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164話 オブリヴィオンの情勢と新装備(前編)




クレアさんのお誕生日会が終わって4日が経った。


が、


 依然、オブリヴィオン(魔王軍)の情報は皆無だった。


何処に居て、何を目的にしているのか……。


 今、俺達全員地下6階の中央コントロールルームで、オブリヴィオン(魔王軍)

について話し合っている訳だが、何の進展もないので、話し合うことすらない!

ってのが今の現状だ。


「こほん」


と時田さんが皆にお茶やコーヒーを入れ終わり、小さく咳ばらいをして、


「では、現状分かっていることからお話しては、如何でしょう」


「分かっていることねぇ……」


時田さんにそう言われ、俺は腕組みをしながら考えてみた。


「まず、何でか知らないけど……奴らはソフィーを狙っているんだよねぇ」


ミオンの言葉に、一同頷いた。


「それには、異論がないが……何故ソフィーさんを狙ているのかが問題だ」


ゲキの言葉に皆が腕組をして考える。


 その時、ひらめいたような顔をして、ミオンが言った。


「やっぱ無限の魔力じゃない」


「いや、それもだいたい察しがついてるけど、何故……ってか奴らはソフィーの無

限魔力が必要なんだろう?」


と言う俺の言葉に一同沈黙する。


その時、不意に りゅうじいちゃんが言った。


「魔王軍、魔王軍ってさっきからいっとるけど、そもそも魔王ってどんなやつなん

や?セイア」


「ん?魔王……そういや一度も見たことないな」


と俺が言うと、りゅうじいちゃんは少し呆れた顔をして、


「なんじゃ、敵の大将を知らんのか!」


と言う言葉に皆で首を横に振る……。


「えっ!ちょっとまちーや!ソフィーさんもニールさんもしらんのかいな!」


「「はい」」


りゅうじいちゃんの問いかけに声をそろえて言うニールさんにソフィー。


「じゃ、何でオブリヴィオン(魔王軍)って分かるんや!」


「それは、奴らがそう名乗ったから……オブリヴィオン(魔王軍)サディコ将軍だ

の、インヴィクタ大将軍……」


と俺が答えると、


「なんや、相手がいうとるだけかいな」


と叫ぶりゅうじいちゃんにニールさんが口を挿んだ。


「ただ、前回の(300年前)の勇者と魔王の記録を見ますと、インヴィクタ大将

軍やサディコ将軍、デロべ将軍なる名前が出てきておりますし、実際その名前を名

乗ているので、全く関係ないとは言えません、ですから魔王の名前も恐らくですが

、文献通りだとするとアロガンと言うようです」


「せやけど、昔の魔王の名前を語っとるって事も考えられへんか?」


「それは……」


とニールさんの説明に りゅうじいちゃんが反論すると、ニールさんは言葉を失

った。


その時ミオンが不意にニールさんに聞く。


「ねぇ、ねぇ、ニールさん、その300年前に居た魔王って、そもそもどうやって

倒されたの?」


「え……文献によりますと、アルブ王国から約18,000km離れた大海に浮か

ぶ島、オブリヴィオン島に居た魔王を勇者達が特別にあつらえた船で乗り込んで倒

した……とありますが……」


ニールさんの説明に、時田さんがボソッと呟く。


「その距離だと、ここの大陸(7ヶ国と1地域ある)の真裏になりますな」


「で、その島今でもあるんですか!」


と俺が口を挿むと。


「いえ、その島は魔王もろとも勇者の乗る船からの新兵器で破壊されたと記録さ

れています」


「「「「え―――!」」」」


ニールさんの言葉に、俺、ミオン、シノブ、ゲキが驚き、そしてミオンがすかさず

聞く。


「それって、ひょっとして波〇砲!?」


「波〇砲……かどうかは分かりませんが」


ミオンの問いかけにニールさんが戸惑いながら答えると、


「それやったら、魔王がその時死んだって保証はないんちゃうんか」


と りゅうじいちゃんがニールさんに聞く。


「はい、確かに……しかし、その後魔王は現れませんでしたし、確か島も跡形もな

く消し飛んだと記録されております」


「島は吹っ飛んだけど……海底に基地があるとか」


ニールさんの答えにミオンが言うと、


「せやったら、その後、魔王が現れんのはどういうこっちゃ」


と りゅうじいちゃんが言う。


その話を黙って聞いていたゲキがぽつりと言った。


「ひょっとして、魔王ってその時倒されたのではなく……俺達のように別の世界に

転移して逃げたのかもな……」


その言葉を受けシノブが言う。


「異世界転移……そのために、Missラグナヴェールの魔力が必要と言う訳かいM

r.シモトウゲ?」


「しかし、それならソフィーほどの魔力がなくても出来るんじゃないですか?ニ

ールさん」


と俺が口を挿む……言葉に、


「はい、その通りです……」


と言いかけたニールさんが、”はっ”として、


「あっ!ひょっとしたら……ヘルゲート(地獄門)かもしれません」


「「「ヘルゲート!!」」」


ニールさんの言葉に俺、ミオン、シノブが聞き返す。


「はい、この世界に居るドラゴン級の魔物が住む世界へ通じるゲートです。」


「でも何でそんなゲートが存在するんですか?」


ニールさんの言葉にミオンが聞くと、


「ケンタウルスを倒すため、我々の祖先達が作り出した物です」


「「「「え―――!」」」」




◇◇◇◇◇





 ニールさんの話によると、太古の昔、元々アルブ国があった森に住んでいたケン

タウルス達が突然全世界に向けて戦争を仕掛けて来たそうだ。


 当初、戦況は数の多いこの異世界の人類側が圧倒していたのだが、ケンタウルス

側が、数の不利を跳ね返す新兵器を投入したのと、圧倒的な機動力を持って戦況が

一変したらしい。


 その戦況を一変させた新兵器ってのが、今俺達ってか、ミオンが使っているブレ

イブロボ・Gの原型である、所謂アイアンゴーレム(ロボット)と、あの俺達が使

っているブレイブ基地の元となったケンタウルスの砦だったそうだ。


 何処にでもあっという間に戦力を送り込める機動力に合わせ、魔法攻撃以外の通

常兵器(剣や弓矢など)が通じないアイアンゴーレムの前にジリ貧になって行くそ

の当時の人類側。


 圧倒的な人類側不利の状況の中、ある魔導士が開発したのが、ヘルゲート(地獄

門)と言われる異世界の扉を開ける転移門だった。


 ヘルゲート(地獄門)を使い、地獄界と呼ばれる世界から強力な魔物をこの世界

に送り込みケンタウルスの軍勢にぶつけ殲滅する。


 その思惑は達成され、ケンタウルスを滅ぼしたのは良いが、今度はそのヘルゲー

ト(地獄門)から送り込んだ魔物達に人類側が苦しめられることになったらしい。


 その時突如として人類側に味方する勇者が現れ、一部の魔物達を倒し、また、倒

しきれなかった魔物達は、何カ所かに分けて封印し、同時にヘルゲート(地獄門)

を魔導士が封印し何とか一掃したらしい。


「その記録って……何で今までわからなかったの?」


ニールさんの話を聞いたミオンがぽつりと言う。


「元々我らエルフ族は国を持たない民でした……ケンタウルスが倒れ、そこに我ら

エルフ族が住み着き建国したのが今から2000年前、この話は当時から森に棲む

精霊のトレント達から代々我らエルフ族は、聞いてはいたのですが、他国にその記

録はなく、また、そのケンタウルス族達が森に棲んでいた痕跡もなかったのです」


ミオンの言葉にニールさんが語りだした。


「痕跡がなかったんですか?」


ニールさんの話に俺が口を挿んだ。


「はい、まったく……今のアルブ王国は、森に棲む精霊たちと私達エルフ族が

話し合い作った国なのです」


俺の言葉にニールさんがそう返事をして、話を続けた。


「ですから、私を初めエルフ族の人間はこの話を精霊のトレント達の作り話だと

思っていました」


「しかし、父ティムやエドモン王の話を聞いた時、これは単なる作り話ではない

と思い、セイア殿が現れた後、トレント達に話を聞き、現にあの砦があったこと

を考えるとこの話は、現実に起こったこの世界の出来事だと確信しました」


ニールさんの話にゲキがぽつりと言った。


「では、ヘルゲート(地獄門)はあると……」


「はい」


ゲキの言葉にニールさんは真顔で返事をする。


「せやけど、その話と今回の魔王との話はべつやろ?」


と聞き返す りゅうじいちゃんにニールさんは首を横に振り言う。


「いいえ、断定はできませんが……この話と魔王の事、それにソフィーの事

がつながるんですよ」


「「「「つながる~?」」」」


俺、ミオン、ゲキ、 りゅうじいちゃんがそう声をそろえて言うと、


「あくまでも現時点では、私の推測に過ぎませんが……」


と前置きをして、話を続けるニールさんだった。


(なんか俺……頭の中こんがらがってきた)





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