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110話 セイアの危機……その時ソフィーは(前編)

 ガルーダ形態で飛ぶこと数分、それは見えて来た。


 ミスリルロードの道の真ん中にそれはあった。


 周りを木や岩などで作られた城壁ではなく……。


(なんだ!?あれ?)


 植物の茎?それとも幹?緑色の木の幹のような太い胴体に、顔と言うか頭と言う

か……デカイくち


そして、その胴体らしき緑色の木の幹から沢山の蔦が”ウネウネ”と生えていた。


≪名称         ビックマウス≫

≪戦闘力            700≫

≪防御力           800≫

≪スピード            0≫

≪MP            な し≫

≪特技       毒の蔦、一飲み ≫


そのビックマウスが魔物達の砦と思わしき場所の周囲をぐるりと囲んでいる。


 その周囲をビックマウスで囲まれたところから、少し離れた場所にトンネルの入

り口のような穴がぽっかり口を開けていた。


(これは……砦の出入り口か?)


 砦の中はと言うと、恐らく砦正面と思われる所に、左右2基ずつ置かれた投石器……。


それに、その後方砦中央部には大きな台形を2つ重ねたような建物……2階建ての

階段ピラミットって感じかな?がある。


 建物付近には……付近には……人?うん?


≪名称  該当なし  ≫


≪推測データー≫


≪名称    グレムリン+ミノタウロス≫

≪推測名称       グレタウロス≫

≪戦闘力          2,9 00≫

≪防御力         2,600≫

≪スピード          300≫

≪MP            な し≫

≪特技ラブリュス(両刃斧)、ボーガン≫


と出た。


 さらに、


砦内をウロウロ歩く……デカイ犬!?


≪名称  該当なし  ≫


≪推測データー≫


≪名称    グレムリン+ダイアウルフ≫

≪推測名称        グレウルフ≫

≪戦闘力          1,4 00≫

≪防御力         1,200≫

≪スピード          800≫

≪MP            な し≫

≪特技      噛みつき、ボーガン≫


……これは。


 合成魔物……キメイラ!?


 この世界でも稀にキメイラと呼ばれる複数の魔物の特徴を持つ魔物もいるにはいるが……。


 にしては、数が多い。


≪推測名称       グレタウロス≫


×20


≪推測名称        グレウルフ≫


×30


建物内の魔物もセンサーによって検知された数だが。



 前回、電風の丘ダンジョンで奴らの先兵として見た、ゴブリントロールのことを

考えると、これはどう見てもオブリヴィオン(魔王軍)の仕業に違いない。


 そう考えた俺は、奴らの砦の上空を何度も旋回しながら、センサーで砦内を更に

探ると……。


 砦中央の建物の2階部分の屋根には、大きな魔水晶とその下には魔法円。


そして、それがこの砦を透明のドームのような障壁を張っていた。


(障壁まで備えているのか……)


 これは、アメリオさんが言っていた騎士団が束になっても、砦を破壊するのは事

実上無理なのでは?と思う。


 しかも、ここを破壊する前にあの”太陽剣”を回収しなければならない。


(破壊だけなら、ガルーダスパークで……)


俺がそう考えて、砦上空を旋回していると、砦中央の建物の2階の屋根部分にあっ

た魔水晶と、その下の魔法円が静かに建物内に沈んで行った。


と同時に砦を覆っていた障壁が消えた。


(なに!)


俺がそう思っていた矢先、魔水晶が沈んだ建物2階の屋根に、お椀型のレーダーの

ようなものがせり上がって来た。


 次の瞬間、そのお椀型のレーダーらしきものが俺の方に向いたと思ったら、何か

を照射した。


(うっ、しまった!)


俺がそう思った瞬間!俺の頭の中に”ミヨ~ン”って感じの音が鳴り響き、同時に

俺は体の自由を奪われ、挙句ガルーダ形態を強制解除され、そのまま地面に向けて

落下する。


 声も出ない……そして意識が徐々に薄れ……やがて俺は意識を失った。






◇◇◇◇◇





------美音ミオン視点---



 セイアが魔物の砦に偵察に行った後。

私達は皆で手分けして魔物の砦の情報を集めるため、町の人達に聞きこみをすることになったの。


 私とソフィー、シノブとアイーシャさん、それにゲキとクレアさんとエドナさんに分かれて聞きこみをするんだけど、初めクレアさん、エドナさん、アイーシャさんはソフィーと行くって言ってたのよ。


 でもね、ゲキが言うの


「イーシャイナのソフィーの護衛騎士がソフィーの側にいたら、折角のソフィーが正体を隠して行動しているのがバレやしないか?」


ってさ。


そこで、ソフィーと私が組むことになったの。


3人には、私もこう言って安心させたの。


「私には電空ブーメランがあるし、第一本当にヤバくなったらソフィーには電ちゃん(電龍)がいるじゃない」


って。


 そして、ゲキ達は町の北側を聞きこみ、シノブ達は町の西側を……そして私達は南側を聞きこむことになったの。






◇◇◇◇◇





 町の南側を私とソフィーが歩く。


 南側の通り沿いは、馬車で旅をする交易商人達や旅人が泊まる宿屋を初め、それ

に付随して飲食店や旅関連の物を扱ったお店が立ち並び、通り裏には交易商人達の

商品を一時的に預かる倉庫街が広がっていたわ。


 私とソフィーはまず、表通りのお店や宿屋を見て回り、そこのお客や店員さん、

時には宿のお客さんの交易をしている商人などに色々話を聞いたんだけど、結局

……。


「大きな口の魔物が人を丸のみにする」


って事しかわからなかったの。


 ちょっと、疲れたので、ソフィーと喫茶店らしきお店に入り、お茶を飲むことに

したんだけど……。


 それがさ~、聞いてよ!お茶が1杯1,200ドルマ(日本円で1,200円)

もするのよ~やんなっちゃう。


(まぁ魔物に挟まれ2週間……物資も入らなかったんだから、しかたないんだけ

どね)






◇◇◇◇◇





 ソフィーとお茶をしている時、突然ソフィーが私に言ったの。


「セイア様を感じられなくなりました。」


って言うのよ。


「えっセイアを感じられなくなったって、どういうこと?ソフィー」


と私がソフィーの言葉に驚き聞き返すと、ソフィーが言うのには、ソフィーとセイ

アはある意味ソフィーの魔力で潜在意識的につながってるんだって。

それが途切れたと言うのよ。


 これはどういう状態か?考えられるのは3つ。


1つは、セイアが変身を解き眠っている。(意識がない)


1つは、セイアが魔力エネルギーを使い切った状態。


1つは、……。


それを聞いて私は慌てたわ。


「ソフィー、兎に角皆を呼んでくるから、私が戻ってくるまでここで待ってて!」


私はそうソフィーに言ってお店を飛び出したの。






◇◇◇◇◇





------第三者視点---



 時間は少し戻ります。


 ここに運が悪い男が3人。


 ダンジョンでの報酬の取り分で、所属する冒険者チームのリーダーともめ、チームを追い出され、その腹いせにイーシャイナ王国の町で、チャラチャラ2人の女を連れて歩いていた若造に難癖つけて絡んだら、見たこともない武器で返り討ちにあった。


 だだ、唯一、運が良かったのは、直後にオブリヴィオン(魔王軍)の先兵が現れ、辛くもそこを逃げおおせたことだろうか。


 3人は流れ流れてここに来た。


 途中、細々と商隊の護衛をしながら……。


 しかるに、ここにきて宿場の周りに魔物が巣や砦を築き、あてにしていた商隊の護衛の仕事をなくし、さりとて、魔物討伐に向かうほど度胸もない。


「あ~あ、ついてねぇ~な」


そう呟くのは、このついてない3人の男の1人、イーシャイナ王国でセイアのヌンチャクで頬の骨を折られた男。名をタンキーと言う。


 男たちは宿場108の南の宿屋や飲食店などが立ち並ぶ、商業地域と呼べるところのメインストリートから少し入った路地から、メイン通りを行きかう人達を眺めて居るところだった。


「なぁ、なぁ、あそこに歩いてるウサギの耳付けて歩いている女……」


「「女!」」


通りを眺めながら2人にそう言うのは、セイアにヌンチャクで、手を折られたケッチルンと呼ばれている男だ。


 そのケッチルンの”女”と言う言葉にタンキーと共に反応したのは、最後にセイアに倒されたイケーズンと呼ばれている男。


「どこだ、どこだ」


とタンキーがイケーズンを押しのけ、ケッチルンの視線を目で追う。


「あ!あれはこないだの女だ!」


その言葉にケッチルンが言う。


「だが、もう1人はあの時の女ではないようだ」


その言葉を聞いてイケーズンが言う。


「いや、待て……確かに仮面んで顔を隠しローブを着て、一見魔法士のように見え

るが……よーく見て見ろよ、髪の毛が青い。」


「青い髪がどうした?」


とイケーズンの言葉にタンキーが言う。


「馬鹿だなお前、確かあの時ウサギ耳の女の横に居た女も青い髪だっただろう」


そう言うイケーズンの言葉に未だ頭が???のタンキーに代わり、ケッチルンが言

う。


「なるほど、確かに青い髪だったな……背格好も言われてみればあの時の女と同じ

だな」


「そうだろう、俺の女を見る目は確かだからな」


と感心するケッチルンにどや顔で言い返すイケーズン。


「しかし、何であの青髪の女が魔法士の格好なんぞしてるんだ」


と疑問を口にするケッチルンにイケーズンが自慢げに言った。


「俺の推測だと、あの青髪の女……貴族の出だと思うぞ」


「なんでだ?」


とタンキーが話に入ってこようとするが、2人はタンキーを無視して話を続ける。


「なぜそう思うイケーズン」


「それはだな……あの時一瞬、青髪の女が俺達に口走った言葉……無礼者!って言

っただろう?」


「いったかな?」


とまたもや話に入ろうとするタンキーを再び無視して、


「ああ、なんかそんな言葉を言いかけて、あの男に止められていたっけかな?」


とイケーズンの言葉にそう返すケッチルン。


「無礼者!ってすぐ口から出て来る辺り、ありゃ貴族の娘だぜきっと」


ニヤリと笑いながら言うイケーズン。


「で、その貴族の娘がなんで魔法士の格好をしてこんな宿場の町をうろついている

んだ?」


とケッチルンが疑問をイケーズンに言うと、


「きっと、親が決めた結婚相手が気に入らず、家を飛び出してきた……家からの追

っ手を振り払うため魔法士に成りすましてるって寸法よ~」


自慢げに語るイケーズン。


「じゃ、あのウサギ耳の女は?」


「そりゃ、貴族の娘だからよ~護衛じゃないか?」


「なるほど……」


とタンキーを無視して2人で納得するイケーズンとケッチルン。


「なぁ、ケッチルン、タンキー俺達であの娘をさらわないか?」


「「さらう!!」」


突然のイケーズンの提案に驚くケッチルン、タンキー」


その2人にイケーズンは不敵な微笑みを浮かべこう言った。


「あの女をさらって、恐らく探しているであろうあの女の家の者んによ~家に帰してやるからって、金ふんだくるだよ……おそらく俺の考えじゃ白金貨10枚は出すんじゃないか」


「「白金貨10枚!!」」


不敵に笑うイケーズンの言葉に目を丸くして驚くケッチルンとタンキーであった。













イーシャイナでセイアのヌンチャクで倒された3人が再び登場です。

今回から。3人に名前を付けました。

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