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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第4章 えっ!こっちでもヒーロー!?(学園編)
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179話 下峠櫻登場!


「切るように……」


と言いながら、持っていたしゃもじで、切るしぐさをし、俺に渡すさくらばーちゃん。


「あっ、はい」

 

俺は、ばーちゃんからしゃもじを受け取ると、ばーちゃんは、大きな寿司桶にご

飯を入れさらにお酢を掛ける。


 俺は、ばーちゃんに言われた通り、酢とご飯が混ざるように、しゃもじを切るよ

うに動かし混ぜる。


(これで良いのかな?)


 ばーちゃんは、ご飯とお酢を混ぜる俺の横で、団扇でご飯を仰ぎ冷ます。


(たぶんこれであってるんだ)


 今日はエドナさんとローゼのお誕生日会。


 ここはゲキの家で、俺は櫻ばーちゃんと2人で、チラシ寿司を作っている所だ。


 そして、俺の目の前に居るこの不愛想なおばあちゃんは、さくらばーちゃ

んこと、下峠櫻しもとうげさくらさん。


 御年78歳。


 本来エドナさんの誕生日は10月7日なのだが、体育祭や文化祭……って殆ど俺

の場合文化祭の準備に追われ、10月も半ば、中間テスト終わりのこの日になった。


 また、ローゼの誕生日は10月25日と、まだ日があるが、次いでと言ってはロ

ーゼがかわいそうだが、この後もいろいろ俺達にはすることがあるので、俺とシュ

イの時同様、合同開催することになった。


 また、何故今回ゲキの家でするかについては、うちの父さんが考えたお誕生会の

企画にはここがちょうどいいからなんだけどね。


(当の本人は会社の出張でいないけど)


 また、ここで誕生会をするにあたり、さくらばーちゃんには、前回異世界のブレイブ

基地で行ったクレアさんの誕生会をンドワン国大使館で行ったと、皆で口裏を合わ

せてはいるが、ばーちゃんがそれを信じたか?ってのは、少々疑問が残る所だが…

…。


「ちーと仰ぐの変わっておくれ」


「あっ、はい」


俺はばーちゃんから、団扇を受取り、ばーちゃんに変わって仰いだ。


 その間に、ばーちゃんは黙って冷蔵庫から、『干し椎茸の煮物』『酢れんこん』

『錦糸卵』などを出し、


”トントントン”


 寿司桶近くに置いてあるちゃぶ台に置いた、まな板の上で『干し椎茸の煮物』を

細かく切るばーちゃん。



「……」


「……」


”トントントン”


 しばらく沈黙の後、今度はちゃぶ台のまな板で『絹さや』を切りながらばーちゃ

んが不意に聞く。


「ゲキがたまに変なんじゃが……お前さんなんか知らんか?」


(ギクッ!)


唐突に言うばーちゃんの言葉に一瞬びくりとしたが……。


”トントントン”


なにごともなかったかのように、ばーちゃんは今度は『錦糸卵』を切り出した。


「変わった……ってどう変わったの?」


「……」


(いや、黙っていたらわかんないって)


”トントントン”


「例えば色気づいたとか?」


と俺から聞くと、


”トントントッ”


急に『錦糸卵』を切るのを止め


「いや、それはお前さんのせいじゃろうて」


「はい~ぃ、何で俺のせいなの!」


と俺が聞き返すが、それには答えず止めた手を動かし始めて、


”トントントン”


”サー”


切り終わった材料をそれぞれトレイに入れてから、ぽつりと言った。


「界転移っ……」


「はいぃ~!かいなんだって?」


驚く俺に更に言うばーちゃん


「界転移っ……神隠しのようなもんじゃよ」


「神隠し!?」


俺が更にわからないって、ジェスチャーすると、ばーちゃんは、ぽつりぽつり話し

出した。


 ばーちゃんの話によると、大昔良く日本各地で言われる”神隠し”急に子供がい

なくなる現象があるのだと言う。


(それは俺も知ってる)


 ”神隠し”は、この世界に居た者が消えることで、ばーちゃんが言う”界転移

”もある意味”神隠し”と同じなのだが、消えるだけでなく、この世界に本来い

るはずのない存在の者が現れるのも含むのが”界転移”なんだって。


 その時、通常の人間にはわからないが、撃心流で気を扱うことに長けた下峠の人

間には感じるのだそうで、ゲキからそれが感じられるそうだ。



(う~ん、鋭い!って言うか、半分正解!)


(それに関しては俺のせいだは、ばーちゃん)





◇◇◇◇◇





”ブーン、キー”


”ドッドッドッド”


”カチ”


バイクがとなる音と共に、


「ただいまぁ~」


玄関からミオンの声がした。


「おかえり~」


俺が玄関のミオンを迎えに行くと、玄関わきで中をこっそり覗くミオンと、その横

で、オードブルを持ったクレアさんが立っていた。


「ゲキのおばあさんは?」


と俺におっかなびっくりの表情で聞くミオン。


「ああ、奥に居るよ、今、チラシ寿司を作り終えたとこ」


「そう、……よかった」


そう言って、クレアさんより先に玄関に入るミオン。


「じゃ、これは私が持っていきますね、ミオンさん」


「うん、助かる」


そう言ってクレアさんは玄関から奥の間にオードブルを持って入って行った。


 このミオンの奇妙な行動の訳はと言うと、一言で言えばミオンにとって櫻ばー

ちゃんは、天敵と言うか苦手な存在なんだよ。


(確かに不愛想だけど……根は悪い人じゃないんだが)


 ミオンが、櫻ばーちゃんが苦手なのは知っていたので、今回はお弁当屋さんに頼

んでおいたオードブルを取りに行ってもらっていた。


 また、エドナさんとローゼは俺の家いる。


 これは、当初エドナさんが自分の誕生ケーキとローゼの誕生ケーキを自分で作る

と言っていたのを聞いた うちの かーさんが、それは”かわいそうよ”って言うん

で、当初はうちの かーさんが2つとも作る予定だったが、エドナさんがどうしても

ケーキを焼きたいと言うので、エドナさんのケーキは、うちの かーさんが焼き、ロ

ーゼの分はエドナさんが焼くって事になり、今俺ん家で焼いている所。


 そして、ローゼは出来たケーキをゲキの家に運ぶ役と言う訳。


 このローゼの役割については、うちの とうさんの企画を遂行する為でもある。


 ローゼがうちの家にいる間に、シノブとアイーシャさんで、ある物を甚平叔父さ

んの家に取りに行ってもらっている。


 そして、ゲキとソフィー、シュイの3人は、近くのディスカウントストアで、飲

み物を調達してもらってるところだ。


 ミオン、クレアさんに続き、飲み物を買いに行ったゲキ達やシノブ達も戻り、残

すはローゼとエドナさんが揃えば、”会”の始まりてことになる。





◇◇◇◇◇






 まず、2つのケーキにローソクを立て、火をつける。


 ―『お誕生日の歌』を全員で合唱♪♪♪w


「じゃ、エドナさん、ローゼ、蝋燭の火を吹き消して♪」


そうミオンが言うと、エドナさんとローゼが揃って蝋燭の火に息を吹き付けた。


「ふぅ――!」



「「「「「「「「「Happy Birthday エドナさん、ロー

ゼ~♪」」」」」」」」


\\\パチパチパチ///


と皆で拍手し、エドナさんとローゼに向け、皆なで一斉にクラッカーを鳴らした。


\\\パンパンパン///


 音とともに、エドナさんとローゼに向けられたクラッカーから、紙吹雪が降りか

かる。


「「わぁ~♪」」


そのタイミングで、俺とゲキが皆に飲み物を配り、エドナさんとローゼにミオンが

改めて言う。


「エドナさんとローゼの誕生日を祝してカンパイィ~♪」


「「「「「「「\\\カンパイ~///」」」」」」」


皆で飲み物をごくりと飲み干し、再び拍手する。


\\\パチパチパチ///



「皆さん、ありがとうございますぅ~♪感激ですぅ~」


「……あっありがとう皆」


エドナさんに一歩遅れてお礼を述べるローゼ。


 その間に、櫻ばーちゃんは黙々と、各自のお皿にチラシ寿司を入れて行く。


「それでは、いただきます」


「「「「「「「「「いただきまぁ~す」」」」」」」」」


「よーおあがり~」


全員が手を合し言う中、櫻ばーちゃんはそう言うと、自分の作ったちらし寿司を黙

々と食べ始めた。


俺達もまずは、ばーちゃんのちらし寿司から食べる。


「う~ん♪おいしぃ~」


まずはエドナさんが一口食べ感想を述べると、


「美味しいです師範w」


続いてクレアさんが、櫻ばーちゃんに言う。


それを聞いて、ばーちゃんも心なしか嬉しそうに見える。


(わかりにくいけどね)


「うん、美味しーねw」


と櫻ばーちゃんに向け満面の笑みでアピールするミオンをばーちゃんは、チラっと

見てそして目をそらし、


「……」


無言でちらし寿司を食べる。


それを見て固まるミオン。


そのタイミングで、


「おっ、美味しいです、櫻さん」


不器用にも、ばーちゃんに感想を言うローゼの言葉に、ばーちゃんは、一瞬笑った。


(今、ばーちゃん笑ったよね)










小さい時、家で作ってくれる”チラシ寿司”が好きでした。

 また、幼き頃、万国博覧会に親に連れて行ってもらった時の

定番も”チラシ寿司”。

こちらはお寿司屋さんのちらし寿司ですが、これと350mlの

ファンタオレンジを買ってもらいそれを会場で食べ飲みするのが

すごくうれしかったのを覚えています。


当時、ファンタは200mlだったので、会場で販売されるファンタの量に

感激をしていました。


大人になってから気が付いたのですが、会場のレストランがかなり高かったから、

うちの親、それでごまかしたようです。

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