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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第4章 北の遺跡編
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第17話 魔石の祠

「どこに」

と聞くと、

「魔物だらけです。道の両側の木はすべて魔物です。」

と言う。鑑定で調べてみると、「ミミックツリー」と出た。


 祠までは200mくらいある。

「祠までたどり着いたとして、あの祠が魔物って訳じゃないよね」

とリーナ、セシリアは、

「あそこまでは私の索敵は届きません」

「じゃあ、試してみるね」

とシェリルが言う。


 シェリルは風の弓を取り出し矢をつがえる。しっかり狙って矢を放つ。矢はものすごいスピードで祠に向かう。そして、石と石の継ぎ目に刺さった。

「震えましたね」

そのとき、祠がわずかに震えたようだ。僕にはよく見えなかった。

「擬態のようですね。もう1本放ってみます」

と2本目を放つ。矢が当たると祠は解体し、何匹かのトカゲっぽいものになり木々の間に隠れてしまった。その向こうにまた祠が見えた。500mは先だ。シェリルが矢をつがえている。

「届くの」

とナナが心配そうに聞く。

「たぶんね。今度は魔力を通して射るから」

と弓を引き、矢を放つ。矢羽根はオレンジ色で目立つのだが、当たったかどうか僕には分からなかった。ナナが、

「跳ね返っちゃいました」

といったので当たったことが分かった。念のためもう1射する。

「やっぱり跳ね返りますね。たぶん本物の祠でしょう」

とナナが言う。500m先の矢が見えるなんて目が良いんだなと感心する。200m先のもよく分からなかった僕にはとても無理だ。


「さて、じゃああの祠まで行くよ。あれがウスパジャタの祠なら良いんだけどね。擬態の可能性も残っていることを忘れないで」

「サトシ、試しに一番近い奴を攻撃してみていい」

とリーナが聞くので、

「1本攻撃したら、一斉に攻撃されるかもしれないよ。試しにマインドボール放ってみようか、それなら連携が取れないかも」

シェリルが言った。

「もう、みんなで一斉に攻撃しましょ。攻撃して、危なくなったら結界から出ましょ。それから対策を考えればいいよ」

シェリルらしい、過激な発想だ。みんなが同意する。


 アルトはファイアーストームを、シェリルはウインドストームを、リーナは雷槍を、セシリアはウォーターカッターを、僕はマインドボールを放つ。ナナは短剣を1本投げた。


 突然の魔法攻撃にミミックツリーは、暴れ出す。枝や蔓を振り回し、木の実を飛ばす。近くの木々は何本か倒れている。短剣が刺さった木も倒れた。物理攻撃も有効のようだ。しばらくすると木々のざわめきは治まった。リーナが言った。

「けっこう倒れたね。これなら、数の多さだけ気にすれば問題ないでしょうね」

「木々を抜け、やっと祠にたどり着いたらそれも擬態だったという連携で、合わせてAランクなのかもしれないね」

と答えたとき、セシリアが、

「倒れているのも索敵にかかります。死んだふりをしているだけです」


 僕は死んだふりをしているミミックツリーにマインドボールを放った。ミミックツリーは突然立ち上がり近くの木々を攻撃する。混乱しているようだ。木と木が激しく戦っている。マインドボールをあちらこちらに放つ。木々の戦いが始まった。そこにもう一度アルトがファイアーストームを放つ。暴れていたミミックツリーが倒れて行く。


 火に弱いのかと思って、ファイアースピアを放つ。当たったミミックツリーは倒れない。そうか、

「木の外殻は硬い。動き出したときの皮の無いところを狙え」

と叫ぶ。弱点さえ分かれば何とでもなる。それくらいの実力は僕らにはあるはずだ。マインドボールはダメージを与えなくても混乱はさせられるようなので、少し先のミミックツリーに当てる。すると暴れだし、周りのミミックツリーを攻撃する。周りのミミックツリーも反撃する。じっとしていれば防御力は高いのだが、攻撃しているミミックツリーは隙だらけになる。そこを魔法でも剣でもいいから攻撃する。すると簡単に倒れて行く。死んだふりをしている奴は無視することにした、攻撃してもあまり効き目が無いからだ。僕らは、先に進むことに意味があるわけだし。


 少しずつ進んでいくと、右から青い大きな6mくらいある狼が歩いてくる。

「リトルフェンリルだ、気をつけろ」

と僕が叫ぶ。緊張が走る。リーナが雷槍で攻撃する。リトルフェンリルには魔法は効かない。みんな慌てているようだ。


 雷槍が当たったリトルフェンリルの右肩が青色から灰色に変化していく。

「魔法が効いている。サトシ、擬態かも」

とリーナが言う。僕はファイアースピアを放つ、リトルフェンリルはバラバラに砕けた。逃げ遅れた魔物を豪力で掴み魔食いをかけ、次に鑑定をかけると「ミメシス」と出た。そして剣でとどめを刺す。「ピロン♪」と音がした。刺した場所が悪かったのかミメシスからいやな臭いが広がる。近くのミミックツリーが一斉に僕に襲いかかってきた。マインドボールで何本かを混乱させるも、他の奴はこちらにまっすぐ向かってくる。


 リーナが、

「サトシ、クリーンをかけて臭いを落とすのよ」

と教えてくれた。念のためリーナにもかける。クリーンをかけると、ミミックツリーは僕を見失ったような動きになった。

「ふう、ありがとうリーナ。助かったよ」

「まだ終わってないよ」

僕たちは気を引き締め直した。


 擬態の祠があった場所を過ぎ、もう一つの祠に近づく。セシリアが索敵で調べてみる。どうやら魔物ではないらしい、本物の祠のようだ。擬態だったら気力が萎えてしまったことだろう。ペースを変えずにミミックツリーを倒しながら進む。200匹以上のミミックツリーを倒し、祠に着いた。魔物よけの結界がかかっているようだ。念のため結界石も置いておく。


「木の魔物なんてイグナシオ大陸にはいないよね。大陸が違うと魔物まで違うのね」

とシェリルが言うと、リーナが、

「植物かどうかも怪しいけどね。祠の擬態の奴が石じゃなかったようにね」

「でも、祠に着いて良かったね。ねえ、サトシなんて書いてある」

僕は壁の文字を読む。みんなに文字を書き写して欲しいのだが、今はその気力も無いらしい。

「ここは、魔石の祠っていうらしい。結界を張っているのはこの祠だね。祠の外に強い魔物を出さないように魔方陣と魔石がある。その中央の円板だよ」


 祠の中央の円板を見ると魔方陣があり、その中央に黒い魔石が埋まっている。

「黒い魔石って、闇の魔石ですか」

とアルトが聞くので、鑑定すると「闇の魔石」と出た。

「そう、闇の魔石だ」

シェリルが、

「じゃあ、それを武器に融合させれば闇属性が付きますね。外しますか」

「欲しいけどダメだろう。これを外すと魔物たちが一斉に大陸中に散らばってしまう。エルフ族も竜人族も絶滅するかもしれない」

「でも、せっかく闇の魔石があるのに」

「どうしても必要になれば、また来ればいいよ。この大陸の人を絶滅させてもというようなことにはならないと思うけど」

そう言いながらも、壁の文字を読んでいく。


「ウスパジャタの祠について書いてある」

そう言うと、みんな近くに集まってきた。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

とうとう24万文字を超えてしまいました。

文庫本2冊分だそうです。

お気に入り登録や評価をして下さり大変感謝しています。

皆様の感想、すごく参考になります。

大改訂の折には、いろいろと使わせていただこうと思っています。



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