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予報師とハッカー

テンに部屋の鍵を渡し、さっそく話を切り出す。


「で、さっきの話はマジなのか?冗談だろ?」

「ん〜おおマジだよ、だいたいでいいかなー……あとは僕様がやるしね」


旅行用のトランクを置き中からパソコンを取り出す。

「やめとけって、ただの観光にしとけよ」

「大丈夫かなー、僕強いしさ隠密行動でいくし、だから情報が欲しいかなー」


パソコンを閉じ、部屋をでる。


「さぁ情報収集かなー、午前5時に協力者から援護がある、君の情報が命なのだよー天才ハッカーくん」

「な、なんのことだ?」


ドキリとする……こいつ俺を知ってるのか?

またも考えこんでしまい服を引っ張られる。


「さぁ日がくれる前に話を聞きにいくかな」

「ああ、わーったよ」


街の連中に手当たり次第に聞きまくるテン……だから英語で話し掛けないと通じないって……。溜め息をつき、また通訳をする喉が渇れそうだ。


「ねぇー」

「なんだよ?」

「なんでジュースがこんなに高いのかなー?」

「雨が……降らねぇからだよ、まぁ水の配当はちょくちょく来るからなこの時期は少し高いな」


ふぅーん、納得した様子で街を彷徨く。

ある程度の聞き込みを終えて満足したようだ、鼻歌を歌いながら家に帰る。

たく、こっちは疲れたっーの。


「くっはは!なかなかいけるクチか!ほら」

「おっと!親父こいつもうダメそうだぞ目が虚ろってる」

「まぁーだ、だぁあいじょうぶぅ、へへ」


薄ら笑いから表情が殆んど変わらないから親父はキョトンとし小さく笑う。


「つれてってやれ、片付けは俺がやるから」

「おう」


テンを背負い二階にあがるテン以外は客は停まってない経営難だ、はぁ。

そしてこの傘、無駄に重いぞ、ちくしょう。


「ほら、潰れるまで飲むなよな」


「……さぁ、仕事を初めてくれフラディオ君」


ビクッと体が震える、テンのおどけた口調が冷たくなった。


「そんなに身構えないでほしいかなー、そこのパソコンは協力者に出来る限りのの技術を積み込んで貰ったかな……」

「俺はパソコンはさわらねぇ……無理だよ」

「逃げることは許さない……オレはチャンスをくれてやる為に来た」

「ちゃ、チャンス?」


冷や汗を拭い深く息をすい問い掛ける、薄ら笑いのはずの表情がとても残虐に見える。


「そうだよ六年前のケリをつけよう」

「お前は……なんなんだ……いや、わかったそれでケリがつくなら、やってやる!」

「うん♪これで一安心かなー……僕は寝るかなー」


そう言い残し恐ろしく寝付きの良さで寝てしまうさすがにカッパは着ていないが傘はだきまくらの様に抱えて寝ている。


「ふぅ〜二度と触らねぇつもりだったのに……まさかテンが軍人だったなんてなしかも偽名、タグ隠せよ」

この少年のような男は恐らく六年前の大規模な掃討作戦の生き残りだろう……当時の俺は確かに天才ともてはやされたしかしハッキングの未熟さと己の愚かさのせいで軍の情報を流出させシグマに敗退した。


「いっそ、罵ってくれた方が気が楽だぜ……なのに償いのチャンスをくれるか……なら答えてやる!今夜は“クスィー”大復活祭だ!」


ノートを開き立ち上げる、さすがあっという間に起動しカリカリの音が少ない。ざっとスペックを調べたら今の最新機器の二三第さきの性能に達しているだろう……なんて奴だ。


「参ったな……俺なんかただの凡人だ…っとメール?」


一旦自分の部屋に戻り自分で作ったフリージアと名をつけたプログラムが入ったトートバッグを持ち端末に差すと同時にメールが来る。


『起動したということは、無事にクスィーと出会えたようだな、予定どうり作戦を結構』

「……する、イロハ スギモト……コイツが協力者、っと、さぁて始めるかぁ」

指が一瞬震える、そして触れる……六年さわって無くても精密にかつ俊敏に。


「なかなかのプロテクトだ、だがフリージアの敵じゃないな」


データを閲覧し情報を集める足跡を残さずクラックするのは朝飯前だ後は監視カメラのシステムに侵入し敵の目を奪う下準備をしおえた。

仕事に時間はかからないがフリージアの改良するのに時間がかかり気付けば4時半だ、疲れた。


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