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224話 ケンタウロス族の戦士”シン”



 ソンブル翁の話は続いた。



 このケンタウロス族は、他の種族以上に繁殖力が旺盛で、当初1万騎作った

ケンタウロス族は次の100年(ドラゴンや魔人との戦い)の時には10万機

騎にも増えていた。


(ゲゲッ、どんだけ増えとるねん!)


 10万騎と言っても実際戦闘に加われるのは6万騎ぐらいで。


 これを2つに分けた。


 1つは、”魔王の島”オブリヴィオン島に3万騎。


 この部隊は、ヘルゲートから出てくるドラゴンや魔人と直接戦う部隊故、ケンタ

ウロス族の精鋭中の精鋭を集めた部隊だったそうだ。


 そして、残りの3万騎の部隊は、俺達が現在使用しているブレイブ基地に配備し

たそうだ。


 因みに、ブレイブ基地の地下にある地下通路は、いざと言う時に、各国の守備に

就かせるための地下通路だったそうだ。


(なるほどね)


 そして迎えた100年目、次のドラゴンや魔人との戦いの時のことだった。


 オブリヴィオン島に配備された3万騎とドラゴンや魔人達との交戦の最中、

それは起こった。


 激戦の最中、闇の魔人が、たった今他の魔人達との戦闘で息絶えたケンタウロス

族の1人の戦士の肉体から魂が抜けだすのを目撃する。


 好奇心からか、闇の魔人がそれを自分の体の中に取り込んだ。


 すると……。


 先に、ソンブル翁はドラゴンや魔人族達は所謂、”生物ではない”と言っていた

が、おそらく、この時まで明確な意思すらなかったのではないかと、考えるそう

で。

 

 しかし、そんな存在が”魂”を取り込むとどうなるか……。


 それはつまり明確な”意思”言い換えれば”自我”を持つようになったと言うこと

だそうだ。


 そして、”意思”と言うか”自我”を持った闇の魔人は、次々と倒したケンタウ

ロス達の魂を、仲間の魔人やドラゴンに植え付けていった。


 ここにきて戦況が一変する。


 今まで、考えもなしに暴れるだけの存在が、明確な意思を持ち、また戦いの中

から戦術を学び、戦うようになった魔人やドラゴン達は、元々の高い戦闘力に加

え、”知恵”を得たことにより、オブリヴィオン島に配備された3万騎のケンタウ

ロスはあっという間に全滅する。


 ここまで、ソンブル翁の話を黙って聞いていた……と言うより、ただ下を向き

ブツブツ独り言を言っていたアロガンが、急に顔を上げ、


「待て!ソンブルその話ちょっとおかしい!」


その発言に≪んっ?≫って顔で固まるソンブル翁。


「我のしている歴史と少々話が違う……と言うのは、この際置いて置くが、

そもそも”魂”には自我や生前の記憶……が残っているのではないのか?」


と言い出した。


「ん―――っ逆よアロガン」


と横からソアラねぇーちゃんが言い放った。


「逆……って?」


「普通、”魂”っていうのはその世界(宇宙)で輪廻転生って言ってね……」


と言いかけて少し考え。


「要はね、人が死んで魂と体が分かれるとね、魂はその世界(宇宙)の聖霊界へ

と行くのよ~で、ね、その聖霊界へたどり着いた魂は一旦リセット……つまり、

それまでの記憶とか自我が一旦消去されてね、再び1個のエネルギー体として

また新しい生命(体)に宿るのよ~」


「えっ、しかし我は霊体ままで記憶や自我を持って居ったし……こうして肉体

を新たに得ても記憶など消えておらん」


と食い下がるアロガンに、少し呆れたポーズでソアラねぇーちゃんが言った。


「そ・れ・は・ねぇ、ソンブルが、圧縮魔法で圧縮した魔力の中に、あなたの

魂を閉じ込めただけなのよ」


「閉じ込めただけ?」


子供のように聞き返すアロガン。


「そう、ほっといたらあなたの魂は数日で聖霊界へ行って、自我も前世の記憶

もすべてリセットされてたわ」


と子供に言い聞かせるように言うソアラねぇーちゃん。


 そのねぇーちゃんの言葉に絶句して、何も言えなくなったアロガン。


 そのアロガンの顔色を少し見てから、ソンブル翁は話を続けた。





◇◇◇◇◇




 その後、奪った魂の記憶なのか、ドラゴンや魔人達は、ケンタウロス守備隊

も急襲。


 しかし、駆け付けたオブリヴィオン本体が合流し、熾烈な戦闘の末、これを

退けた。


 が、


 被害は甚大だった。


 オブリヴィオンの戦士はその半数を失い、ケンタウロス族に至っては、

かろうじて戦士が12名生き残っただけだった。


 次の100年、奴らに暴れられたなら持たない……。


 そこで、次の100年の間に”ヘルゲート”を強化することに成功し、

ドラゴンや魔人達が暴れる周期を100年から300年に延長すること

ができた。


 その稼いだ200年の間に、さらなる戦闘力を持つ戦士を作り上げる。


 それが、オブリヴィオン12神将。


 オブリヴィオン12神将は、実はケンタウロス族の生き残りの12人の

魂を使い、作成された……と言うことらしい。


「何と!」


驚きおもわず声を上げるアロガン。


「そうじゃよ、じゃから、お前は作られた人形ではないのだ」


「……」


諭すように言うソンブル翁に黙り込むアロガン。


「そう、お前はケンタウロス族の戦士”シン”じゃよ」


「えっ!……しかし!我にはその記憶が……それに我の記憶ではケンタウロス族

は裏切り者では!?」


 顔を上げソンブル翁方に詰め寄るアロガン。


「だからさ!あんたたち12神将もケンタウロスで、あっち

(ドラゴンや魔人達)もでしょ」


とソンブル翁とアロガンの間に入って言うソアラねぇーちゃん。


「ん?」


その言葉に、アロガンがテーブルの上のねぇーちゃんを見る。


「やりにくいっていうかさ……あんた達があっちに就く可能性もあるじゃんさ」


と、ねぇーちゃんを見つめるアロガンに言った。


「記憶を消された……と」


と聞き返すアロガンに


「いや、わしらにその技術はない」


とソンブル翁が言う。


「では!」


と再びソンブル翁の方に向き言うアロガン。


「上書き!……したんだよねぇ~ソンブル~」


とねぇーちゃんが口を挟んだ。


「記憶を上書き?」


再びテーブルのねぇーちゃんを見て聞くアロガン。


「ほれ、時折、体のメンテナンスと称して、頭につけられたでしょ」


自分の頭を指差し言うソアラねぇーちゃんの言葉に、


「ああ、あれはそうだったのですか」


と”ガンプラ”……もとい、インヴィクタが口を挟んだ。


 アロガンもインヴィクタの言葉に少し考え込んでいたが、やがて……。


「なるほど思い出した!あれはそういうことだったのか!」


と手を”ポン”と叩いて言う。


「しかし、なぜ、ケンタウロス族を悪者扱いにする記憶を上書きする必要

があったんだ?」


 と、ゲキがおもわず、口を挟んむ。


その声にソンブル翁、アロガン、インヴィクタにソアラねぇーちゃん

は驚きゲキの方を見る。


 4人同時の視線にゲキは驚き、


「いや、すまん……つい」


と頭をかきながら言う。


「それは、シン!お前達12神将がわしに頼んだのじゃよ~」


頭をかきながら、ばつ悪そうに言うゲキをよそに、ソンブル翁がアロガン

とインヴィクタに答えた。


「「えっ!」」


その言葉にアロガンとインヴィクタは驚き、アロガンが言う。


「我らが?」


アロガンの言葉に静かに頷き、こう続けた。


「万が一、同胞だと分かれば、戦いの中で迷いが生じるかもしれんから

……と」





◇◇◇◇◇




12神将の活躍で、300年に1度のドラゴンや魔人達戦いは、その後、

順調だったようで、被害は最小限に止められるようになり、この星の人々

は、順調に反映していった。


 大きな被害が出ないのは、12神将のおかげなのだが、人知れず活動する

12神将のことをいつしか人々は忘れ去ってしまった。


 そして、300年前、現れた勇者(転生者 山田太郎)の勘違いで……。


 本来、この世界を守っていた12神将もろとも……だったそうだ。


(何やらかしてくれてんだよ!山田太郎)





◇◇◇◇◇




 ソンブル翁の話は終わり、時田さんが各自の飲み物を入れ直し、談笑して

いた時だった。


「ねぇ、ソンブルのおじいさん、12神将ってさ、たった12人で、怪獣……

ああ、沢山のドラゴンや魔人達を倒せたんでしょ~」


と、ミオンが急に聞き出した。


「おっ、じいさん!……って」


とミオンのおじいさん発言に少しムッとして、


「ああ、そうじゃが……」


と答えるソンブル翁。


「今の私達とおじいさん達の戦力を合わせたよりも強かったの?」


と言うミオンの問いに


「そうじゃのう~……」


と言いかけるソンブル翁の言葉を遮り、また間髪入れず、ソアラねぇーちゃん

が代わりに答えた。


「い~やぁ……たいしたことないわよ」


「たいしたことないの?」


そう発言したねぇーちゃんではなく、ミオンは、ソンブル翁に確認すると、

再びソンブル翁ではなく、ソアラねぇーちゃんが答えた。


「そうねぇ……私が、セイアと合体する前のセイア……ガイブレイブが12体

集まったくらいかな?」


「ガイブレイブが12体……ってそれはすごいではないかMissオオワシ

……」


シノブの発言に”ギロ”と睨むソアラねぇーちゃん……をみて、


「いや、Missソアラ」


その言葉に黙ってうんうんと頷き、


「すごいことなんて全然ないよ、現に今はそれ以上の戦力なんですもの」


と言い切るねぇーちゃん。


「えっ、それじゃ今回のドラゴンや魔人達ってパワーアップしてるってこと

か?ねぇーちゃん」


驚き聞く俺にソアラねぇーちゃんはさらりと答える。


「そうよw、前の勇者が、やらかしたことが原因なんだけどねぇ」


その言葉に俺は思う、


(いったいなにやらかしたんだよ山田太郎……)



仕事もやっと落ち着き、プライベートも……。

なので、今から久しぶりにカラオケに行ってきます~w

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