薬
「日向。どうした?」
アオキが駆け寄ると、日向は泣いていた。
「保健室。行くぞ。」
アオキが肩を貸そうとすると、
「うざい!消えろ!死ね!」
叫びだした。
でも、アオキにじゃない。
どこか……
空気に向かって。
お姫様抱っこをした。
日向は静かに、寝息を立てた。
きっと……
寝れてないんだとアオキは思った。
アオキの胸で静かに寝る日向。
保健室につき、ベットに寝かせた。
その時、フードが取れた。
長いまつ毛に、黒いストレートの髪。
思わず見とれていた。
チャイムが鳴り、我に戻る。
戻ろうとすると、日向がアオキの腕をつかんだ。
「アオキ……」
――え?
今、アオキって……
「ただの寝言か!」
それか空耳!
うん!そうに違いない!
授業始まる!
あ、このままサボっちゃおう♪
そう考え、アオキは日向の寝ているベットの端に座った。
その時目に入った、日向のカバン。
何が入ってるのか好奇心に駆られてしまった。
カバンに手を伸ばし、チャックを開ける。
中には勉強道具ばかり。
「なっなんだ!つまんねっ!」
そういったが、
でも、本当は焦っていた。
不思議に開いていたスペースに……
精神安定剤と書かれた薬と……
白い粉があったから。
「なに……見てるの……」
初めて聞いた日向の声。
こんな声してるんだ。
「返して!!!!」
カバンに手を伸ばしてきた。
でも……
反射的によけた。
「精神安定剤って……この白い粉はなんだよ。」
アオキが言い終わるか否やで、日向は倒れた。
「日向!日向!」
アオキの声は届かない。
静かな保健室に、アオキの声が響いていた。