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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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20話 歩く木


”ピッ”

 Am6:00……俺の頭の時計で……そろそろ、トラックの燃料が空に近付いてきたので、燃料補給がてら、朝食を取るため大きな森の手前数十キロ手前の草原に停車する。


 俺は変身を解いて、みんなと合流。


 例によって、シノブとゲキが燃料補給に向かい。俺と時田さんが朝食の用意……って言っても、今回もまた、お湯を沸かすだけ……今は非常時なので、今回の朝食は”カップメン”で手早く済ませることに。


 燃料補給に行ったシノブとゲキを待って、各々好きなカップめんを選ぶ。シノブとゲキは”デカモリ”のラーメンと焼きそばタイプを一つづつ選び、俺とミオンは”カレー味”の普通のカップめんを選んだ。ソフィーとニールさんには、各カップめんの味をみんなで説明して……2人は”シーフード味”のカップめんをそれぞれ選び……


「「「「「「いただきます」」」」」」


 今回はニールさんも手を合わせて一緒に言った。


 食事をしながら、俺がニールさんに聞いた。


「あとどのくらいですか?」


「そうですね……あと40Kmくらいでしょうか……」


と地図をチラッと確認して俺に答えた。


 その時、ミオンが時田さんに、


「ず~と運転してて、眠くないですか?」


と時田さんに聞くと、


「はい、この程度では……と言いたいところですが、年波には勝てませんねぇ……少し眠いですかねぇ」


と、にこやかにミオンに言う。


「おっ、時田!この後は僕が運転代わるから、時田は荷台で休んでくれたまえ。」


と時田さんの言葉を聞いて、シノブが言う。


「はい、お気づかい、いたみいります……おぼっちゃま。」


と軽くシノブに頭を下げ言う時田さん。


 その時ミオンが、


「あんた、まだ高校生なんだから、車の免許なんか持ってないでしょ!トラックの運転なんてできるわけないじゃない!」


と大きな声でシノブに噛みつくミオンに、シノブは右手の人指し指を立て、それを左右に振りながらこうミオンに言った。


「ノン、ノン、ノン……」


と言って、ズボンのポケットから自動車の運転免許証をだして、ミオンに見せながら、


「アメリカでは、16歳で車の免許が取れるのだよMissシラトリ~♪それに、子供のころから、軍用車両で遊んでいたから、戦車でも操縦出来るんだよ~この僕はね。」


と右手の親指を立て、自分をさしながら自慢げに言うシノブ。


「えぇ~~!!そうなの?」


と驚き言うミオンに、俺がシノブの代わりに答えた。


「トラックは知らんが、確か、アメリカでは16歳で車の免許は取れると、とうさんから俺も聞いたことある。」


 その言葉を聞いて、”でしょ”って顔で俺を見るシノブ。


「なら、まあ問題ないか……」


と素直に引くミオン。


 そこにゲキが一言。


「どの道、この異世界で免許って意味あるのか?」


と素直に聞くゲキ。


俺、ミオン、シノブは、お互い顔を見合わせ……そして、大笑いした。


「「「アッハハハハァ~」」」


「ってことはよ……こちらの世界なら私が運転しても、問題ない、ってことよねぇ~♪」


とマジマジ言うミオン。


「でも、運転の仕方がわからないと、運転できないだろう。」


と真顔で言うゲキ。


「それもそうね~……」


と、ミオンは少し考えて、


「じゃ、今度、運転の仕方教えなさいよ!シノブ。」


と言うミオンに俺が、


「ミオンだけじゃなく、俺やゲキにも教えてくれよ。その方が、これから時田さんの負担も少しは少なくなるし、なにより、便利になるだろう。」


と言うと、シノブは俺に微笑んで、


「Yes,of course~♪」


 満面の笑みを浮かべ右手の親指を立てる。




◇◇◇◇◇





 朝食の後、片付けをさっさと終わらせ、運転席にはシノブが座り、助手席には、夜通し助手席で地図を見ていたニールさんの代わりにぐっすり寝たであろうソフィーが座る。俺と時田さんは、みんなに強引にトラックの荷台で休むように言われ今はトラックの荷台で、休んでいる。


(俺は疲れてないのに……)


と思っていたが……トラックの荷台で揺られること1時間弱。


 いつの間にやら俺がトラックの荷台でウトウトしかけてた時、急にトラックが停車した。


”キーーーーーーー!!”


 俺は何が”あったのか!”と思い、ゲキと共に飛び出して、トラックの運転席の方に駆け寄る。


 辺りは進行方向の右側が草原で、左側が木々に囲まれた深い森のような所。


 運転席の方に俺達が駆け寄ると……


 6~7mくらいだろうか……大きな木がトラックの前に枝を広げて2本立ちふさがっていた。


「どうした!シノブ。」


と俺が運転席のシノブに声を掛けると、


「いや、走っていたら急にこの木が前に出て来たんだよ!」


と運転席の窓を開け言うシノブ。


「急に木がでてくるわけないでしょ!」


 いつの間にか俺の側までやってきたミオンが、シノブに言う。


「本当だよMissシラトリ。」


 その時、俺達のトラックに立ちふさがる木々の枝が”カサカサ”左右に揺れる。


 俺達は”ハッ”として、恐る恐る木々を見上げると……木々には人のような顔があった。


「「「「えっ!」」」」


と俺達が驚き。


「顔が……ある」


とポツリとミオンが言った。


 その言葉に俺とシノブとゲキが頷く。


 何やら口のような部分が動き……しゃべっているようだが、

俺達には聞こえない。


 そこへ、ニールさんがトラックの荷台から降りてきて、俺達の方に近付き、


「どうしました」


と声を掛けて来た。


 俺達はニールさんの方に振り向き、木を指さして、


「「「「顔が……顔が」」」」


と繰り返す。


その様子を不思議そうに思ったのか首を傾げながら、俺達が指さす方を見て……


「あっ!トレントですね」


と言う。


 俺達はニールさんのその言葉を聞いて、


「「「「トレント~?」」」」


と声をそろえて言う俺達。


「トレントはこの森……ひいてはアルブ王国を守っている森の精霊ですよ。」


とにこやかに言うニールさん。


「森の精霊……モンスターじゃなく!?」


と聞くミオンにニールさんは、笑いながら、


「トレントは実態のある精霊です。何百本に1本か2本。すごく魔力の強い木が意志を持ち、トレントになるのです。危険はありません。むしろ、魔物から森の動物や人間を守護してくれるのですよ。」


「へぇ~」


と感心するミオン。


「でも、何で私たちの前に立ちふさがるのかしら?」


とニールさんに聞くミオン。


「何か理由があるのでしょう、私が聞いてみます。」


とニッコリ笑ってミオンに言うとニールさんは、トレントの方に向き何やら話しかけた……ようだ。


 俺達には全く会話が聞こえない……


 しばらくして、ニールさんは会話が終わったのか、俺達の方を向いて、


「困りましたねぇ……」


と俺達に言う。


「困ったとは……どう言うことだ、Mr.ラーキン」


とシノブが尋ねると、少し考えて、


「いやね、トレントが言うには、私たちが乗っている……トラックのブレスが森の木々に有毒なので、森には入るな!……と言ってるんですよ。」


それを聞いて俺達は、


「「「「ブレス……」」」」


と4人でハモる。


「ブレス……あっ!ひょっとして排気ガスか!」


 俺は、ブレスと言う言葉を少し考えてニールさんに言った。


 ニールさんは俺に頷きながら、


「たぶん……」


 そのニールさんの言葉に俺は少し考えて、こう言った。


「なら、トラックのエンジンを切れシノブ。俺が引っ張るから」


その俺の言葉を聞いてシノブが首を傾げ、


「引っ張る?……ってどういう意味だMr.オオワシ。」


と聞いてくる。


 そこで俺は……GUY BRAVEに変身して、Unicornを呼び出し、あの恥ずかしいセリフを言う。


「聖獣合体だ!こいUnicorn!」


とUnicornに言うと、


≪Charge up Kentauros≫


 頭の中のカーソルを選択する。


 ここからは、いつもの合体シークエンスとなる。


「なるほど……」


と笑顔で言うシノブ。


 俺がKentaurosの姿になったのを見たトレント達が、何故か驚き、そして、なんだか懐かしそうな顔をする。(俺主観だけど)


 俺は不思議に思ってニールさんに尋ねると、ニールさん曰く、昔、千年くらい前、まだ、ニールさん達エルフ族がこの森に来る前、今は滅んだケンタウロス族がこの森に住んでいたのだとか……


(ってことはこのトレントいったい幾つなんだ…… まぁ、精霊に年は

関係ないか。)


と1人心で納得する俺。




◇◇◇◇◇





 俺は、体にロープを巻き付けトラックを引っ張る。


 トラックの助手席には、ソフィーと交代したニールさんが座る。


 俺達の前にはあのトレント……器用に根っこで歩いている。


 しばらく進むと、トレント達の足がピタリと止まる。


 どうやら、ここがアルブ王国への入口になるのかな?……どこにも、入り口らしきものも道らしきものも、見当たらない。あるのは鬱蒼と生い茂る木、木、木……その間をトラックでは、どう考えても通れない間隔で木が生い茂ってる。


(いったい……どうしろと言うのだ。)


 そう思っていると、トラックの助手席から、ニールさんが降りてきて、トレントとあいさつを交わし……(そう俺には見えた)トレント達は手を振って……って枝だけど、去って行った。


(トレントはここまで……ってことか)


 そう思っていると、ニールさんは生い茂る木々の方に向き、そのうちの1本の木の前まで進み、顔を近づけた。 すると、ニールさんが顔を近づけた木に、突然モアイのような顔が現れ目が赤く光った。


「おー!」


 俺が驚いていると、ニールさんは、


「ニール・ラーキン。現在の所属はイーシャイナ王国魔法省顧問。」


 木の顔の部分に話しかかると、赤く光った目が緑色の光に代わると、俺達の前の木々が突然左右に分かれ、幅6~8m位だろうか、普通の住宅街にある所謂6m道路よりは、少し広めと言う感じで、土をしっかり固められた道。


 あっけに取られて見ていた俺の横に運転席から降りて来たシノブが、


「”モーゼ”って感じではないか。」


と言ってきたので俺は、


「そーだな、すごいな。」


 俺はそう言いながら、ニールさんとシノブがトラックに乗るのを確認すると、再びトラックを引きながら歩きだした。



 後で、ニールさんに聞いたら、これは”幻影”魔法の一種だそうだ。


 木が動いたのではなく、元々木はなく、魔術で木の幻影を作り出し、道をカモフラージュしていたってことだ。


(魔法ってすごいよな……)


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