253話 この子、元はカブトムシだよ~
大変長らくお待たせをいたしました。
連載を再開いたします
アスピドケロンから、俺とクレアさんの巨神器が降り、次いで頭にゲキを乗せ
た電龍が降りる。
アスピドケロンから、降りた俺達はすぐさま、大型簡易転送装置を使い、戦車と
バルタンクを降ろした。
で、ソアラねぇ~ちゃんの指示を受け、壁にあったレバーを引き、ゲートを開けた。
ゲートが開いたのが分かったのか、アスピドケロンは静かに潜る。
それを見たソアラねぇ~ちゃんは、
≪元気でねぇ~≫
とアスピドケロンに向かって俺の中で言った。
大きな船着き場……から少し奥に進むと、長い緩やかな……スロープ!?
(まぁ、魔獣たちの中には足がないのもいるからか)
そこを、戦車とバルタンクを前に、左から俺、クレアさんの巨神器と
頭にゲキを乗せた電龍が、その後ろから進。
100m程上った所で、階段の踊り場のような所に着き、そこから反対側に
また、長い緩やかなスロープが続いていた。
そこを登りかけた時、
”ピッ"
≪Enemy≫
≪名称 ロックゴーレム(岩) ≫
≪体長 18m≫
≪体重 140t≫
≪戦闘力 10,000≫
≪防御力 9,000≫
≪スピード 12,000≫
≪MP 20,000≫
≪武器≫ 岩棒
×2
”ピッ"
≪名称 アイアンゴーレム(鉄) ≫
≪体長 18m≫
≪体重 150t≫
≪戦闘力 10,000≫
≪防御力 12,000≫
≪スピード 9,000≫
≪MP 25,000≫
≪武器≫ 金棒
×3
現れましたよ……雑魚キャラ。
『Fire!』
”ズキュン”
ルズドさんの掛け声とともに、戦車(M1 エイブラムス)の主砲が火を噴き、
続いてバルタンクが、頭上にあるアームを伸ばし、
『キャノンボール!』
とソフィーが叫びながら、左手を魔水晶に置いたまま、右人差し指で黒色のボ
タンを押した。
”ビシュン~”
\\\ドッ~カン///
\\\ズバーン///
前に居た、2体のロックゴーレムの顔が吹っ飛んだ。
これを見た後方にいるアイアンゴーレムが、すかさず、手に持った金棒を
構えるが……。
それよりも早く、俺は左肩の高周波スピアーを抜くと、それを1体の
アイアンゴーレムに投げつけ頭を砕くと、同時に、クレアさんの
巨神器が前の戦車とバルタンクを飛び越え、
『ファイヤーブレード』
剣の刃、全体を炎で包み、1体のアイアンゴーレムを真っ二つに切り
裂いた。
そして、間髪入れず、電龍が放電し、それを斬魔刀に集めたゲキが、
電龍の頭から飛び出し、
「奥義!烈火電光兜割」
と、クレアさんと同じように1体のアイアンゴーレムを真っ二つに
切り裂いた……。
”ズズズズーン”
”ドンガラガッシャン”
(おいおい、2人とも……ゴーレムは頭砕くだけでいいんだよw)
と思いつつも俺は何も言わなかった。
あっ、そうそう因みに、バルタンクはシュイが操縦して、さっきの
攻撃はソフィーが、魔力供給しながら攻撃したんだけれど、これは、
ソフィー専用の魔法の杖と同じ原理で、ソフィーは、ただ、ボタンを
押しただけ……なのよ。
杖には5つのボタン……赤→炎、青→水、白→冷気、茶→土、黄→電撃
で、回数制限があるが、バルタンクのはそれに黒と紫が加わり7種類
の魔法攻撃ができるってのと、回数制限がなく、また、通常の魔法攻撃
より威力は増幅されているらしい。
(前の勇者のメンバーにもソフィーのように魔法が使えなかったメンバ
ーいたのかな?)
◇◇◇◇◇
------(暗黒島内西側エンケラトス付近)(第三者視点)------☆
猛魔爬虫獣将軍マルクが、エンケラトスに念話を入れる。
≪ジル(死霊魔将軍)が見当たらんようだが……≫
その念話にエンケラトスが
≪奴は、地下宮殿に向かったわ≫
と答えると、ジルが、
≪地下宮殿に……?≫
と問い直す。
≪なんでも、例の勇者がここには見当たらんと言ってな≫
≪おお!、そう言えば、姿をみんな≫
エンケラトスに言われ、いまさらながらに気づくマルクに
≪おいおい、先ほどジオ(闘魔人将軍)のリンクが切れたのを気づいて
なかったのか?≫
少々呆れ気味に言うエンケラトス。
エンケラトスに言われ、リンクを探ったマルクが、
≪ん!?……確かに≫
≪おいおい、猛魔爬虫獣将軍たるもの気づかなかったでは済まされん
ぞ!≫
と言い返され、少し面目なさそうに、エンケラトス言い返す。
≪面目ない……っしかし、ならば我も地下宮殿に向かおう≫
と言うジルに、
≪こっちはどうする!?≫
と呆れて言うエンケラトスに、
≪貴様や、魔虫将軍マンサ、妖魔草木将軍ジルがおるではないか?≫
と、平然と言ってのけるマルクに
≪マンサは別として、我とジルには、空からの敵に対して相性が悪い
のだ≫
と言うと、
≪確かにな……≫
と少し考えてから、
≪……なら、我の配下の魔獣の内、陸戦タイプを地下宮殿に差し向けると
言うのはどうだ?≫
と言われ、エンケラトスは、
≪……!?っ、まぁ、それなればよかろうて≫
と猛魔爬虫獣将軍マルクに同意した。
それを聞いた猛魔爬虫獣将軍マルクは、陸戦タイプ2体の魔獣に命令する。
≪フェンリル!、ベヒモス!お前たちは地下宮殿に行き、死霊魔将軍ジル
を援護しに参れ≫
猛魔爬虫獣将軍マルクの言葉に、フェンリルは、すぐさま地下宮殿に掛け
て行ったが、ベヒモスはその巨体故か、のそのそと地下宮殿に向かうのを
見て、
≪……使えん奴よのう≫
と嘆く、猛魔爬虫獣将軍マルクだった。
◇◇◇◇◇
------(暗黒島上空付近)------☆
”パラパラパラパラ”
『Fire!』
『Fire!』
ジェームズさんとヴァンスの叫びと共に、2機のAH-64D( アパッチ・ロング
ボウ)が、70㎜ロケット弾を一斉に発射する。
”ブッシュー”
2機合わせて8発のロケット弾が、目の前の敵に向かって行き、
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
と爆音とともに命中する。
しかし、
爆炎の後に姿を見せたその敵は、まったくの無傷だった。
≪フッハハハハァ~w≫
声高らかに笑うその敵とは……。
"ピッ”
≪Enemy≫
≪名称 魔虫将軍マンサ≫
≪体長 25m≫
≪体重 135t≫
≪戦闘力 400,000≫
≪防御力 300,000≫
≪スピード 20,000≫
≪MP 800,000≫
≪特徴 ≫
・目から破壊光線
・魔将軍随一の装甲の硬さを誇る
・角で相手の体を引っかけて空中に飛ばす。
・手に持った薙刀で、相手を切り裂く
×1
魔虫将軍マンサだった。
全体に黒い鎧を着た感じで、顔はカブトムシ(角もある)。
『Jeez!(くっそー)』
『Incredible(信じられん)』
その様子に、驚きの声を上げるジェームズさんと、ヴァンスさん。
≪フンッ、勇者の新兵器とやらもこの程度かw≫
と少し馬鹿にしたような魔虫将軍マンサの言い様に、カチンときた
ジェームズさんとヴァンスさんは、声をそろえて、
『『Eat it !!(これでも喰らえ~)』』
と言うと同時にトリガーを引く。
”ブッシュー”
”ブッシュー”
AGM-114へルファイア(対戦車ミサイル)が、魔虫将軍マンサに
飛んでいき、命中!。
\\\ドッ~カン///
\\\ドッ~カン///
しかし、
またもや、爆炎の後に姿を見せた魔虫将軍マンサは、まったくの無傷だ
った。
≪ぬるい、ぬるいわ!≫
自分達の攻撃が全く効かないのを見て、
『Shit!(クソ)』
『Jesus! What the hell is that!?
(うわっ!なんだ)』
と悔しがるジェームズさんと、ヴァンスさんの頭の中にソアラ
ねぇ~ちゃんの念話が入る。
≪この子、元はカブトムシだよ~≫
その頭に響く声を聴いたジェームズさんは、
『What?カ・ブトムッシー?!』
と口にすると……。
『ボス、カブト虫……Japanese Rhinoceros
Beetleです』
と、時田さんの説明に、
『OH、Beetle!?……ん!?それが……?』
それを聞いたヴァンスさんが何か思いついたのか口を出す。
『OH、甲虫類……は確か飛ぶための翅は、後翅で、それを保護する
ために前翅は硬くなってたよな?』
それを聞いたジェームズさんが、不思議そうに聞き返す。
『!?それがどうしたと言うんだ』
『ボス、つまり後ろの後翅は柔らかいと言うことです』
と時田さんが、ジェームズさん答えると、
『だから?……』
とまだわからないよって感じで、2人尋ねるジェームズさんに、時田さんが、
『つまり、今奴はその柔らかい翅を使って飛んでます……』
と言うと、そこでヴァンスさんが再び口を挟んだ。
『甲虫類は、飛ぶために硬い前翅を開かねばなりません……』
『つまり、今奴の背中は、あの硬い装甲がなく、がら空きだと言うことです』
とヴァンスさんより先に時田さん説明すると……。
『つまり、背中を……!?』
とジェームズさんが2人に聞き返すと、
『『Yes!』』
と2人が声をそろえて言う。
そこに、マクギーさんが口を挟んだ。
『しかし、さっきから奴は背中を見せませんよ』
それを聞いた、時田さんが言う。
『見せないなら、見せるようにすればいい』
『How do you do that?(どうやって)』
と聞き返すマクギーさんに、
『こうやってだ』
時田さんはそう言うと、操縦桿を左に倒し、魔虫将軍マンサの周りを時計回
りに回りだした。
それを見たヴァンスさんが、マクギーさんに言う。
『我々は反時計回りだ!』
『Roger』
こうして、魔虫将軍マンサの周りを、時計回りと反時計回りに回りだす2機
のAH-64D( アパッチ・ロングボウ)を見て、
≪ムムッ≫
少し、焦りだす魔虫将軍マンサ。
『Fire!』
ジェームズさんの掛け声と同時に2機のAH-64D( アパッチ・ロン
グボウ)は、M230A1(30㎜機関砲)をぶっ放した。
”バリバリバリバリ”
”カンカンカンカン”
魔虫将軍マンサは、背中を見せまいと抵抗していたが、自身の周りをぐるぐる
回る2機のヘリへの対応が追い付かず、ついにジェームズさんが乗るヘリに背中
を捕らえられ、
”バシュバシュバシュ”
≪うっ!……≫
背中がハチの巣状態になり、両腕を広げ、両足を広げ固まる魔虫将軍マンサ。
そして、空中から落下し始めると、虹色の泡になって消えて行った。
『『Yes!、Yes!Yes!』』
大声で喜ぶジェームズさんと、ヴァンスの声が、聖霊リンクでつながる俺の
頭にも響き渡るのだった。
昔、夏の夜にカナブン(甲虫)が窓の網戸に止まっていたので、冗談半分でエアー
ガンで、撃ってみると……”ブシュ”って感じでカナブン(甲虫)の背中に弾が
(BB弾)がめり込んだと同時にカナブン(甲虫)は手足を広げそのままの形
で窓から落ちました。
まさかBB弾がカナブン(甲虫)にめり込むとは思っておらず、たいへん驚
いたのと同時に、カナブン(甲虫)に申し訳ない気持ちでいっぱいになりま
した。
カナブン(甲虫)さんごめんなさい。




