191話 「そう言うのは、奴らを倒してからにせい」
電龍と青龍が、八岐大蛇へと先に接近すると、オロチはクラゲの傘部分の1番
手前の龍の首2つから、無数のスチールニードルと呼ばれる鉄の矢を電龍と青龍
向け放った。
”シュシュシュシュシュシュッ”
それを電龍が体を回転させ尻尾で跳ね返す。
”バシュッ”
「そんな攻撃が効くと思ってんのか!」
そう電龍が叫んだ。
すると、すかさずオロチは2番目龍の首2つから、火炎を放とうと龍の口に炎が
溜まりだした。
それを見た青龍はすぐさま炎が溜まる2つの龍の口目掛け、
≪ハイドロプレッシャーボール!≫
シュイの言葉に青龍は、2本の前足の爪を開いて、大きな玉を2つ形成すると、
炎が溜まる2つのオロチの口目掛けて、高圧に圧縮した水の球を放った。
”ズゴーン”
炎を溜めた龍の口は、無理やり押し込まれた高圧に圧縮した水の球を喰らい、
口に溜めた炎が消えるだけでなく、顔そのものが吹っ飛んだ。
が、しかし、
すぐさま砕けた龍の顔は再生する。
≪えーーーーー!≫
驚く青龍。
その時、遅れてやってきたPhoenix(俺)は、すぐさま目からレーザーを
放ち、オロチの胴体(クラゲの傘)部分から生える8つの龍を薙ぎ払った。
”ピー”
”ジー”
≪≪”バシャ~ン”≫≫
次々に胴体から切り離された、8つの龍が海中へと落ちて行く。
胴体から切り離された8つの龍は海中に落ちると同時に腐敗しだし……。
やがて、消えた。
しかし、胴体からはすぐさま新しい8つの龍が生えだした。
(なっ!……ヒュドラと同じ……とは行かないようだな)
◇◇◇◇◇
入り江の左端で、対戦車ミサイルFGM-148 ジャベリンをセットして、狙
いをつけるシノブと、その補助をするアイーシャさんの所へ、サハギン(半魚人)
の群れの一部が上陸しようとしてきた。
それを見たローゼは、すぐさま手に持った2本のトマホークを上陸しようとする
サハギン(半魚人)の群の一団へと、投げつけた。
「ダブルトマホーク~ブーメラン!」
"シュルシュル”
と回転する2本のトマホークは、上陸しようとするサハギン(半魚人
)の群の一団の先頭の2体の首を跳ね飛ばし、
”シュッパ”
ローゼの手元の戻って来た。
それを見たアイーシャさんも如意棒を取り出し、応戦する。
”シュッ”
”バキン”
如意棒を伸ばし、上陸しようとするサハギン(半魚人)の頭を撃ち抜く。
すると、上陸しようとするサハギン(半魚人)の後列から、いくつもの銛が飛ん
でくる。
”シュー””シュー””シュー”
すかさず、アイーシャさんは、ローゼの前に回り込み、持っていた如意棒を回転
させ、それを弾いた。
”カキーン””カキーン””カキーン”
「あんがとう、アイーシャ」
お礼を言うローゼ。
「どういたしましてにゃ」
その時、シノブがオロチ目掛けて、対戦車ミサイルを発射する。
「Fire!」
”プシュ――――”
白煙をあげながらミサイルがオロチめがけ飛んで行った。
◇◇◇◇◇
”シュー”
白煙を上げながら、オロチに向かうミサイルを感知した俺は、ミサイルに同調
するように魚雷を発射することにした。
(海中と空中から挟み撃ちね)
「魚雷発射!」
Weiß Delphin腹部の装甲が下がると、同時に2本の魚雷発射管が現れ
魚雷を発射する。
”ボシュ””ボシュ”
”ゴ――――ォ”
シノブが発射したミサイルと俺の発射した魚雷が同時に空中からと海中から命中……。
したはずだが……。
”ドカ――ン”と言う爆発が起こらない?
(おかしいな)
自分の視界と、Phoenixの視界両方ズームしてオロチを見て見ると
……。
シノブの放ったミサイルも、俺が放った2本の魚雷も、確かに奴体に突き刺さっ
ては居る……が!
(突き刺さったまま爆発が起こらない!?)
そう思っていると、シノブのミサイルも、俺の魚雷もゆっくりと奴の体に吸い込
まれて行った。
後には何も残らず、傷口さえも見当たらない。
(え!)
≪Shit!(クソ!)≫
シノブの悔しがる声が俺の耳に聞こえてくる。
◇◇◇◇◇
入り江の右端で、弓を構えるエドナさん。
本来、迷彩マントを着れば、敵に見つからず、ハニワ小人の時同
様に、一方的に攻撃できるとは思ったのだが、シュイの話だと、サハギン(半魚
人)は鼻がとても効くらしい。
なので、迷彩マントは意味がないとのことだった。
そのため、ミオンは櫻ばーちゃんをエドナさんの護衛に付けた……。
訳だけど……本音を言えば、自分とばーちゃんが組むのを避けたってこと。
(たぶんばーちゃん、それをわかってて、ミオンに突っかかったんだと思う)
「ライトニングアロー!ディバイダー」
"シュー、シュパッ”
電気を帯びた矢が空中で6つに分れ、それぞれの矢は、サハギン(半魚人)の頭
を貫いた。
”ズブッ””ビリビリ”
”ズブッ””ビリビリ”
”ズブッ””ビリビリ”
”ズブッ””ビリビリ”
”ズブッ””ビリビリ”
”ズブッ””ビリビリ”
しかし、倒れたサハギン(半魚人)の後列から、数本の銛が飛んでくる。
”シュー””シュー””シュー”
すぐさまエドナさんの側に居た櫻ばーちゃんが、エドナさんの前に立ち、胸の前
で合掌したのち、素早く右手を突き出し叫んだ。
「撃心流気功旋風!」
たちまち、竜巻が起こり、飛んでくる銛を全て弾き返した。
それを見て、互いに顔を見合わせ頷きあう、エドナさんと櫻ばーちゃん。
「ライトニングアロー!ディバイダー」
再びエドナさんが矢を放ちだした。
◇◇◇◇◇
「ロボ・ストロングバズーカ!!」
『マッシ!』
ミオンの命令に、ロボが返事をすると、背中にあるカールグスタフ84mm無反動
砲×2が肩までせり上がり、肩の上で水平にセットされると、
”ズドーン””ズドーン”
ロボの放つ84mmの弾が白い煙と炎を出し、海から上陸しようとするサハギン
(半魚人)の群れに着弾する。
”スババーン”
黒煙と共に物凄い水柱が立った。
(今ので、20匹は倒したかしら……)
しかし、後続のサハギン(半魚人)達は、それに臆することなく次々に上陸しよ
うと押し寄せる。
「ロボ・続いて、速射破壊銃!」
『マッシ!』
ミオンの命令に返事をしたブレイブロボ・Gは、左腕に装備された『GAU-
19』12.7mm口径のガトリング式重機関銃をぶっ放した。
”バリバリバリ”
(これで合計40匹は倒したはず……)
そうミオンが心に思う間も、サハギン(半魚人)達は、後から後から湧いてきて
は上陸しようとしていた。
(あんっ!もーしつこいよ)
◇◇◇◇◇
「Shit!(クソ!)」
そうシノブは叫ぶと、皆に無線でこう言った。
≪駄目だ、僕の持っている武器では、オロチーには歯が立たない。こっちはMr.
オオワシ達に任せて、僕はサハギン(半魚人)退治の方に回るよ≫
≪わかった≫
≪了解!≫
俺とミオンがそう無線でシノブに返すと、シノブは、愛用の(H&K XM8)
を手に取り振り向いて、まさに今サハギン(半魚人)と戦っている、ローゼと
アイーシャさんに加勢する。
"タタタタタ”
闘うローゼとアイーシャさんの横で、シノブは(H&K XM8)を、フルオ
ートでぶっ放すのだった。
◇◇◇◇◇
「ライトニン……」
狙いをつけ、そう言いかけたエドナさんは、徐に自分に向けられたサハギン
(半魚人)の銛に気づき、とっさに弓に魔力を流し刃状に変化させ、その
銛を受け流した……。
身体を捻り右に受け流し、がら空きとなったエドナさんの左脇腹を目掛け
、別のサハギン(半魚人)の銛が迫る。
「あっ!」
その時だった。
「撃心流奥義の1つ 真空切り!」
ゲキが、刀に流した気を飛ばして、エドナさんの脇腹を突こうとしたサハギン
(半魚人)を、その銛共々真っ二つに切り裂いた。
「大丈夫か、エドナ!」
そう言いながらエドナさんの前に迫るサハギン(半魚人)の群れに突っ込んだ。
と同時に、Unicorn(俺)は、正面のサハギン(半魚人)を角で突き刺し、
かつ、後ろ足で別のサハギン(半魚人)を蹴飛ばした。
「あっ、はいw」
エドナさんが、嬉しそうにゲキに言う。
その返事を聞いている間にも、迫るサハギン(半魚人)達を、刀を振るって切り
飛ばすゲキ。
20体のサハギン(半魚人)達を切り倒し、戦況が落ち着いたのを見て、ゲキは
黙ってエドナさんに頷き、今度はミオン達の方に掛け出して行った。
その後ろ姿を”ボー”と見つめるエドナさんに、
「そう言うのは、奴らを倒してからにせい」
と言う櫻ばーちゃんの言葉に、”はっ”としたエドナさんは、気を取り直し、再
びサハギン(半魚人)の群れに向け、弓を放つのであった。
「ライトニングアロー!ディバイダー」
"シュー、シュパッ”
”ズブッ””ビリビリ”
「そんな攻撃が効くと思ってんのか!」は、スパロボシリーズで、よく
兜甲児が言うセリフの「そんな攻撃が通用すると思ってんのか!」
のもじりです。




