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茜色の予報師との旅立ち

テンの能力は続編で明かされる予定です! 何時になるか分かりませんが(汗)。

通信機が貫かれ僕の手から離れる、床にも12本の切れ目が走り赤い体液が溝に溜まっている。

僕は本能的に傘を開く!

すると12本の光の剣が傘にぶつかる。


「あれ?君は誰かな?」

「………」

「鬼ではないな……狩人でもないし」


狐の面から楽しそうに喉を鳴らす白いコートの少年は次の攻撃を仕掛けてくる、それを交わしナイフを投げつけて壁を背に隠れた。


「っ……あーあ、また幽弥に怒られる」

「……!」


ヤバいと感じ、前のめりに倒れるすぐ真上を灼熱の黒い火柱が通り過ぎる。


「エミティか……いや、違うな?」

「お前は鬼?初めてみた!だったら!」


ぶつぶつ言ってる狐面に向かって銃を乱射する、一応持ってきた対魔用の弾丸だ油断していたのか全弾命中し体から白い煙が出るがまるで効いてない。


「それじゃ僕は殺せないよ?」

「むむ!お前も僕と同じ目的なのか!」

「起源石……前は狩人側に持っていかれたからね」



カプセルと機械が隕石を守っているそれを見ながら、今度は黒い水晶が左右から弾丸のように飛んでくる。

「なんのー!とりゃあ!雨霰!狐面に落ちるでしょう!」

「なんだこの感じ?」


突然天井を黒い雲が覆い、氷河激しく降り注ぐ!

狐面は冷静に黒炎でなぎはらい蒸発する!


「今だ!雷!」


部屋一帯に落雷が落ちる、蒸発した氷河は直ぐに形を戻し避雷針の役割をはたし狐面に雷が落ちる!


「まだまだ!雨!」

「く!」


今度は部屋中を雨が降りしきり周りを濡らす!

ぐらついている狐面に僕は傘を打ち付ける。


「五トン分の水の重みだ!食らえばひとたまりもないぞ!氷柱!」

「なに!?早い!」


狐面の周りだけ鋭い氷の刃が襲いかかる!

それを避けることはもう予報済みだ、



雨が傘に集まり鉄砲水を喰らわせてやった。



「やってくれるね……不思議な力だ天候を操れるのか?」

「話しには聞いてたけど……無駄に頑丈だな、嵐!」

あれだけの質量を加えた攻撃は狐面に膝をつかせる程度しかダメージを与えられていない。


「……斬撃ときどき黒炎が発生するでしょう!防御の準備をお忘れなく!」

「!くっ!」


嵐のおかげで狐面の動きは防がれている、傘を開き風にのるそして嵐の勢いを乗せて叩き込む!

予報通りの攻撃を全て行った狐面に攻撃が決まる!


「……成る程、予知?か何かの類いの能力だな、欲しいなその力」

「!??予報が外れた!」

特殊合金製の傘の直撃を受け施設の殆んどは崩壊寸前だ、なのに平然と立っているのだ!


「左手はダメか、今日は退こうかな茜色の少年」

「待て!それはおいてけよ!」


狐面がガラスケースを破壊し二つある隕石を持って行こうとする。


「君には扱えないものだよ?それに君……その能力は強力だけど多様は避けたほうがいいね」

「くっ!」

「それにもう動けないだろ?」

「つっ!なんで予報は完璧な筈なのに」


いつの間にか狐面は目の前に表れるそして頭を捕まれた、全身の出血が酷い全く見えなかった。


「君はいい(カラー)をしているね、生かしておいてあげるよ、熟してから喰ってやる」「あっ何をした!あ!待て!」


狐面は黒い炎に包まれ消えた……完敗だ、舐めていたほかの種族とは訳が違う。ぼんやりする頭を振ると石が擦れる音がしシグマの施設は斜めに切り裂かれていることに気付く。


「……本気にすら為らなかったのか……くそ」

「おぉぉ!こぇえ!死ぬ!」

「!フラディオ?なんでここにいるのかな〜?」


瓦礫を全て弾き、フラディオを抱えて外に飛び出したヒョエーと奇声を発するフラディオ君と共に地面に着地する。


「どんな脚力してんだオメーは!軽く五メートルは跳んだぞ?!しかも俺を抱えて!」

「あはは!僕もビックリだよ……任務は失敗か……はぁ」

「たく、心配したぞ施設から雷やら霰やら光が飛び出て周りの物を切り裂くは」

「ごめん、さぁ帰ろ!」

そろそろ、戦闘が終わるころだ撤収しないと軍に見つかり面倒な事になる。

傘を背負って立ち上がる、心なしか体が軽いし感覚が研ぎ澄まされている、こんな感覚……歩兵訓練で虎と一騎討ちをした時以来だ。

「あ!テンこれ、なんか狐の面を被った奴がくれたんだけど」

「起源石?!クソ〜ムカつくかな〜」



フラディオの手には半分に割れた起源石が握られている。

あの狐め!と頭にくるが取り敢えず任務は終了したしあのまま闘っても負けていた。


「今度は負かしてやるかな!」

「なに怒ってんだよ、帰ろーぜ」




3日後。


「お世話になったかな〜」

「おう!また観光に来いよ!」

「…………」


3日間で様々な観光地を回った、テンは相変わらずのおバカぶりで厄介なことばかりを起こしてくれた。


「どうしたの、フラディオ君?」「……なぁ?ついて行きたいって言ったらどうするよ?」


テンは浅くため息を吐き、真剣な顔で俺を見据える。

「オレの仕事は危険が付き物なんだ、今回みたいに異形の者との戦闘になる場合もあるし、初めて闘った鬼に手も足も出なかった」

「……そうか、まぁ俺がいても」

「でも、一人は寂しいからよろしくね!」

「は?いいのかよ!」


ダメかと諦めようとすると手を取り握手をされる。顔をあげるとヘラヘラ笑いながら喜ぶテンが映る。


「実はオジサンに頼まれてたんだよ」

「親父にか?」

「そうだよアマダ・テルヒト大尉殿にね、だから大丈夫!」


店を見ると手をヒラヒラと降る親父が俺の荷物を片手に待っている。


「ほれフラディオ!行ってこい!しっかり世界を見てこいよ、店は閉めて軍に復帰しなきゃならんようだしな!俺の心配はするなよ」

「ああ!行ってくるぜ!」


これから始まる俺と茜色の予報師との不思議な物語が始まる、テンの能力に異形の存在そんな事は知ったこっちゃない……俺はテンと世界を見ていくだけだ。


次回、茜色の予報師VSカラー使いに続く予定です!

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