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220話 巨神器




 土属魔法で、魔法円の欠けた部分の石板を作るローゼ。


 形的には、大きなバームクーヘンを8等分したような形かな?


 ローゼが作成した6つの石板を、それぞれ魔法円の欠けている部分に運び、

はめ込む、俺、ゲキにシノブ。


 俺達がはめ込んだ石板に、ニールさんがそれぞれの魔法文字や記号をチョ

ークで下書きしていると……。


「ちょーっとまった!」


と大きな声で、ニールさんの作業を中断させるソアラねぇーちゃん。


「えっ!?」


「それじゃ、単に元に戻してるだけじゃん」


「あっ…!?」


「これだと向こうから来れるだけだよ」


と腰に手をやり、プンプンしながら言うソアラねぇーちゃん。


「あ――っ、そうでした、すみません」


 ソアラねぇーちゃんの指摘に、頭をかきながら謝るニールさん。


(冷静なニールさんにしては、珍しい……」


 ニールさんが2か所、魔法文字を訂正し、


「じゃ、ローゼ、ニールの下書きを石板に彫ってくれる?」


「あっ、うん」


ソアラねぇーちゃんの指示に、ローゼがどこから持ってきたのか”たがね”と

”ハンマー”を取り出し、ニールさんが書いた下書きを忠実に掘り始めた。


”コン・コンコンコンコン”


”コン・コンコンコンコン”


 小刻みなリズムで石板を掘り進むローゼ。


 その様子をしばらくじっと見ていたソアラねぇーちゃんが、作業するローゼの

顔付近まで飛んできて言った。


「ローゼ、その調子だと日が暮れるよ~」


「えっ!」


そう言われ、作業の手を止め、ソアラねぇーちゃんを見るローゼ。


「こういうのはさぁ~、魔法でチャチャっとやらないと」


「……」


ソアラねぇーちゃんの言葉に固まるローゼ。


「こんな風にねぇ~」


固まるローゼに笑顔で言うと、ソアラねぇーちゃんは魔法円の中心へと進み、

右手を上げてこう叫んだ。


「インスクラァイブw」


すると、ニールさんがチョークで下書きした魔法文字や記号が、浮き上がった

ように一瞬見えた後、石板にそのまま魔法文字や記号が刻まれた。


「あっ……」


それを見たローゼは、口をあんぐりさせ、さらに固まるのだった。




◇◇◇◇◇




「じゃー、お昼にしようよ~」


笑顔で俺達に声を掛けるソアラねぇーちゃん。


 その言葉に、俺達はマジックボックスからBBQ用のテーブルを出し、昼食の

用意に取り掛かる。


ソアラねぇーちゃんの所業にいまいち納得がいかないローゼ。


 しばらく魔法円の石板とにらめっこしていたのだが、


”ぐぅ~”


 ローゼのお腹が鳴る。


 納得は、未だにしていないローゼだが……。


 空腹には耐えられないようで、気持ちを切り替え、


「私もお手伝いするぅ~w」


と元気よく俺達の所に走ってきた。


(ローゼ気持ちは分かるぞ……でもな、それが我が姉なんだよ)




◇◇◇◇◇




「「「「「いただきますw」」」」」


テーブルの席に着き、みんなで手を合わせ合掌する。


 今日のお昼は……。


”かつ丼”……まぁ、縁起を担いで、ってことらしい。


 いつもなら、俺のかつを一切れ奪いに来るはずの姉は、現在、魔法で自分サイズ

に縮めた”かつ丼”を食べることに必死のようだ。


(今のうちに全部食っちまおう)




◇◇◇◇◇




 食事も終わり、後片付けをして、いよいよ魔法円を起動して殴り込み。


 各自、自分の得物を確認する。


 俺は、ゲキにもらった十手……。


「これを、使ってくれMr.オオワシ」


俺がベルトに刺した十手を確認していると、シノブが俺に自分の愛用のサイドア

ームであるガバメントを俺に差し出した。


「えっ、いいのか?」


「ああ、怪物相手に、十手では心もとないだろう」


(まぁ、確かに……。でも、俺、ねぇーちゃんと合体すれば短期間だが変身

できるんだけど)


 そう思いながらも、


「ありがとう、シノブ」


とお礼を言い、腰のベルト付近にシノブのガバメンントを差した。


「みんな~準備いい?」


「は~い」


「はい」


「うん」


ソアラねぇーちゃんの元気いっぱいの問いかけに、ミオン、シュイ、ローゼが返事

をし、俺を含む残りのメンバーは黙って頷き、魔法円の中へと入った。


 全員が、魔法円に入ったのを確認したソアラねぇーちゃんは、右手を挙げて、


「トランスファーw」


と叫んだ。


 すると魔法円が光りだし、魔法円からさわやかな風が吹いたと思った次の瞬間!

俺達は別の場所に居た。




◇◇◇◇◇




------第三者視点(某所オブリヴィオンアジト)---




 幅100m、奥行き90m、高さ約50m。

 

 大型旅客機が2機~3機程度入る格納庫のような場所。


 その場所の高さ15mくらいの所に、内側をぐるりと囲むようにある、体育

館によくあるギャラリーに似た通路に、2人の男が立っていた。


 一人は、先ほど復活したオブリヴィオン総帥アロガン。


 そして、もう一人は、ソンブル翁。


 その2人は、目の前にある巨人と話をしていた。


「インヴィクタ!調子はどうか」


「はっ、問題ありません」


アロガンの質問に対し、腕をぐるぐる回しながら答える。


巨神器と言われる機動兵器。


≪機体名≫  インヴィクタ


≪全  高≫ 18m


≪重  量≫ 28.7t


≪装甲素材≫ アダマイト鋼


≪武  器≫ 三俣のタガー(サイ型)


≪性  能≫ 加速により音速をはるかに超えるスピードで動け、

       その際、発生する衝撃波を相手にぶつけ攻撃する。


 新しい、インヴィクタの体である。



「で、インヴィクタの簡易型の量産はいつ頃完成する?」


「……3~4体ですと、1ヶ月もあれば」


アロガンの質問そう答えるソンブル。


「うん、で、我のレプリカの方はどうか」


「魔核を3つ作るのに2~3か月はかかるかと」


「なっ!それではギリギリではないか」


「あっ、はっ、……あの娘の体調を考えますと……」


とソンブルが言いかけると、その言葉にムッとしたアロガンが、


「あの娘の体調などどうでもよいではないか」


と憮然とした態度で言い放つのを聞いて、


(復活したとたんこれだ……霊体でフロワを名乗っていた時は、もう少し人間味が

あったんだが……)


 それを見透かすようにアロガンが、


「なんだ、不服そうだなおう!」


「いえっ、そのようなことは……」


慌てて、言葉を返し、


「おお、そういえば、前勇者が使っていた船ですが」


「船……!?」


ソンブルの言葉に、聞き返すアロガン。


「はい、魔王軍と戦ってた折に、我々もろともふったばした、巨大爆弾を放った

あれでございます」


「……ああ、あれか」


「はい」


「どうやら、使えるようです」


「んっ?……何っ!」


「あの娘の仲間……今この世界で勇者と呼ばれている者達が、あれを復活

させたようですぞ」


「なにっ?……確かあれは、おう、貴様が使い物にならない故、彼奴きゃつらが放置した

……と言わなんだか?」


「はい、そう申しましたが、アントマンの報告では、その船が今、ダラエ湖におり

ますようで」


「ダラエ湖だと!……あそこは確か、下等なリザードマンとか言う者達の住処が

あったところではないか」


「はい」


「何故、そこに?」


「さぁ、詳しくはわかりませんが、おそらくあの娘を取り戻すため、リザードマン

達に協力を要請しに来たのかもしれません」


「なるほど……そうかなら、もうすぐ彼奴きゃつらがここへ来るではないか」


「はいw」


「はいっ!ん、落ち着いている場合ではないぞソンブル!」


 その会話を横で聞いていたインヴィクタが口をはさむ。


「おそれながら、わたくしが直ちに!」


と頭を下げ言うインヴィクタに、


「待てまてインヴィクタ、そちが行って、あの爆弾を打たれたら一溜りもある

まいて」


「しかしっ!」


と食い下がるインヴィクタに、


「できれば、あの船を無傷で手に入れたいんじゃよ」


「今のそちでは、あの船を乗っ取れまい」


「まぁっ、はぁ~」


とソンブルの言葉に納得するインヴィクタ。


「では、我が出向けばいいのだな」


とソンブルにアロガンが問いかける。


「はい、ご足労掛けますが……」


「うむ」


頭を下げるソンブルに軽く頷くアロガン。


「では、さっそく」


とアロガンがその場を立ち去ろうとするのを、


「いえ、お待ちくだされ」


「んっ?」


「今奴らが、ここへやってきます」


「ここで奴らを足止めいたしておりますので、その間にお願いいたします」


「んっ!あ……大丈夫なのかソンブル」


「はい、このダンジョン内(基地)でしたら、あの勇者も巨人への変身は

、できませんでしょうし、あの娘がいる以上、ここを一気に破壊せぬと、

思われますので」


「なるほど」


「奴らの相手は、アントマンとここに残る魔物ゾンビとスケルトンで少々の時間は稼げましょう」


「その間に、私とインヴィクタもあの娘を連れて、我らの船でここを出ます」


ソンブルの話を黙って聞く、アロガン。


「アロガン様は、奴らの船を奪っていただいて……そして例の場所で落ち合いましょう」


「んっ?例の場所……あっ!」


ソンブルの言う”例の場所”を少し考え、思いついたのか、大きく頷くと、


「わかった、そのようにいたそう」


アロガンそう答えたその時だった!


"ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピパペポ”


基地内に鳴り響く警戒音。


「来たか!」






"ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピパペポ”

これ、ホワイトベースの警戒音……(苦笑)


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