193話 え!見たの……ソフィー、シュイ
自分達の周りのサハギン(半魚人)達を一掃したゲキとクレアさん。
「クレア!」
そう言いながら騎乗からクレアさんに手を差し伸べるゲキ。
「あっ、はいw」
剣を鞘に納め、騎乗のゲキの手を掴み、Unicorn(俺)のゲキの後ろに乗
りこんだクレアさん。
それを確認したゲキは、一目散にUnicorn(俺)を走らせ、ミオン同様
ニールさんの元へと向かうのだった。
◇◇◇◇◇
「後は私と姫で」
ニールさんとソフィーに合流したミオンとロボに、ニールさんが声を掛けた。
「はい、ちょっと休憩させてもらいます」
そう言って、ミオンはシュイのいる竪穴式住居へと入って行った。
”パカパ、パカパ、パカパ”
ミオンに続いて、Unicorn(俺)に乗ったゲキとクレアさんが来る。
「ゲキ殿、クレア、後ろで少し休んでいてください」
笑顔で言うニールさんに
「あっはい」
「かたじけない」
Unicorn(俺)から降りた、ゲキとクレアさんが頭を下げ、そう言うとニ
ールさんとソフィーの居る後方のロボの隣に、Unicorn(俺)を連れて行
き、ミオン同様に竪穴式住居へと入って行った。
「姫、来ましたよ」
ゲキとクレアさんが、竪穴式住居に入るのを確認し、振り返ったニールさんがソフ
ィーに言った。
「はい!」
ソフィーはそうニールさんに返すと、持っているスティックをぎゅっと握った。
しばらくして、サハギン(半魚人)の群れが、迫って来た。
それを見てソフィーは、サハギン(半魚人)の群れの手前の地面にスティックを
向け、茶色いボタンを押した。
すると突然、サハギン(半魚人)の群れの足元に大きな穴が現れ、そのままサハ
ギン(半魚人)達は穴に落ちて行く。
”ドサドサドサ”
すかさずニールさんが、その穴に万年筆ぐらいのカプセルを放り投げると同時
に叫んだ。
「エクスプロージョン!」
その瞬間カプセルが爆発し、穴の中に居たサハギン(半魚人)達は爆死した。
穴からは、もうもうと黒い煙が立ち上る。
「第一波は倒しましたね姫w」
「はいw」
と笑顔で笑い合うのだった。
◇◇◇◇◇
「あらかたすんだのう~」
周りに居るすべてのサハギン(半魚人)を倒し、海岸の方を見て、自分達の方には
上陸しないのを確認した、櫻ばーちゃんはエドナさんにそう言った。
「はい」
「ちょっくらここで、一休みするか」
と言いながら、手近にあった切株を見つけ、座ろうとする櫻ばーちゃん。
「あいててててっ」
切株に座ろうとして、櫻ばーちゃんは腰を抑えた。
「大丈夫ですぅ~師範」
心配そうに聞くエドナさんに、櫻ばーちゃんは、手招きをして言った。
「すまんが、腰をさすっとくれ」
「えっ、クスッ……はいw」
笑いをこらえ櫻ばーちゃんの腰を摩るエドナさんに、
「お前さんもいずれこうなるじゃぞ」
と悪態をつく櫻ばーちゃん。
その時2人の耳に轟音が鳴り響き。
”ドッカーン”
「あれぇ~なんでしょうか……あのキノコ雲~」
「ん?……あの小僧が倒した……いや、違うな……邪気が消えとらん」
「では……」
と櫻ばーちゃんの言葉に不安げに言うエドナさん。
「いや、大丈夫じゃ、まだ、小僧の気も残っとる」
と言う櫻ばーちゃんの言葉に、
「ほっ」
と胸を撫で下ろすエドナさんだった。
◇◇◇◇◇
「「「ふ~」」」
と息を吐き、サハギン(半魚人)達を全て倒したシノブ達は、地面に腰掛けてい
た。
徐に、シノブが背負っていたマジックボックス小を置き、中から飲み物を3つ
出し、
「はい、Missアイーシャは僕と同じコーラで良いかい?」
「はい、ありがとにゃんです」
シノブに差し出された良く冷えたコーラを受取り、お礼を言うアイーシャさん。
「Missゾメルには、これを」
シノブがローゼに飲み物を手渡し、それを受取ったローゼが渡された飲み物の瓶を
見て言う。
「ん?……これて……」
「Yes、BierだよMissゾメル」
と笑顔でローゼに答えるシノブ。
「でも……」
とローゼが言いかけたのを笑顔で遮り、
「いいんじゃないか、一仕事終えたんだし、それにここは僕達の世界じゃないんだし」
その言葉を聞いてローゼは笑顔で
「シノブ……あんがと」
そう言うとビールを”ゴクゴク”と一気に飲んで、
「プハァ~w」
と一息ついた時だった。
ローゼ達の耳に轟音が轟いた。
「何っ!」
「にゃにゃ!?」
驚くローゼとアイーシャさんにシノブは落ち着き払って言った。
「恐らくMr.オオワシが、オロチーを倒したんだと思うよw」
と笑顔でシノブは言う。
◇◇◇◇◇
道の真ん中に開いた大穴を避け、大穴の淵を左右に分れ一列になって、攻めて来
たサハギン(半魚人)達を見て、ニールさんは持っていた杖の先を地面に付けると
、短い詠唱の後叫んだ。
「テレモト!」
するとサハギン(半魚人)達が居る地面が急に揺れ出した。
”グラグラグラグラ”
地面が揺れ、細い大穴の淵を進んでいたサハギン(半魚人)達が、バランスを崩
し、次々と大穴に落ちて行く。
それを見てニールさんがソフィーに言う。
「姫今です!」
「はい」
ソフィーは、サハギン(半魚人)達が落ちた大穴にスティックを向け、赤色のボタ
ンを押す。
”ゴ―――――――!”
ステックから物凄い炎が出て、大穴に落ちたサハギン(半魚人)達を焼き尽くす。
大穴から黒い煙と共に魚を焼いた時の匂いが立ち込めて来た。
その匂いに誘われ、シュイが居る竪穴式住居で休息を取っていたゲキが出て来て
言う。
「なんかうまそうな匂いだな」
その時、海の方から轟音が鳴り響いた。
”ドッカーン”
「今のは何ですか!」
と慌てて、竪穴式住居を出て来るクレアさんに、同じ竪穴式住居から顔だけ出した
ミオンが言った。
「セイアがオロチを倒したんじゃなぁ~い?」
◇◇◇◇◇
≪くっそ!≫
(外からの攻撃がダメなら……)
俺はそう考えるが……。
(奴の体内に潜り込みプラズマボールを連発して……でも、あの巨体だ何発撃てば
いいんだろ……)
要は、奴の再生能力を上回る破壊が出来ればいいのだが、そんな方法があるの
かと俺は頭を巡らせて……。
≪ある!≫
そう俺は1人ごちった。
確かにあるにはあるんだけど、それだと俺の体がもつかどうか……。
常識的に考えれば、もたない……だが、ここは魔法と言う常識外の力があり、
俺の力や体はその魔法で出来ている。
(なら!やってみるか)
俺はそう思い、高度を下げ海面ギリギリの高さで、奴目掛けて飛んだ。
それを迎え撃つ八岐大蛇。
スチールニードルやら、稲妻、炎、冷気を海面をすれすれで飛ぶ俺目掛け放って
くるが、それを右に左に軽快に避ける俺。
(間合いがあまいわ!)
な~んて心で呟きながら。
そして、奴本体の大きな口の中へ飛び込んだ。
”あっぐん”
と、同時に頭の中のあるカーソルを選択し、叫んだ。
「プラズマ・バードアタック!」
一瞬にして、俺の体(ガルーダ形態)全体をプラズマで包んだ。
”ジョワ~”
”ジュルジュルジュル”
プラズマの熱で、奴の内部組織が溶けて行く。
(奴の体が溶けるのが先か、俺の体が溶けるのが先か……)
外では、オロチが苦しみから大暴れしているらしく、奴の体内に居る俺の体も揺
れる。
(っく……そ!)
俺の視界にノイズが出だし、警告音と共に無数の頭の中のカーソルが赤く点滅
する。
おそらく、プラズマの熱で、俺の各センサーやらコンピュータが壊れだしたんだ
ろう。
しばらくすると、視界がチラつきだし……やがて消えた。
そして、音も聞こえなくなり……俺は意識を手放した。
◇◇◇◇◇
口になにか柔らかいものがあたり……この感覚。
「う……うん?」
俺の目の前には……ソフィー……の顔?
気が付いて目を開けるとそんな光景が俺の目に飛び込んで来た。
「お気付きになりましたかセイア様……」
どうやら俺はソフィーにキス……エネルギー補給されているようだった。
(恐らくここは、初めにシュイが居た竪穴式住居の中だな)
キス……が終わり俺は起き上がろうとして、
「あれ?」
俺は着ていた服が違うのに気付く。
(確かワッペンシャツだったはずなのに……これって、俺がパジャマ代わりに着て
いるトレーナーじゃないか!?)
俺が驚いてキョロキョロしていると、
「あっ!セイアびしょ濡れだったからソフィーとシュイが着替えさせたのよw」
「えっ!」
ミオンの言葉に俺は思わず、トレーナーのパンツを引っ張り中を確認する。
(パンツも新しいのに履き替えてある)
「あ”……」
そう言って股間を抑え、顔を赤くして固まる俺に、ミオンが当然でしょって、顔で
言う。
「当たり前でしょあんたびしょ濡れだったんだから」
その言葉に、何故か俺と同じように顔を赤らめて俯くソフィーと、何故かニコニ
コのシュイ。
「それならゲキにたの……」
って俺が言いかけてゲキの方を見ると、何か人間の腕のようなものを、木の枝に
さして焼いたと思われるものに、むしゃぶりついているゲキと目が合った。
俺と目が合ったゲキは、枝に突き刺した腕のようなものを俺に突き出し、
「ん!?食うか……アスカの朝食で、食べた焼き魚と同じ味だぞセイア」
「え”―――!」
再び絶句する俺であった。
プラズマ・バードアタックは、名前はトラ〇ダーG7のトライダーバードアタック
のオマーシュですが、攻撃方法はどちらかと言うと、科学忍者隊ガ〇チャマンの
科学忍法火の鳥のオマージュになりますか。




