134話 緊急事態(ソフィーと俺含む)
アンディキティラ島のノルドポルトの港に到着して、すぐさま下船し、馬車を
出して、変身。
そして、ユニコーンを召喚して、馬車に繋ぐ。
そこに荷物(ミオン、ゲキ、シノブを含む)を積み込みこんだ。
かなり急いで作業するのには、訳がある。
1時間以内にここノルドポルトの港から、数キロ離れたウクラハンバ王国側の港、
スッドポルトの港に着かねばならないんだ。
テネア⇔アンディキティラ島間も、アンディキティラ島⇔ハーフェン港(ウクラ
ハンバ王国側の港)も、どちらも船の運航は1日1回。
通常の旅人は、一旦、ここアンディキティラ島の宿泊施設に泊まり、翌日、アン
ディキティラ島から船に乗るのが通常なんだけど……。
アンディキティラ島のノルドポルト港から、スッドポルトの港の距離は8km位
あって、馬車で急いでも、間に合うか間に合わないかギリギリなんだよ。
だから、急いでいるって訳だけど……。
困ったことが1つ、電動オフロードバイクの乗り手が1人足りない。
俺以外に乗れるメンバーは、ミオンとシノブのみ……だが、その2人は、今、絶
賛寝込み中なので役に立たない。
船を使わず手っ取り早く渡るには、電龍の背中に乗って空を飛んで行けば、ウク
ラハンバ王国まで簡単にたどり着けるんだけど……。
目立ってしまう……ってのもあるが、何より肝心の電龍が、只今絶賛引き籠り中
なので、それはかなわない相談だった。
(どうしよう……)
って考えていたら、アイーシャさんが俺に声を掛ける。
「私、これに乗れますにゃ」
「えっ!?」
俺が、アイーシャーさんの言葉に驚いていると、説明してくれた。
俺達の世界に居る時に、ンドワン国大使館の裏庭で、シノブにバイクの乗り方を教わったそうだ。
「なら、任せられる?」
って俺が聞くと、アイーシャさんは胸を叩き、
「任されたにゃ」
と笑顔で言った。
とは言え、初心者のアイーシャさんに、いきなり2人乗りは任せられないので、
アイーシャさんは単独でバイクに乗ってもらい、俺がソフィーをバイクに載せ、1
人定員オーバーになる馬車からエドナさんが降りてもらい、その代わりにユニコー
ンに鞍を付け、そこに跨ってもらうことにした。
かなり変則だし、普通の馬だと、馬車を引きながら人を載せたら、忽ち馬は疲弊
してしまうし、第一そんなこと馬が嫌がるからできないんだけど。
そこは、ほれ、俺つーかGUY BRAVEの支援機だからこなせるって訳。
全員の乗車を確認して出発する。
◇◇◇◇◇
整地はされているが、舗装や石が敷き詰められた道ではないし、バイクの操作に
不慣れなアイーシャさんのことを考え、時速30Kmくらいのスピードでノルドポ
ルトの港からスッドポルトの港に向かい走ること約15分。
何とか……って言うより、かなり余裕でスッドポルトの港に着いた。
早速、乗船手続きを行う。
相場では、馬1頭1万ドルマで、人が1人千ドルマなので、8人と馬2頭分って
ことで、28,000ドルマなんだけど、あと2,000ドルマ足せば狭いが船室
を当てがってくれると言うので、30,000ドルマを払った。
荷物(ミオン、ゲキ、シノブを含む)を馬車から降ろし、ユニコーンを送還して
変身を解き、船員さんに手伝ってもらって(ちゃんとチップは払ったよ1,000
ドルマ)、バイクを積込むと同時に乗船した。
俺達が乗った船の名前は、ロベルトソン号……カタリナ号と同じ所謂キャラック
船で、その船の船首楼の一角にある6畳くらいの部屋が俺達にあてがわれた。
(せっ狭い……)
俺達8人で、6畳の広さは確かに狭いが……ミオン達を転がせておけるので……
まぁいいか。
◇◇◇◇◇
夕方、ハーフェン港(ウクラハンバ王国側の港)に俺達が乗るロベルトソン号が
到着した。
そのころには、すっかり3人も酔いが抜け、元気になっていた。
その証拠にゲキのお腹が、さっきから”グー””グー”鳴っている。
取りあえず、ゲキとシノブは、アイーシャさんが背負っている主に食料が入った
マジックボックス小から、ゲキは特性おにぎりを出し、シノブは特大ハンバーガー
を出してむしゃむしゃ食べていた。
(あんまり食べすぎるなよ……宿に着いたら、近くのお店で夕食たべんだから)
今日はここハーフェン港の近くで宿屋に泊まり、明日の朝ウクラハンバ王国の中
心都市、バル山の地下にある王都マトマタを目指すことになる。
港付近で地元の人に宿屋のある所を聞いた俺達は、取りあえず紹介された宿屋サ
ヴィニーに向かった。
◇◇◇◇◇
サヴィニーで部屋が空いているか聞いてみると、空いてるには空いていたんだけ
どね。
一つ困ったことが……。
ここサヴィニーと言う宿屋は、基本シングルかツイーンしか部屋はない。
俺達は8人なので、普通に考えれば、ツイーンの部屋を4つ借りれば済むんだけ
どね。
ただ、俺達男女比が男3に対して女5。
なのでツイーン3部屋とシングル2部屋借りることになるんだが……。
生憎、シングルの部屋がすべて満室……。
しかも、ツイーンも4つしか空いておらず、どうしても男女1組が同じ部屋にな
ってしまう。
俺が困っていると、シノブがさらりと言った。
「男女一組が同じ部屋にならなければいけないのなら、それは当然、MissラグナヴェールとMrオオワシだよ……だって、その方がエネルギー補給(魔力補給)を人目もはばからずに安心して出来るだろう?」
それを聞いて、俺は絶句し、ソフィーは顔を赤らめる。
そんな俺達を見てミオンが俺に近づき、俺の前でしゃがみ込み、俺の股間の前に
自分の顔を近づけ、更に俺の股間に指差して言う。
「粗相のないように!」
その言葉に、俺は絶句の上、口をアングリ開け、ソフィーは両掌を顔に当て体をくねくねする。
(あの~ソフィーさん意味が分かってらっしゃるのね)
◇◇◇◇◇
取りあえず、部屋を借りた、1泊素泊りツイーンの部屋4つで20,000ドル
マ。
本来ここはウクラハンバ王国で、通貨や通貨単位が違うが、ここのハーフェン港
の街では両方使えるらしい。
因みにウクラハンバ王国の通貨はこんな感じ。
【通貨単位】デイゴ
【白金貨】100万デイゴ
【金貨】 10万デイゴ
【クオーター金貨】 25万デイゴ
【銀貨】 1万デイゴ
【クオーター銀貨】 2500デイゴ
【銅貨】 100デイゴ
【クオーター銅貨】 25デイゴ
【鉄銭】 1デイゴ
それはさて置き、宿屋の近くのお店で食事を取った。
お腹も満たされ、宿屋へと戻る。
俺達が借りた部屋は宿屋建物の3階、ゲキ、シノブで1室、ミオン、アイーシャさんで1室、それにクレアさんエドナさんで1室。
でもって、俺とソフィーで1室。
いずれの部屋もベットが2つでほぼいっぱい状態って感じの部屋で、部屋の入り
口付近に簡易的なシャワーが1つ……トイレは部屋になく各フロワーに2つあるト
イレを利用するみたい。
各自自分達の部屋に入る前に、いつもミオンとアイーシャさんが交代で背負って
いる方(いつも食料を出す)のマジックボックス小から、ミオンとアイーシャさん
以外のメンバーが自分の着替えが入っている鞄をアイーシャさんにでしてもらい、
それを受け取る。
そして、皆と別れ、自分達の部屋に向かった。
俺は自分の鞄とソフィーの分の鞄両方を持って、ソフィーに部屋の鍵を開けても
らい、部屋に入る……俺の心臓がいつもより早く脈打つのが、自分でもわかる。
人生初めての女の子との同室。
ドキドキ、ドギマキの俺。
俺は、両手に持っていた2つの鞄を部屋の隅に置き、そのまま2つあるベットの
一つに座った。
その間にソフィーは自分のローブをハンガーに掛け、小さなクローゼットに入れ
ると、俺の方に手を出してきた。
(えっ、何、なに、ナニ)
俺が驚きドギマギしていると、
「セイア様、お洋服を……」
「ああ」
俺は、すぐさま着ていた半袖ワッペンシャツを脱ぎ、ソフィーに手渡し、ティー
シャツとジーパンのまま再びベットに座わると。
ソフィーは、ニコニコ笑いながら、俺の方に近づき、
「先にシャワーを浴びてください」
とソフィーに言われたので、
「うん」
と返事をして、そそくさと鞄から自分用のシャンプーとボディーソープを出し、そ
れを持って部屋の入り口付近にある簡易シャワーへ向かう。
因みに、俺は、コンディショナーは使わない派。
ここの宿屋の部屋にある簡易シャワーって、別に部屋になってるわけでなく、丸
く仕切った人1人入れるスペースに防水性のカーテンで囲んであるだけのもの。
カーテンを”スー”って閉めてその筒状のカーテンの中で服を脱ぎ、そして
、少しだけカーテンを開けて外に脱いだ服と下着を出した。
シャワーのバルブを捻り水を出す……が……ん?
水は出るには出るが、何か”シャー”って感じでなく”じょろじょろじょろ"っ
てなんか如雨露から出る水のような何とも勢いのない水しか出ない。
(なんだかな……俺は植木じゃねーぞ!)
って思いながらも、一生懸命体や頭を洗った。
いつもより念入りに……。
すると、シャワーでシャンプーを流している時、ソフィーが何やら俺に言ってき
たが、よく聞こえない……なので、そのままカーテンを開けソフィーがなんて言っ
たか聞こうとしたら……。
「キャッ!」
とソフィーが叫ぶので見て見ると……。
顔を赤らめ、両手で顔を覆ているが……指の間から俺を見つめるソフィー。
「お・お仕舞い下さいセイア様」
のソフィーの言葉を聞いて、”ハッ”として自分の姿を確認する俺。
「ああ!」
慌てて、カーテンを閉めて、
「ゴメン、ソフィー」
と股間を抑えながら俺が謝る。
その姿は、ソフィーには見えてないと……思うけど。
「いえ、セイア様が謝ることはないです……あ、新しい下着出してここに置いとき
ましたから」
(恐らく、俺の私物の鞄から出してくれたんだろう)
「あ、ありがとうソフィー」
◇◇◇◇◇
俺がシャワーを浴び終わり、代わりにソフィーがシャワーを浴びる。
シャワーで服を脱ぐソフィーの音が聞こえる。
(ああ、あのカーテン1枚の向こうには……)
心臓バクバクで、何をしたらいいかわからず、忙しなく部屋の天井やら壁を見つ
める俺。
しばらくして、”スー”ってカーテンが開く音と共に、頭にはタオルを巻き、ん
?
か……体にバスタオルを巻いたソフィーがそのままシャワーから出て来て、その
まんまの格好で俺が座るベットに近づいてきた。
が、
「キャ!」
何かに躓いたのかよろけて倒れてしまった。
「ソフィー大丈夫!」
俺はそう叫び、慌てて座っていたベットから立ち上がると、倒れているソフィーに
駆け寄り、手を取って彼女を起こした。
「あ、大丈夫ですセイア様」
とソフィーが立ち上がった時……。
ハプニング!?が起こる。
彼女が体に巻き付けていたバスタオルが”ハラリ”とはだけ……その裸体を露わ
にした。
俺は彼女の手を取ったまま、目を見開きガン見してしまった。
体中の血液が沸騰寸前、俺の波〇砲もエネルギー充填200%を超えた。
「あっ、」
と声をあげ、顔を赤らめるが、ソフィーは隠そうともしない。
そんなソフィーに俺が、慌てて何かで隠そうと、ソフィーから目を反らし、右手でソフィーの手を掴んだまま、隠せるものを探していると……。
ソフィーは自分の手を掴んでいる俺の手をそっと自分の胸に持って行った。
(や・やわらかい……)
一瞬、そう思いながらソフィーの胸の感触を楽しんだが、
(いかん!)
って思い、ソフィーの胸から慌てて手をどけた。
「私のはミオン様より小さいから……ダメでしょうか?」
と小声で聞いてきた。
「いや、そんなことはない!立派ってか、十分って言うか……」
俺が慌ててそう言うと、ソフィーは俺の両手を掴み自分の胸へと持って行った。
”むぎゅ”
(幸せ~)
何かわからないが、ものすごいエネルギーが体中を駆け巡る感覚があり、頭が”
ぼー”としかけた時だった。
”コンコンコン!”
と部屋のドアを激しく叩かれたと思ったら、大きな声で、
「セイア、ソフィー居る!!」
(えっ!)
俺とソフィーはその声に驚き、
「あっ!」
「うわっ!」
俺は慌ててソフィーから離れて、ジャンプしてベットの上に正座し、ソフィーは裸
のまま、頭にタオルを巻いてるにも関わらず、手櫛で髪をとくフリをしていた。
そんな中、再び”コンコンコン!”
激しく叩かれ、ミオンの大きな声が聞こえる。
「あのさ、お楽しみのところ悪いんだけど、緊急事態なのよ!」
その声に俺は、
(こっちも緊急事態なんだってば!)
って心で叫ぶ俺であった。
流石にあの某宇宙戦艦の波〇砲も200%も充填したら
壊れてしまいそうですが(笑)




