192話 「はじめからこうしてたらよかった」
≪今から俺は、奴の真下に行って、必殺技を打つから、それまでの間、お前と
青龍で奴を引き付けておいてくれ≫
と電龍に念話した。
≪OK♪セイアっち≫
電龍は俺の念話に快諾し、側に居た青龍に伝える。
「セイアっちが、こいつの真下から必殺技を撃つらしいから、それまで僕とシュイ
っちで引きつけろってさ」
≪わかりましたわ~、わたくしは、左側から攻撃いたしますので、電龍は右か
らお願いしていいかしら≫
「かしこまり~」
そう言うと、電龍と青龍は、オロチの左右へと別れ攻撃する。
「青龍!スピンドリル」
シュイの命令に水の龍はゆっくり回転しだし、徐々に回転速度を上げて、やがてド
リルのようになり、オロチの右側に生えている4本の龍の首を目掛け突っ込んでい
た。
青龍のスピンドリルで頭を射抜かれた4つの龍はぐったりと倒れる。
「シャー」
電龍がそう叫びながら、口から稲妻を吐いて、次々に龍の頭を焼いて行くが…
…。
最後の4本目の龍の頭が、電龍に向け同じように稲妻を吐く。
お互い顔中すすだらけになりながらも、稲妻を打ち合っている。
「ん―――っ!負けるもんか!」
相当向きになる電龍。
このままでは、埒が明かないと思ったPhoenix(俺)は、すぐさま目か
らレーザーをだし、電龍と稲妻を打ち合う龍の首を焼き切った。
「はぁ、はぁ、はぁ……ありがとうセイアっち」
肩で息をする電龍。
しかし、そうしている間に、青龍が倒した4頭の龍も、電龍と俺が倒
した龍4頭が再生を終えてこちらに攻撃を掛けて来た。
一番先頭の2頭の龍が、Phoenix(俺)に向け無数のスチールニードル
と、呼ばれる鉄の矢を放つ。
”シュシュシュシュシュシュッ”
それをひらりとかわすPhoenix(俺)。
威力を高めようと、オロチとの距離を詰め、稲妻を撃とうとする電龍に、背
後からオロチに生える龍の一体が忍び寄り、電龍の尻尾を銜えた。
「あっ!」
電龍の尻尾を加えたオロチは、そのまま電龍を振り回し、
「あぁ~あぁ~」
目を回す電龍をそのまま、
「あれぇ――――!」
空高く投げ飛ばした。
それを見て、あっけに取られる青龍に冷気を放つ龍が迫る。
一つ目の龍が冷気のブレスを放つも、それをかろうじて避ける青龍だったが、
2つ目の冷気を放つ龍のブレスをまともに受けてしまい。
”ピッキーン”
凍り付いてしまった。
「あっ!」
”ピキピキピキ”
青龍の体は凍り付き、海へと落下……。
”バッシャーン”
と同時に、落下の衝撃でもろくも崩れ去ってしまった。
≪セイア様~シュイさんが申し訳ありませんとのことです≫
ソフィーから念話が入る。
≪いや、ご苦労だったと伝えてやってくれソフィー、お陰で奴の真下に潜り込めた
≫
≪はい≫
そうソフィーと念話した後、俺は真上に居るオロチ目掛け放つのだった。
「ハイドロプレッシャー・ボルテックス!」
俺の下半身である、Weiß Delphinを真上に向け、口を開けると、
高圧で高回転させた水の渦が打ち出される。
”ゴー”
”ズドーン”
高回転させた水の渦はオロチ胴体(クラゲの傘)を貫き、海上では大きな水柱が上がる。
≪今度こそ、やったか!≫
◇◇◇◇◇
「電空ブゥ~メラン!」
ミオンは電空ブーメランを放つと同時に、右太ももにあるフォルスターから、P38を抜き撃つ。
”ピシュー”
”パン、パン、パン”
”ブシュブシュブシュ”
電空ブーメランとP38で、6体のサハギン(半魚人)を倒すものの、今だ続々
と上陸するサハギン(半魚人)。
「あぁん、もう」
その横で、装備された全弾を撃ち尽くしたブレイブロボが、右手でサハギン(半魚
人)の頭を掴みつぶしたり、足で踏んずけたりしながら戦っていた。
「ソードオブファイヤー」
剣先から炎を出し、数体のサハギン(半魚人)を焼き払い、更に剣に魔力を込め、
「ファイヤーブレード」
高温の剣でサハギン(半魚人)を焼き切ったり、持っている盾で、サハギン(半魚
人)が突き出す銛を跳ね返すクレアさん。
「電空ブゥ~メラン!」
”ピシュー”
”パン、パン、パン”
”ブシュブシュブシュ”
”カチャカチャカチャ”
「あぁ~んもう!弾切れ」
焦るミオンに、なおも迫り来るサハギン(半魚人)の群れ。
弾切れのミオンを庇うべく、クレアさんがミオンの前に回り込み、盾でサハギン
(半魚人)の突き出す銛を防ぐが……。
「くうっ」
かなり押され気味。
その時だった。
「撃心流奥義の1つ 真空切り!」
”シュパ、シュパ、シュパ”
気の刃を飛ばし、サハギン(半魚人)を倒しながら、物凄い勢いでミオンとク
レアさんの元に駆け付けるゲキ。
ミオンとクレアさんの前にUnicorn(俺)を止め、斬馬刀を振るい、サ
ハギン(半魚人)を倒しながら、一瞬振り返り言った。
「クレア!まだいけるか!」
「はいw」
ゲキにそう答えるクレアさんの言葉を聞いて、再びミオンに向け言った。
「ここは、俺とクレアでしばらく抑える!ミオンとそのデカ物は、一旦ニールさ
んの所まで引け!」
ゲキの言葉にミオンは黙って頷いた。
「ロボ、引くよ!」
『マッシ!』
ミオンとロボは、その場をゲキとクレアさんに任せて、ニールさんとソフィーの居
るところに向かうのだった。
それを確認した、ゲキはクレアさんと頷きあい。
「秘儀!金縛りの術!」
ゲキが 全身から気を離し、サハギン(半魚人)の動きを止めると、そこにクレ
アさんが、
「ファイヤースピンシールド!」
手に持っている盾を飛ばし、動きの止まったサハギン(半魚人)達を焼き切って行
くのであった。
◇◇◇◇◇
「グランドスパイク!」
掛け声と共に、ローゼが両手を付けている地面が一瞬光ったかと思うと、地面から
長い棘のようなものがムクムクと無数に生えだし、サハギン(半魚人)達の足元を
貫いた。
苦しみの表情を浮かべ、身動きが取れないサハギン(半魚人)達に向け、シノブ
が銃の下部に取りつけてあるグレネードを発射する。
”ボシュ”
”ドカーン”
ローゼの魔法で身動き取れなかった数体のサハギン(半魚人)は粉々に吹っ飛んだ。
しかし、まだまだ続々と上陸しようとするサハギン(半魚人)の群れを見て、
ローゼがぼやく。
「ああんっ、もう、きりがないねぇ~」
そんなローゼにシノブが言った。
「そろそろ、あれを使ったらどうだろうMissゾメル」
シノブの言葉に、一瞬ローゼは首を傾げたが、すぐに思いついたのか、
「ああ、そうだねぇ」
そうシノブに言うと、ローゼは手鏡を出して叫ぶ。
「いでよバール!」
すると、ローゼの持った手鏡から光の塊が飛び出し、大きなBull(牡牛)が飛
び出す。
そして、ローゼはバールにに命令する。
「バール超振動ホーン!」
「グッモー!!」
上陸しようとするサハギン(半魚人)の群れにバールは突進し、超振動ホーンで次
々にサハギン(半魚人)達を粉々に粉砕して行った。
それを見たローゼは1人ごちった。
「はじめからこうしてたらよかった」
◇◇◇◇◇
≪今度こそ、やったか!≫
と俺は叫んだが、体長40mはデカすぎた。
すでに再生は行われている……。
ただ、体は動いていない。
(恐らく……脳を破壊したんだろう)
(ならば、今がチャンスだ)
無防備なオロチに、俺は再度攻撃を仕掛けることにした。
海上へと急浮上した俺は、Weiß Delphinを分離しと同時にジャンプし、両腕をフレイムアームに変え勢いよく炎を出し、更に空高く飛んだ。
「こい!Phoenix」
そして、頭の中のカーソルを選択し、
≪Charge up Garuda≫
Phoenixといつもの合体シーケンスに入った。
「完成!Garuda!」
ガルーダ形態になった俺は、すぐさま必殺技を発動する。
急上昇し、俺が両掌から炎を出すと同時に、Phoenixも翼を含む全身から
炎を吹き出し……やがて俺の全身は炎に包まれた。
「ガルーダ・シャイン!」
俺がそう叫ぶと、俺の体を包む炎の温度が上がり、炎の色が赤から黄……そして青
色に変わり……真っ白な光に包まれた。
真っ白な光に包まれた俺は、そこで急上昇を止め、そこから一気に海上で、今だ
意識なく、再生を続けているオロチ目掛け急降下する。
降下速度はグングン上がり、音速を超え……。
おおよそ、M2.4(マッハ2.4)に達し、降下を続けオロチにぶつかる寸前で、
「ガルーダ・スパーク!」
そう叫んだ俺は、そこから反転し急上昇した。
音速を超える急降下で発生した衝撃波と共に、俺の全身を包むプラズマの炎を同
時にオロチにぶち込んだ……。
”ドッカーン”
物凄い轟音が鳴り響き、大きな水蒸気爆発起こり、大きなキノコ雲が空高く上った
……。
しかし、奴は、済んで所で意識を覚醒させ、当たる瞬間に海に潜り、衝撃波とプ
ラズマの熱を避けやがった。
≪くっそ!≫
ゲキが中々の男前ぶりを見せてますね。
それとお知らせです。
5月からは少しUpの回数が減るかもです。




