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146話 デンスアーラ共和国



 翌朝、朝食を早々に済ませた俺達は、ギルド支部の部屋を出て、乗って来たバイ

クをマジックボックスにしまい、王都マトマタ某所にある塔に向かった。


 本来ここは一部の関係者しか入れないのだが、ニールさんがウクラハンバ王国国

王から事前に許可をもらっているので塔の中にはすんなり入れた。


 つーても、王族専用の建物とかではなく、ここの王都マトマタがあるバル山の頂

上付近にもぼる為のエレベーターがある塔なのだが……。


 エレベーターと言っても俺達の世界のエレベーターとは少し違うと言うか……。


 うーん、どう説明したらいいかな……。


 あっ、そうだ!都市テネアのギルド支部に合ったプレッシャーリフト(水の圧

力でカーゴを押し上げる)の砂版って言ったら分かりやすいかな?


 要は、人が乗るカーゴ部分の下に砂を流して砂の圧力で、そのカーゴを持ち上げ

上昇、そして降りるときはその反対に砂を抜いて降りて行くんだが、プレッシャー

リフトのように人の乗るカーゴが揺れたりしないのでその点では快適なんだけど、

1つ難を言えば、上昇下降の速度が……遅い……遅すぎるって事なんだ。


 確かに、ここのバル山は3,000m級の山なので、俺達の世界のエレベーター

を使ったとしても、少々時間が掛かるとは思う……思うのだが……頂上に着くのに

1時間以上かかるのだ。


(恐らく、俺達の世界の超高層ビル用の高速エレベーターなら、10分とかからな

いと思うんだけどねぇ)


 エレベーターの扉らが開き、外に出る。


「ふぅ~やっと着いた」


ミオンが思わずエレベーターから出てそう漏らした。


 俺も心でミオンに同意するが……。


 そこから見える景色にしばし俺達は見とれた。


「うわぁ~きれいねぇ~」


「きれいですねぇ」


「大きい湖みたいですぅ~」


「水が透き通ってますねぇ」


「水辺がキラキラにゃ~」


ミオン、ソフィー、エドナさん、クレアさん、にアイーシャさん達が口々に言う。


 バル山北側の7合目あたりに、まるで火山の噴火口のように大きくぽっかり空い

た所に、満面の透き通る水を湛える貯水湖。


 湖面が太陽光を反射し、キラキラ光りとても奇麗だ。


(貯水湖にしては大きい……もはや湖)


このバル山だけでなく、ウクラハンバ王国の山々はかつては火山だった。


 現在は火山ではない。


 つーても、休火山だとか、死火山って訳でもない。


 俺も最近知ったんだけど、休火山や死火山って活動が人間の時間にして長く活動していないってだけで、実は活動する可能性はあるのだとか。


 なので、ウクラハンバ王国の山々はそれに当たらない。


 理由はよくわからないが、溶岩って言うかマグマって言うのか、それがきれいさ

っぱりなくなっているだって。


 火山の噴火口らしき物や、火山の特徴を多く持ってはいるけど、マグマがない。


 なので、希少価値のミスリルやオリハルコンを初め金、銀などの鉱石を初めダイヤルビーなどの宝石も安易に採掘できるって言うことだ。


 ついでに言うと、王都マトマタの地下都市は、そう言った希少金属や鉱石を掘って出来た空洞に都市を建設したんだと。


 それに、今でも王都マトマタの都市の真下で採掘は続いてるらしい。


(地盤沈下しないのかな?)


 それはさて置き、湖(貯水湖)に目を向けると、俺達が居るエレベーター出口付

近から伸びる桟橋のその先に、お目当てのそれが浮かんでいた。


【アルバトロス】


SA-16A

 乗員:   2名(操縦士、副操縦士)

 収容人員: 乗客 30名

 全長:   19.16m

 全幅:   24.04m

 全高:    7.08m

 エンジン: ライト R-1820-76

       サイクロン 星型 9気筒 1,425hp×2

 最高速度: 380km/h

 巡航速度: 241km/h

 航続距離: 4,587km

 上昇限度: 6,553m



 シノブと時田さんが飛行艇に向かい、中からマジックボックス大を出してきて、

その中からドラム缶のような物と、ブレイブロボGを出して、ロボにドラム缶を

運ばせ、飛行艇の燃料を入れる。


 それを側で見つめるローゼ。


(あれ?ブレイブロボの腰に何やら銃なものが付いている……)


 後で時田さんに聞いたら、ロボの武装強化で、10番(10ゲージ・10GA)

直径19.5ミリの実包を使用するかなり強力なショットガンを左右に1丁づつ

装備したそうだ。





◇◇◇◇◇





 俺達が、飛行艇内の左右の壁に向かい合わせに設置された、5つずつの簡易シー

トにそれぞれが席に着き、シートベルトを締めると、操縦席に座るシノブが言った。


「TAKE-OFF」


”ブルブルブル~”


”ブーン”


 2基のエンジンがうなりを上げてプロペラが回りだす。


やがて、ゆっくりと湖面を飛行艇が進みだす。


 水をかき分け、グングンとスピードを上げる飛行艇。


 ある程度スピードが出て来たかな?って思ったら、急にふわりと浮くような感覚

で飛行艇は空に舞い上がった。


「うわっ!」


初めての浮き上がる感覚に、ローゼの声が漏れる。


 それと共に飛行艇はグングン上昇する。


 数分Gジーを感じた後、飛行艇は水平飛行に入った所で、操縦席に居たシノ

ブが俺達に声をかける。


「Attention, please!(アテンションプリーズ)ベルトを外しても大丈夫だよ皆~」


その声を聞いて、俺達はシートベルトを外す。


そして、異世界組の内、ソフィーやクレアさん、エドナさん、アイーシャさんが、


席の後ろを振り返り、窓の景色を見て各々声を上げる。


「わたくし……空を飛んでるんですねぇ」


ソフィーが窓の外の景色を見て。感動しながら言う言葉に


「はい、そのようですねソフィー様」


クレアさんも笑顔で答える。


「私は、セイアさんのフェニックスで一度空を飛びましたがぁ~今回はそれよ

り高く飛んでいるんですねぇ~」


とエドナさんも少し感動してるようだ。


「雲の上ってこんな感じにゃんですにゃ~」


 アイーシャさんも目をパチクリさせて、窓に顔を押し当て景色に見入っている。


そんな4人にニールさんが近づき、同じように窓の外を眺めながら、


「私も、ウクラハンバ王国国に向かう時、これに初めて乗せて頂いた時は、本当に

ピックしました」


と声をかけ、5人で景色を楽しんでいたんだけど……異世界組で約1名のローゼだけは、窓の景色に目もくれず、一目散に、シノブと時田さんが居る操縦席に向かい、2人に計器類の質問を次々にしているようだ。


 そんな中、ミオンが徐に……。


「バニーフラッシュ!」


眩い光と共に変身し、現れた姿は……。


「アテンションプリーズ~」


いつの間にか、マジックボックスから飲み物を出し、それをお盆に載せて、キャビ

ンアテンダントに変身した(ウサ耳はついたままだけど)ミオンが立っていた。


「冷たい飲み物は如何?」





 



◇◇◇◇◇





 1時間も経たないうちに、デンスアーラ共和国の上空に差し掛かった。


 飛行艇の窓越しに見えるデンスアーラ共和国とは、アマゾンのようなジャングル

の中に、ぽっかり浮かんだテーブルマウンテンって感じだ。


 このテーブルマウンテンの周りにあるジャングルは、一部の場所と言うか、ミス

リルロードにつながる大きな街道以外には、ダンジョンに出現する魔物ほどではな

いが、そこそこの魔物が出現する危険地帯らしい。


 飛行艇は、そのジャングル地帯を飛び越え、真ん中にあるテーブルマウンテンに

グングン近づいた。


 ジャングルにそびえ立つ2,000m級のテーブルマウンテン。


 そのテーブルマウンテンの側面には、無数の洞窟の入り口のような穴が開いてい

て、そこから無数の大型の鳥が出入りしている様に見えるが……。


 これは、デンスアーラ共和国の住人の内、鳥人族と呼ばれる鷲族、梟族の住居ら

しい。


 因みに、イーシャイナ王国伝令将校のファルコさんはここの鷲族出身。


 そしてついでに言うと、デンスアーラ共和国は、この鳥人族以外に狼・犬・虎・猫の各種族がテーブルマウンテンの頂上に暮らしている。


 言うまでもなく、アイーシャさんは猫人族出身と言う訳。


「着陸態勢にはいるよ~」


と機長席からマイクで俺達に言うシノブ。


 俺達は慌てて席に着き、シートベルトを締めたと同時くらいに、飛行艇は右に傾き降下する。


”キューン”


「うわぁぁぁぁぁぁぁ」


またもやローゼが声を上げた。


 そして、テーブルマウンテンの真ん中にある大きな湖へと、飛行艇は静かに着水する。




◇◇◇◇◇





 着水後、そのまま湖面を進んだ飛行艇は湖南側にある港に入り、港の一角にある船着き場に接岸する。


「着きましたにゃ」


アイーシャさんはそう言って、真っ先に飛行艇降り、


「久しぶりですにゃ~」


そう言いながら、港町を眺めながら呟いた。


 俺達も、アイーシャさんに続き飛行艇を降りて、辺りを見回す。


「何か、港町って言うより漁村って感じの所ねぇ」


とアイーシャさんに失礼にもミオンがそう呟く。


「おい、ミオンその言い方アイーシャさんに失礼だろう!」


とゲキがミオンに注意するが、アイーシャさんは気にも掛けずに


「そう言われたらそうですにゃ~」


と笑いながらミオンに言った。


「で、アイーシャさんのお家はこの辺なの?」


と聞くミオンにアイーシャさんは遠くの森を指差し、


「私のお家は、あの森の方に向かった所ですにゃ」


と言う言葉にミオンがアイーシャさんが指差す方を見て


「あらまぁ~まだだいぶ先なのねぇ」


と少し驚いたように言うと、アイーシャさんは笑顔で


「はいですにゃ♪」


と何故か嬉しそうに言った。


(んじゃユニコーン出さないといけないねぇ)


アイーシャさんの言葉にそう思う俺であった。



 







最近どうも時間が取れなくて、更新が遅くなってすみません。

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