少女
俺は鍵を取り出しドアを開けた。
さっき話しかけて来た少女がいた。
そして主人公は戦いに巻き込まれやがて彼女と恋に落ち戦いを通して強くなっていくのだ………
と今よんでいるような本ならそうなるだろう。
だけど現実だったらそんなことになるはずかない。
ここで俺が考えついた理由は3つ
一つ目、却下。
こんな可愛い子が泥棒なはずがない。
もし泥棒だったら………だったら……許す。
可愛い子は何をしても許されると誰かが言っていた。
次に二つ目、これも却下だ。
夢かどうかなんて自分でも分かる。
これは明晰夢なんかではない、
もし夢ならこのまま夢を見させて欲しい。頼む、頼むから!!
なら三つ目だな。
俺は大きく息を吸った。
「すいません、部屋間違えました」
寝不足かな、変な幻覚が見える。
昼寝してたんだけど、
でも部屋の番号はあってるはずなんだけど。
「ちょ、ちょっと待ってください」
「待ちませんよ」
「ふぇ」
と、彼女は間抜けな声を出していた。
「ストーカーの言うことなんか聞きません。僕がかっこいいからつけて来たんでしょ。言い訳なんて聞きたくありません。続きは署でお願いします」
「か、かっこいい?それはともかく私はストーカーなんかではありません」
なんで、なんで。
「疑問形で僕に聞かないでください。ツッコんで欲しかったのに……。じゃあなんでここにいるんですか?」
「そ、それは……。って、携帯を取り出してどうするんですか?」
「二進法の数字を打ち込むんですよ」
「あぁ、1と0のやつですね。私知ってます………って、警察呼ばないでください。信じてください」
必死になって止める彼女は少し可愛くて、
仕方なく、本当仕方なく、俺は携帯をしまうと彼女に聞いた。
「どうしてうちにいるのか説明してもらってもよろしいですか?」
一瞬の間の後、
「まぁとにかく座ってください。これ、座布団です」
「やですよ、ていうかあなたの使ってる座布団俺のなんですけど。他人の家にずかずか入ってくるなんて非常識ですよ。こういうの四字熟語でなんていうか分かります?」
「清廉潔白?」
「ちがーう」
「孤軍奮闘?」
「真面目にかんがえてるのか?」
「残念無双?」
「お前自分のことどう思ってんの⁉︎それ四字熟語じゃないし」
顔の割にほとほと残念なやつだった。
「私の名前はアイリス ベレスフォード。
アイリスって呼んで下さい。呼んでくれないと怒っちゃうぞ」
そう言ってほおを膨らませながら顔を近づけてくるアイリスに俺は少し声が裏返ってしまいながら、。
「っ、で、何の用だ?早く帰ってくれないか?早くしないとアン○ンマンが始まっちゃうじゃないか」
「それ話早く終わらしたいだけですよね!」
と、すぐさまツッコミが飛んできた。
「そんなことはないよ。ちゃんと話聞いてたよ」
「私の名前は?」
「もちろん分かるよ。ストゥーピッド コックローチだろ」
「全然話聞いてないじゃないですか。っていうかさりげなく私バカにされてません?」
してる。
「……そんなことより」
「そんなことより⁉︎」
「どうやって部屋に入って来たんだ。鍵がかかっていたはずなんだが」
「あぁ、それは窓を壊して中に入りました」
「なるほどね、窓を壊して入って来たのか……って窓壊したーーー⁈」
「すみません」
ドヤ顔で謝って来た。
「すみませんじゃないよ、弁償しろよ」
「今さっき美味しい棒を買ってしまってお金がありません」
と、堂々と言ってきた。
「そんな言い訳通じるか!!どうしてくれるんだよ」
「なんとか必要経費で落とします」
「分かった」
「分かってくれるんですか?」
「あぁ、警察に突き出す」
「やめてーー、突き出さないでなんでもするからーーー」
「ほぅ、なんでも」
「え」
「じゃあ、俺の雑用係ということで」
「あの、それ本気ですか」
「マジだ」
「私に選択権は?」
「なし」
「そんなーーーーーー!」