魔力が収束しています!」
「なんじゃと!」
パーマーさんの報告に、艦長席から思わず立ち、パーマーさんの方
に駆け寄ろうとするカカ皇帝に、
「陛下!」
とニールさんが制止する。
「あん、……」
ニールさんに制止され、艦長席に座りなおすカカ皇帝。
艦長席に皇帝が座りなおしたのを見て、ニールさんが言う。
「おそらく、森のすべての魔獣の魔力を1体の魔獣……、
いや、リーダーである妖魔草木将軍ジルに集めているのではないかと……」
「しかし、そんなことをして……」
ニールさんの言葉にそう疑問を口にするカカ皇帝。
「何をしようとしているのか分かりません……分かりませんが、この
轟雷号に対抗するためではないかと推察いたします」
その言葉を聞き、カカ皇帝は、
「なら、魔力が収束しきる前に奴を叩かねば!」
の言葉に、ニールさんが、
「御意」
と答えた。
それを確認したカカ皇帝は、命令する。
「轟雷号90度回頭!最大戦速で、森中心部へ迎え!」
「Aye, aye, sir! (アイアイサー)」
カカ皇帝の命令に、ジロンさんはそう答え、轟雷号の向きを変え、
森の中心部に向かう。
(轟雷号は大丈夫……だろうか)
俺は、聖霊リンクから轟雷号の様子を感じ1人心配するのだった。
◇◇◇◇◇
------(暗黒島内東側森中心部)(第三者視点)------☆
妖魔草木将軍ジルは、足を地面へと突き刺す。
他の妖魔草木軍団の幹部達も同じように足を地面に潜り込ませ、そして
手をつなぐ。
≪カァンヴァーヂュ≫
妖魔草木将軍ジルがそう叫ぶ。
≪≪≪グワ――!!≫≫≫
目の前の幹部達が、急激にやせ細って行、そして枯れて行った。
それが、森の中心部からどんどんと広がって行、森のすべての木々が枯れ
……やがて消失して行った。
森があった所は、ただ、岩がごつごつとした場所へと変貌する。
ただ、以前、森があった所に唯一、たたずむものは……。
巨大なバラの木!?だった。
ベヒモスは、当初、トリケラトプスベースに考えていたのですが……
いろいろ考えた末……カバにしました。




