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221話 「 全部まるっとお見通しだぃ!」




------第三者視点(某所オブリヴィオンアジト)---



"ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピパペポ”


基地内に鳴り響く警戒音。


「来たか!」


アロガンがそう叫んだ直後、彼らの前に光る魔法円に浮かぶ勇者達が現れた。


「んがっ!」


「何っ!」


「なんと!」


ソンブル翁、アロガン、インヴィクタが驚き声を上げる。


「じゃんじゃじゃぁん~ソアラとその一行、只今参上w」


セイアの胸ポケとから飛び出したソアラが、元気よくニコやかに言った。




◇◇◇◇◇





------セイア視点(某所オブリヴィオンアジト)---



「おのれ~!」

と振りかぶった右腕を振り下ろそうとするインヴィクタ。


「なめるな」


とアロガンが右手のひらを突き出し、光弾を放とうとするが、


「ゲキ!」


ソアラねぇーちゃんに言われ、俺達の前に出るゲキ。


「秘儀!金縛りの術!」


全身から気を放つゲキ。


「んっ!」


「うっ!」


「はっ!」


アロガン、インヴィクタ、ソンブル3人はたちまち固まった。


(あれ~金縛りの術って、機械にも効いたっけか?)


(アロガン、ソンブルに効くのは分かる……が)


(インヴィクタって、巨大ロボットだよな、なぜ固まる)


 これは、後でソアラねぇーちゃんに聞いたんだけど、ゲキの技と同時に、

ねぇーちゃんが聖霊力を発動させたんだと。


(なら、ゲキに技使わせなくともよくねぇ?)


「お・のれ~、小癪こしゃくな妖精めぇっ!」


アロガンが、ソアラねぇーちゃんに吠える。


「あんた、バカ!?」


「んんっ!」


吠えるアロガンにそう答えるソアラねぇーちゃんに、ムッとして睨みつける

アロガン。


「見た目、たしかに私は妖精だけど……」


"チッチッチッチィ”


人差し指を立て左右に振るソアラねぇーちゃん。


「ある時はセイアの姉、ある時はキュートな妖精……しかして、実態は!」


「愛の聖霊wキューティーソアラよw」


思いっきり、きめのポーズをとるソアラねぇーちゃん。


「何を言っているのだこのチビが!」


きめのポーズをとるソアラねぇーちゃんに、少しイラついたアロガン言う。


「んっ!、何よ偉そうに、あんたみたいな人形風情に、チビ呼ばわりされる

とは心外だわ!」


と怒鳴り返すねぇーちゃん。


「誰が人形か!」


ねぇーちゃんの言葉にキレるアロガン。


「あんた、自分の事ほんっと知らないの?」


「んんっ、どういうことだ」


ねぇーちゃんの言葉に、一瞬たじろぐアロガン。


「じゃぁ、質問です、あなた、子供の時の記憶ある?」


人差し指を立てながら言うソアラねぇーちゃんの質問に、


一瞬、アロガンの横に立つソンブル翁が、焦りだす。


「いやっ、それはじゃな……」


その様子を見てニンマリ笑うソアラねぇーちゃん。


 ソンブル翁の顔の近くまでパタパタと飛び、ソンブル翁の顔を覗き込みながら、


「あらら、今の質問す~ごくぅ困るのかなソンブルちゃ~ん?」


といじわるそうに聞く。


 ソンブル翁は冷や汗をかきだし、


「いや、そういうわけではないが……」


ソアラねぇーちゃんから目をそらし小さな声で言う。


(なんか怪しいね)


「んっ、子供の記憶……それはなんだ!」


と、唐突に聞くアロガン。


その言葉に、少し呆れたようにソアラねぇーちゃんは言う。


「んっ……そっから!?か」


そう言うと、顎に手を当て、少し考えるソアラねぇーちゃん。


「普通さ、私が元居た世界も、この世界もさ、人って、”赤ちゃん→子供→大人”

って、成長していくのよ」


「はぁん!?」


ねぇーちゃんの説明に変な声を出すアロガン。


「普通人族だけでなく、エルフ、ドワーフなんかもね……」


「まぁ、リザードマンは”赤ちゃん”じゃなくて”タマゴ”だけど」


「……」


ねぇーちゃんの言葉を”ぽか~ん”って感じで聞いているアロガン。


「んっ……、つまりね、男と女が結婚して子供を産むってわかる?」


「ああ、」


ねぇーちゃんのセリフに頷くアロガン。


「……んっ、じゃあさ、アロガン!あんたのお父さん、お母さんって誰?」


「父、母……っ」


悩むアロガン。


それを見て、ねぇーちゃんは言葉をつづけた。


「じゃあ~さ、意識が芽生えたってか、あんたの一番古い記憶は?」


「古い……記憶……」


腕組みをして、考えるアロガン。


 数分考えて、


「カプセル……何かの溶液の中……そこから……白いひげ、小太り……」


とまで言いかけて”はっ”と顔お上げ叫ぶ。


「あっ、あれは~!!ソンブルっ――――!!」


そして、


「うぉ―――――――!!!」


っと頭を抱えながらそのまま壁に体当たりしてぶち破った。


”ドバーン”


”ドンガラガッシャン”


「あっ、あらら」


それを見て肩をすくめお手上げポーズをするソアラねぇーちゃんだった。





◇◇◇◇◇





 ソアラねぇーちゃんは、いまだ、”秘儀!金縛りの術!”のまま踏んばり、

少々体をプルプルさせているゲキを見て、


「ゲキ、もういいわよ」


その言葉に、金縛りの術のポーズをやめ、


「ふぅ~っ」


と息をつくゲキ。


「なっ、なんてことをしてくれたのじゃ!」


と、俯きながらも言うソンブル翁に、


「なにが?」


と、きょとんとして言うソアラねぇーちゃん。


「何がっ……って、あれが無ければこの星の民を守ることなどできんと言うのに

……」


と顔を上げ言うソンブル翁に、


「あんたね、あれが(アロガン)、あったとしても土台無理だよ」


と投げるように言うソアラねぇーちゃん。


「何っ!……どういうことだ!」


ソンブル翁がソアラねぇーちゃんを睨みながら言うと、


「あんたが考えたのはこうでしょw」


とオブリヴィオンの考えを話し出した。


 オブリヴィオンには、12神将と呼ばれる戦士達がおり、それは、いわば

この星最強の守り神の12人だったそうだ。


 この12人は、300年~400年周期で訪れるこの星の大災害。


 この星の災害とは、俺達の世界の自然災害……例えば、台風や地震、津波、

火山の噴火などではなく、魔人やドラゴンが暴れまわるというものらしい。


 もともとこの星の大災害は100年に一度だったが、オブリヴィオン12

神将達のおかげで、300年~400年間はヘルゲートに封印できるそうで、

言い換えたら、その封印の期限が300年~400年で切れるってことらし

い。


(ん―――っ、なんか少し、ややこしい)


 しかし、前回(300年前の)魔人やドラゴンの戦いのさなか、突然乱入し

てきた勇者パーティー。


 まさに、魔人やドラゴン達と、オブリヴィオン12神将が死力を尽くして

戦っている最中、いきなり問答無用で、”轟雷号”最大の武器である”対消

滅弾”(轟雷号の艦首にある大きなドリル状のミサイル)を放ってきた。


 その威力はすさまじく、あっという間に魔人やドラゴン達共々、オブリ

ヴィオン12神将も消し飛んだ。


 全滅……、と思われたが、かろうじて2人が生き残った……。


 と言っても、インヴィクタはその脳みそだけ、アロガンに至っては魂だけ、

かろうじて救えたって状況だったそうだ。


 本来いた12神将は、今や2人。


 そこで、アロガンのコピーを12人作ろうとしたのだが、それには

大量の魔力が必要だった。


 そこで、ソフィーに目を付けたわけだが……。


 事情を話して協力してもらえばよかったんだけど、この星の守護神的存在

だと、自負していたオブリヴィオン達3人はそれをせず、この世界と言うか

、主にイーシャイナ王国に脅しをかけた。


 その少し前、偶然手に入れた魂2つでサディコとデロべを作り、本来、

拠点建設用のアントマンやワスプマン。

 それにこの世界のダンジョンなどに居る魔物を使って、いかにも強大な力あ

る風に見せ、ソフィーを差し出させようとしたのだが、それを拒否され、仕方

なくソフィーを拉致することにした。


 結局、ソフィー拉致をしてみたものの、魔力が”無限”だと思われた

ソフィーの魔力が、思ったよりも少なく、アロガンの肉体の復活と、後せい

ぜい2体のコピーを作る程度……。


 しかも、2体のコピーを作るにも時間がかかりすぎ、間に合わない可能性

が出てきた。


 そこで、足らな戦力を" 巨神器"(インヴィクタ)を4体作成するのと……。


 俺達が今持っている”轟雷号”を奪い、自身らの船とそれらを合わせた戦

力で、何とか対抗できるのでは……って考えたらしい。


 すべてのことを言い当てられ、困惑するソンブル翁。


「なぜ、我らの考えが……」


その言葉を聞いたソアラねぇーちゃんは、ソンブル翁を指差し、きめのポーズで言う。


「私は聖霊wこの世界のことは、全部まるっとお見通しだぃ!」







※「私は聖霊wこの世界のことは、全部まるっとお見通しだぃ!」は、

 ドラマ”トリック”のセリフのオマージュです。

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