17話 GUY BRAVEのエネルギー
「さぁ!反撃だ!」
俺はそう言うと、右腕をワイヤーアーム、左腕をフレイムアームに変えてから、Unicornを呼び出し、
「聖獣合体だ!こいUnicorn!」
とUnicornに言うと、
≪Charge up Kentauros≫
頭の中のカーソルを選択する。
ここからの合体シークエンスは、前回同様に自動で行われる。
俺は自分の意思とは関係なく、Unicornに向かって走りだし、
Unicornも俺の方に向かって走って来て、俺とUnicornがお互い迫る中、俺はジャンプする。Unicornは空中にジャンプした俺目掛け額の角を飛ばす。
Unicornの角はみるみるでかくなり、ランスへと変わる。俺はそれを受け取ると、空中で体をひねり向きを変えそのままUnicornの方に落下していく。
Unicornと落下する俺が交錯する寸善、Unicornの頭が胴体に収納され、俺の下半身が首のなくなったUnicornの胴体と合体する。
「完成!Kentauros!」
とまたもや俺の意思に反し、自動的にこの恥ずかしいセリフを叫んでいた。
(後で、シノブを説教しよう。)
と俺は心に誓いシノブ、ゲキ、時田さんが居る所に駆けつける。
「待たせたな!」
と俺が3人に声を掛けるとシノブ、ゲキ、時田さんはそれぞれ俺を見て、
「Oh!Curazy 」
「これが……セイアなのか!?」
「ほう……なるほど」
と声を上げる。
(どうでもいいけどシノブ……CurazyとはなんだよCurazyとは……)
って思ったんだけど、後でシノブに聞いたら、Curazyは、褒め言葉らしい……
それはさておき、俺は3人を俺の後方に下がらせる。
そして、直ぐにトロールに向けランスを持っている右手を飛ばす。
「ブースドワイヤーナックル!」
勢いよくランスを持った右手が、トロールの頭部をぶち抜いた。
と同時に俺は左腕のフレイムアームをつき出し、掌の穴の開いた部分から炎を噴射する。
「フレイムストーム!」
トロールのぶち抜かれた頭部の傷口を炎で焼いて行く。
「あっ!くっそう」
デロベ将軍が焦ったように言った。
「焼くと再生しないのか!」
とゲキが、感心している。
俺はトロールが頭を失いその場で崩れるのを見ながら、すぐさまダイヤウルフに照準を着け、
「ミサイル発射!」
Kentaurosの背中(Unicornの背中、丁度馬の鞍を載せるあたり)の両サイドがスライドして、左右それぞれ3つづつ空いた穴から”ボシュ!ボシュ!”と音を上げ、煙をまきちらしながら、6つの穴から次々とミサイルが、上空に目掛け発射されて行く。
俺にロックオンされたダイヤウルフは、右往左往して逃げようとするが、追尾付のミサイルは逃げ惑うダイヤウルフ6匹に次々に命中する。
「「「「「「キャイン、キャイン、キャイン」」」」」」
”Boom!””Boom!”爆音を上げダイヤウルフが倒れて行く。
その間に残ったダイヤウルフを、ゲキが気を放ち、
「撃心流奥義の1つ 真空切り!」
時田さんがスナイパーライフルで一匹のダイヤウルフの眉間に銃弾を叩きこみ、シノブがグレネードランチャーを”ボシュ”と放って、あっという間に残りの3匹のダイヤウルフを倒してしまった。
愕然とするデロベ将軍。
「私にかかれば、ざっとこんなものよ」
何故か自慢げに言うミオン。
胸を張るミオンを俺達は無視して、デロベ将軍の方に向き直った。
「斯くなる上は……奥の手じゃ!」
デロベ将軍は、剣を抜いて天にかざすと、持っていた剣が見る見る赤い光に包まれて行く。
「お!レーザーソード!」
と目を見開き嬉しそうに言うミオン。
(確かに、あの特撮の宇宙刑事の人の剣のようだが……)
俺はそう思ったが……デロベ将軍は、さらに全身から炎を噴き出して……デロベ将軍の体を火球が包み込む。
≪One’s Name De´rober General≫
≪Height 2Meter≫
≪Combat Power 40,000≫
≪Energy 10,000≫
≪Weapon Power 30,000≫
≪Signature Move Flame≫
≪Body Temperature3,000℃≫
(え!戦闘値が上がってるし……3,000度って!)
「「う……」」
デロベ将軍の放つ火炎の熱でゲキ、シノブ、時田さんが顔をしかめ体をのけぞらせている。
「ぶっはっはぁはぁー!!俺の底力を見たか!」
不敵に笑いながらテロベ将軍は俺達に言い放った。
「みんな下がって!」
そう俺は3人に言うと、持っていたランスを地面に突き刺し、両腕をフリーザーアームに変えて、両手をデロベ将軍の方に向け掌をいっぱいに開いた。
「フリーザー ブリザード!」
両掌の冷凍ガスの吹き出し口から勢いよく冷凍ガスが噴射する。
”シューーーーーーーーーー”
噴き出した冷凍ガスは、お互い絡み合いデロベ将軍の体の周りの火球にぶち当たる。
”シュージュワジュワジュワ~”
火球に冷凍ガスがぶち当たり、火球炎の勢いが削がれるも、消すところまではいかない。
「はぁはっはぁ!その程度ではこの火球は消えぬは!」
「そろそろ、こちらから行くぞ!」
そう言って火球に包まれたテロベ将軍が、ジャンプしようとした時、トラックのホロから1人の男が飛び出してきた。
「あ!ニール様~」
その男を見て、ソフィーが叫ぶ。
そう言われた男は、ソフィーにニッコリ笑うと何やら呪文を唱えながら俺の側まで走り寄ってきて、持っていた杖を振りかざし、
「我、冷たき心にて、悪しき者を極寒の監獄へと誘う」
と言う。
その時、テロベ将軍は空高くジャンプし、俺達に向け赤い光で包まれた剣を振りおろしてきて、
「必殺!フレイムダイナミック!」
と、叫んで俺達の方へ空中から落下してくが、……
俺の側に来た男が、かざした杖を素早く、襲いかかるテロベ将軍に向けて、
「”Absolute Zero“!(絶対零度)」
と叫ぶと、杖から物凄い冷気が俺の放ったフリーザーブリザードと合わさって、デロベ将軍を包む火球を打ち消した。
「なっ!……」
”ひゅ~~……ゴトン”
次の瞬間、氷に包まれ身動きできないデロベ将軍が、俺の前に落ちてきた。
「勇者殿!止めを」
俺は男にそう言われ、頷いた。
「ミサイル発射!」
背部から6発のミサイルをテロベ将軍に向け発射した。”ボシュ、ボシュ”とミサイルは空高く上がったところで、軌道を変え6つのミサイルが全弾命中し、大爆発を起こした。
”ボァ~ンーーー”
ミサイルがデロベ将軍に当たる瞬間、俺の側の男が魔法で障壁を展開し、俺達を守ってくれた。
直後、頭の中に”テレレレッテッテレー♪”とあのファンファーレが鳴り響き、Lvの文字が頭に浮かぶ。
≪One’s Name GUY BRAVE≫
≪Lv7≫
≪Combat Power 60,000≫
≪Energy20,000/35,000≫
(レベルが上がった……しかも3つも)
って思っていたら、俺の側に来た男に声を掛けられた。
「はじめまして勇者殿、私はイーシャイナ王国 魔法省のニール・ラーキン
です。」
と頭を下げる男の顔をじっくり見た俺は、
「あ~っ!あの時の人♪」
◇◇◇◇◇
セイア達がいる干上がった川から、1km位離れた場所。
赤茶けた土が地面を覆う。
そこに1人の男が三俣の槍を持って立っていた。
長く伸びた白髪を逆立て、白い、フードがないローブのような物を着ている。
その男は、何やら地面を覗きこみ、持っていた三又の槍の柄の方で地面をほじくり返し、そして地面に向かってお揉むろに話しかける。
「ざまあ、ないな」
と見下げる男に地面から声がした。
「ぷっぺ~、ぺっぺ」
地面の中で、口に入った砂を吐き出したのは、頭だけになり地面に埋もれていたデベロ将軍だった。
「お~!良いところに来た……出してくれ」
「ふん」
男は、頼むデロベにそう言うと、三又槍の柄の部分でデロベ将軍の頭を”ひょい”っとすくい上げ、その頭を足でリフティングしながら、
「あれだけ豪語しておきながら情けない奴だ。」
と蔑むように言う。
「おっ!お……おい、やめろ!やめてくれ、痛いじゃないか」
男に蹴られ続け、そう叫ぶテロベ将軍。
「帰ったらフロワ様にどう言い訳するか、楽しみだなっ!」
っと言ってリフティングから、右足で思いっきり空中高く、デロベ将軍の頭を蹴った。
「あ~れ~~~ぇ~~!」
空中高く飛んで行くデベロ将軍の頭に向かって、三俣の槍を向けると、
「Transfer!(転送)」
と叫んだ。空高く舞い上がったテロベ将軍の頭が、やがて虹色の阿波粒に代わり消えて行った。
やがて、男も……
「Transfer!(転送)」
と言って地面に三俣の槍の柄を突き立てると、男も虹色の阿波粒へと代わり消えて行く。
男の名は……サディコ将軍。
◇◇◇◇◇
「はじめまして……って言っても一回教室で会ってますが……もうお身体は大丈夫なのですか?」
と俺はニールさんに聞いた。
「お陰さまでもうすっかり……っと言っても魔力切れだっただけですからね♪」
と苦笑いするニールさん。
「俺の名前は大鷲青空です。……みんなと同じでセイアと呼んでください。」
「あっ!……わかりましたセイア殿」
そう言うと、何故だかお互い笑いだした。そこへ、ミオンとソフィーがやってきた。
「セイア様ご無事で……」
と安心したように微笑むソフィー。
「うん、何とか再変身出来たから……」
とソフィーに微笑む俺。
「でもさ、何でエネルギー切れしてたのに再変身出来たの?セイア。」
とミオンが俺に聞いてくる。
「いや~……俺にもよくわかんない。」
と俺がミオンに言い返すと、それを聞いていたニールさんが、
「それは、たぶん、姫様のせいですよ。」
ニコニコ笑いながら俺達に言うニールさん
「「ソフィーのせい!?」」
俺とミオンがハモる。
「はい……っ。先ほど、セイア殿と姫様が抱き……キスをなさったせいだと思います。」
ニールさんのその言葉に俺とミオンが目を剥き、ソフィーが顔を真っ赤にして俯いた。
「ど・どっ、どういうことニールさん!」
と動揺しながら聞くミオン。
(なんでお前が動揺してんだよ!)
と俺は心で思ったが、何も言わず黙っていた。
「たぶん……勇者……GUY…… BRAVEのエネルギーは姫様の魔力だと私は推測します。」
「「「え!ぇ~~~」」」
それを聞いて俺、ミオン、ソフィーが驚き3人同時に叫んだ。




