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108話 太陽剣



朝6時に起床し、男女交代で部屋に備え付け(5つのボックス型シャワールーム

)のシャワーを浴びる。


 昨夜も食事の後、交代で浴びたのだが、夏の暑い時期でもあり、また、お寝坊の

ミオンにとってはお目覚めのシャワーってことで。


 その後全員で軽めの朝食を取り、各自準備をして簡易転移装置の上に載る。


 載る順番は昨日と逆で、俺がバイクを押しながら、一番初めに転移し、続いてシ

ノブが同じようにバイクを押しながら転移した。


 初めに転移を完了した俺は、バイクを簡易転移装置がある魔物除けのテントの側

に止め、あたりを警戒する。


 次いでシノブが転移してきたので、周辺警戒をシノブに任せ、変身し、魔法馬車

を出し、続いてユニコーンを召喚する。


 その間に、ゲキとアイーシャさんが転移してきて、持っていたマジックボックス

中を馬車に載せユニコーンを馬車に繋ぐ、その間にクレアさんとエドナさんが転移

して来る。そして、既にマジックボックス小はシノブが背中に背負っているので、

残りのマジックボックス小をミオンが背中に背負い、ソフィーと共に転移してきた。


 シノブのマジックボックス小は武器が入っているので、そのままシノブが担ぎ、

ミオンの担いできたマジックボックス小を馬車に積み込んでから、出発する。


 昨日、二日酔いのミオンを馬車に載せてたが、今回は俺のバイクの後ろにミオン

を載せ、ソフィーは馬車に乗ってもらった。





◇◇◇◇◇





出発して、1時間……途中魔物に襲われることもなく宿場に到着した。


『宿場108』


 宿場には名前でなく番号で呼ばれている。


 この番号は、必ずしもルート順に振られてるのではなく、できた順番らしい。

中には、他の宿場と統合され、欠番になっているものもあるようだ。


 この『宿場108』の町の周りにも、この世界では当たり前の城壁が取り囲んで

いた。


 拳大の石を高さ2mに積み上げ、その上に高さ1mの丸太を埋め込んだような壁。


 そして町を囲む壁に1カ所壁が途切れた所に鉄の門があり、その門の右側にある

パルタスと同じような黒い板に向かい、俺が冒険者証をかざすと……門が奥開きで

開いた。


 門を入る時、馬車に乗っているソフィーは、そっとニールさんのくれた仮面をつ

け、俺は後ろに乗るミオンから、傭兵のバッチをそっと受取った。



 俺達が門を入ると、門は自動で閉まり……って自動でしまったと思ったら、門の

側に『番屋』と書かれた小屋があり、そこから鎧を纏った門番が出て来た。


 後で聞いたら、この番屋の中に門を開ける装置があって、それを門番が操作する

らしい。


 ついでに言うと、この『番屋』って、よく時代劇で出て来る同心や岡っ引きなど

が居る場所……今で言う交番って言う訳ではなく、単に門番の小屋なので番屋なん

だと。


「そこで、一旦、馬……?それは馬なのか?」


と聞くので、俺はありったけの笑顔で言った。


「はい、ダンジョンで出た魔動機の馬です」


そう門番に言うと、門番は、


「そうか……珍しいな。兎に角、ここで一旦、馬や馬車から降りて全員ここに並ん

でくれ」


と言うので、魔動機の馬……ではなくてバイクから俺、ミオン、シノブ、アシーヤ

さんが降り、また、ゲキやクレアさん、エドナさんに続き仮面をつけたソフィーも

馬車から降りて、門番の前に整列した。


「えっー冒険者Team Ultimateのメンバーだな」


門番の前に整列した俺達に門番がそう言うので、


「はい」


と皆を代表して俺が返事をする。


「では、各自つけてる傭兵のバッチを見せてくれ」


そう言いながら、俺が手に持つ傭兵のバッチに、俺達の世界でよく空港の係官が身

体検査で使うような金属探知機のような物をかざす。


”ピー”って音がして、


「セイア・オオハシだな」


と俺の名前を確認する。


「はい」


続いて、他の皆が胸につけているバッチに金属探知機のような物を順番にかざす。


”ピー”


「ミオン・シラトリ」


”ピー”


「シノブ・メイトリックス」


”ピー”


「アイーシャ」


”ピー”


「ゲキ・シモトウゲ」


”ピー”


「クレア・リード」


”ピー”


「エドナ・エリス」


と順番に機械をバッチかざしながら、各自の名前をあげる門番。


”ピー”


「ソフィー=ミュウロ」


(そう言や、ソフィーは偽名で登録してたんだよな)


そして門番は、全員の名前を何やら紙に書き込、俺に聞いた。


「メンバーのマモル・トキタとニール・ボマーは?」


(あっ、ニールさんも偽名だったね)


と門番に尋ねられ、俺は


「はい、お留守番です」


と笑顔で答えると門番はそのままそれを紙に書いた。

そしてこう言った。


「では、この道を真っすぐ少し丘になった所まで進んでくれ、そこに交易ギルドの

出張所があるから」


と道を指差しながら説明してくれた。





◇◇◇◇◇





門番の説明道理道を進んで行くと、少し高台にある……昔の田舎の小学校って感

じの木造の建物が見えて来た。


 建物の前には、小学校のグランドって感じの広場があり、そこはどうやら馬車

などを止めておく……駐車場?って言っていいのかな?のような場所みたいだ。


いろんな馬車が止めてある。


 馬は建物左にある馬小屋に預けるみたいだ……。って……。


(う……俺達の場合どうしようか?)


「バイクだけ預けたら?セイア」


とミオンが言うので、グランド前で一旦、馬車とバイクを止め、中にあったマジッ

クボックス中をゲキとシノブが2人で運び、残ったマジックボックス小(もう一つ

はシノブが背負っている)をアイーシャさんが背負い馬車を空にしてから、俺が、


「戻れ!」


そう言って、カプセルを投げた時のポーズの逆再生のようなアクションをすると、

馬車は”ボワット”消えて俺の手元にジッポライター型のカプセルが戻ってくる。



 次に、ユニコーンを送還してから、俺も変身を解き。グランドに入り、グラン

ドに居た係……駐車場の係って言うのかな……に声を掛け、グランドを通って、

出張所横の建物に……馬ならぬ、バイクを2台預ける。


 バイクを預けるとき、馬小屋の係に2頭分?(2台分)のチップのクオーター

銀貨1枚(2500ドルマ)を渡し、俺はこう言った。


「餌や水はやらなくていい……って言うか、世話はしなくて良いから」


「はあ」


と係の人は良くわからない感じで答えるが、ミオンが続けて言う。


「何もしなくて良いのよ……ってか、この子たち下手に触ると嚙みつくからその辺

気を付けてねぇ~」


とヘラヘラ笑いながら言う、ミオンの言葉に固まる係の人だった。


 2台のバイクを目の前に固まる係の男の人を見て、クスクス笑ううちの女子メン

バー達。


その状態を哀れに思ったのか、ゲキがミオンに言った。


「いたずらが過ぎるぞミオン」


そう言って、マジックボックス中をその場に置いて、シノブと2人でバイクを押し

ながら係の人に尋ねる。


「空いている馬小屋は何処かな?」


と聞くと係の人は慌ててゲキとシノブを案内する。


「こ・こ・こちらです」


「こちらとあちらが今開いています」


と手をかざし言う係の人にゲキが言う。


「いや、こいつら、2頭一緒でないと暴れるんだよ」


とニヤリとして係の人に言うと、係の人は慌てて目の前の馬小屋を開ける。


「どいぞ」


馬小屋の扉を開けてくれた係の人に頭を下げて、馬小屋にバイクを押しながら入る

ゲキとシノブ。


バイクを馬小屋に入れ、シノブが言った。


「念のため、2頭が暴れないようにしておくよMr.」


そう言いながら、所謂バイクロックを2台のバイクにつけて、


「これで暴れても大丈夫だよ~」


と作業を見つめる馬小屋の係の人に、ウインクをする。


「あ・ありがとうございます」


シノブに恐縮しながら、頭を下げる馬小屋の係の人であった。


(おいおい、皆してちょっとやりすぎじゃないか?)





◇◇◇◇◇





馬小屋を出て、交易ギルドの出張所の建物に入る。


 ミスリルロードにある各宿場の運営は、交易ギルドが行っている。

元々交易のために交易ギルドが、宿場を作ったからだ。


 とは言え、この出張所にも冒険者や傭兵のギルド窓口はある。


 建物の中央にある入口から入ると、入口正面には交易ギルドの受付があり、その

左が冒険者ギルドの受付で右が傭兵の受付になっている。


 その各受付前には、長い廊下が建物の左右に伸びていた。


 そして俺が、交易ギルド受付に居た女性の職員らしき人に宿場長の部屋を聞く。


「宿場長の部屋は、2階のに上がった正面にありますよ」


と受付のおねえさんが、教えてくれた。


「ありがとうございます」


と受付のおねえさんにお礼を言って、交易ギルド受付の両脇に階段があるのが見え

たので、その階段の右側を俺達は2階へと上がる。


 2階に上がると、1階の造りと逆向きになり、正面には交易ギルドの宿場長の部

屋があった。


 部屋の引き戸になった扉の前に立ち。


(引き戸にノックはどうなんだろう?)


と思い、扉の外から声を掛けた。


「えー、冒険者Team Ultimate今着きました。」


そう俺が声を掛けると、いきなり引き戸が”ガラッ”と勢いよく開いたかと思うと

、年の頃なら50歳くらいだろうか……イタリア系の白人って感じの中年?の男の

人が出て来た。


「うっわ!!」


行き成り開いた扉に驚き声をあげる俺。


「おお!」


俺の驚いた声に驚きその中年の男の人も声をあげる。


「あ・いや失礼した……待っておりました、ささ、どうぞ中へ」


と言いながら俺達を部屋へと招き入れる。


 俺達が、中年の男の人に招き入れられ、中に入ると、そこは学校の教室位ある広

々とした部屋で、右の端の窓際には、あのギルド長の机と同じような机が置いてあ

り、部屋の中央には、俺達の世界でよく会議室にある円卓の会議室のテーブルが置

いてあった。


 20人は座れそうなテーブル。


 そこに座るように中年の男の人に言われ、俺達がそこに座ると、その男の人は宿

場長の机の近くの壁にある伝声管を使い、下にいる職員にお茶を持ってくるよう言

っていた。


(この人が宿場長?)


 その後、男の人は円卓テーブルの方に来て、俺達の正面に座り改めて挨拶する。


「初めまして、わたくしはここの宿場長を務めておりますアルフレット・アメリ

オと申します。Team Ultimateの皆様におかれましては遠路遥々この

辺境の宿場にお越しいただき誠に……」


と挨拶を長々としようとしたので、俺が言った。


「あの~挨拶は抜きにして、早速今の状況をお聞かせいただけませんか?」


と聞く俺にアメリオさんは、


「おー、そうですな……これは失礼した」


そう言って、一旦席を立ち、窓際の宿場長の机へと向かい、何やら紙を数枚持って

来て再び俺達の正面に座った。


その数枚の紙を見ながら、魔物の情報を俺達に話した。


「パルタス側は、ハーピー、スロス、マジックマシュウルームが巣を作り……」


(それは、既に俺達が倒したっちゅーの)


と心に思いながら、黙ってアメリオさんの話を聞く。


「イーシャイナ側は、正体不明の魔物が複数徒党を組み砦を築いておりまして……

力づくで砦を破壊……できないわけではないのですが、運悪く襲われた商隊の馬車

にある物が積まれておりまして……砦を力づくで破壊した場合その物が失われる可

能性があり……」


「なるほど、では魔物の殲滅及び砦の破壊の加え、その物の奪還も今回のミッショ

ン……クエストに含まれるんですね」


「はい……流石S級お察しの通りです」


「で、その奴らに奪われた物って言うのは?」


とゲキがアメリオさんに聞く、


「はい……それは……」


「それは……?」


と俺達が実を乗り出すと……。


「失礼いたします」


と言いながら戸を開けて女性職員が3名お茶を運んで部屋に入ってくる。


 しばし、お茶が配られる間、沈黙のアメリオさんと俺達。


 お茶が皆にいきわたり、女性職員が退席するのを待って、ゲキが口火を切る。


「で……その物とは?」


「はい、イーシャイナ王国の現国王愛用の品の……」


「愛用の品の?……」


俺も身を乗り出し聞く。


「愛用の品の”太陽剣”です」


それを聞いて皆唖然とする。


「太陽剣とは?」


とさらに聞くゲキにアメリオさんではなく、代わりにソフィーが答えた。


「お兄……いえ、フェリクス王子の持つ”氷結剣”と対をなすラグナヴェール家の

先祖代々受け継がれた宝刀です」


「えっ、宝刀!」


「はい」


と驚き言う俺にソフィーが頷く。


「しかし、何故その宝刀が商隊の馬車に?」


と疑問を浮かべるミオンに


「おそらく、メンテナンスのため、ウクラハンバ王国(ドワーフの国)に出してい

たのだと思います」


そう答えるソフィーの顔をまじまじと見ながら、アメリオさんが言った。


「お詳しいですな……まさにその通りなのですが……あなたはエドモンド王の近親

者ですか?」


(ヤバイ……)


と俺は思った。


「いえ、今回わたくし共に直接エドモンド王からの依頼がありましたので、そうで

はないか……と推察したまでです」


(えっソフィー今回のエドモンド王からの頼みのことわかっていたの?)


って俺は思ったが、後でソフィーに聞いたら、その時はそうは思わなかったが、フ

ァルコさんに相当無理をさせてまで俺達に依頼してきたことと、また、”勇者”の

身分を隠してほしいって言うことと、更に奪還クエストをギルドに出していたこと

から推測したそうだ。



(結局……エドモンドさんの頼みって、私的な頼みだったのね)



宿場の名前の108と言うのは、C108ガ〇キャノンから取りましたカイさんの機体でしたね

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