175話 やっちまった俺( 体育祭)
シノブに撃たれたジャバ、ザヒール、ナミルの3人の足から、時田さんを初めワ
ールドディフェンサー社(シノブのお父さんの会社)の人達がナイフを使いシノブ
の撃った弾を取り出す。
そうそう、今回の件でシノブの本名が、忍・マクギャレットだってことが分か
ったのと、シノブのお父さんのジェームズ・マクギャレットさんが率いる民間軍
事会社の名前がワールドディフェンス社って事が分かったんだけどね。
それはさて置き、
「「「ぐっぎゃ~!!」」」
3人の男が、傷口にナイフを刺され悲鳴をあげる。
3人から弾を取り出し、傷口をアイーシャさんが、呪文らしきものを唱え、治
療魔法で塞ぐ。
「キュア!」
アイーシャさんがそう叫ぶと、ジャバ、ザヒール、ナミルの3人の傷口は見る見る
ふさがり、何もなかったかのようになった。
傷口がふさがり、急に痛みが取れたことに困惑するジャバ、ザヒール、ナミル
の3人。
何度も傷口をさすりながら首を傾げる。
(あっ、それ魔法だからね)
その間に時田さんの別の部下(ワールドディフェンス社)の人達が、シュイに水
で鼻と口をふさがれ、呼吸困難で気絶したファハド、ジダンに人工呼吸と心臓マッ
サージを行い蘇生させた。
蘇生し、意識を取り戻したファハドとジダンに、時田さんが近寄りニッコリ笑っ
て言った。
「残念でしたねぇ~」
そう笑顔で言う時田さんに、意識が戻りたてで、状況が分かってない2人は
”ぎょっ”とした顔をするが、そのまま傷が治ったジャバ、ザヒール、ナミルの
3人と共に時田さんの部下(ワールドディフェンス社)に両手を拘束され、何処
かへと連れていかれるのだった。
後で聞いたら、日本の公安に突き出したらしい。
◇◇◇◇◇
後始末は、ワールドディフェンス社(シノブのお父さんの会社)の人達に任せ
て、俺達は一足早く飛行機でンドワン国大使館に戻った。
大使館で一泊した後、昨日の夕方こっちへ修学旅行から、帰っていてる俺達の
身代わり(プロキシ オートマトン)を呼び出し、入れ替わってから各自家に帰
った。
◇◇◇◇◇
あれから(修学旅行)数日後の秋晴れの日、今日は体育祭の日。
うちの高校の体育祭は、学年全体でクラス対抗で行われる。
マン研……ってか文化部の俺達(ゲキは除く)にはここで活躍するわけでもな
く、基本ただ、クラスで割り当てられた種目に出て、後は適当に応援してれば良
いんだけど、一種目だけ、どうしても気が抜けない種目があるんだ。
それは、クラブ対抗リレー。
厳密に言うと別に強制ではないんだけど、うちの顧問が、
「普段何もしてないんだから、こんな時くらいクラブの存在をアピールしとけ」
っておっしゃるのでねぇ……。
まぁ、これは別に勝ち負けを決める競技でもないから良いんだけどね。
普通に考えたら、運動部……ってか陸上部が優勝だからね。
お昼前、クラブ対抗リレーの予選が行われた。
グランド2週(約400m)を基本4人で走る。
まず、運動部A組。
エントリーされてのは、
第一コース 水泳部
第二コース 剣道部(但しゲキは出ないんだってさ)
第三コース 柔道部
第四コース テニス部
第五コース バスケット部
第六コース バレー部
第七コース 野球部
「位置についてよーい……」
”パン”
ピストルの音を合図に一斉に走り出す。
結果は、1位水泳部、次いでバスケ部、野球部、バレー部、剣道部、テニス部、
柔道部は初めの予想どおり最下位だった。
まぁ、海パンに水泳キャップに水中眼鏡のいでたちで何も待たずに走る水泳部と
比べて、他のクラブは、バットの素振りをしてから走る野球部やドリブルしながら
走るバスケ部、2人1組でレシーブとトスしながら走るバレー部に、ラケットで上
にボールをつきながら走るテニス部、竹刀を持って防具一式を付けて走り、尚且つ
バトンタッチの際はお互い打ち合う剣道部。
それに柔道部に至っては畳を背負いバトンタッチは背負った畳をコース上に置い
てから、そこで受け身を取ってのバトンタッチ……。
初めから結果は見えていたけどね。
(柔道部の皆さんご苦労様でした。)
続いて、運動部B組。
第一コース サッカー部
第二コース 卓球部
第三コース バトミントン部
第四コース ラグビー部
第五コース 登山部
第六コース スキー部
第七コース ゴルフ部
「位置についてよーい……」
”パン”
ピストルの音を合図に一斉に走り出す。
結果、サーカー部が1位、次いで以外にスキー部、ラグビー部、卓球部、バト
ミントン部で最下位はゴルフ部だった。
サッカー部が1人でドリブルしながら走ったのに対し、バトミントンは2人
1組で、撃ち合いながら走ったり、登山部は重さおよそ20Kgの装備を背負
って走り、卓球部は素振りしながら走ったり、ラグビー部は2人1組でパスし
ながら走り、尚且つ、バトンタッチが次の走者へのタックルだったのでかなり
ロスが出たみたいだった。
ゴルフ部はパター1本を持って走るだけなので、始めは早かったんだけど、バト
ンタッチがコース上に置いたパターの練習器具にボールを沈めなければ、次の走者
が走れないので、競技中に焦った走者がなかなかボールを沈められず最下位だった
訳。
見た目に反して、意外にスキーを履いて走った?滑ったスキー部は早かったと思
う。
続いて、文化部A組。
エントリーされてのは、
第一コース マン研部(俺、ミオン、シノブ、ソフィー)
第二コース 天文部
第三コース 放送部
第四コース 将棋部
第五コース ブラスバンド部
第六コース 華道部
第七コース 茶道部
「位置についてよーい……」
”パン”
ピストルの音を合図に一斉に走り出す。
俺達は、まんが研究部らしくコスプレで走る。
第一走者は、ソフィー、お姫様ドレスで走った。
ふわっとしたスカートを両手で摘み一生懸命走るソフィー。
しかし、その走りはあまりに遅く、他のクラブに次々と抜かれる……が、一生懸
命走りミオンにバトンタッチ。
ミオンがバトンを受け取り走る……キューティーバニーの格好で。
他のクラブはバトンタッチに時間が掛かてる。
天文部は、大きな模擬天体望遠鏡(ダンボール作)を渡す際、レンズ部分が取れ
て慌てて直してるし、ブラスバンドは大きなホルンを渡すのに手間かかってるよう
だし、華道部は口にくわえ走っていた1本の花を剣山に差し次の走者がそれを再び
抜いて走る。
放送部はダンボールで作った司会台を肩からつるして、インカムで実況しながら
走っているのだが、走者交代時にインカムの調子が悪くなり直しているし、
茶道部、将棋部に至っては、コース上にござを引きそこでお茶をたて、飲み干し
てから走るわ、コース上に置かれた将棋盤で詰将棋を詰めてから走るので、かなり
もたついている。
いつの間にかうち(マン研)が1位になっていた。
「そのまま行っけ~!」
と何故か興奮気味で叫ぶうちの顧問の先生。
(いや……これお遊びでしょう?)
ミオンからバトンを受取ったアルティメットマン タイガーの(平成アルティメ
ットマン初代と言われる)防衛チーム"ゴッツ"のユニホーム一式とヘルメットを身
に着けたシノブから、ガイブレイブに変身した俺がバトンを受取りそのまま独走で
1位になった俺達マン研。
2位以下は、ブラスバンド部、天文部、華道部、放送部、茶道部、将棋だった。
続いて、文化部B……結果だけ言うと、新聞部が1位で、次いで、写真部、生物
部、手芸部、科学部、演劇部だった。
お昼を挟んで午後一番にはクラブ対抗リレーの決勝戦が行われることになってい
る。
◇◇◇◇◇
うちの かあさんが作ったメンバー全員分のお弁当を、校庭の隅で皆で食べ、午
後のクラブ対抗リレー決勝戦に挑んだ。
決勝戦は……。
第一コース 陸上部(シードの為)
第二コース 水泳部
第三コース サッカー部
第四コース マン研部(俺、ミオン、ソフィー、シノブ)
第五コース 新聞部
なお、陸上部は1人で400m(つまり校庭2週)で、しかも、ほかのクラブが
走り出してから10秒後にスタートするハンディ戦。
って言ってもこの陸上部のランナー道慶君……100m高校記録保持者なんだけ
どな~。
「位置についてよーい……」
”パン”
ピストルの音を合図に陸上部以外が一斉に走り出す。
やはり水泳部が1番早い。
ソフィーも必死に走るが、どんどん他のクラブに抜かれて行く。
あっという間に最下位。
しかし、見学している生徒全員からソフィーへ声援が飛ぶ。
「「「「「「ガンバレーラグナヴェールさん」」」」」
その時、
”パン”
陸上部の 道慶君が猛スピードで追ってくる。
ソフィーは何とかミオンにバトンを渡し、ミオンも必死に走り、現在新聞部を
抜いて3位だったが、後から来た陸上部の 道慶君にあっという
間に抜かれ現在4位。
その後、シノブが頑張って3位に上がるが陸上部の 道慶君は先に
走るサッカー部、水泳部を抜いて1位になっていた。
(流石高校生記録保持者だね)
そして、バトンが俺にシノブから渡り、俺がガイブレイブの姿で走った。
ここで、俺が少し本気になってしまった。
(ガイブレイブが時速100kmで走れるのころっと忘れてたのよ)
あっという間に皆抜き去り、1位を余裕で走っていた陸上部の 道慶君に追いつい
てしまった。
(しまった!)
焦り、必死の形相で走る陸上部の 道慶君をしり目にあっという間にゴール
してしまった俺。
大歓声の中”やっちまった”感満載の俺に、呆然と立ち尽くす道慶君の姿が目
に焼き付いた。
◇◇◇◇◇
体育祭終了後、陸上部の顧問の先生に、俺はしつこく入部を進められたのは言う間でもない。
(トホホ)
今回のクラブ対抗リレーは、豆ごはんが中学生の時にあったクラブ対抗リレーを
ヒントにしています。剣道部、柔道部のリレーのシーンは実際に豆ごはんの
中学校であったことです。
因みに、豆ごはんはその時『生物部』で、麦わら帽子にプランクトンネット(プランクトンを採取する道具)を持って走りました(笑)




