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152話  カカ・フォ皇帝



只今、ホンスー城(赤城)の『鳳凰の間』で、俺達の歓迎の宴が始まった所。


 広さは、ほぼ3LDKのマンションがすっぽり入るくらいの大きさで、そこに

12人掛けの大きな円テーブルが左右に2個ずつ5列並んでいる。


 部屋に入って右奥の円テーブルに俺達(シュイを含む)12人が着席し、その左

手にはカカ・フォ皇帝とその家族の座るテーブルがあり、順に大臣クラスの貴族が

座る席、軍の幹部が座る席などが続いて行く感じ。



「カンペイ!」


「「「「「「「「「「カンペイ!」」」」」」」」」」


皇帝が席を立ち皆に向かってグラスを持ち上げ言うと、他の人々は席に着いたまま

グラスを持ち上げ互いに”カチン”とグラスを当てて飲み物を飲み干した。


(あれ?全員立たなくていいのか?)


 皆が飲んでいるのは、ここで”白酒”と呼ばれるお酒で、”白”と言っても色は無

色透明で、所謂無色透明の蒸留酒の事らしい。


 因みに、醸造したままで蒸留していない褐色の酒を、黄酒というらしい。


 俺は、時田さんの計らいで、白酒ならぬ無色透明のサイダーで乾杯した。


 テーブルの中央には同じく円の2回り小さいテーブルが乗っていてそこに料理を

置き……回す!?。


(これって中華テーブルだよな)


 因みに、ここのしきたりでは円テーブルで座る場合、主賓格がテーブルを時計に

例えると、1時に座り、後は主賓の右に2番目の格の人で、3番目の格の人は主賓

核の左に座る……。


 つまり、第1位が時計の1時に座り、次が2時、12時、3時、11時、4時

、10時、5時、9時、6時、8時、7時となるらしいが、俺達に格は関係ない

ので、俺が1時に座った以外は皆適当に座る。


 俺達の席順はこうである。


 1時に俺、2時にソフィー、12時にミオン、3時にニールさん、11時にシュ

イ、4時にゲキ、10時にシノブ、5時にクレアさん9時にアイーシャさん、6時

にエドナさん8時にローゼラスト7時には時田さんが座った。


 本来、ここの仕来りに精通しているシュイが11時に座るのはおかしいのだが、

ミオンの「格なんてどうでもいいしょ」って言葉に即座にミオンの隣の席である

11時の席に着いたんだよ~。


(なんか企んでないかシュイさん)





◇◇◇◇◇





 宴会が始まり料理が次々運ばれ、それを各テーブルに居る給仕係のおねえさん

が順次よそう形。


 運ばれた、料理を順次よそわれ、食べるって事ではなく、その中から自分の好き

なものをテーブルの給仕係にお願いして、よそってもらう形みたい。


 因みに、俺達のテーブルの係はカリンダさんと言うインド系の美人だ。


 ふかひれ風のスープや、燕の巣的な中華系の料理以外に、カレーやタンドリーチ

キンのようなスパイスふんだんのインド系料理に加え、フォーのようなベトナム系

の料理もあった。


 俺は、大好きな肉団子にこれまた好きなナン(インドのパン)を取ってもらい、

ナンに包んでかぶりつくと、ミオンがそれを見て下品な食べ方だと言ったが、ふ

とシノブを見ると、あいつは饅頭を二つに割り、それに酢豚の肉をの挟んで食べて

いたので、ミオンに指差し言うと、それを見たミオンは顔を引きつれせて半笑い

していた。


 そのミオンの横で、シュイはかいがいしく給仕係でもないのにミオンの給仕をし

ている。


(シュイさん……魂胆見え見えなんすけど)





◇◇◇◇◇





 30分か40分経ったろうか、隣のテーブルに居たカカ・フォ皇帝が俺達の席に

やって来て、俺の横に立って言った。


「どうです、勇者殿一献いっこん


とお酒をつぎに来た。


「あっ、いや、その……」


俺は戸惑い考える。


(これ、断ったら皇帝の酒が飲めんのか!って怒られそうだな……ここは無理にで

も飲まないとまずいだろうな……)


と覚悟を決めて、


「はい、頂戴いたします」


と皇帝が傾ける酒瓶をグラスで受けたその時だった。


”バリ~ン”


”ドスン、ガシャン”


「キャー!」


 グラスが割れ、テーブルが倒されたような音と共に女性の悲鳴が聞こえた。


「何!」


「なんじゃ!?」


 俺と皇帝がその音の方向に同時に視線を向けた。





◇◇◇◇◇





 俺達のテーブルから3つテーブルを挟んだ最後尾のテーブルで、白目を()

き、体中から棘のある蔓が飛び出している男が見えた。


 その姿を見るなりニールさんが叫んだ。


「ラフレシアだ!危険だから皆下がってください」


ニールさんが叫ぶと同時に、その男が正面から倒れこむと、背中には何と大きな花

が咲いていた。


 後で、ニールさんに聞いた所によると、このラフレシアは、種で人の体に入り込

み孵化して、人の体を乗っ取り周りにいる人々を食い尽くす恐ろしい魔物なのだが

、本来この世界には生息しておらず、魔界と呼ばれる別の世界に生息してると言う

ことだった。


 そして棘のある蔓のような触手が周りに居た人々を襲い、掴んでは花びらの中

心にある口へと放り込みむしゃむしゃ食べだした。


 その様子を見たミオンが


「うわぁ、食虫植物!」


と叫ぶと、シノブはそのミオンに右手人差し指を立てて横に振りながら、


「ノン、ノン、あれは食虫ではなく、食人植物だよMissシラトリ~」


とにこやかに言っていると、


「ぐわぁ~!!!」


「キャー!!」


他のテーブルでも白目を()き、体中から棘のある蔓が飛び出している人が現

れた。


「のんきに言ってる場合か!」


 すぐさま、腰のサーベルを手に走り出そうとするゲキに時田さんが声をかける。


「下峠様!」


時田さんの声に振り向いたゲキに時田さんは、マジックボックスから取り出した斬

馬刀を放り投げる。


「忝い(かたじけない)」


ゲキは斬馬刀を受け取り走った。


 クレアさん、エドナさん、アイーシャさんは同じく武器を時田さんから受け取り

、ソフィーとカカ・フォ皇帝を初め、皇帝の家族の前に立ちはだかり護衛した。


「 チェインジング!(Changing)」


俺もすぐさま変身し現場に向かう。





◇◇◇◇◇





 会場護衛の騎士達が剣や槍でラフレシアに攻撃を仕掛けるが、逆にラフレシア達

の触手にからめとられ、武器を奪われた挙句……。


「「「「ぐわぁ~」」」」


俺が現場に着くまでに、もう4人の騎士がラフレシアに食われていった。


「秘儀!一刀両断!」 


 ゲキがラフレシアを真っ二つ切り裂くが……。


 切り離されたラフレシアは、すぐさまくっつき1つに戻る。


「なんだと!」


驚き叫ぶゲキ。


「火です!ラフレシアは火に弱い」


と唖然とするゲキの横に居る俺にニールさんが叫ぶ。


 俺はその声に振り向き頷くと、 


「フレイムアーム!」


両腕をフレイムアームに変え、炎をラフレシアに向け放った。


「Wファイヤーストーム!」


"キュ~”


 炎を浴びたラフレシアが鳴き声ともとれる音を発し、炎に包まれ動きを止め……

やがて燃えながら崩れ去って行く。


「Fire~!」


 その間に、背中に燃料タンクを背負ったシノブが火炎放射器の放射口を別のラフ

レシアに向け炎を放った。


"キュ~”


 先ほど俺の時と同じようにラフレシアが燃えながら崩れ去って行った。


そこへ、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんに他の護衛騎士の制止を振り

切り、皇帝がやって来て、残りのラフレシアの前に立つと、少し瞑想し、徐に……。


 口から火を噴いた。


「え!」


「What!?」


驚く、俺とシノブそれに


「無詠唱魔法!」


と口走るニールさん。


 皇帝が口から出した炎は、見る見る残り1体のラフレシアを焼きつくした。


そして、俺達に皇帝は振り返り、軽くウインクしてこう言った。


「わしも、中々のもんじゃろ?勇者殿」


(……っあっ、はい……ってかこの人何者?)


ニッコリ笑う皇帝に俺は心でそう思うのであった。






カカ・フォ皇帝のモデルは、あのアニメ。

9人の戦鬼の6番目の人です(笑)

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