155話 カカ帝国攻防その2(イエス、マム!)
------ カカ広場---(シノブ視点)☆
僕と時田、それにMissアイーシャとMissゾメルが対峙するのは……。
以前Missシラトリが戦ったと言う体長12mのゴーレム達だ。
まずは、時田が自分の愛用のM24 SWS軍用狙撃銃で狙撃する。
”バーン”"ガシャ”
”バーン”"ガシャ”
”バーン”"ガシャ”
1発撃っては、ボルトを手動で操作し、次弾を発射する時田。
連続で3発とも、ゴーレムの弱点である口元を貫いているのは、さすが時田って
ことだな。
時田が連続で放つ3発の銃弾を浴びて口元が崩壊したことで1体のゴーレムの
動きが止まった。
「Bravo~♪時田」
僕は見事な仕事をする時田を褒めたたえた。
「一体くらいで喜んでないで、さっさと片付ける!」
Missゾメルが僕にそう言いながら、手に持った2本のTomahawkを、別
の1体のゴーレムの顔目掛けて投げつけたんだ。
「ダブルトマホーク~ブーメラン!」
Missゾメルが力いっぱい投げた2本のトマホークは、クルクル回転しながら、
”バキーン”
と大きな音をたてゴーレムの顔に命中。
顔を砕かれたゴーレムはそのまま起動を停止し、投げた2本のTomahawk
(トマホーク)はクルクルと回転しながら手元に戻り、ポーズを決めるMiss
ゾメル。
「Bravo~♪Missゾメル」
僕は思わずその光景に拍手を送る。
そんな僕に一睨みして
「だから、喜んでないで、さっさと片付ける!」
と言い放つMissゾメルに
「Yes, ma’am!( イエス、マム!)」
と思わず敬礼する僕だった。
◇◇◇◇◇
俺の最大の攻撃を受けても、ローマ風の鎧に身を包んだ男(インヴィクタ大将軍
)は健在だった。
が、
それが乗るロック鳥は……無事では済まなかったようだ。
インヴィクタ大将軍が張る障壁で傷こそ付いていないものの、その衝撃ってか
ショックで目を回し、意識がないようだった。
俺の頭に浮かぶ彼のデーターに、≪防御力200,000の攻撃無効と無敵鎧防
御≫とある。
決してゲームのデーターのように正確ではないが、防御力200,000の攻撃
無効とあった。
だから、俺の現在の攻撃力はざっと240,000。
なのでその差40,000分は、相手に攻撃が通るのでは?って思ってダメもと
でぶちかましてみた。
現実はゲームのようには行かず、40,000分の攻撃が通ったわけではないよ
うだが……。
(もし通っていたら、無敵鎧を着ているインヴィクタ大将軍は兎も角、ロック鳥は
≪防御力10,000≫だから、とっくに消滅しているはず……。)
しかし、その衝撃と言うかショックは、ロック鳥に影響を与えたみたいで、奴
は気を失い、今にも墜落しそうになっている。
(このままロック鳥と共に墜落してくればいいんだが……)
しかし、インヴィクタ大将軍はそれを察したのか、ロック鳥の背中から飛び上
がり……。消えた。
(えっ!)
しかし、次の瞬間俺の頭に≪Danger≫の文字の点滅と共に≪Enemy≫
の文字が点滅する。
(なに!)
見ると、目の前に槍を構えて俺に突進してくるインヴィクタ大将軍の姿が……。
咄嗟に、体を左に捻り回避しようとするが、傾いた俺の右の翼にインヴィクタ
大将軍の槍の刃が当たり、俺の右の翼を切り裂いて行った。
「しまった!」
◇◇◇◇◇
------ カカ広場---(ミオン視点)☆
シュイの作り出した水のドリルが、次々に大サソリの背中に穴をあけて行ったんだ
けど……。
4体……5体目の大サソリの背中に穴をあけている途中で、水のドリルが飛散し
、元の水に戻ったのよ。
(魔力切れみたいねぇ)
その場にヘナヘナと座り込み肩で息をするシュイに、
「お疲れ様~あとは私達がやるから~」
って私が声をかけるとシュイは無言で手を振って答えたわ。
それを見て、すぐさま私はロボに命令したの。
「ロボ、ツインショット!」
『マッシ!』
ロボは、シュイが穴を開けかけた大サソリの背中に向け、腰の2丁のショットガ
ンを発射したの。
”バコン””バコン””カチャ””カチャ”
”バコン””バコン””カチャ””カチャ”
”バコン””バコン””カチャ””カチャ”
”バコン””バコン””カチャ””カチャ”
”バコン””バコン””カチャ””カチャ”
左右合わせて計10発のショットガンの弾が大サソリの背中に叩き込まれたわ。
このショットガンは10GAと言って、直径19.5ミリの実包を使用するかな
り強力な弾なんだって♪。
10発のショットガンの弾を撃ち込まれた大サソリは、鋏を持ち上げたまま絶命
したわ。
◇◇◇◇◇
------ カカ広場---(シノブ視点)☆
「にょびろ~!」
Missアイーシャが、ゴーレムの顔を目掛け如意棒を伸ばしたんだが、
”コツ~ん”
と軽い音をたて弾かれてしまったんだ。
「にゃに!」
驚くMissアイーシャに僕は
「危ないから下がりたまえ」
そう声をかけて発射体制に入った。
「Fire!」
”ボシュ”
”シュルシュル”
火を噴き白煙を引きながら飛んで行く対戦車ミサイル。
そう以前、電龍戦で使用した対戦車ミサイルFGM-148 ジャベリンなんだ
よ。
”ドッカ~ン!”
ゴーレムは顔を庇おうと右手を上げるが、その右手事ミサイルは、ゴーレムの上
半身を粉々にしたんだ。
「YES!」
思わずガッツポーズをとり、そう叫ぶ僕に冷ややかな視線を送るMissゾメル。
「……」
「Yes, ma’am!( イエス、マム!)」
何も言わないMissゾメルに再びそう言って敬礼をし、次弾装填の準備を慌て
てする僕。
「はぁ~っ、まだ3体……で、後7体……あっもう!かったるい!」
「奥の手使うよ~皆~!!」
次弾装填の準備をしている僕の横でMissゾメルの言葉に、僕を含め時田や
Missアイーシャが首を傾げたんだ。
◇◇◇◇◇
俺とインヴィクタ大将軍は同じように今落下中だ。
先ほど、インヴィクタ大将軍が一瞬消えて再び俺の前に現れた現象は、恐らく彼
の能力の加速装置によるものだと思われる。
今、俺と共に落下中と言うことは、空を飛ぶ能力がないことが分かる。
落下中にも関わらず、何故そんなに落ち着いていられるか?って……それは落下
先が地面でなくカカ帝国の首都に流れるホンスー河に落下中だから。
まず、Phoenixを分離し送還する。
そして、新たにこの前レベルアップに伴い、オミットが解除されたWeiß D
elphinを召喚し合体する。
≪Charge up Triton≫
頭の中のカーソルを選択する。
すると、Weiß Delphinは、俺の真下に先回り
して背中の背びれが引っ込み大きな空洞が開く、そこに俺の下半身がすっぽりと治
まり、上半身がガイブレイブで下半身がイルカの形態になった。
と、同時に尾びれが変形し回転するスクリュウへと変わる。
「完成!Triton!」
”ドッボ~ン”
”ドッボ~ン”
(河に落ちる時、インヴィクタ大将軍は障壁を張らなかったよな)
俺は河の中で体制を整えながらそんなことを考えていた。
ホンスー河は、カカ帝国の首都トキン付近を流れる河で全長おおよそ100km。
幅は、上流で17km、中流で25km、下流(トキン付近で)35kmもあり
、大型船も航行できる深さを持っている。
今、俺が居るところで水深120m……かな?
インヴィクタ大将軍は、河底で立ち上がり徐に持っていた槍を突き上げた。
すると、大将軍の周りに5つの光が現れたかと思うと……。
"ピッ”
≪Enemy≫
≪名称 シーホース≫
≪戦闘力 800≫
≪防御力 600≫
≪スピード 300≫
≪MP 300≫
≪特技 バブル攻撃、尻尾による巻き付け≫
×5
(えっ、え―――――っ)
(シーホースってここ淡水だよ~!)
現れたシーホースを見て驚く俺であった。
◇◇◇◇◇
------ カカ広場---(ミオン視点)☆
「秘儀!一刀両断!」
「ライトニングアロー!ディバイダー」
今、ゲキが大サソリの尻尾の関節部分を切り飛ばし、そこにエドナさんが電気を帯
びた矢を打ち込むという2人の見事な連携で、1体の大サソリを倒したところなの。
その間に私はロボに命令し、別の1体の大サソリと戦闘中。
私の命令で、大サソリの尻尾を掴み、同時に足でサソリの背中を踏みつけ尻尾を
引きちぎる。
”ブチ”
そして、尻尾が取れ胴体の穴の開いた部分に……。
「ロボ、速射破壊銃!」
『マッシ!』
”バリバリバリバリ”
ロボの左腕に装備されたGECAL 50が火を噴き、また1体、大サソリを倒す。
「ふぅ~後3体ねぇ」
と私が息を漏らした時、残り3体のうちの1体が、私や、ゲキ、エドナさんの隙をついて、
ソフィーやニールさんクレアさんが守るアルバトロスに向かったのよ!
「ヤバイ!」
傭兵(民間軍事会社)の恩曽氏もローゼにはタジタジのようです。




