227話 クリスマスパーティ―……その裏で
12月24日、日本の某高級ホテル、ワールドディフェンス社主催のクリスマス
パーティー会場に俺達はいた。
「いや――っ、こんな高級ホテルのパーティーに家族ともどもご招待していただく
なんて……」
と恐縮しながら、シノブの父に言う我が父(大鷲健一)。
「イエイエ、我がSONが、イツモーオッセワーになっておりますから」
と言いながらウインクして、グラスを傾けてくるジェームズさんに慌てて、
うちの とうさんがそれに合わせる。
”カン”
グラスを合わせお互い飲み物を一口飲む。
「いやー恐縮です」
頭に手を当てながら言う、とうさん。
(ちなみに父さんのグラスの中身はコーラで、ジェームズさんはマティーニ)
あちらでは、うちのかーさんとシノブのお母さんの麗華さんが、
かあさんが着ている着物についていろいろ楽しそうに話していた。
(シノブのお母さんって、長い黒髪の美人さんって感じだな)
ここは、ワールドディフェンス社主催のクリスマスパーティー会場。
表向きは、シノブの父、ジェームズ・マクギャレットさんが、日頃、息子が
お世話になっている、俺達と俺達の家族を招待してくれた……って体なの
だが……。
本来の意味は、ジェームズ・マクギャレット救出作戦のお礼。
しかし、今回はそれよりも、もっと重要な話し合いをするため集まったのが
本当の理由。
うちの、とうさんとジェームズさんの談笑の中、ミオンがうちの とうさんに
話しかける。
「おじさんw」
にこやかに手を振りながら、近づくミオンに気づいた父さんは、
「エックスキューズミー」
とタドタドシイ英語で言いながら、一礼すると、
「OKw」
と同じく一礼するが……うちの とうさんが側を離れ近づくミオンの方に向かうのを
見て、そっと、時田さんに目で合図を送ると、会場を後にした。
◇◇◇◇◇
ここで、今までの経緯を話そう。
あの話し合いの後、オブリヴィオンの宇宙船でいったん轟雷号の処まで、
ソンブル翁達に送ってもらい、俺達は轟雷号に乗り込む。
突然、自分達の上空に現れた巨大な宇宙船を見たリーザードマン達は、大騒ぎだ
ったが、俺達が現れたことにより、落ち着きを取り戻した。
(ごめんな、驚かして)
その後、オブリヴィオンのアジトと、ブレイブ基地を転移魔法円で繋ぎ、お互い
行き来を出来るようにして、ソアラねーちゃんの言うシノブの父ジェームスさんの
力を借りるべく、オブリヴィオンのメンバー共々こっちの世界に帰ってきたってこ
と。
早速、時田さんがジェームスさんに連絡を取ったところ、内容も聞かず2つ返事
でOKをもらったそうだ。
ジェームズさん曰く、
「命の恩人の頼みは断れんだろ」
だそうだ。
(アメリカ人なのにけっこう律義なんだね)
ちょうど、クリスマスまで後一週間だったので、表向き、息子のお世話になっ
ている俺達とその家族をワールドディフェンス社主催のクリスマスパーティーに
招待ってことになった。
ただ、このパーティーにはミオンの両親は仕事の都合でこれないそうだ。
「いつものことよ……」
と少しため息をつくミオン。
本来の目的とは違うとはいえ、やはりクリスマスに両親がいなのは……辛いのだ
ろう。
なので、それを聞いた我が父母は、いつもより、テンション高めで、異様に
ミオンをかまっている。
◇◇◇◇◇
「おじさん例の物、持ってきてくれた~w」
にこやかに言うミオンをの言葉に、笑顔で
「もちろんw」
って答え、
「ちょっ、ちょっと待っててね」
と言い残すと、会場をそそくさ手出た。
しばらくして、とうさんが、樹脂製の黒いケースを持ってミオンの前に現れた。
このケースは、普段、とうさんがサバイバルゲームで使う銃を保管
しているケースだ。
おそらく、ホテルのクロークに預けていたんだと思う。
”ガチャ”
黒いケースを うちのとうさんが開け、中身をミオンに見せる。
「わぁ~、すごいw」
「ご注文とおり、仕上げたよ」
中に入っていた3体のガンプラを見て、歓声を上げるミオンに、うちの父さんが
自慢気にそう答える。
「うん、完璧よw、注文通り……って以上だわw」
「そうか、ありがとうミオンちゃん」
褒めるミオンに照れながら、
「いや~それほどでも……」
と言う、 とうさんのほっぺに
”チュッ”
キスをするミオン。
突然のミオンの反応にあっけにとられる、うちの とうさん。
ミオンにキスされた、頬を右手で撫でながら、ぼ~としている とうさんに、
「おじさん、ありがとう……このケースごとしばらくお借りしますね~w」
と言いながら、ミオンはケースの蓋を閉め、ケースを持ってそそくさと会場を
出た。
それを見た とうさんが、
「うん……ってミオンちゃんどこ行くの~!」
と会場出て行くミオンの後ろ姿に声を掛ける。
「おいおい、今からビンゴ大会や、ゲキ君の誕生会のイベントもあるのに……」
と一人ごちる とうさんに、
「兄ーちゃん!、久しぶり」
と声を掛けるジョー叔父(大鷲譲二)さん。
その声に振り向き、声の主が、自分の弟だとわかると、とうさんが、
「んっ!?、なんでお前がここにいるのさ?」
と疑問の声を上げるとうさんに、何も答えず、そのままハグをするジョー叔父さん。
「いや、ちょっと……俺もシノブ君のお父さんとは知り合い?ってかね」
「んっ?……お前、知り合いって……戦場でか?」
叔父さんの言葉に、考えもって話す とうさん。
「まぁ、戦場っていえば戦場かな?」
と、ごまかしながら、
「話せば長いって言うか……」
と言いながら、うちのとうさんの肩を抱きながらくるりと方向転換させる。
とうさんを方向転換させる一瞬、俺にウインクをするおじさんに俺は大き
く頷き、俺もミオンの後を追って、パーティー会場を後にした。
◇◇◇◇◇
ミオンと途中合流し、ホテルの別の階にある”ロイヤルスイートルーム”へと
向かった。
”チン”
専用エレベーターの扉が開くと、広い廊下の先に”ロイヤルスイートルーム”
の扉が見える。
扉の前には、黒ずくめのワールドディフェンス社の社員が居るが、俺達を
確認するとすぐさま部屋の扉を開けてくれた。
”カチャ”
ドアを開けて、部屋の中に入ると、おおよそ学校の教室くらいのリビングが見
える。
この部屋の奥には、ベットルームが4つと、シャワールームトイレが、各2つづつ
あると言う大きく超豪華な部屋。
(本来なら、一生こういう部屋には泊まれないだろうな)
「ぷっはぁっ!」
俺の革ジャンの内ポケットに入っていた、ソアラねぇーちゃんが、ポケット
から出てきて、
「しっかし、とうさんって相変わらずだね」
と言いながら、俺の胸元から飛び出し、部屋の端にあるバーカウンターにジェームズ
さんを見つけると、
「ジェ~ムズゥ~w」
と声を上げながら、飛んで行った。
俺とミオンは部屋の入り口付近のソファーに座っているそれぞれの
Proxy Automaton自分たちの身代わり人形
を起動させたる。
そして、起動させた自分達のProxy Automatonが
、部屋を出るのを見送った。
これで、パーティー会場に居るのは、うちのとうさん、かーさんにジョー叔父さんと、
一部のワールドディフェンス社以外はすべて、
Proxy Automatonと言うことになる。
そうとも知らず、会場を必死に盛り上げているであろう、我が父を少し憐れみ
ながらも、部屋の中心にあるソファーに座り、満面の笑みで”プリン”を頰張る
ソンブル翁を見つけ、ミオンと2人で近づいた。
「おじいちゃん、持って来たわよ」
ミオンにそう声を掛けられて、慌てて残りのプリンをかき込むと、
「おお、見せてくれんか」
とプリンの空き皿を横にどけテーブルにミオンが持っていたケースが置ける
スペースを作った。
テーブルにはガンプラ……ではなくインヴィクタさんの分体もいて何やら興味
津々にのぞき込む。
”カチャ”
テーブルに置かれた、ケースには3体のガンプラが入っていた。
1つは、あのアニメガンボーイの適役”アクベ”大佐の乗機”ジャン”それを
真っ赤に塗装してあった。
(まぁ騎士のデザインだからだいたい誰用のか想像は着く)
2つ目は、ピンクに塗られた、”ガフ”。
(あの、紺碧の巨星”ダンバ・ダル”大尉の乗機をピンクに塗る!?って)
と少し俺は驚きながらも、
(ピンク色ってことで恐らくこれは、自分の髪の毛と髭の色を合したのだろう
……と考えると……おそらくローゼ専用機か!?)
(じゃ、最後の黒いやつ……これがミオンの専用機ブレイブロボマークⅢか!)
って思ったが、それは、ほぼほぼ、”漆黒の三連星”の乗機”ダム”そのもの
だった。
「ほぉ~、なかなか面白デザインの巨神器達じゃの」
「ですね」
と、目を細めガンプラを見るソンブル翁と食い入りようにのぞき込むインヴィク
タさん。
「んじゃ、大至急お願いよw」
とソンブル翁に声を掛けるミオンに、
「相分かった」
と返事時をして、ケースの蓋を閉め、それをおつきの黒服2名のうちの1人に
持たせると、部屋を出た言った。
その後を一生懸命追いかけるガンプラ……でなくインヴィクタさんの分体。
部屋を出て行くソンブル翁達を見送った後、俺がミオンにおもむろに聞い
た。
「なんでローゼ専用機が”ガフ”……なんだ?」
疑問を投げかけた俺に
「ああ、それ?……ただ、私が好きだからよw」
の言葉に俺が、
「いや、そのことローゼは……」
と言い返すと、
「知る訳ないじゃない、彼女異世界人なんだから」
の言葉に俺は絶句した。
(まぁ……ああ、そのとうりだけど)
とミオンの言い草に1人心で納得する俺だった。
(それで乗りこなせるのか!?)
しばらく、戦闘準備のためこちの世界にセイア達はいますが、なるべく早くに
異世界に戻れるよう努力いたします。




