206話 「お仕置だべぇ~」by電龍
------第三者視点--- ☆
「お仕置だべぇ~」
「「「「「「「「ひぇ――――――!」」」」」」」」
電龍の言葉に悲鳴を上げるナセル達マジュドの面々を、電龍は次々に吸い込んだ。
”スー――”
”シュポ”
”シュポ”
”シュポ・シュポ・シュポ”
”シュポ・シュポ”
”シュポ”
ナセル達マジュドの面々を吸い込み、少しお腹を揺すってから、今度は吐き出し
た。
”ッペ”
”ッペ・ペッ・ペッ・ペッ・ッペ”
”ペッ・ッペ”
銃を持ったまま、吸い込まれたマジュドの面々だったが、電龍に吐き出された時は
……。
銃どころか、衣服も剥ぎ取られ”素っ裸”の状態だった。
「「「「「「「「ひぇ――――――!」」」」」」」」
◇◇◇◇◇
テクニカル(ピックアップトラックの荷台に武器を積んだ車両)との戦闘を見て
、歩兵達は乗って来たトラックを捨て、左右に展開し、銃を構えて匍匐前進しながら、こちらに迫って来た。
それを見たクレアさんが、すかさず、
「ファイヤーウォール!」
俺達と、迫る歩兵の間に炎の壁を作り出した。
「「「「「「「「「「うわぁっ~!!!!!」」」」」」」」」」
驚くマジュドの歩兵達。
クレアさんが作り出した炎の壁に、マジュドの歩兵達の進軍が一瞬止まった隙
を見て、1本の矢が炎の壁を越え、山なりに飛んだ。
”ピユー”
そして、地面に伏せているマジュドの歩兵達の頭上おも超えようとした時だ
った。
”チリン・チリ~ン”
と鈴の音が鳴る。
鈴の音を聞いたマジュドの歩兵達は次々に深い眠りに就くのだった。
◇◇◇◇◇
------第三者視点--- ☆
"キュルキュルキュル”
4両の戦車が、縦に1列になってアジト(刑務所ジャンナ)の正門から出て来た。
ロシア製(旧ソビエト製)T-72B3ロシアでは、「ウラル」と呼ばれる戦車。
1番先頭の戦車のキューポラ(車長展望塔)から、カリール(マジュドのリーダ
ー)は、顔を出し、双眼鏡であたりを見回している。
「ん!?なんだあれは……」
前方右斜め(カリールの位置から)約1kmにある、4つの黒煙の側にそびえ
る大きな白いコブラを見て、カリールは絶句した。
(ありえんな……)
と心で呟いたカリールは、しばし呆然と双眼鏡で、その大きな白いコブラを見て
いたが……。
(Magic(手品)……なら種があるハズ)
そう心で思い、すぐさま戦車の中に入ると、無線で他の戦車に向け命令を下す。
「全車、あの白いコブラを撃て!」
"キュルキュルキュル”
”ウイ~ン”
カリールの乗る戦車に、他の戦車が横に1列に並ぶと、一斉に電龍が居る方向へ
砲を向ける。
\\\"ドキュ~ン"///
4台の戦車(T-72B3)は一斉に125 mm滑腔砲を放った。
\\\"ドッカ~ン"///
4台の戦車が放つ125 mm滑腔砲は見事命中し、その衝撃に電龍が倒れた。
「やったか!」
思わず声を上げるカリール。
”ピー”
”ガタン”
しかし、その時大きな振動で車内が揺れた。
「「わぁ~」」
操縦士と砲撃手が驚き声を上げる。
「ん!?……何だ」
揺れを感じカリールも身構える。
”シュパン”
”ドン”
そこに新たな衝撃を感じた。
「なぁ……なんだなんだ」
狼狽えるカリールに操縦士が言った。
「ボス!右の履帯と主砲がやられた!」
「ん!?なんだと!」
そう言ってカリールは、運転席にあるわずかな覗き穴から外を見ると……。
「っん!……あっ!あいつか!」
そこから見えたのはセイア(GUY BRAVA)の姿だった。
「野郎ぅ~!」
そう呟いたカリールは、砲塔を動かし、内蔵されている7.62 mm機関銃PK
Tを、セイア(GUY BRAVA)目掛けてぶっ放す。
”バリバリバリ”
それに追随して、他の戦車も7.62 mm機関銃PKTで、セイアを狙い撃ち
放つ。
が……。
挙句、右に左にちょこまかと動き回るセイア(GUY BRAVA)に、砲塔の
動きがついて行けず、7.62 mm機関銃がお互いに当たってしまう。
”バリバリバリ”
”カンカンカンカン”
「ええっい!ちょこまかとこざかしい」
イラつくカリール。
そんなマジュドの戦車隊をあざ笑うかのように、セイア(GUY BRAVA)
は、右腕のプログレッシブ ブレードで残る3両の戦車の主砲を次々に切り落と
して行く。
”シュパン”
”シュパン”
”シュパン”
その上、上空からフェニックスがレーザーで戦車の履帯を次々に焼き切り、切
り離して行く。
”ピー”
”ガタン”
”ピー”
”ガタン”
”ピー”
”ガタン”
さらに、更に……。
先程、4台の戦車が一斉に放った125 mm滑腔砲浴び、倒れていたはずの
電龍が、カリール達の戦車隊の前に立ちはだかり言う。
「お前ら!~いきなり痛いじゃないか!」
目の前の白い大きなコブラの言葉に、カリール達は固まった。
「……コ・コブラがしゃ……べった!?」
「これはもう、最大級のお仕置きをしちゃうからねぇ~!」
そう電龍が言い放つと、セイア(GUY BRAVA)に目配せをした。
それに黙って頷き、セイア(GUY BRAVA)とフェニックスは、戦車
隊から少し距離を取った。
それを確認した電龍は不敵な笑みを浮かべ全身から放電した。
\\\"ビリビリビリ~"///
一頻り放電をした電龍が1言いう。
「一応、死なない程度には手加減しといてやったから」
◇◇◇◇◇
俺達から戦闘終了の無線を聞いて、ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)で、
ヴァンスさんを初め、α(アルファ)チームの3人とニールさんが駆けつける。
ここで、アイーシャさんとニールさんで怪我人の手当てをする。
「キュア」
「キュア」
ニールさんとアイーシャさんの治療魔法で、どんどん傷が治って行くのを、
目の当たりにしたマジュドの兵達は、目を大きく見開き、信じられないって
感じで、傷口を摩る者さえいた。
その間に、ヴァンスさんを初め、α(アルファ)チームのディノッゾさんマク
ギーさん3人は先に、奴らのアジト(刑務所ジャンナ)向かい、残存兵が居ないか
チェックに行っている。
しばらくして、奴らのアジト(刑務所ジャンナ)行ったα(アルファ)チームか
ら、「OK」の無線が入り、それを聞いた俺とミオンは、マジュドの兵達を彼らが
元居たアジト(刑務所ジャンナ)へと返し、地下4階の牢屋へと収監し、ついでにト
レーラーで待機中のα(アルファ)チームのサポートチーム6人を簡易転移装置で
転移させた。
ここで一旦α(アルファ)チームとはお別れ。
彼らは国連軍に、彼ら(マジュド)達を引き渡すまで、ここに留まり監視するそうだ。
すでに、俺達の乗って来たトレーラーは、この国の首都に出発している。
人質達のケアーもあるが、瀕死の重傷のマクギャレット(シノブの父)の治療を
急ぐためだ。
ブレイブロボをマジックボックス中に収納し、俺達6人はミオン達が乗って来た
ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)で、トレーラーが、向かったこの国の首都に
ある”カウンティー総合病院”を目指す。
途中、トレーラーを隠していた岩場により簡易転移装置の片方を回収して……。
◇◇◇◇◇
------某国首都 カウンティー総合病院--- ☆
「お父さんの容体は?」
カウンティー総合病院ICUのベットに、沢山のチューブに繋がれ、横たわるマ
クギャレットさん(シノブの父)の側の椅子に腰かけ、うな垂れているシノブに
俺は声を掛けた。
「……」
シノブは黙って何も言わない。
そんなシノブの横に立つ、時田さんが代わりに答えてくれた。
「主治医のコバッチュ先生のお話よりますと、肋骨3本が折れ、その折れた肋骨の
うちの1本が、脾臓とその周りの血管を傷つけておりまして……」
「えっ!」
時田さんの言葉に俺は驚き声が詰まる。
「緊急手術をしていただいて、損傷した脾臓を摘出し、その周りの損傷した血
管の修復をしていただいたので、直ちに命の危険はないのですが……」
その言葉を聞いて俺は”ほっ”と胸を撫で下ろすが……。
横に居たミオンが時田さんに尋ねる。
「命の危険はないけど……どうなんですか?」
「あっ、はい、激しい運動は出来なくなります……」
「ん!?激しい運動しなければ大丈夫なんでしょ」
と聞き返すミオンに、さっきまで黙っていたシノブが口を開く。
「YES…… but免疫力も落ちるから、今の仕事は出来なくなる」
「はい、事実上の引退ですな」
シノブの言葉を時田さんが補足する。
「えっ、」
「あら」
俺とミオンがシノブと時田さんの話を聞き呟いた。
「僕はそんなDaddyを見るのは耐えられない……っ何よりそんな自分にDad
dyは耐えられないと思う」
涙目で俺とミオンに訴えるシノブ。
そんなシノブの背中を、時田さんはやさしく”ポン””ポン”と叩いていた。
その時、俺とミオンの後ろに居たニールさんが言う。
「私がお手伝いさせていただいても?」
「「「「えっ」」」」
その言葉に俺とミオンだけでなく、シノブと時田さんも驚き声を上げる。
「Magic(魔法)……で?」
シノブがニールさんにそう尋ねると、ニールさんが、
「簡単に……とは参りませんが……たぶんできると思います」
「That’s incredible!?(本当かい!?)」
とニールさんの言葉に大喜びのシノブだった。
(良かったねシノブ……それにしても魔法って便利)
劇中、出て来る病院名並びに主治医の名前は
アメリカのテレビドラマERからです。




