203話 It’s a magic
爆弾を外し終えた6、7歳くらいの女の子3人を、ソフィーと、アシーシャさん
にローゼが抱っこし、簡易転移装置に順番に立ってトレーラーの所へ順次転移して
行く。
「えっ!あっ」
同じく爆弾を外された、20代くらいの女性6人のうち、一番の巨乳の人をいきな
りお姫様抱っこし、驚く女の人に笑顔で、
「この方が向こうに安全に行けますよ」
って言いながらウインクするディノッゾさん。
ディノッゾさんはその女性を抱えたまま簡易転移装置の上に載る。
忽ち、光に包まれ消えて行った。
(流石……と言うか、やはりと言うか、イタリアだね、ディノッゾさん)
「さぁ、ここの円に載ってください」
と真面目に誘導するゲキ。
(ディノッゾさんとは対象的だよな……)
と思う俺。
ゲキに優しく誘導されるも怖がる女性に
「Don’t worry(大丈夫)♪」
と親指を立て笑顔でウインクするシノブ。
こうして、ジョー叔父さん以外の人質は皆無事に、簡易転移装置で、ここから
15km離れたトレーラーに避難したのだった。
◇◇◇◇◇
≪もういいよ♪シュイにご苦労さんと伝えて≫
俺が念話で向こうに着いただろうソフィーに言うと、空中に浮かぶ25cmの水
の龍(青龍)は、元の水の塊へと戻り、床に”ベチャ”と落ちた。
例えわずか25cmの水の龍(青龍)と言えど、遠距離で長時間維持するには、
相当魔力を使っただろうから。
「よし、外れた」
ジョー叔父さんの体から爆弾を外し、マクギーさんが言う。
「ふぅ~生きた心地がしなかったぜ」
「ありがとうよマクギー」
そう言いながら、首を左右に振るジョー叔父さん。
「セイア!行こうか」
簡易転移装置の近くまで歩き、振り返りざま、俺に言うジョー叔父さんに、俺は
首を振り、
「いや、シノブのお父さんを助けに行かないといけないから、叔父さんは先に行
ってて」
と言うと、
「オイオイ何を言ってんだセイア」
「日本の普通の高校生が……、しかも武器も持たずにか?」
「武器ならあるよ叔父さん」
と言いながら、俺はニヤリと笑い変身する。
「 チェインジング!(Changing)」
の掛け声と共に俺の体が光だし、やがて現れた俺の姿(GUY BRAVA)を見て
叔父さんは目を向きながら言う。
「なんじゃ!それは」
驚く叔父さんに俺は、
「GUY BRAVAだよ」
と平然と答える。
「ガ・ガイなんだって!?」
と声が裏返る叔父さんに、再び
「ガイブレイブだよ叔父さん」
と答える俺。
「だから、それは何だって言うんだ」
と再び声が裏返りながら聞く叔父さんに
「地球を守るHeroだよ、Mr.オオワシ」
とシノブが横から笑顔で答える。
「な・何言ってんのお前ら……これは夢だ夢に違いない!」
と更に狼狽える叔父さんに、マクギーさんが言う。
「夢じゃありませんよ、ジョーさん」
「んっ、夢じゃないってマクギー……」
「どう考えてもおかしいだろ、ガキのテレビ番組じゃあるまいし……」
「これは何かのどっきりか!?」
と狼狽えるジョー叔父さんに、ツカツカと近づき、”バシッ”と張りてを一発ぶち
かますジョブさん。
「痛って~なにすんだ、お前ぇ~!!」
大声で喚き散らすジョー叔父さんに、
「痛いんだから夢じゃないでしょ」
と言い返すジョブさんに
「テメー、ぶっ殺すぞ!」
と更に喚き散らす、ジョー叔父さん。
その叔父さんに、ヤレヤレって感じでマクギーさんとジョブさんが近づき、叔父
さんの脇を左右からがっちり固め、そのまま引きずるように、簡易転移装置に載り
消えて行った。
(やれやれ)
◇◇◇◇◇
大騒ぎのジョー叔父さんにマクギーさんとジョブさんの3人と入れ替わりに、
先程、6、7歳くらいの女の子3人を連れて行ったアシーシャさんにローゼが
が戻って来た。
ソフィーは足手まといと言うより、15km離れた岩場に隠してあるとは言え、
万が一敵のパトロール部隊に見つからないとは限らないので、その万が一敵に見
つかった場合、トレーラーを守るため(防御障壁を張ってもらうため)ソフィー
は、トレーラーの方に残ってもらったんだ。
(ソフィーとは念話で常に繋がってるしね)
そうそう、ちょっと前から俺は変身しなくてもソフィーといつでも念話出来る
ようになっていたんだ。
(何でだかは……わかんない)
シノブは、マジックボックス小に手持ちのライフルを入れ、腰のガナメントを
抜き構えて言う。
「では、行こうかMr.オオワシ」
俺はその言葉に黙って頷き、透明マントを羽織る。
その間にアイーシャさんが、マジックボックス小を背中に担ぎ、影魔法を使って
、シノブの影にゲキとローゼと共に隠れた。
◇◇◇◇◇
俺達は地下3階へと向かう。
途中、運良く敵兵には見つからなかったようだ。
一応、敵兵が居た場合を想定して、シノブの影から頭を出していたアイーシャ
さん。
もし、出くわしたら、痺れ薬を塗った吹き矢で仕留めるためなんだ。
ただ、シノブの影から頭だけ出しているアイーシャさんの姿を見て俺は思うん
だ。
(これ見た敵兵は、まず、これに驚くだろうな)
”ドスン”
”ぐっ!はぁっ!”
「なかなかいいパンチだ!」
「野郎~!」
”バシ”
「っく!……今のは、かゆいくらいだな」
「なら、これならどうだ」
”バチバチバチ”
”ビリビリビリ~”
高圧の電流を流したようだ。
「ぐっ!はぁっ!」
「これは、だいぶ応えたようだな……マクギャレット!」
人の話し声が聞こえる。
「Daddy……」
奥歯をかみしめ、必死にはやる心を抑えようとするシノブ。
俺は、そっとシノブの横に行くと彼の腕を、ぎゅっと握る。
「ああ、Mr.オオワシ……わかっているよ」
シノブは見えないまでも、そこに確実にいるであろう俺に対しそう答えた。
◇◇◇◇◇
階段を上がった3階フロアーは通路の右側に壁がなく、隣の室内運動場と繋がっ
ている。
そのため俺達は階段下で身を潜め様子を窺っているんだが……。
通路右側は壁があり、通路中央を右に曲がるとシャワー室や食堂(受刑者用)
があるようだ。
まずは、俺が室内運動場に先行して入る。
続いて、シノブの影から出たローゼが、誕生日にニールさんからもらった『壁登
りのブーツ』を使い階段の壁から歩いて天井に向かいそのまま俺の真上を歩いて行
く。
因みに、『壁登りのブーツ』は、アニメ”キューティーバニー”も使っていた
反重力ブーツ”と同じように、壁や天井を普通に歩けるらし。
ここのフロアーの天井は全て室内運動場と同じ高さに統一されているので、6
mほど高さがある。
ローゼはそのまま俺と共に室内運送場へと入り所定の位置で待機する。
広い室内運動場……と言っても学校の体育館より少し縦長って感じの造りで、天
井には、病院の手術用のライトの大きいのが、何個か吊るされている。
これは外の太陽光を光ファイバーで地下まで届けているそうで、夜は外も暗くな
るので、ここも同じように暗くはなるが、その時は壁にあちらこちらある丸い照明
がブルーに光る仕組みになっているそうだ。
室内運動場のほぼ中央に両手を縛られ、上半身裸で、鎖で天井から吊るされてい
る、身長190cm弱の大男が見えた。
がっしりとしたムキムキの筋肉に、少し天然パーマぽい金髪の姿。
(あれがシノブのお父さんか)
"ピッ”
≪通称 ボス≫
≪名称 ジェームズ・マクギャレット≫
≪年齢≫52歳
≪身長 185cm≫
≪体重 100kg≫
≪戦闘力 60,000≫
≪防御力 10,000≫
≪スピード 600≫
≪状態 ☆【赤】瀕死≫
≪特技 伝説のソルジャー≫
頭に浮かんだデーターを見て俺は思う。
(通常の人間にはあるまじき戦闘力も、あの、がっしりした筋肉を見せられては納
得……って感じだが)
(んっ!、瀕死って出てるよな……強がっていただけか……急がないとやばいかも)
"バッサ~”
マジュド(テロ組織)の兵の1人が、気を失っているシノブのお父さんのマク
ギャレットさんにバケツの水をぶっかけた。
「……」
水を掛けられたマクギャレットさんは目が虚ろで無反応に見える。
「おい、ナセルそれくらいにしとけ」
とリーダーらしき男が言った。
「どうせ殺すんでしょ」
とリーダーらしき男に言い返すナセルと呼ばれた男。
「ああ、だが……仲間の解放と金が振り込まれるまでは待て!」
「けっ、こいつにどれだけ煮え湯を飲まされたか!」
と言いながら、兵士の持つ、先ほど水を掛けたバケツを、思い切り蹴飛ばすナセル。
”ドン”
”カランカランカラン”
「Don’t move!(動くな)」
そこへ、ガバメントを構えたシノブが飛び込んで来た。
一斉に、声がする方に銃を構えるマジュド(テロ組織)の兵達。
「貴様!どうやって入って来た!」
「It’s a magic(魔法さ)」
とナセルの問いにガバメントを構えたまま言うシノブ。
「魔法!?何をふざけたことを言っている」
「ふざけてなんかないさ」
と銃口を向けたまま言うシノブ。
「ん!?お前はあの時の……マクギャレットの息子」
「Yes!(そうだ)」
「ふん、飛んで火に居る何とやらだな」
とニヤケルナセル。
そこへ、リーダーのカリールがシノブに言う。
「坊や、ここに来たのは褒めてやるが……この状況でどうやってパパを助けると言
うんだい」
「……」
お道化て言うリーダーのカリールに無言のシノブ。
しばらくにらみ合いが続いたが……。
「OK!僕の負けだ降参するよ」
と手に持ったガバメントを床に捨て、両手をあげるシノブ。
「ふん、所詮はガキの考えだな」
と言って、シノブに近づきシノブの拳銃を拾い言う。
「父親の前で、しかも自分の銃で殺されるのはどういう気分だろうな」
そして、拾ったシノブの銃をシノブに向け……発砲しようとしたその時だった。
「Maggi~Come here~」
シノブがそう叫ぶと、シノブの銃を構えるナセルの手から”スルスル”と抜け出
し、回転しながらシノブの手に戻って来たガバメント。
「なぁっなに~!」
目を向いてそう叫ぶナセルと、その光景を目の当たりにし同じように驚く マジュ
ド(テロ組織)の兵達。
それを見てシノブはにっこり笑い言った。
「It’s a magic(魔法さ)」
えー何とかもう1話を7月中にUpすることが出来ました(ふぅ~)
この続きがかなり気になると思うので、次話もなるべく早く8月頭に
頑張ってあげたいと思います。




