214話 聖霊力
ブレイブカイザー→ギガ・ブレイブ!に変更しました。
炎の巨人を倒し、背中の羽根を広げ、攫われたソフィーの捜索に向かおうと、空
に飛び上がろうとした時だった。
(んっ……)
急に頭がぼーとして体がふらつきだした。
俺は、慌てて倒れまいと足を踏ん張ろうとするが……。
「うゎ~!」
俺は踏ん張り切れずにそのまま地面へと倒れこんだ。
”ドッシーン”
そして、そこで意識を失った。
◇◇◇◇◇
目を覚ますと、俺はブレイブ基地にある俺の部屋のベットで寝ていた。
「んっ……うぅ……」
俺の目の前には3つの顔……。
「あっ、セイア!」
「セイア様~」
「おっ、気ーついたかセイア」
ミオン、シュイ……それにりゅう じいちゃんの顔だった。
「ん!?ここは……」
と俺が疑問を口にして、辺りを見回す。
「ここは、基地の中のセイアの部屋よ」
と言いながら、俺の頭上よりゆっくりと降りてくるFairy(妖精)達のリ
ーダーのチャームさん……じゃなくて、
「ソアラねーちゃん!」
そう言いながら俺はゆっくり起き上がった。
「セイアが倒れた後、ミオンちゃん達が戻って来たから、サイドカーで運んでもら
ったのよ」
振り返り、ミオンとシュイの顔をちらっとみて言うソアラねーちゃん。
ミオン達もそれに頷く。
「俺何で倒れたんだろう……」
(炎の巨人を1発で倒した後……ソフィーを捜しに行こうとして……)
言葉の後に思考を始めた俺に
「あっ、たぶんそれ、聖霊力のせいだわ」
とあっさり答えるソアラねーちゃん。
その言葉に、俺を含め俺のベットの周りに居るミオン、シュイ、りゅう じー
ちゃんだけでなく、部屋に居たシノブやゲキを初めとするメンバー全員が声を
そろえて言う。
「「「「「「「「「「聖霊力!!」」」」」」」」」」
全員の疑問の声に少し驚きながらも、ソアラねーちゃんが答える。
「言ってしまえば聖霊の力に酔ったって事かな」
「酔うってどういうこと?」
ミオンの問いに、ソアラねーちゃんが振り返り言う。
「!?酔うって……酔うことよ」
「いや……だから」
ってミオンに代わり俺がねーちゃんに尋ねると、それまで黙っていたニールさんが
言った。
「待ってください、ソアラさん、そもそも聖霊力は人間には扱えませんでしょ」
「うん、そーだよ」
「では、何故……」
とニールさんが言いかけた時、ソアラねーちゃんが手を上げてそれを制すると、
「うん、そーだね、聖霊力はそもそも、人間どころか肉体をもつ生き物には扱えな
い力よw」
と言う。
その言葉を聞いてニールさんが再び、
「でしょう、それこそ聖霊……というか神のような肉体を持たない存在でしか扱え
ない力……ですよねぇ」
の問いに、ソアラねーちゃんが
「だから私がセイアの中に入ったんじゃん」
と答えた。
「……なるほど……」
とソアラねーちゃんの答えに1人納得するニールさん。
「いやいや、2人で納得してないで私達にもわかるよう説明してください」
とミオンが納得するニールさんと笑顔で頷いているソアラねーちゃんに向け言うと、
「私がね、あっちの世界で死んで、こっちの世界に来た時、聖霊界を通ってね、
それで魂と聖霊力がこう、ばーと結びついてね……」
未だ姉は6歳児のままだった……6歳児の説明だけでは俺達にはいまいち理解
できないので、ニールさんの補足説明を受けてようやく意味わかった。
それを要約すると……こう言うことだ。
人の魂は輪廻転生する……本来、輪廻転生はその世界(宇宙)で繰り返し行わ
れるものだが、ソアラねーちゃんの場合何故かその輪廻転生から外れ、別次元の
世界(宇宙)へと渡った。
ゲキの櫻ばーちゃんが言う界渡りってやつ。
その際、界と界……世界(宇宙)と世界(宇宙)の間にある、ソアラねーちゃん
の言う聖霊界を通って来るのだが……。
その時何らかの事由で、ソアラねーちゃんの魂に聖霊界の聖霊力が反応して、魂
にその力が宿ったらしい。
これは、ニールさんの推測だが、俺が死にかけた時、”ソフィーを守る力”を強
く欲して、それにソフィーの魔力が反応し、俺がガイブレイブの力を得た時と同じ
ではないのかと言っていたが……。
(ひょっとして、ねーちゃんはその時、幼かった俺を守りたいと強く思ったののか
もね)
で、その聖霊力の力によりある種の”予言”めいたイメージがあったそうな。
それは、将来この世界に俺がやって来るって事だった。
ねーちゃんは、この世界に俺が現れた時にすぐにそれがわかるようにと、その
イメージをこの世界で発信した。
しかし、この世界の殆どの人間がそのイメージを受取れないでい居る中、それ
を受取ったのが……ソフィーだったみたいだ。
(ある意味俺とソフィーの出会いはソアラねーちゃんによるものだったのかも)
因みに、俺達のように肉体を持って界渡りした場合、肉体が邪魔して”聖霊力”
が宿らないらしい。
但し、転生者のように魂で界渡りし、渡った世界で肉体を得た場合、多少の聖
霊力が発揮できるそうで、この世界で俗に言う転生者は魔力量が多いと言うのは
実は、魔力ではなく聖霊力を行使しているからそう見えると言うことらしいが…
…。
では、精霊力と魔力の違いについてだが、質と量が違うらしい。
魔力も、聖霊力も、イメージをエネルギーや物質変換又は物理現象に干渉できる
力であるのは同じなのだが、魔力はそのイメージを継続しなければ行使できないの
と違い、聖霊力は一度イメージすれば、そのイメージを打ち消さない限りその現象
が続くエネルギーらしく、また、同じ魔法を行使する量についても魔力1に対し、
聖霊力は0.0001で済と言うことだ。
つまり、一見、無限に近い魔力と思われているソフィーの魔力量は、この星の
1/3の魔力量でしかなく、体長10CmのFairy(妖精)であるソアラねーち
ゃんの聖霊力は、魔力に換算するとこの星の全魔力のおよそ10倍以上はあると言
うことらしい。
俺が”聖霊力酔い”をしたのは、その膨大なエネルギーが一度に体に入ったこと
で、所謂オーバーヒートを起こしたらしい。
つまり、本来、それを防ぐ為に俺の中にソアラねーちゃんが入ったって事なん
だけど……。
ねーちゃん曰く、
「あの程度の聖霊力でセイアが倒れるとは思わなかったんだもんw」
との事だった。
つまり、ねーちゃんのコントロールミスってことだ。
◇◇◇◇◇
ベットから出たものの、
「まだ、少しむかむかする」
って言ったら、
「ほれ、これでも飲んどきー」
って、りゅう じーちゃんに渡された薬を、同じく渡されたコップの水で、
何のためらいもなく飲んだ。
”ゴックン”
途端に胃のムカムカがなくなったように感じたので、なにげにじーちゃん
に聞いてみた。
「この薬は何?」
「ん?それか……それは酔い止めの薬や」
「ああ~ん!!」
俺は驚きじーちゃん聞き返すと……。
「ソアラがそれで治る言うんでな」
とニコニコしながら言った。
(聖霊力酔いって、乗り物酔いの薬で治るんか~い!)
って心で突っ込んでおいた。
◇◇◇◇◇
俺が倒れてから3時間余り時間は立っていた。
倒れる前、ソフィーの反応は感じていたが、今は感じられない……。
それは、今の俺の体にはソフィーから得た魔力も、ソアラねーちゃんからの聖霊
力も無いから……らしい。
最後に感じられたのは、西南西約4,000Kmの所。
(ってことは……あそこにソフィーは居るってことだよな)
早くソフィーを助けに行きたいのは山々何だけど……。
俺達の今持っている移動手段で、一番早いのは飛行艇……だが、それでも13時
間以上は掛かる。
(いや、”轟雷号”があたか……でもあれがあるのはナ国……ここよりもっと
離れた場所。例え最高速度のマッハ1.2で飛び続けても10時間はかかってし
まうよな……)
って考えていると、
「セイア”轟雷号”に乗り込む用意して」
ってミオンに言われた。
「いや、あれがあるのナ国だぞ!取りに行くだけでも……っ」
「なぁ~に寝ぼけてるのセイア、あそことブレイブ基地は、”どこでもミラー”で
繋がってんじゃない」
「あっ!、そうだった……けどその後どうすんだ?あそこからだとかえってここよ
り遠くなるぞ!」
ってミオンに言い返したら、何処からともなく現れたソアラねーちゃんが、
「バーカ、そのために私が居るんじゃん」
って腰に手を当て自信たっぷりに言う。
「ああ……そう言うことか」
と俺が何となく納得する横でシノブが言う。
「ミせーてもらおうか!セイレイリョクの力と言うやつを!」
そのセリフに俺は1人心で思う。
(お前さー、たぶんそのセリフ、使い方間違ってるぞ!)
精霊→聖霊に変更しました。




