180話 恐るべし!撃心流
櫻ばーちゃんのちらし寿司や、お弁当屋さんで買ってきたオードブル(ヒレカツ
、ウズラ串フライ、ポテトサラダ、から揚げ、フランクフルト等)を食べてお腹が
いっぱいになった所で、とうさんが考えた企画を実行する。
エドナさん、ローゼが居ない間に、隠した小さな宝箱をそれぞれ3つづつ隠して
あるので、それを2人には探してもらう。
この宝箱には、それぞれの皆からのプレゼントを隠した地図を3等分に分け、入
れてある。
その地図に書かれてある場所に行き、俺達のプレゼントを探してもらうと言う所
謂、宝探しゲームをしてもらうわけ。
因みに、地図が3等分に分けて入れてある宝箱は、アイーシャさんの手作りで、
それぞれ、エドナさんは、緑の箱で、ローゼはピンクの箱を作成してある。
まずは、2人には、宝箱を探してもらうため、その隠し場所のヒンントの紙を
渡す。
このヒントの紙は、翻訳眼鏡がなくてもわかるよう、ソフィーとシュイに向こ
うの言葉で書いてもらってあるんだが……。
そして皆で、ゲキの家の庭に出て、
「じゃ、2人共用意はいい?」
「はいはぁ~い」
「うん」
ミオンの言葉にエドナさんとローゼは元気よく答え。
「じゃ~スタート」
エドナさんとローゼは、ミオンの合図を聞き、笑顔で探しに行った。
◇◇◇◇◇
しばらくして、庭の櫻の木付近で、
「あぁ~、ありました~」
エドナさんの嬉しそうな声がした。
(まずは、エドナさん1つ目ゲットしたか)
その声を聞きローゼが焦りだした。
ゲキと一緒に住んでいるエドナさんとは違い、ローゼはこの家が初めてなので、
多少のヒントは俺から出してあげる事にしている。
「ローゼ、何が解らないんだ」
俺の前を行ったり来たり走り回るローゼを呼び止めた。
「うん……この」
と言いながら俺にヒントの書かれた紙を見せようとするローゼ。
(いや、俺、読めないって)
「読んでくれローゼ」
俺の言葉に、”ああそうだね”って感じで紙を取り、読み上げるローゼ。
「石で作った夜道を明るく照らすもの」
(ああ、それね)
さて、”石灯籠”をどう説明したらいいかな。
俺はゲキに頼んで、ペンとメモ用紙を持って来てもらい、ローゼの前でサラサラ
~っと絵を描いて見せた。
そして、ローゼにそれを手渡し、
「こういうの探してみ~」
俺からメモ用紙を受け取ると、その絵を見て思い当たる物があったのか、一目散に
走って行った。
(灯篭の明かりを入れる所に隠してあるんだが……わかるかなローゼ?)
「あった~w」
しばらくして、ローゼの明るい声が聞こえて来た。
◇◇◇◇◇
「あぁ~、ありました~w」
ゲキの家の母屋の縁の下から、嬉しそうに出て来たエドナさん。
(エドナさん2つ目ゲットだな)
その声に続いて、庭の一本松からローゼの声が聞こえて来た。
「2つ目、あった~w」
(よしよし2人共、順調だよな)
と俺が思った時、
「3つ目もあった~w」
とローゼの声が庭の枯山水の方から聞こえて来た。
(あれ、ローゼが先にクリアしちゃったよ)
ローゼが地図を3枚合わせて、プレゼントのありかを見つけたようだ。
地図に書いてある蔵へと走る。
それを見て、ゲキから蔵の鍵を預かったクレアさんもローゼを追いかけるように
走って行った。
別にこれは勝ち負けを決めるゲームでもないので、今だ最後の1つを見つけられ
ないエドナさんに声を掛ける。
「エドナさん、何が解らないの?」
「あっ、はい……」
俺の元にやって来たエドナさんが、最後の箱のヒントを読む。
「えぇ~と、服を脱いで裸になったり、裸から服を着る所……」
(ああ、なるほど……でもこれってすぐに思いつかないかな?)
俺がそう思っていると、
「でぇ~お風呂の浴槽を見たんですけど……無くて」
(おっ、おしい~)
「で、自分の寝室も探したんですけどぉ~」
「ん?寝室……」
「えッ、あ~部屋で寝る時はいつも裸になるから」
「えっ!」
驚く俺に、エドナさんが不思議そうに聞く。
「裸で寝るのがそんなに驚きですぅ~の」
(確かに、寒い地方でそう言う習慣があるとは聞いたことあるが……)
「いや、俺はパジャマ着て寝る派だから……」
「あ~そうなんですか」
と言いながら何かを思い出したように言った。
「そう言えばぁ~、この前寝坊した時、お超しに来てくれたゲキさんも驚いていま
した」
「えっ、ゲキが!」
「はいw」
驚く俺に、普通に返事をするエドナさん。
思わず俺はゲキをチラっと見ると……。
目を逸らしやがった。
(お前、エドナさんの裸……見たんだな)
◇◇◇◇◇
エドナさんも無事、脱衣所にある宝箱を見つけ、地図を完成させ、プレゼントの
置いてある『撃心流の武器の展示室』(ゲキの家の離れにある)に向かう。
鍵を持ったゲキもエドナさんを追いかけ向かった。
今俺達は母屋に居る。
櫻ばーちゃんは、2人のケーキを人数分に分け、人数分の”番茶”を入れてくれ
て、皆のプレゼントを手にした2人とその付き添いのクレアさんとゲキを待って
いるところ。
そこへ、
「皆さんありがとうございますぅ~」
「ありがと、皆」
と手ぶらのエドナさんに、皆のプレゼントを半分こして持ったローゼとクレアさん……。
に遅れて、エドナさんのプレゼントを抱えながら帰ってくるゲキ。
全員が席に着き、エドナさんとローゼの誕生日ケーキをいただく……?
って、
(ん?ケーキにおはぎ……)
各人に切り分けられたケーキが乗った皿の上には、ケーキと”おはぎ”が載っ
ていた。
(ん、まぁ、ばーちゃんのおはぎは、美味しいけどね)
【因みに2人へのプレゼントは以下の通り】
≪エドナさんへのプレゼント≫
・ミオン →『ハート型エプロン』
ピンク色の可愛いエプロン。
何故か、これを着てお菓子を作ってる横で、ゲキがデレデレする絵が頭に浮かぶ
俺。
・俺 →『スニーカー』
これは、クレアさんに贈った理由と同じで、こっちの世界で革のブーツを履いて
いたんでね。
・シノブ →『シャルルのバック』
こいつホントこれの一点張りだよな。
・アイーシャさん →『木彫りのエドナさん人形』
これも、まぁそうなんだけどね。
・ニールさん →『眠りの鈴』
これ、この鈴の音を聞いた者は約10分くらい眠ってしまうらしい。
範囲は半径100mだそうだが、これをエドナさんに贈る意味をこの時は不思議
に思っていたが、これが後々役に立つ。
・クレアさんさん →『弓用胸当て』
まぁ、エドナさんの武器が弓を使うのでとしか言えないね。
・シュイ →『言霊のお札』
こらは、一種のICレコーダーのように言葉を吹き込めるらしい。
シュイは子供の時、アリバイ工作で使っていたらしいが……。
何のアリバイ何だろうね。
・ローゼ →『ローゼ手作りミスリル製のマグカップ』
これもいつもの定番だけど、使い勝手は良い。
・ソフィー →『迷彩のマント』
これは、俺がニールさんからもらった”透明マント”の廉価版。
所謂、光学迷彩の効果があるらしく、周りの景色に溶け込めるが……。
唯、動くと像がぶれてしまうらしい。
これをソフィーは子供の時、かくれんぼに使ってたってことだ。
(流石お姫様だねw)
・ゲキ →『Jショック(完全防水の腕時計)』
これ、クレアさんの時と同じ……って、実はゲキも持っていて3人お揃いって事
みたい。
【ローゼへのプレゼント】
・ミオン →『作業用つなぎ』
まぁ、バイクの修理などに使う”作業用つなぎ”
色は山吹色で、結構可愛いと思う。
(このあたり、ミオンのセンスは良いと思うわ)
・俺 →『スニーカー』
エドナさん、クレアさんに同様、こっちの世界ではこの方が実用的だろうと……
俺は思う。
・シノブ →『シャルルのバック』
またまたワンパターンのシノブ。
シノブには、悪いが、もらったローゼは一瞬固まっていたようだ。
・アイーシャさん →『木彫りのローゼ人形』
こちらも定番。
・ニールさん →『壁登りのブーツ』
これは、アニメ”キューティーバニー”も使っていた”反重力ブーツ”と同じよ
うに、壁や天井を普通に歩けるらしい。
・クレアさんさん →『皮のグローブ』
これも、トマホークを扱うのにフィットするように作られた以外は、特別なも
のではない。
・エドナさん →『お誕生日ケーキ』
これは説明のしようがない(笑)。
・シュイ →『身代わりのお札』
これは、”身代わりの指輪”と同じで木で出来たお札で、お札についている紐の部
分を首にかけ身につけておくものらしい。
・ソフィー →『閃光の指輪』
本来イーシャイナ王家では、不意に敵に襲われた時に目くらましとして使ってい
るそうだが、近接攻撃のローゼには向いているアイテムになるかもしれない。
・ゲキ →『鍛冶用の金鎚』
これは、鍛冶をする時に使う金鎚としか言えないね。
・甚平おじさん →『バイク整備用道具一式』
日頃、熱心にバイクの修理を手伝うローゼに甚平おじさんからのプレゼント。
ローゼはこれを一番喜んでいたようだ。
◇◇◇◇◇
ケーキとおはぎをいただき、皆でばーちゃんの入れた番茶を飲んでいると、
突然、お茶をすすっていたばーちゃんが立ち上がり言った。
「おや、お客のようじゃ」
(へっ?なんでわかるの)
ゲキの家には、呼び鈴やインターホンと言った、たぐいのものはない。
しかも、ここの母屋から玄関はかなり離れていると言うのに……。
(恐るべし、「撃心流」)
今回のエドナさんとローゼの誕生会の企画は所謂、宝探しゲーム。
豆ごはんも誕生会ではしませんが、BBQでこの企画をしたことがあります。
これを夜にして、男女カップルを組んでやりますと……。
花が咲くことも……。
あったかなw




