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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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19話 ミリ飯

 ミオンとソフィーを呼びに行き、みんなの居る所まで戻ってきて、時田さんに言われ各自席に着く。


 俺とミオンが隣同士、そしてニールさんがソフィーと隣同士で同じテーブルにつき、シノブとゲキが隣同士で別のテーブルに座った。時田さんは、立ったままみんなの給仕をしている。


 食事を配り終えた時田さんに俺が、


「時田さんは座らないのですか?」


「私は執事ですので、皆様のお食事が終わってから頂きます。」


とニッコリ笑って言う。


 テーブルに並べられたのは……


所謂、ミリ飯。


要はレトルトパックの食事。


(これなら、お湯につければすぐできる……なるほど。)


と俺は1人納得した。


 今回のは、日本の自衛隊で食べられているものと同じ。とは言え、民間向けに販売されている物なので、厳密にはミリ飯とは言えないかもしれない。


「「「「「いただきます」」」」」


とニールさん以外は手を合わせて言っった。


キョトンとするニールさんに、


「これは、セイア様達の世界での食事の時の儀式らしいですよ。ニール様」


とニールさんに嬉しそうに説明するソフィー。


(いや……これは日本だけなんだが……)


 お弁当についている先割れスプーンで頂く。


「う~ん、お汁が甘めで、玉ねぎと、牛肉によくからまって食べやすいし、ハンバーグにも味がしみ込んでおいしいね♪」


と言うミオンに俺は頷く。


 すると、ミオンはお汁をスプーンでご飯にかけ混ぜ出した。


 汁をご飯にかけ、ぐちゃぐちゃにして一口頬張ると、


「う~ん……おいすぅい~♪」


 その様子をポカンと見ていたソフィーにミオンが気づき、


「ソフィーも、やってみぃ~、おいしいよ。」


と笑顔でソフィーに言う。


 ミオンに言われソフィーも真似て、ご飯にお汁をかけ、ぐちゃぐちゃに混ぜて一口恐る恐る食べてみる。


「……あぁ!はい、確かにお米に味が付いておいしいです。」


と笑顔で答えるソフィー。


(おい、おい、お姫様になんてお行儀の悪い食べ方教えてんだよ!ミオン!……確かにうまいけど……)


 その時、何を思ったのかミオンがソフィーに尋ねる。


「ねぇねぇ、ソフィーやニールさんって、”ごはん”は食べたことあるの?」


「はい、わたくし達の国ではあまり食べませんが、大陸の東の方の国”カカ帝国”や”ナ国”の方では食べると聞いておりますし、わたくしも何度か食べたことはありますよ。」


と答えるソフィーにニールさんが、


「あと……南の海沿いのデスロ同盟国も確か専用鍋で調理する米料理があったと思いますよ。姫。 」


と言うと、ソフィーも、


「そうですね、確かにありましたね。」


「そうなんだ、異世界でもお米あるんだ」


と何故かご満悦のミオン。


 その時ニールさんが、ポツリと言った。


「このひき肉の食感……どこかで……」


と考え込んでいた。


 どうも、ハンバーグをどこかで食べたことがあるようだが……それを聞いたミオンがニールさんに驚いたように聞く、


「えっ、こっちにハンバーグあるの!?」


「は……ハンバーグと言う名前ではなかったような。」


 ”はた”と思い出したのか、ソフィーがニールさんに言う。


「ニール様……この触感は”フリカデレ”ににてませんか?」


とニールさんに問いかけるとニールさんはソフィーの方を向いて、


「……あっ!確かにそうですね姫。」


と笑顔で言うニールさん。


「へー結構同じものあるんだね、こっちにも」


と言うミオンに、給仕をしている時田さんがニッコリ笑って、


「人の営みとは、案外似てるのかもしれませんね」


と声を掛けた。


 俺達がそんな会話をしながら食べていると……


「時田、おかわり!」


とシノブが大きい声で時田さんに言った。


 その横で、ゲキが、


「俺も……おかわりをいただきたいのですが……」


 遠慮がちに言うゲキにシノブがゲキの肩を組んで来て、


「Mr.シモトウゲ!戦士が遠慮してはいけないよ。」


と明るく言うシノブに


「おお、そうか……」


と言葉を返すゲキ。


 そのやり取りを微笑ましく見つめながら、


「はい、少々お待ち下さい。」


と頭を下げておかわりの用意をする時田さん。


ゲキとシノブは、俺が知らないうちに仲良くなったみたいだ。




◇◇◇◇◇





 食事が終わり、食後のティータイム。ニールさんと、ソフィーには紅茶を、それ以外はコーヒーを時田さんが配り、お茶、コーヒー等を飲みながらこれからの話をする。


 今のペースで移動すると、ここで一晩野営して、朝からアルブ国を目指しても、その日の夜には到着出来る距離ではあるそうだが……


「本来、ここら辺りもそうですが、セイア殿と姫がゴブリンやワームに襲われた所も、魔物の出現は気薄な場所のはずですが……ましてや、あそこにゴブリンやワームが出現したとの報告はなかったですし……」


と言うニールさんに、時田さんが、


「オブリヴィオン……でしたか、魔王軍の侵攻が影響してるのでは?」


とニールさんに聞く。


「はい、今この世界のでは各地で魔王軍……オブリオンと戦争状態ですから、それを嫌って魔物達が移動し、本来、出現しない場所に出没してるとも考えられますが……それだけではないのかもしれません。」


のニールさんの答えに、


「今までの常識が通用しなくなってる……て事ですな。」


と言う時田さん。


「なら、このまま夜通し走って先に着いた方が安全なのでは?野営するにしても、魔物が出るかもしれない状況では、交代で見張りをしなければならない……僕達は良いだろうが、Lady達の神経が持たないと思うよ。」


と言うシノブにゲキも、


「女性陣だけではないだろう、もともと平和な国に暮らしていた俺達は、あまり長く緊張状態が続くとそれだけで体が参ってしまうと俺は思う。」


と同調する。


「しかし……この世界では、夜活動する魔物にはあまり強い魔物は少ないとは言え、この暗がりを進むと言うのは……危険だはないかと」


とニールさんが反対すると、


「トラックには、ライトがあるから暗がりは問題ないんじゃない?」


とミオンが口を挟む。


そこに時田さんが、


「確かに、白鳥様がおっしゃるようにヘッドライトを点灯して走りますが、街中と違い街灯すらない、真っ暗な暗闇を進むのは少々危険かもしれませんよ。」


と言った。


「それなら、俺がKentauros形態で先行して前を走ればいいんじゃないかな?GUY BRAVEの暗視モードがあるから……」


と俺が口を挟むと、


「It’s great!」


と満面も笑みでシノブが言う。


「確かにセイア様と夜中じゅう馬車で移動しました♪」


と言うソフィーの言葉にニールさんが、


「えっ!それ本当ですかセイア殿!」


と驚いたように言うので、


「あっ、まぁ、はい……」


と恐縮気味に言う俺。


(そんなに驚かなくても……)




◇◇◇◇◇





 結局、夜のうちにこの地帯を走り抜け、アルブ王国を目指すことになった。


 俺はGUY BRAVEに変身して、Unicornを呼び出し、合体して、Kentauros形態となり、ニールさんが持っていた地図をスキャン。


 俺も驚いたのだが、シノブ曰く、そう言う機能がGUY BRAVEにあるそうだ。

 ただ、GPSが使えないので、現在位置を登録して地図の方角をアバウトに移動するため、時折、停車してニールさんに場所を確認してもらいながらってことなので、少し移動速度は落ちるが、明日の午前中にはアルブ王国に着くであろうと言うことだった。




◇◇◇◇◇





 俺の視界を暗視モードにして、干上がった川底を時速40kmで進むこと約3時間……道なき道を行くのでこれくらいのスピードが限界かな?そろそろニールさんが言っていた分岐点のはず……


 そこで、俺は足を止めた。


 前を行く俺が止まったので、俺の後ろを走るトラックも停車した。


 俺は停車したトラックに近寄り、助手席に座ってるニールさんに声をかけ、場所を確認してもらい、ニールさんの指示を受け、再び走りだし、ニールさんの指示するように進行方向を右に折れ、干上がった川底を離れ、草原に所々生えた木々が生える場所をひたすら走ること3時間。まだ先はあるが、休憩の為一旦停車する。


 ミオンやソフィーには移動中寝ているように言ったが、揺れるトラックの荷台では、あまり寝れていないようだった。


 停車して直ぐに警戒の為、シノブとゲキがトラックの荷台から降りてきて、トラックの前方をシノブが、後方をゲキが警戒する。


「ふっ、う~ん……ふぁあ~」


 伸びをし、手を口に当てながらあくびをするミオンが、トラックの荷台から降りて来る。


「あまり寝れてないようだな。」


と俺がミオンに声を掛けた。


「まぁね、でも横になるだけでも、少しは楽よ。セイアはどう?大丈夫?」


と聞いて来たので、俺は、


「ああ、この姿の時は疲れないよ。」


と言うと、ミオンは、


「へぇ~便利ねその体。」


と少し笑みを浮かべながら言う。


「ところで、ソフィーは?」


とミオンに聞く。


「ああ、うふっ……ぐっすり寝てるわよ。」


と噴き出しそうになりながら、言う。


「どうした、何かおかしいことでもあったのか?」


笑いそうになってるミオンに聞くと、


「あぁ、いやね、結構激しく揺れるトラックの中なのにぐっすり寝てるし

……それに……」


「それに……なんだ。」


とミオンに聞き返す俺。


 ミオンは笑いをこらえ一拍置いてから、


「っ……いやね、寝顔がめっちゃ、かわいいの~」


と言いながら噴き出すミオン。そして笑い終わった後に、こう俺に付足す。


「セイアが惚れるのもわかる気がす~る。 エヘ。」


と俺の顔(顔と言ってもGUY BRAVEだが……)を覗きこむミオン。


 俺はミオンに顔を覗きこまれ、顔を真っ赤に……と言っても実際は赤くないと思うが……


「なっなんだよ……俺の顔ジロジロ見るな!」


とドギマギしながら、ミオンに言う俺を見て、


「へへへ、顔赤いよセイア~」


と笑いながら言うミオン。


「そんなわけ、あるか!!」


と怒りながらも、自分の顔を手で押さえミオンに抗議する。


「へへっ、セイア……ほんとわかりやすいよねぇ。」


(くっそ、あいつわかってて、からかいやがる。)


 俺は少々不貞腐れ、ミオンから離れた。




◇◇◇◇◇





 ミオンに思いっきり、からかわれた休憩も終わり、再び移動を開始。俺を先頭に移動すること4時間くらい。


 途中、夜行性の魔物のキーラーラットの集団が俺達の前に現れたが、俺の後ろを走るトラックのライトの光を恐れたのか、はたまた、トラックのエンジン音と言うか、走行音に驚いたらしく、慌てて逃げて行った。


 後でニールさんに聞いたら、キラーラットと言う魔物は、クマネズミが突然変異したものらしく、体長は1.2m~1.45mくらいで、ちょうど俺らの世界のカピパラをまだ一回りくらい大きくした感じだ。


 獰猛で、他の動物や人間や家畜を集団で襲うらしい。


 普段は、山や森の洞窟などに住み。夜、集団で森や山の動物を襲うが、たまに餌がなくなると人里に下りて人や家畜を襲う。まれに、体内に毒や細菌に侵された個体があり、噛まれた人や動物は毒や細菌に侵されることがあるらしいが……ちなみにキラーラット自体は毒、細菌に耐性があるらしい。


 この辺は、人里もないので、追いかけてまで駆除することはしなくていいと、ニールさんに言われたので、そのまま放置して先を急いだ。





◇◇◇◇◇






 そろそろ、日が昇ろうとしているのだあろう、漆黒の夜空が東の方から白々として来た。


 時刻はAm5:30……もちろん俺の頭に浮かぶ時刻。俺は自分の視界を暗視モードから、通常モードに切り替える。


 初め、干上がった川底から侵入した時は、草原にポツポツしか木が生えていなかった風景から、次第に木の割合が増えてきて、進行方向の遥か先に大きな針葉樹っぽい木が生い茂る大きな森が見えてきた。


 どうやら、あそこに見える大きな森がアルブ王国のようだ。


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