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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第4章 北の遺跡編
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第10話 縦走

 龍の祠の壁を読んでいくと北の遺跡と神の門のことが書いてあるところにさしかかった。これを書いた人物はシャイアス大陸には行けなかったようだ。『光、水、木、土、風、火の6属性を揃えてきたのに開かなかった。闇が必要なのだ。闇属性の人間なんて聞いたことがない。ゴーストでも連れてこいというのか』とあった。

「必要なのは、闇と風と水の魔力だって」

と言うと、リーナが、

「良かった。心配してたんですよ、水と木が必要だったらどうしようって」

「そうか、一緒には無理だね」

「そのときは、右手と左手で別々の魔力を通せばいいにゃん。魔力を通すのが右手の絵の部分なら左手でも開くにゃん。ルグアイのおとぎ話にそういうのが出てくるにゃん」

「でも右手と左手に別々の魔力って流せるのかな、聞いてくる」

と言ってシェリルが祠の外に行く。

帰ってきて、

「できるって、凄いね」

「まあ、今回は使わないけどね。何かのときに必要になるかもしれないね」


 読める部分は全て読んだ。南の遺跡と重複する内容もかなりあったが、新たな発見が1つあった。もう1つの遺跡というのが記載されているのだ。

「もう一つあるの。それってファジルカ大陸に通じるのね」

「おそらく、伝説どおりになら」

「行きたいね、ファジルカ大陸」

とみんな盛り上がっている。

「まだ、シャイアス大陸にもサマルカン大陸にも行ってないんだよ」

と言うと、

「あのとき、ユージン様を追いかければ良かった。そしたらサマルカン大陸に行けたのに」

とシェリルが言ったので思わず吹き出してしまった。


 読めない部分もあった。文字がかすれて彫りの深い部分だけが残っているようにも見えるが、くさび形文字にも見える。おそらく別の言語で書かれたものだろう。書かれた部分は少なく数行のメモ程度だろう。

「サトシ様、読めますか」

とナナが聞くが、

「読めない。これだけの文字数のために翻訳スキルを取るのはね。ここは正確に写しておいて、また出てきたらスキルを取ることにしよう」


 別の場所で文字を書き写していたリーナが、

「どんな文字」

と聞いてきたので、

「これだよ」

と言うと、

「あ、それ見たことがある。父はシャイアス文字って言ってたよ。サトシ、鑑定のスキル持ってたよね」

「えっ、鑑定って文字の種類も分かるの」

「さあ、やってみて」

と言うので、書かれている文字に鑑定をかけてみた。

頭の中に、玄武岩、シャイアス大陸共通語と出てきた。

「シャイアス大陸共通語と出た。それなら有用だよね。翻訳スキルを取る」

そう言って、スキル取得を念じた。文字が読めるようになった。

「シャイアス歴106年赤龍の3日、大魔導師ウスパジャタの弟子、クラレンセここに記す。だって」

「大魔導師、そのウスパなんとかが首輪を作った可能性があるね、伝説どおりなら。シャイアス大陸に行った後の目標ができたね」


 その日は、ゆっくりと過ごした。アルトが腕によりをかけて作った料理だ。リトルサラマンダーの肉を使った料理は最高だった。


 北へ向かった。標高も少しずつ高くなり、雪も降ってきた。マントのおかげで寒さはそれ程感じないのだが、景色が寒さを脳に届けてくる。ウインディドラゴン対策に、翼竜を討伐しながら進む。シェリルの風の弓とアルトのファイアーアローが空高く飛ぶ魔物には効果的なようだ。攻撃を受けて近づいてきたら多彩な攻撃ができる。ビッグネイルやビーファルコンと戦った経験も役に立っているようだ。ナナの土の加護は雪道にも効力を発揮してくれた。


 翼竜を倒し、爪と牙を剥ぎ取る、もちろん肉も。昼食が近かったのでアルトが肉を焼く。翼竜の肉は上質の鶏肉という感じでとても美味しかった。次からは肉を集めようということになったが、飛んでいるのを打ち落とすとどこに落ちるかわからない。そこが問題だった。

「山ハイエナが集まっています。落ちた翼竜を狙っているようです」

「あいつらは夜も活動が活発だから、うろうろされると嫌だね」

「追っ払ってもしつこいからね」

「しばらく、翼竜を落とすのをやめようか。翼竜が落ちなければ諦めてどこかに行くだろから」

と話しがまとまりかけたとき、アルトが、

「翼竜の肉は良い食材です、集めましょう。山ハイエナは襲っては来ないでしょ。餌を落としてくれるのは私たちだと分かっているのだから」

「アルトがそういうなら、そうしましょう。美味しいもんね。肉を剥ぎ取ってもあいつらの食べるところはいっぱい残るしね」


 シェリルが風の弓で射る。狙いは左翼の付け根。そこに当たると羽ばたきが急激に鈍るのだ。鈍ったところにアルトがファイアーアローを左翼に放つ。それでほとんど落ちてくる。しぶとい奴は滑空して最後の攻撃を仕掛けてくる。それをみんなで攻撃する。翼を広げた長さで7、8mくらいものが多いようだ。

頭と首はけっこう長いが、胴体だけなら2mというとこだろう。豪力で十分受け止めることができる。


 それからは、山ハイエナが近づくと震地をかけて脅かしながら進むことにした。翼竜も効率的に落とすことができるようになり、上空からの攻撃にも慣れてきた。肉も溜まったようだ。


 セシリアが不思議そうに言った。

「山ハイエナがいなくなりました。1匹もいません」


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