08 バイク乗りとコーヒーの関係
今回はちょっと短いエピソードです。
バイクで走っていると缶コーヒーが美味しいですよね~
バイクを運転するという行為は、見た目以上に身体を疲労させる。
夏であれば容赦なく照りつける陽射しが皮膚を焼き、冬であれば吹き付ける寒風が体温と共に体力を奪っていく。
しかし、それでもバイク乗りは走ることを止めない。
愛機の背に跨がり、アクセルを開く。
そんなバイク乗りを癒やしてくれるのが、一杯のコーヒーだ。
バイクで走った後に喫茶店に入るとホッとする。
いまどきは喫茶店ではなくカフェというのかもしれないが、我々のようなバイク乗りにはオシャレなカフェより昔ながらの喫茶店のほうがしっくりくるかもしれない。
まあ、どちらでも良いことだが。
心地よい音楽が流れ、コーヒーを淹れる芳ばしい香りが鼻先をくすぐる店内。
そんな場所で腰を落ち着け、窓の外の愛機を眺めながら淹れたてのコーヒーをゆっくりと飲む静かな時間。
これだけでツーリングの目的になるだろう。
しかし、別にそんな風に店に入らなくても良い。
キャンプ等で使う携帯用のガスコンロとヤカンを持っていくのだ。
どこか眺めの良い場所でバイクを停め、その場で湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
大自然の中、屋外で飲む淹れたてのコーヒー。
これは格別の美味しさだろう。
これもまた、ツーリングの目的の一つだ。
ただ…‥別にこんな風に特別なことをしなくても良い。
寒い冬の日。
バイクを停め、ヘルメットを取り、グローブを外し、自販機からゴトンと落ちてきた熱い缶コーヒーを自分の愛機のかたわらで飲む。
それだけで何の変哲もない缶コーヒーが、魔法でもかけたように美味しくなる。
これで良いのだ。
難しく考えることはない。
バイク乗りにとってこの一時は、加速によって前方に向けられていた意識がとけるように周囲へ広がっていく時間だと思う。
加速を止めて、体の中に温かなコーヒーを流し込みながら、周囲と自分がリンクする瞬間、世界は鮮明さを増し、暖かく色付く。
この時間が私はとても好きだ。
コーヒーは別に熱くても冷たくても良い。
同じ時間の中を一緒に加速してきた相棒のかたわらに座ってコーヒーを飲む。
その時、周囲の鮮やかな世界と自分との境界が曖昧になって、より多くのものを感じ取れる気がする。
そして、コーヒーが無くなる頃にはズレた意識も境界も元通りになる。
また走り始める準備が出来たことが分かる。
コーヒーのおかげだろうか?
まあ、良い。
さあ、また加速しよう。
次の旨い一杯を楽しむ為にも。
ツーリングで飲むコーヒーって美味しいんですけど、トイレに行きたくなっちゃうのが困りものですね。
でも飲んじゃう。
無限ループですね…。