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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第4章 えっ!こっちでもヒーロー!?(学園編)
203/267

200話 ジャンナ(楽園)




「ピーちゃんって何!?」


 ミオンが俺の肩に留まる”ピーちゃんを見て聞いた。


 その時、突然”ぴーちゃん”が”バサバサ”と少し羽ばたき、鳴き声を上げた。


”カァカッカッカッ”


「うわぁ~!」


その様子に一瞬たじろぐミオン。


「大丈夫だよミオン、お腹が空いているんだろう」


と驚くミオンに言う俺。


 その言葉を聞いて、ソフィーがトレーラーに向かい走り出した。


(気を利かせて、何かピーちゃんの食べのも探しに行ってくれたのかな?)


「で、何なのこの鳥?」


走り出したソフィーを目で追ってから、振り返りざまに聞くミオン。


「ん……これは確か”オオタカ”だったと思う」


「あっ、鷹なのこれ」


俺の返事に素直に納得……。はしてないようで、


「いや、違うでしょ、何でこの鷹がセイアに懐いているのってことよ」


と更に聞いてくるミオン。


「これ、ジョー叔父さん(大鷲譲二)の飼っているペットだよ」


「?セイアの叔父さんって戦場カメラマンでしょ」


「ああ、そうだよ」


「弾が飛び交う戦場を転々とする人が……ペットって普通飼う?!」


「いや、普通は飼わないと思う」


「じゃ、何で!」


「叔父さんの話だと、たまたまもらった鳥の卵を鞄の中に入れっぱなしにしていた

ら、羽化してしまったんだと」


「ん……じゃ、何故セイアに懐いてるの?」


「それはなぁ~……」


って言いかけたら、息を切らしながらソフィーが戻って来た。


「ハァ、ハァ、ハァ申し訳ございません……ハァ、ハァ、これしかなかったです」


と俺に生の骨付き鶏もも肉を差し出すソフィー。


「ああ、うん取りあえずはこれで……ありがとうソフィー」


とお礼を言うと、汗を拭きながらニッコリ笑うソフィー。


 俺は、ソフィーから受け取った、生の骨付き鶏もも肉を左肩に乗る”ピーちゃん

”に差し出すと、”バサバサ”と少し羽ばたき、


”カァカッカッカッ”


と鳴いて、生の骨付き鶏もも肉をついばむ”ピーちゃん”。


「何故”ピーちゃん”ってお名前なんですか?セイア様」


生の骨付き鶏もも肉をついばむ”ピーちゃん”を見ながら、ミオンと反対側に立

つシュイが徐に俺に聞いてきた。


「ああ、それは……叔父さん曰く、生まれてすぐの時、”ピィピィピィ”って鳴い

てたからだってさ」


「ああ、なるほどです」


と納得するシュイ。


「で、何でセイアに懐いてるのよ」


と満を持して、ミオンが聞いてきた。


「ああ、そうだった……」


「それは、去年の夏休み、しばらく休暇でトルコに居るから遊びに来ないかって

、ジョー叔父さんから連絡が来て」


「ああ、そう言えばセイア1週間ほど、叔父さんの所に遊び行くって……」


俺の言葉にミオンが思い出したように言う。


「そうそう、お前にはコーヒー(トルココーヒー)、ゲキにはケスタネ・シェケリ

って、栗のお菓子をお土産に渡しただろう……」


「ああ、何かもらったような気がする」


(お前な……お小遣い叩いて買ったお土産を……気がするって!……)


とミオンの言葉に少しムッとする俺だったが、ミオンに言い返しはしなかった。


「旅費は、ジョー叔父さんが出してくれるって、言ってくれたんだけど、生憎、と

うさんは仕事だったし、かあさんは、外国に行くのを嫌がってね、でも未成年の俺

1人で行かせるのはだめってことで、結局、俺はりゅうじいちゃんに泣きつき一緒

に行ってもらったんだけどね……」


「で!?」


俺の話の続きを、催促するように言うミオン。


「ああ、着いて初めの3日かくらいは色々と案内してくれたんだけど……4日目

にテロ事件が起こって……俺とじいちゃんをほっぽり出して、事件現場に行って

しまって……」


「仕方ないから、りゅうじいちゃんと2人、ジョー叔父さんの住むアパートで、

しばらく暮らしていたんだ……その時”ピーちゃん”の世話を俺がしていたか

ら、覚えていてくれたのかもな」


と、ミオン達に説明している間に、”ピーちゃん”は生の骨付き鶏もも肉を食べ

終わっていた。


 心なしか”ピーちゃん”は満足げに見えた。


 そんな”ピーちゃん”を見て俺は、


「ピーちゃん……ジョー叔父さんの居場所知らないよな……」


って投げかけたら……。


 急に俺の肩の上で”バサバサ”と激しく羽ばたき、”キーキッキッキッ”って鳴

きだしたんだ。


「えっ、分かるの!?ピーちゃん」


という俺の言葉に、キーキッキッキッ”と、激しく鳴く”ピーちゃん”だった。





◇◇◇◇◇






 建物の中に居るシノブを呼び、俺達は一旦トレーラーに戻った。


「これでよし!」


”ピーちゃん”の右足に発信機、左足に超小型カメラとスピーカーを取り付け言う

パーマーさん。


「取りあえず、チェックしますね」


そう言って、手元のモニターで、”ピーちゃん”に取りつけたカメラの映像や手元

のマイクを使て、スピーカーから音が出るか入念にチェックした。


 そこへ、街の別の場所に手がかりを探しに行っていたα(アルファ)チームが

、トレーラーに戻って来た。


「ゲキ君から聞いたが、手がかりがあったらしいな」


と声を少し張り上げ言うヴァンスさん。


「あっ、えー、まぁ」


ヴァンスさんの問いに俺が歯切れ悪い返事をすると、


「違うのか!」


とディノッゾさんが俺を食い入るように眺め言った。


「It’ll be fine.(大丈夫だよ)Mr.ディノッゾ」


とその時俺の傍らに居たシノブが言った。


「Really? (本当か?)」


と聞き直すディノッゾさんに、


「はい、この”ピーちゃん”が案内してくれると思います」


と俺が”ピーちゃん”を指差し言うと、


「No way! (まさか!)」


と聞き直すディノッゾさんに


「たぶん大丈夫だと思います」


と俺は続けて言ったが、まだ半信半疑の様子のディノッゾさん。


 そこで、今までの経緯(”ピーちゃん”がジョー叔父さんのペットだったこと)

を話す。


 話を聞いたとヴァンスさんが、


「かなり、薄いな!」


とぽつりと言うと、


「薄いって言うより、限りなく”0(ゼロ)”ですよチーフ」


とかなり憤慨している様子のディノッゾさん。


 しかし、そんな2人に時田さんはこう言った。


「今はそれしかないんだ、しかたあるまい」


と言うと、ヴァンスさんもディノッゾさんも、渋い顔をして黙ってしまった。


 一瞬、空気がどんよりと淀んだが……。


「大丈夫!Mr.オオワシはデンセツ~のユウシャさまなんだから!」


と声を張り上げニコニコと笑い言うシノブ。


(いや……シノブあんまり無理すんなよ)





◇◇◇◇◇






「発信機作動!」


その言葉を聞いて、俺はトレーラーの外で”ピーちゃん”を放つ。


「頼んだよピーちゃん」


俺の言葉を分かったのか分かってないのか……。


 ”バサバサ”と大きく羽を羽ばたかせ、”キーキッキッキッ”って鳴きながら、

ピーちゃんは大空のかなたへと飛び去るのだった。


 ピーちゃんを見送った俺はすぐさまトレーラーの中に入る。


 トレーラーの中では全員で、”ピーちゃん”に取りつけたカメラからの映像を

食い入るように見ていた。


「パーマーさんどうです」


トレイラーに入るなり俺はパーマーさん声を掛けると、


「ああ、セイア君、今の所順調だよ」


と笑顔で返事を返してくれた。





◇◇◇◇◇





皆で大型モニターにかぶりつくこと約30分……。


 それは、突然見えて来た。


「何だ!?アレは!」


 砂漠のど真ん中に、高さ5mの壁に楕円形に囲まれた建物。


 ヴァンスさんの言葉に、パーマーさんが即座にCIAのデーターバンクにアクセ

スし、”ピーちゃん”の発信機からの信号の位置を入れるものの……。


「該当データーありません」


と即座に返す。


 それを聞いた時田さんが、しばらく画像を眺め、顎に手をやり考え込んだと

思ったら、何かを思いついたのか、急に顔を上げ、パーマーさんに言った。


「パーマー君、”ジャンナ”と入れて見ろ」


「あっハイ、ボス」


即座に入力するパーマーさん。


”ピッ”


「あっ、ありました!」


「こっちのモニターに出してくれ!」


それを聞いて、ヴァンスさんが即座にパーマーさんに言った。


 大型モニターに映しだされたそのデーターは、某国の19××年に建設途中に

放棄された、政治犯を収容するための刑務所のだった。


「某国、政治犯専用刑務所……”ジャンナ”」


のヴァンスさんの言葉に、時田さんは続けて言った。


「”楽園”と言う意味の建設途中で、内乱が起こり廃棄された施設」


時田さんとヴァンスさんは互いに頷きあう。


 その時、別のモニターで”ピーちゃん”に取りつけたカメラの映像を、見てい

たパーマーさんが叫ぶ。


「あっ、ボスこれを!」


と言いながらその映像を再び、皆が見ている大型モニターへつなぐと……。


「あっ、戦車ですチーフ!」


「おっ、こっちには戦闘ヘリもあるぞ!」


とマクギーさんんとディノッゾさんが叫ぶ。


「決まりだな!時田」


「ああ、」


と、笑顔で頷きあう時田さんとヴァンスさん。


 そして、ヴァンスさんは徐に俺を見て言う。


「Jrが言うだけのことはある……流石勇者様ってところだなMr.オオワシ」


と笑顔で言いながら俺の背中を怪我をしていない左手で”バシッ”と叩いた。


「痛っ!」


(痛い……痛いよヴァンスさん、俺は生身の時は普通の高校生なんだから……もう

少し手加減してくださいよ~)


って心で思っていたら、更に笑顔で2~3回、叩いてくるヴァンスさん。


(まぁ、嬉しいんだろうけどね……)



昔、中学生の頃、鷹を飼いたいって思ってたんですが、当時の豆ごはんには

どうやったら飼えるかわからず、ただ、頭の中で妄想していたんです。

そんなころ、いつも学校帰り一緒に帰る仲の女子が居まして……。

って言っても彼女とかでなく、ただ、男女数人で一緒に帰るだけの仲間の

1人の女子にその鷹を飼ってる妄想話をしていたら、いつの間にか

豆ごはんは、鷹を飼っているとその女の子は思い込んでしまい。

実際は飼っていないと分かった瞬間!目を見開き俺に言いました。

「えっ!飼ってないの……なぁんだ」

って言われ、その後、その子には少々軽蔑の眼差しで見られていました。

”いや俺飼ってるとは一言も言って無いんですけど”



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