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150話 クルクル回るのはやめなさい



 "どこでもミラー”の設置も終わり、少し名残惜しいところではあるけれでど、

(特にアイーシャさんは……)ここらで工房”プロトニーク”を後にする。


(まぁ、どうせ"どこでもミラー”でブレイブ基地と繋がってるのだからいつでも

来れるしね)


 夕方ごろギルド支部に着いた俺達は、荷物を部屋に置き、ついでに俺は手持ちの

1千万ジェイドの内、夕食代の10万ジェイドを除いてギルドの”預かり”をして

もらった。


 そして、前回夕食を取った”パルナス”で食事をして、その日は早めに就寝した。


 ただ、殆ど魔力を使っていないため、いつも魔力補給……ソフィーとの”チュー”

はなしだ。


(んー、何か物足りない)





◇◇◇◇◇






 それはさておき、次の日は朝5時に皆で起床し、早めに朝食を取って、ギルド支

部を後に、飛行艇が泊めてあるガーヴァニの港町を目指した。


 俺達は、朝の8時30分にはガーヴァニの港町に到着し、飛行艇に積んであるマ

ジックボックス大をシノブと時田さんが降ろし、中から飛行艇の燃料が入ったドラ

ム缶を数本出した後、ミオンが操るブレイブロボ・Gが飛行艇近くまで運ぶのを手

伝って、燃料を補給した。



「TAKE-OFF」


全員が乗り込み、席に着きシートベルトを締めたのを確認したシノブが言うと。


”ブルブルブル~”


”ブーン”


 2基のエンジンがうなりを上げてプロペラが回りだす。


やがて、ゆっくりと湖面を飛行艇が進みだす。


 水をかき分け、グングンとスピードを上げ、急にふわりと浮くような感覚で飛行

艇は空に舞い上がった。


 飛行艇(アルバトロスSA-16A)は、デンスアーラ共和国の上空から一路、

東へ進路を取り、カカ帝国へと向かった。


 飛行艇が安定飛行に入っると、シノブから”ベルトを外してもいいよ”と言われ

、俺達はシートベルトを外す……や否やミオンが叫ぶ。


「バニーフラッシュ!」


眩い光と共に変身し、現れた姿は……。


「アテンションプリーズ~」


前回同様、キャビンアテンダントに変身したミオンが、マジックボックスから飲み

物を出し、それをお盆に載せて、皆に配りだした。


(お前……それ、好きだねぇ~)





◇◇◇◇◇




 夕方6時30分夕暮れ時(夏なので)にようやくカカ帝国上空に到着した。


 飛行艇での移動中、ミオンがキャビンアテンダント格好でお昼のサンドイッチを

皆に配ったのは言うまでもないかな。


 カカ帝国上空でシノブは、着陸の目標物を探す。


「時田、あれだな」


操縦席に座るシノブが隣の副操縦席の時田さんに声をかけた。


シノブの指差す方を見た時田さんは、


「さようですな」


「そうか、思ったよりわかりやすいな」


 時刻は6時40分を過ぎ、あたりが暗くなりかけていたが、どうやらシノブは着

陸のための目標物を見つけたようだ。


 俺も飛行艇の窓から外の景色を覗いてみる。


 煌々と照らす魔光に照らされ浮かぶ大きな……広場!?


 南北1,000m・東西600mにわたる大きな広場。


 俺達の世界で言う世界最大の広場、中国の天安門広場より一回り大きい広場が見

える。


 その広場に同じく魔光の青い光の玉で、左右に広場いっぱいに長さ900mほど

点在している。


(あれは滑走路なのかな)


 俺達が乗る飛行艇(アルバトロスSA-16A)は、フロート部分にもタイヤが

備え付けられているので、陸上でも着陸できるのだが……。


「Captain(機長)よりCrew(乗組員)へ!当機は只今より着陸態勢に

入る!」


 少し緊張気味に、機長席からインカムで俺達にそう支持をするシノブの声に、急

いで席に着きシートベルトを締めた。


”ブーン”


 少し左に傾き高度を下げ始める飛行艇。


「時田!行くぞ!」


緊張気味にシノブが隣に座る時田さんに声をかける。


「どうぞ~おぼっちゃま」


それに対して、時田さんはひょうひょうとした感じで答えた。


”ブーン”


”ドスン”


下から突き上げる衝撃に


「「「「「キャ!」」」」」


とローゼ以外の女性陣皆が声を上げ、


「「どぉ~わ!」」


「あっ!」


俺とゲキ、更にニールさんも声を上げる。


”キュキュッ””キュルキュルキュル”


とタイヤが唸りを上げながら、音をたてたかと思うと、前からのGを受け俺達は少

しつんのめりそうになったが、やがて飛行艇は停止した。


「お見事おぼっちゃま!」


と副操縦席の時田さんが声をかけるが、その時、間髪入れずミオンが叫んだ。


「シノブ!へたくそか!」





◇◇◇◇◇




 俺達が飛行艇を降りると、そこには左右に革鎧にプレートを埋め込んだような鎧

を着た騎士達がずらりと広場の出口……ってか王城に続く入口までずらりと並んで

いた。


(あら、また大層そうなこと)


俺がそう心で驚いていると、前方の騎士の脇から細身の中華服(男性用チャイナ服

)を着た男が俺達の前に進み出て、一礼してから言った。


「遠路遥々ようこそお出でなさいました勇者様」


「えっ、はい」


俺がそう男にドギマギしながら答えると、男は


「わたくしは、今回皆様のご案内役を務めさせていただきますシュウ・グワンジア

と申します」


と再び深々と頭を下げた。


(ここのカカ帝国は、俺達日本人と同じで初めに苗字が来るはずだから、シュウさ

んだね)


俺がそう考えていると、”どうぞ”って感じのジェスチャーをするシュウさん。


「あっ、はい」


俺の短い返事を聞いて、シュウさんは歩き出した。


 俺達は、騎士達が並ぶ中をシュウさんに続いて歩く。


「なんか……偉く成った気分ねぇ」


と歩きながらミオンが言うので、俺は小さく


「ああ」


と周りに聞こえないように言ったのだが……。


 そこ空気を察しないシノブが大声でミオンに言う。


「Missシラトリ!なんせ、僕らは夢のお告げの勇者様御一行だからねぇ~」


(おい、よせ!恥ずかしいだろう!それに騎士達に聞こえたら……って、そうだ!

ここの人達、初めから知ってたんだった)


と変に心で気を回す俺であった。





◇◇◇◇◇




 俺達は大きな広場(カカ広場)から通路を通り、まずは、控えの間のような部屋

に通された。


 控えの間に到着するまでの間に、ミオンが案内人のシュウさんに質問したところによると、俺達が着陸した広場(カカ広場)は、南北1,000m・東西600mにわたるこの世界最大の広場だそうだ。


(恐らく俺達の世界と比べても最大だけど)


 カカ帝国の首都であるトンキンにあり、北は、トンキン随一の大通りであるシャ

ンチャン街が位置し、その反対側にホンスー城(赤城)の入口であるホンスーメン

(赤門)が位置しており、広場の中は、北からカカ英雄紀念碑、カカ王家記念堂、

が設けられ、広場の西側にはカカ大会堂(議事堂)、東には、カカ帝国宝物館があ

ると言うことだ。


しかも、月に1回、ここを一般市民も見学できるようになっているそうだ。


(帝国って割には結構、市民国民の事考えてるんだね)


 また、最近になって魔王の攻撃に対抗するため、この広場の地下には、地下城と

いうシェルターが作られ、ここは王族貴族だけでなく、一般市民も避難できるよう

にしているらしい。


(なんと優しい皇帝なんだろう……)


 この世界一の広場、そしてそれに準じるくらい大きなお城ホンスー城(赤城)。


 それもこれも、元々この国の南部でとれるスパイスの貿易で莫大な富を得たか

らなのだそうだ。


(さしずめ、俺達の世界で言うアラブの王様って感じなのかも)




◇◇◇◇◇





 皇帝に謁見するまでに、俺達は着替えたいと申し出たら、シュウさんは部屋のメ

イドに命令して、俺達を男女に分れた来客用のフィッテングルームに案内してくれ

た。



 着替えが終わり、再び俺達が控えの間に戻ってくると、俺達を見た案内役のシュ

ウさんやメイドが驚いたような顔をして出迎えた。


 そう俺達の出で立ちはと言うと、18世紀の軍属の服ってよりアニメ、ベルサイ

ユのユリ”のアスカルの服を参考にした服だったからだ。


 これは以前ブレイブ基地で皆で考え俺がデザインした服で、服の色は3種類、女

子がピンクで男子が紺。


 但し、俺だけは白。


 ミオン曰く”勇者なんだから、私達とは違う色にしたら”って言うことで俺だけ

白なんだ。


 色は違うが、デザインンは皆同じで、白い立て襟のシャツにベストそれに立て襟

の肩に金色のモップのようなフサフサが付き、袖の返しがある上着で、背中は燕尾

服のように2つに割れていて、それにベルトに白いズボンで膝下までの革のロング

ブーツを履いていると言う感じの服。


 ただ、その時はローゼが居なかったので、ローゼの分はないだろうと思っていた

ら、ローゼが仲間になることが分かった時点で時田さんが発注していたようだ。


(やっぱ似合ってないのかな……それともこの世界では受け入れてはもらえない

デザイン何だろうか……)


と少し俺が不安に思っていると、シュウさんが俺達に言う。


「何と!優美で且つ機能的なお衣装!……」


「流石、異世界からお越しになった勇者様とそのお仲間と言うことですなぁ~」


と、しきりに俺達の服を眺めながら言う。


側に居たメイド達もあこがれの眼差しで俺達を見つめていた。


「そうですかぁ~♪」


とその言葉を受けて、ご満悦のミオンがシュウさん達の前でクルクル回っている。


(クルクル回るのはやめなさいミオン)


意外とアスカル……(本当はベルサイユの〇ラのオ〇カル)の格好がこの世界では

好評のようです。

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