18話 夜営
戦闘終了後、みんなで戦闘の後処理をした。
倒した魔物の死体を一か所にみんなで……主に男性陣で積み上げ、俺が右腕をフレイムアーム変え、”フレイムストーム”で積み上げた魔物の死体を焼いていく。
辺りに焦げくさい臭いが漂う。そこで、荷馬車から必要な物や使えそうなものをシノブが用意した軍用トラックに積み替えた。そのトラックにみんなで乗り、しばらくアルブ王国の方に、干上がった川らしき所をそのまま遡る……こと2時間……少し。トラックの中では、シノブが乗ってきたトラックの説明やら、自分が使ってる銃や時田さんの使ってる銃の説明を延々1人で、喋りまくっていた。
シノブの話だと、USMC M923A1 カーゴトラック。
種類 6輪駆動 5tトラック。
メーカーAMゼネラル社、BMY社。
重量 9,800 kg
全長 7.80 m
全幅 2.50 m
全高 2.90 m
エンジン カミンズ製6気筒ディーゼル。って言うトラックらしい……
もっと詳しい説明だったが、俺の理解をはるかに越えてるので、単に軍用のトラックってことで理解した。
そして説明はさらに続く……
シノブが使ってる銃は、H&K XM8
種類 軍用小銃
製造国 ドイツ アメリカ合衆国。
設計・製造 ヘッケラー&コッホ
仕様種別 アサルトライフル
口径 5.56mm(標準) 6.8mm
銃身長 318mm(基本型)241mm(PDW型)
508mm(狙撃銃・SAW型)
使用弾薬 5.56mm NATO弾 。
装弾数 30発箱形弾倉(5.56x45mm NATO弾)
作動方式 ガスピストン方式。
ショートストロークガスピストン
ロータリーボルト閉鎖。
全長 840mm(基本型)
重量 3,400g(基本型)
発射速度 750発/分
銃口初速 920m/秒(基本型)
有効射程 300-500m
シノブの銃の銃身下部には40mm擲弾発射器「M320 グレネードランチャー」が装備せれてるそうだ。 また、マスターキー仕様の12ゲージショットガン「レミントンM870」などが工具なしで装着可能らしい。
そして、サイドアームとして、
コルトMK-IV SERIES 70
俺が知ってるのはコルトガバメントって名前だけだが……
口径 : 45ACP
装弾数 : 7+1発
銃身長 : 106mm
作動方式 : シングルアクション
ティルトバレル式ショートリコイル 。
シノブ曰く、アメリカ人にとって、”漢”たる拳銃だ!そうだ。
シノブの話は、まだまだ続く。
時田さんが使っていた銃は、M24 SWS。
軍用狙撃銃で製造国はアメリカ合衆国。
設計・製造 レミントン・アームズ
仕様種別 ボルトアクション方式狙撃銃
口径 7.62mm
銃身長 610mm(24インチバレル)
使用弾薬 7.62x51mm NATO弾。
装弾数 5発(固定式弾倉)。
作動方式 ボルトアクション方式。
全長 1,092mm
重量 4,400g
銃口初速 868m/秒
有効射程 800m
時田さんの仕様では照準線の発光するイルミネート・レティクル機能を備えたMK.4 LR/T M3 3.5-10x40mm(3.5-10倍の間で調節、レンズ直径40mm)を使用 。時田さんは、主に立射で狙撃するので、バイポットと呼ばれる二本の脚を持つ支持装置は、装着してない……と言うこと……
俺はシノブの話を延々聞きながら、思った。
(こいつ、忍・メイトリックッスってのが仮の姿かも知れんが、オタクって所は変わりないな。)
そんなことを俺が心に思った頃。トラックが急に止まった。
時刻は、夕方5時を少し回ったぐらいだろうか?……
運転席の時田さん、道案内役のニールさんが助手席からそれぞれ降りてきて、俺達の居る荷台のホロをめくり、俺達に声を掛けてきた。
「燃料補給のついでと言ってはなんですが……ここらあたりで、ご夕食はいかがでしょう。」
「うん、わかった燃料の補給は僕がするから、時田は、みんなの夕食の準備をしてくれ」
そうシノブが時田さんに言うと、
「かしこまりました。」
と言い、時田さんは荷台にある食糧が入ったと思われるコンテナと折りたたみのテーブルセットを出してきて、
「お湯を沸かせる鍋のようなものは……」
と俺の方に聞いてきた。
「あっ、それならそこの鍋をお使いください。」
と俺の代わりにソフィーが答える。
ソフィーがすくっと立ち上がり、荷物の中から食器類を固めて積み上げていた所から、無理やり深さ25cm位の鉄鍋を引っ張り出そうとして、”ガラガラガッチャン”って食器類をひっくり返した。
「あっ、ごめんなさい。ごめんなさい。」
謝りながら、散らばった食器類を片づけてるソフィーの横にそっと座って、俺は一緒に片づけながら、
「そう言うのは、俺がするよ……ソフィーは座ってて」
と優しく微笑んで、散らばった食器類をソフィーと一緒に片づけた。
「いえっ……はい……申し訳ございません……」
そう言って俺に謝るソフィーの頭を”ポン、ポン”と軽く叩き、散らばった食器類を片付け、そして鍋を取りだし時田さんに
「これは……どこにもっていきますか?」
と聞くと、時田さんは笑顔で俺に
「では、持ってきて頂けますか?」
と言うので、俺は時田さんに続いてトラックの荷台を降りようとした。
そしたらゲキが俺を呼びとめた。
「俺も手伝うよ」
と声を掛けてきたので、俺は重いトラックの燃料を持とうとしているシノブの方を目でやり、ゲキに
「こっちは良いからシノブの方を……」
と言うとゲキは黙って頷き、シノブが持とうとしていた燃料缶の2つのうち1つをシノブから受け取る。
「Thanks!Mr.シモトウゲ」
軽く、ゲキに御礼を言うシノブ。
俺達が、トラックの荷台から降りようとして、
「私もなにか手伝おうっか?」
と降りようとした俺達にミオンが声を掛けて来たが……すかさず、俺とゲキが声をそろえて、
「「お前は何もしなくていい!!」」
とハモりながら言う。
「なによ!2人して!」
とプンスカ怒るミオンに俺は、
「ソフィーを頼む!」
と、頭を下げるとミオンは、みるみる顔をほころばせ
「まかせなさい!!」
と胸を張るミオン。
そんなミオンとソフィーをおいて、みんなで荷台から降り、ゲキとシノブはトラックの燃料タンクの方へ、俺と時田さんはトラックから少し離れた場所へとそれぞれ向かって行った。
あたりは、相変わらず、砂地が幅10mくらいの干上がった川底って感じで、それがくねくねと遠くの方まで、まるで大きな道路のように続いている。
時田さんが、
「ここらあたりで……少々お待ち下さい。」
と言うので鍋を持ったまま、俺がその場で待っていると、ニールさんが地図とここの景色とを見比べ立っているのが目に入ってきた。
「あっニールさん!」
俺が声を掛けると、俺と時田さんの方を振り返りニッコリ笑う。
「私も手伝いますよ」
地図をたたみ、こちらに近づいて来た。時田さんは手際良く、BBQ用のガソリン式コンロツーバーナーを素早く組み立て、
「お鍋はここに載せて下さいませ」
と頭を下げる。
俺は時田さんに言われた通り、鍋をコンロに置いた。
その時ニールさんが、
「では、水は私が」
と言って軽く詠昌して、水を魔法で水を出して鍋の中を満たした。それを見ていた時田さんが、
「ほう……魔法とは便利なものですな」
と感心する。
「いえいえ、みなさんの世界にある装置にはかないませんが……」
ニコニコ笑いながら言うニールさん。
そう言うニールさんに、時田さんは、
「出来ればこれにもお願いしたいのですが……」
と湯沸かし用のポットを指さした。
「承知しました。」
ニールさんは、また軽く詠昌して湯沸かし用のポットにも水を満たす。時田さんはニールさんに軽く会釈して、水の入ったポットを鍋の隣に置いて、コンロのスイッチを捻りお湯を沸かし出した。
「後は、お湯が沸くのを待つだけです。」
その言葉を聞いて俺がキョトンとして、
「えっ……それだけ?」
って時田さんに聞き返すと、ニッコリ笑いながら、
「ええ、それだけです。」
と俺に言う時田さん。
丁度その時、燃料を入れ終わったシノブとゲキがこちらにやって来た。
「あっ……そっちは終わったのか」
と言う俺に2人は、
「Yes 、Of course!」
「ああ」
とシノブとゲキが返事をした。
お湯が沸く間にピクニックテーブル(椅子とテーブルが一体の奴)を二つ、時田さんが組み立て並べる。ニールさんはコンロだけでなく、鞄の様な形から椅子付テーブルに代わるテーブルを見てしきりに感心している。
「なるほど……面白い構造ですね」
暗くなってきたので、時田さんはトラックからカンテラを4つもってきて、テーブル周りやコンロ周りに置く。
「ほう、カンテラはこちらのとさほど変わりませんね」
と時田さんが置いたカンテラを見てニールさんが言う。
しばらくして、シノブが時田さんに、置いてあるカンテラ4つのうちの一つを取り、
「時田、ひとつ借りるぞ!」
と声を掛けゲキと共に少し離れたところにシートを敷き座った。
「どうぞ、ぼっちゃま」
頭を下げ、2人を見送る時田さん。
どうやら、2人は武器の手入れをするようだ。
そう思って2人を見ていると、時田さんが
「そろそろ、姫様と白鳥様を呼んできて頂けないでしょうか?」
と声を掛けられたので、俺は、
「はい、呼んできま~す。」
軽い感じで時田さんに返事をして、ソフィーとミオンが居るトラックの荷台の方に向かった。




