212話 ソフィー拉致、その時セイアは!?
腕や装甲が溶け、戦闘不能に陥ったロボを電龍の体にロープで括り付け、
「じゃ、電龍頼んだぞ」
「ロボの事お願いねw」
俺とミオンの言葉に
「あいよ、任された」
と軽く返事をして、一足先にブレイブ基地へと向かう電龍を俺とミオン、シュイ
で見送った。
「さて、シノブやゲキ達も倒したようだし、俺達も帰るとするか」
「そうですね、セイア様」
「そうね、帰り……」
とミオンが言いかけた時、時田さんから無線が入った。
≪こちらは片付きましたが、そちらは如何ですか?≫
それに、ミオンが答える。
≪はい、お疲れ様です≫
≪こちらも片付きましたよ時田さん……≫
≪さようですか、流石はと言う所でしょうか≫
≪ただ、≫
≪ただ?≫
≪ロボがかなりの深手を負ってしまって……帰ったら直してもらえますか?≫
≪さようで……そんな事ならお安い御用です≫
≪帰ったら早速修理班に修理させましょう≫
≪ありがとう時田さん≫
時田さんの答えに微笑むミオン。
≪ところで、そちらに大鷲様がおられますか白鳥様≫
≪うん!?はい横で……≫
≪はい、セイアです……どうかしましたか時田さん≫
ミオンの無線に割り込む俺。
≪あ、はい大鷲様、先程よりブレイブ基地に帰還の連絡をしておるのですが……≫
≪うん!?≫
時田さんの言葉をそこまで聞いて、俺はすぐさまソフィーの位置を探った。
「……いない」
「えっ、いないって!?」
≪ソフィーは基地に居ません≫
ミオンに答えずそのまま意識を無線に合わせ言う俺。
「セイア様の世界に転移したのかも」
と言うシュイの言葉に
≪時田さん、エドナさんや、じいちゃんも応答ないの?≫
≪はい、誰も無線に出ないのです……≫
「やはり、大事をとって転移したのではありませんか」
シュイの言葉に俺は返事せずにソフィーと念話を試みる。
(ソフィー、ソフィー……返事をしてくれ)
しかし、ソフィーからの返事はない。
「ソフィーと念話通じないの?セイア」
「ああ、」
「じゃ、やはり異世界に……」
とシュイの言葉を遮りミオンが言う。
「セイアとソフィーの念話は私達の世界にソフィーが居たとしても通じるはずよ
……ねぇセイア」
その言葉に俺は黙って頷き、
≪兎に角、僕らも直ぐに戻りますので、時田さん達も直ぐに戻ってください≫
≪かしこまりました≫
時田さんとの無線を切り俺は考える。
(どういうことだ……)
その時だった!
俺達の後方で物凄い炎を噴き上がり、思わず振り向く俺、ミオン、シュイ。
振り返った先に見えるのは……。
死んだはずのドラゴンの額にあるデベロのおっさんの顔から、炎が勢いよく噴
出し、みるみる人型になり……。
あっという間に、身長30mの炎の巨人がそこに立っていた。
「小僧、わしは死なんのだよ」
と言う炎の巨人。
”ピッ”
≪Enemy≫
≪名称デロべ炎の巨人≫
≪戦闘力 700,000 ≫
≪防御力 600,000≫
≪スピード 500,000≫
≪MP 650,000≫
≪特技 炎系攻撃、物理攻撃無効≫
×1
「「「えっ、え――――――――――!」」」
それを見た俺達は、叫ぶのだった。
◇◇◇◇◇
------オブリヴィオン副総帥フロワ視点---
ブレイブ基地中央管制室内。
少し時間は戻ります。
我は体中(霊体)に魔力を巡らせ老婆の呪縛を跳ね返す。
「ふんっ」
それを見た老婆が一瞬目を見開くが……。
すかさず、
「スリープ」
眠りの魔法を発動させ老婆を眠らせた。
がくっと倒れこむ老婆をよそに、壁をすり抜け女を追う。
廊下を通り、昇降機らしき箱に乗り込もうとする所で、女を担ぐ老人とエ
ルフの女に追いついた。
「なっ……」
我の気配に気づいたエルフの女が振り向き、床に手を付き
「エレクトリック・アース」
と叫ぶと床から等間隔で、我、目掛け小さな炎が次々と上がり、
”ビリビリビリ~”
と我の居るところで放電が起こる。
少し体に纏った魔力が乱れはしたが……。
「我には効かん」
我の言葉にエルフの女が”ギョ”とする。
「あかん、ど・どないしょ」
女を担ぐ老人も担いだまま、こっちに振り向き慌てた様子で言う。
「こうなったら……」
そう言って狼狽える老人の横で立っていたエルフの女が、
「フラッシオーバ」
と叫びながら我の所に駆け寄って来た。
(なるほど……自爆覚悟か)
「ディセーブル」
我は、自爆覚悟で大量の電気を帯び、迫って来るエルフの女に向け”魔法無効”を発
動させる。
「えっ……」
驚きながら我とすれ違うエルフの女に向け、
「スリープ」
眠りの魔法を発動させると、エルフの女は床にに転がりこみながら眠った。
「あっ、あっかん~これあかんやつや~」
担いでいた女を降ろし、怯えながら叫ぶ老人に我が近づき、
「スリープ」
眠りの魔法をかける。
”Zzzz”
いびきをかきながらその場で寝込む老人。
「……」
床で寝る老人の傍らで、気を失い倒れている女を黙って見つめ……。
「では、頂くとしよう」
我は、体に纏った魔力を飛散させ、女の体に入り込んだ。
(……っく、何てエネルギー量だ!)
膨大なエネルギーに意識を失いそうになりながらも、かろうじて踏ん張り意識を保つ。
「っ急いで戻らねば……我の意識が持たない」
女の体のまま呟くと、すぐさま転移魔法を発動させこの場を脱するのだった。
◇◇◇◇◇
「シュイ!まだ魔力は残っているか!?」
「あっ、はい、まだ行けますセイア様」
俺の問いにシュイがそう答えるのを聞いて、
「ミオン、シュイを連れて一度ブレイブ基地に戻って……」
「うん、わかった堀の水でもう一度青龍を……でしょ」
俺の話の途中でミオンがそう答える。
(流石、幼馴染……話がはやい)
そう思って俺がミオンに頷くと、ミオンはシュイをサイドカーに載せ……。
”ブン、ブ~ン”
スロットルをふかし、サイドカーを発進させようとするが……。
「そうはさせん!」
と炎の巨人が言うや否や、手から炎玉を二つ作り出し、それをミオンのサイド
カー前方に放り投げた。
ミオン達のサイドカーの前に放り投げた2つの炎は、すぐさま身長2mの人型に
なり、ミオン達の前に立ち塞がる。
「あっ、」
”キー”
思わずブレーキをかけ止まるミオン。
それを見た俺はすかさずミオンの前に立つ2体の炎人に向け、両腕をフリーザー
アームに変え、冷凍ガスを噴射する。
「フリーザーストーム~!」
あっという間に炎人を消し去り、ミオンに頷く。
それを見たミオンが、スロットルを全開させサイドカーを走らせた。
”キュルキュルキュル~”
”ブォ~ン”
と同時に俺は振り向き炎の巨人に向け、
「フリーザーストーム~!」
冷凍ガスを噴射する。
多少、炎が揺らぐものの俺の攻撃は、炎の巨人には効いていないようだ。
「ふんっ」
俺の攻撃を鼻で笑う炎の巨人。
(まぁ、そうだろうな)
だが、しかし今の俺にはこれしかない。
残りエネルギー(魔力)が1/3……。
炎系攻撃と言うか、熱系は奴には効かない……。
当然、実弾系も効かないし……。
残る手立ては2つ……。
「フリーザーストーム~!」
冷凍ガスを噴射する。
しかし、奴の炎の勢いを止めることはできない。
「なははははぁ~」
高笑いする炎の巨人。
それを見て俺は両腕をブレードアームに変え、
「プログレッシブ ブレード!」
刀身を出し、それをクロスさせ
「クロスエンド!」
”ボッワ~ン”
奴の腹に風穴があいた。
「なっ・何だと!」
驚く炎の巨人だった。
が、
すぐさま、体に開いた穴が元通りに戻る。
「ふん、わしは不死身だ!」
と、にやけながら言う炎の巨人。
(まぁ、そうだろうけど……)




