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日陰の彼女。  作者: 奏楽☆
日陰
1/2

影島(かげしま)アオキのクラスには、日陰が大好きな日向(ひなた)がいる。ややこしいから、ちょっと訂正。

影島アオキのクラスには、日の当たらない日陰が好きな、『日向ちゃん』がいる。これでどうだ???

日向は、いつも日陰にいる。

フードをかぶって、日傘を差しながら。

まじで意味わかんねえわ。

スカートの丈も長いし。

ミニスカとか最高なのにな!

いつもアオキは思っていた。

「お~い。アオキあぶねぇぞ~!」

声をかけられ、振り向くとボールが飛んできた。白黒柄だから、サッカーボールだろう。


ボンッ


アオキの顔面に激突。

あ~あ。1話目なのにダッセー。

「アオキ大丈夫か?」

びっくりして閉じた瞳を開けると、目の前には親友の爽太(そうた)がいた。

「痛いんだけど。」

鼻がじんじんする!

「サッカーの授業中にボーッとしてるのが悪いんだろ。」

爽太が言った。

「お前がへたくそなのっ!」

「日向が見てるぞ~」

「キモっ!」

俺は、日向が嫌い。

だって、きもくね?

「爽太を見てんだろ。」

アオキが言うと、顔を赤くする爽太。

「何?お前……」

「Hey!パス!」

爽太は顔を赤くしたまま走って行った。

どこがいいんだろうと思って、日向を見た。



――気持ち悪!



「アオキ!シュート!」

爽太の声がして、ボールに目を移す。

ちょっと高めのパス。

もちろんシュートは決めるぜ☆


ポーン



アオキが蹴ったボールは、間抜けな音を発して、日向のほうへ飛んで行った。

「わりぃ。日向取って。」

アオキは言った。ちゃんと言った。

でも……

無言。

仕方なく拾いに行く。

「ったく。拾ってくれたっていいだろ……」

顔を上げると、日向が泣いているのが見えた。

いや、顔ではなく、涙が見えた。

「お前……」

「おい!アオキ!早くしろよ!」

爽太ではない別な奴の声が聞こえて、戻った。

―――どうして泣いてたんだ?

「アオキ!よそ見してるとまた顔面にボールぶつかるぞ!」

「俺はそんなドジじゃナッシング♪」

アオキの頭は日向の涙でいっぱいだった。

どうして泣いてたんだろう。

休み時間、爽太と話していても、アオキの頭は日向の涙でいっぱいだった。

廊下側の1番後ろの席に座っている日向。

読書をするわけでもなく、誰かと話をするわけでもなく、ただボーッとしている。

顔が見えないから、どこを見ているのかもわからない。

「アオキ……好きなのか?」 

 爽太が聞いてきた。

「は?お前、俺があいつのこと嫌ってるの知ってんだろ?」

「そうだよな!……よかったぁ」

やっぱり、こいつ……

好きなんじゃね?

「お前、好きだろ。」

アオキが言うと、顔を一瞬で赤くして、手をバタバタさせた。

「なっちげっちげぇよ!ばかっバカ野郎!」

わかりやす……

口には出さず、心でつぶやいた。

代わりに、

「幼稚園児の初恋かよっ」

そう言った。

「高2の初恋だよ!!!!!」

……え?

高2の初恋?

アオキのクラスの周りが静かになる。

休み時間でも、教室で話すやつもいるし、教室前で話してるやつもいるから。

「なっなんつって!」

爽太がタジタジでごまかす。

「イケメン爽太の初恋!やべぇ。面白っ」

アオキは応援してやるかと思った。

「その恋!俺がキューピットだぜぇ。」

「本当か!?」

目をキラキラさせながら聞いてくる爽太。

「おうっ」

「じゃあ!メアド聞いてこい!」

「おうっ任せとけ!」

アオキは、日向の席の前に行った。

「日向。」

完全無視!

俺は、しゃがんで顔を覗くようにした。

それで……

見えた。


―――綺麗な顔が……



「聞いてる?アドレス教えて。」

ちらっと俺の顔を見た。

それで俺が見ていることに気が付いたようだ。

「気持ち悪い。」

ボソッと日向がつぶやいた。

アオキはカチンと来た!

これでも俺もてるんだぞ!?

「お前に気持ち悪いなんて言われたくねぇし!」

日向は立ち上がって、荷物をまとめると、教室から出て行った。

「アオキ!何言ってんだよ!くぅ。メアドぉ(泣)」

俺の肩にすがり付いてくる爽太。

「キモイキモイ!これが女子だったらいいのに!」

「爽子です❤」

「っ!」

急に腹が痛くなった。

「トイレ行ってくる!」

「授業まであと2分だぞ!?」

トイレに行くと、全部使われている。

仕方なく、ダッシュで下の階のトイレへ走る。

階段で、うずくまっている人がいた。

フードをかぶって、長いスカート丈。



―――日向だった。

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