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142話 解毒草



 地下に降りる階段前、さぞかし暗いのか?って思っていたんだけど、壁に所々あ

る松明の火がともっていて、薄暗いがある程度周りは認識できる。


 なので、そのまま階段を地下へと降りた。


 階段を降りると、そこは人2人が通れるくらいの通路が続いていた。


 右に左に曲がり、時には二股に分れた通路。


 どうやら迷路になっているようで、途中落とし穴や、天井から槍が降ってくるト

ラップを回避しながら、ここにたどり着いた。


 いずれも罠は分かりやすかった。


 何故って、落とし穴の前には、他の冒険者が落としたであろう荷物が散乱してい

たし、天井から槍が降ってくる仕掛けの所では、つい先ほど突き刺されたであろう

冒険者の死体があったから。


 だが、ここで俺達の足が止まった。


「どうする?Mr.オオワシ」


「うん……どうしようか?」


 それを見て、俺とシノブが思案していた。


そこには、体の左右から圧縮されぺちゃんこにされた冒険者の死体が転がってい

た。


「恐らく……左右の壁に挟まれてこうなったんだろね」


「そうだねMr.オオワシ」


と俺とシノブが話していると、アイーシャさんが床を指差し俺達に言った。


「あ、床に何か模様がありますにゃ」


アイーシャさんが指差す床を俺とシノブが見て見ると……。


「うーんこれは……」


「「ケンケンパ!」」


思わず俺とシノブがお互いの顔を見合わせて、声をそろえて言った。


「えっ、アメリカにもケンケンパあるの?」


「Of course!といってもJapanと同じルールかはわからないが」


驚く俺にそう答えるシノブ。


「ねぇねぇ、そのケンファーって何?」


俺とシノブの会話にローゼが聞いてきた。


(ケンファーじゃなくてケンケンパなんだけど)



「うん……小さいときにやった遊びなんだけど……」


「遊び?」


俺の言葉にローゼが聞き返す。


「そうだな、説明が難しいな……やってみた方が早いかな?」


俺がそう言って、やって見せようとしたら


「セイア様、危ないのではありませんか?」


と心配したソフィーが、俺に言ってくるが、


「いや、もし失敗しても俺なら壁に潰されることないと思うよ」


「えっ……そうなんですか」


俺の言葉に、それでも心配って感じで言うソフィーを下がれせて、床に書かれた模

様に沿ってケンケンパをやってみることにした。


「ケンケンパ……ケンパ、ケンパ、ケンケンパ!」


”ケン”の時は片足で、ケンケンして、”パ”で足を広げ両足で床の模様に足を着

く。


 結局、思ってた通り壁は動かず、俺は無事ここを通過した。


 他のメンバーも俺のを見て、一人ずつケンケンパでここの通路を通過した。


「あんたって、意外と物知りなんだね」


と感心したように俺に言うローゼ。


そんなローゼに、シノブがウインクして言った。


「Mr.オオワシは何と言っても夢のお告げの勇者だからね」





◇◇◇◇◇





迷路を抜けた。


 暗くはない……明るくもないけど、人の頭ぐらいの岩が、積み上がったであろう壁に囲まれた大きな洞窟のような所に出て来た。


”ピッ”

≪Enemy≫


≪名称        ロックボール≫

≪戦闘力           500≫

≪防御力        1,000≫

≪スピード         300≫

≪MP           800≫

≪特技          体当たり≫


×30


 洞窟の両側の壁から、人の頭ぐらいの大きさの丸い岩は、”ペリペリ”と抜け出

したかと思うと、俺達目掛けて襲い掛かった。


 襲ってくる丸い岩には、不自然に生えた人の腕……岩の真ん中には人のような顔

があった。


 俺は、幸い天井から槍が降ってくるトラップを通過する時に、両腕をシールドア

ームに変えてあったので、掌の穴からバリアーを展開しつつそれを握りこむ。


 すると、俺の腕全体がバリアーに包まれた。


 これは、いつぞや大亀を倒したときに使ったものだが、そのバリアーに包まれた

拳で、ソフィーを庇いつつ、飛んでくるロックボールを左右の腕から繰り出すパン

チで突き崩して行った。


”バキーン”


”バキーン”


 俺のパンチを浴びたロックボールは次々と砕け散り、そして”パッ”と消えたか

と思うと中から出たピンポン玉くらいの物体が地面に落ちて行く。


”コロン~コローン”


 方や、シノブが背負っていたマジックボックスを降ろし、中からバレットM82

A1を取り出している間、アイーシャさんが飛んでくるロックボールを如意棒を振

り回し、ロックボールを弾いていた。


”カーン”


”カキーン”


 そしてローゼはと言うと、トマホークの斧の刃と反対側の鎚になている部分を使い飛んでくるロックボールを砕いていた。


”バキーン”


”バキーン”


 数からいって俺達は少し劣勢であったが、シノブが取り出したバレットM82A

1を発砲しだして、形勢は逆転する。


”ズキューン”


”ズキューン”


 物凄いマズルフラッシュと共に、12.7x99mm NATO弾が、ロックボ

ール目掛けて飛んで行き、次々と砕いて行った。


”バーン”


”バーン”


 やはり、俺の時同様砕け散るとロックボールは”パッ”と消えたかと思うと中か

ら出たピンポン玉くらいの物体が地面に落ちて行く。


”コロン~コローン”


戦闘は数十分で終了した。





◇◇◇◇◇





 地面に落ちたピンポン玉くらいの物体を皆で回収する。


「あっ!やっりー!金をゲット」


と落ちていた金色に輝くピンポン玉くらいの物体を手に取り、はしゃぐローゼ。


 そう、ここに来る冒険者の多くはこれを目当てに、このダンジョンにやってくる

のだ。


 ロックボールを倒すと、中から出て来るピンポン玉くらいの物体の正体は、金や銀、ダイヤやルビーなどの高価な金属や宝石……だけじゃなく、中には一文にもならない鉄くずも交じっており、その確率はランダムなので、その時によって違うらしい。


 今回は……鉄くず20個に対し、金が3個に銀が4個、ダイヤが2個、魔水晶が1個とローゼ曰く、まずまずの出来らしい。





◇◇◇◇◇





 俺以外のメンバーはここで遅めの昼食を摂る。


少し暗いので、電池式のランタンを3個出し、自分達の周りを照らした。


 ローゼはこの電池式のランタンを見て、不思議そうな顔をして聞く。


「これは魔光の魔動器?」


「いや、これはBattery(電池)式のランタンだよMissゾメル」


とにこやかに言うシノブに電池の意味が分からず、


「ば・ってら?」


と聞き返すローゼに、ソフィーが


「わたくしもよく存じませんが、電池と言うのは雷系魔法を溜めて使う魔動器らし

いですよ……ゾメルさん」


と答えると、ローゼは首を傾げながらも、


「雷系魔法を……ふ~ん」


と納得したようなしないような表情を受けべていたが、そんなローゼにシノブがマ

ジックボックス小からサンドイッチとソーダーを取り出し渡すと、今度はソーダー

に興味が涌いたらしく、今度はソーダについてシノブにあれこれ聞いていた。


 そんな皆を見ながら俺は1人見張りについていた。


 俺も変身を解いて、皆と一緒に食事をしたいが、生憎、俺が変身を解いてしまう

と、馬車の見張りにつけたユニコーンが消えてしまうため、変身は解けない。


 ソフィーは俺にすまなさそうな顔をするが、変身中はお腹が減らないから、苦にはならないんだけど。





◇◇◇◇◇





 食事が終わり、洞窟奥にある階段から俺を先頭に降りたのだが、降りた先が真

っ暗で良く見えない。


 俺は、視界を暗視モードに切り替えようとしたその時だった。


”ポッ”


”ポッ”


”ポッ”


って何やらランタンのような光が、階段下の部屋のような所で灯ったと思ったら、


”ピッ”

≪Enemy≫


≪名称     パンプキンランタン≫

≪戦闘力           800≫

≪防御力          700≫

≪スピード         200≫

≪MP         1,000≫

≪特技          火炎  ≫


×10


(う―ん、どう見てもハロウインのかぼちゃの飾りだね……)


そして、いきなりそのかぼちゃお化けは、口から火炎を吐き出す。


「ソフィー危ない!」


咄嗟にそう叫び、俺は身を挺してソフィーを火炎から守る。


 その間にシノブが手に持ったライフルで、パンプキンランタンを攻撃するが……。


”タタタタタ”


シノブの撃った弾丸はパンプキンランタンを素通りする。


「Son of a bitch!(ちくしょうめ)」


驚き呆然とするシノブ。


「セイア様!」


「大丈夫、この程度の火炎では何ともないよソフィー」


火炎攻撃を受けた俺を心配し、ソフィーが俺に声を掛けるが、俺は心配するソフィーに優しくそう言って、アイコンタクトをした。


 俺は両腕をすぐさまフリーザーアームに変えると、アイコンタクトしたソフィーを見た。


 ソフィーは、俺のアイコンタクトを受け手に持ったステックをパンプキンランタンに向け俺の合図を待っていた。


「3・2・1 フリーザーストーム!」


俺の掛け声と同時に、スティックの白いボタンを押すソフィー。


 俺の両掌から冷凍ガスが勢いよく噴出すると同時に、ソフィーのスティックから

青白い光線が、俺達を攻撃してきたパンプキンランタンを襲った。


 冷凍ガスと冷凍光線を浴びたパンプキンランタン達は、苦痛の表情を受けべ点滅

し……やがて声もあげずに消えて行った。


「や・やるじゃないあんた」


とソフィーに向けローゼが声を掛ける。


「いえ、それほどでも……」


とローゼに褒められ、照れながら言うソフィー。





◇◇◇◇◇





 パンプキンランタンを倒し、俺は視界を暗視モードに切り替える。


 そこは、大広間的な大きな場所……学校の体育館くらいの広さだろうか……天

井は人の背より少し高めだが、かなり低い感じがする。


 シノブが自分用とソフィー用の暗視ゴーグルを出し、まず、自分が装着してから

ソフィーに手渡した。


「Missラグナヴェール!」


「ありがとうございます」


ソフィーがシノブからゴーグルを受け取り、仮面を外して着ける。


 アイーシャさんは猫人族で、ローゼはドワーフ……この2族は、共に夜目が効

くのでゴーグルなしでも見えるそうだ。


 よって、そのまま部屋を見渡していた。


 部屋には草のようなものが床一面びっしりと生えていた。


「これは……?」


その俺の呟きにローゼが答えてくれた。


「こらは解毒草よ」


「「解毒草!?」」


その言葉に驚いた俺とシノブが声をそろえてローゼに言った。


 ローゼの話だと、所謂治療魔法のデトックスと同じ効果がある植物だそうで、こ

の草の根を煎じて飲めば、すべて……ではないが、殆どの毒を解毒出来るそうだ。


 一般戦士程度では怪我の治療として、”キュア”の魔法を覚えるものが多いが、

デトックス(解毒魔法)や、病気の治療に使う”ステリリゼイション”(殺菌)の

魔法は、医学的知識と言うか患者の症状から、どちらを使うか選択する必要がある

為、医療魔法士(俺達の世界で言う医者に相当する知識のある魔法士)がその治療

に当たるのがこの世界の常識らしい。


 そしてその知識のある医療魔法士は数が少なく、治療代も高額なため、一般の人

達は、この解毒草のような薬草を利用して病気や解毒を行うそうだ。


最も、この解毒草を必要とするのは、一般の庶民と言うよりは、主に魔物と戦闘

をする冒険者達らしい。


「じゃぁ、この草の根を集めるよ~」


ローゼの号令で、俺達はこの解毒草を刈り取り集め、根を採取するのであった。





『ケンケンパ』小さいころよくやりました。

今ではルールを忘れましたが……(笑)

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