183話 アイーシャさんの実家で朝食を
「バニーフラッシュ!」
「イキュウプ!」
「アラギ!」
「換着」
「イズミニェーニイェ」
「ジョー・チャックゥ~w」
「ピエンフア !」
「ソルシエール」
「フェアエンデルング」
ミオンを筆頭に、クレアさん、エドナさん、ゲキ、アイーシャさん、シノブ、シュ
イ、ソフィー、ローゼがそれぞれ左の二の腕に付けたブレスレットに触れながら叫
び、変身……と言うか、戦闘服へとチェンジする。
ニールさんは元々ローブ姿だし、俺と櫻ばーちゃんは普段着のまま……。
って言っても、俺はいつもワッペンシャツで、ばーちゃんに至っては普段
使いの着物に草履履き。
俺はむやみに変身すると、オブリヴィオン(魔王軍)に探知されるから仕方ない
んだけど……。
戦闘服に着替えるより、この方が動きやすいと、ばーちゃんは言うが……。
(草履ではね……動きにくいと俺は思うんだけどね)
そうそう、今回ソフィーが着ているローブは、魔力漏れを防ぐため裏地が黒いん
だが……。
それ以外は前のローブと全く同じもののようだ。
皆が戦闘服にチェンジした所で、次々と地下三階の”異世界転移魔法円”のある部
屋奥にある壁に掲げた大きな鏡をくぐる。
”ポヨ~ン”
って、実際鏡を抜けてもそんな音はしないんだが……。
俺のイメージだ。(笑)
俺達が鏡を抜け出た先には……。
「「「おはようございます」」」」
と声を掛けてくれたのは、アイーシャさんのお父さんのヤーコフさん、お母さん
のエカテリーナさんに弟のイワンさんだった。
「おっはよう~ヤーコフさん、エカテリーナさんにイワン君」
真っ先に声を掛けてくれた3人に挨拶するミオン。
「ただいまーにゃ」
「Good morning♪」
続いてアイーシャさんにシノブが挨拶し、
「「「「「おはようございます」」」」」
続いてソフィー、俺、ゲキ、クレアさん、エドナさんが挨拶した。
「お初にお目にかかります、カカ帝国 第2姫のカカ・シュイと申します」
と挨拶するシュイに目を丸くして
「あっ、これはこれはカカ帝国のお姫様までお出ましですか!」
と恐縮しまくるヤーコフさんにニールさんがニッコリ笑って
「カカ帝国の姫ですが、今は勇者殿のお仲間、そんなにかしこまることはないで
すよ」
「しかし……」
と言うヤーコフさんの背中をニールさんは”ポンポン”と軽く叩き、
「そう言う態度は、勇者殿は一番嫌うのですよ」
言うと、そのニールさんの言葉に俺も黙って頷くと。
「そっ、そうですか……」
と戸惑うヤーコフさんにアイーシャさんもミッコリ笑て
「そうですにゃ」
と言うと、
「あっ、はいわかりました」
とぎこちなく返事をするヤーコフさん。
そこにひょこひょこって来た、櫻ばーちゃんがペコってお辞儀をしていった。
「初めまして、下峠激の祖母の櫻と申します」
「……」
その挨拶に固まるヤーコフさん。
「ほら、この人のおばあさんですにゃ」
とゲキをヤーコフさんの前に引っ張って来て言うアイーシャさん。
「あっ、勇者様のお仲間の……おばあ様……」
と言葉がそれ以上出てこないヤーコフさんに、横に居たエカテリーナさんが言う。
「あっ、いつも娘のアイーシャがゲキさんにはお世話になっております」
(いや~どちらかと言うとそれはシノブだと思うが……)
「私はエカテリーナ、これは夫のヤーコフで、あちらが息子のイワンです」
と自分の夫と息子を紹介する。
「あらまぁ、ご丁寧なご挨拶いたみいります」
とお互い頭を下げあう櫻ばーちゃんとエカテリーナさん。
その時、”ぐぅ~”とゲキのお腹が鳴った。
「あらら、失礼しました早速朝食の用意を」
ゲキのお腹の音を聞いて慌てて言うエカテリーナさんだった。
◇◇◇◇◇
早速、エカテリーナさんの案内で工房の外に出ると、そこには大きな一枚板のテ
ーブルが置いてあり、そこには丸太で加工した椅子が左右に7個づつ置いてあっ
た。
「私の家では狭いので……」
と申し訳なさそうに言うヤーコフさんに、ニールさんが笑顔で
「いえいえ、急にご無理を言ったのはこちらの方ですから、お気になさらないで下
さい」
と言うと、
「あっ、はい、そう言っていただけると助かります」
と頭をかきながらで言うヤーコフさんだった。
◇◇◇◇◇
テーブルの右側に、ミオン、シュイ、俺、ソフィー、シノブ、アイーシャさんそ
れにローゼが座り、左側には、クレアさん、ゲキ、エドナさん、櫻ばーちゃんにニ
ールさん……。
(あと2つ席が……)
って思っていたら、
「皆さん、お坊ちゃん遅くなりました」
とやって来たのは時田さんにそのお付きのワールドディフェンサー社の人。
「Oh、時田、ごくろう~」
シノブが席を立って言う。
「さぁさ、こちらへ」
とニールさんに即され、ニールさんやシノブそれに俺達に向かって一礼して残りの
席に着く2人だった。
◇◇◇◇◇
ヤーコフさん、エカテリーナさんに弟のイワンさんが手際よく、テーブルに座る
俺達の前に朝食を置いて行ってくれた。
朝食のメニューは、”カーシャ”。
正確にはソバのカーシャ。
この世界に蕎麦があるのが驚きではあるが、蕎麦を水と牛乳で煮て作る言わば、
”お粥”である。
「「「「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」」」
皆で手を合わせ頂く。
もちもちと言うか歯ごたえがあると言うか、なんだか口の中で”もごもご”する
食感。
しかも……甘い。
(まずくはないが……)
まぁ、腹持ちはよさそうだ。
唯、若干2名……いや3名は少し物足りなさそう。
それを見たアイーシャさんは、お母さんのエカテリーナさんに耳打ちをする。
で、
アイーシャさんに耳打されたエカテリーナさんが、その3人の前にピロシキを2
つづつお皿に載せて置いて行った。
それを見て満面の笑みでかぶりつくシノブにゲキ……に櫻ばーちゃん。
(ホントよく食べるねぇ~)
◇◇◇◇◇
「「「「「「「「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」」」」」」」
」
皆で手を合わせアイーシャさんの一家に感謝する俺達。
それを見て、唖然とするヤーコフさん、エカテリーナさんに弟のイワンさん。
(だろうね……こっちにそんな習慣ないよねぇ)
「では、わたくし達はこれで」
と俺達に行って席を立つ時田さんとそのお付きの部下の人に
「「「「「「「「「「お疲れさまでした」」」」」」」」」」
「ご苦労時田」
「ご苦労様ですにゃ」
俺、ソフィー、シュイ、ニールさん、ミオン、ゲキ、クレアさん、エドナさんに
櫻ばーちゃんとシノブにアイーシャさん。
「お坊ちゃま、皆様ご武運を!」
そう言って再び頭を下げ、工房の中へ時田さん達は入って行った。
どこでもミラーで基地に帰る為に。
実は時間短縮のため、俺達が”焼肉パーティー”中に、時田さんは部下と2人で
、アルバトロス(SA-16A)で、ここアイーシャさんの実家のあるデンスアー
ラ共和国迄一晩かけて飛んできていたのだった。
朝7時にンスアーラ共和国にあるガーヴァニの港町到着し、マジックボックス大
から燃料の入ったドラム缶を出し、給油をしてから、アイーシャさんの実家の工房
”プロトニーク”まで、やって来て、俺達と合流し一緒に朝食を取ったって訳さ。
なので、徹夜明けの時田さんには、このまま基地に帰ってもらい休んでもらうと
言う訳なんだ。
(時田さん本当にご苦労様でした)
◇◇◇◇◇
朝食のお礼を言ってお別れをし、俺達はアルバトロス(SA-16A)が停泊し
ているガーヴァニの港町を目指し歩いた。
◇◇◇◇◇
「TAKE-OFF」
全員が乗り込み、席に着きシートベルトを締めたのを確認したシノブが言うと。
”ブルブルブル~”
”ブーン”
2基のエンジンがうなりを上げてプロペラが回りだす。
やがて、ゆっくりと湖面を飛行艇が進みだす。
水をかき分け、グングンとスピードを上げ、急にふわりと浮くような感覚で飛行
艇は空に舞い上がった。
飛行艇(アルバトロスSA-16A)は、デンスアーラ共和国の上空から一路、
東へ進路を取り、カカ帝国へと向う。
今回操縦席にシノブ、その横の副操縦席にはローゼが座る。
この飛行艇の操縦に興味があると言うので、シノブがローゼを横に座らせたのだ
が……。
いつもと違い、質問攻めはせず、只々、シノブの操縦をじっと眺めるローゼだっ
た。
(今回は大人しいね)
飛行艇が安定飛行に入っると、シノブから”ベルトを外してもいいよ”と言われ
、俺達はシートベルトを外す……や否やミオンが叫ぶ。
「バニーフラッシュ!」
眩い光と共に変身し、現れた姿は……。
「アテンションプリーズ~」
またまた、キャビンアテンダントに変身したミオンが、マジックボックスから飲
み物を出し、それをお盆に載せて、皆に配りだした。
(……いい加減!それ、飽きたんだけど)
時間短縮でどこでもミラー使てみました……ってあんまり時間短縮に
なってませんけど。




