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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第3章 魔物侵攻編
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第21話 マリリア到着

 マリリアの家に帰り着くと、すぐに冒険者ギルドに向かう。帰ってきたことの報告も兼ねて、レベルやステータスを確認するためだ。

「レベルはどれくらいになったかな」

「水晶見るのが楽しみだね」

シェリルとリーナが楽しそうに話している。レベルは経験値が倍になったときに上がるので、パーティーで狩りをしている場合、経験値の差は詰まらないが、レベルは近づいていくはずだ。


 ギルド内は、思ったよりも冒険者の数は少なかった。ほとんどの冒険者が傭兵となり、砂漠に遠征しているのだろう。カウンターにナウラがいた。


「お姉ちゃん、ただいま」

ナナがナウラに声をかける。ナウラも満面の笑顔で迎える。

「お帰りなさい。みんな元気そうで安心したわ」

声は、少し堅い感じで抑えた声だ。仕事モードなんだろうな。

「マスターに報告してきます」

と、奥に入っていく。


 ナウラが戻ってきて、

「こちらにおいで下さい」

と会議室に通された。会議室は広く、20人くらいで会議ができる部屋だった。そこにはクラウディオさんとカタリナさんが待っていた。セシリアが2人に抱きついていった。そのあとシェリルがクラウディオさんに、ナナがカタリナさんにハグしてもらい、椅子に座った。今回はナウラも座っている。王宮には他の職員が伝えに行ったらしい。


「ただいま戻りました。南の神の門は無事に閉じることができました」

と報告すると、クラウディオさんが、

「詳しい報告は、アラスティアとバーナードが来てからにしてくれ。それまで、いろいろとやりたいことがあるろう」

「お父さん、水晶貸して」

とセシリアが言うと、ナウラが水晶を取りに行く。


 水晶に手を当てて、「ステータス」と言う。ステータスが現れる。冒険者ギルドでは職員が立ち会うのだが、今回はギルドマスターのクラウディオさんが立ち会っている。見られても問題のない相手だ。


サトシ・ヒライ


 人族 男 16才

 レベル  17(経験値 100981)

 職業   冒険者C

 属性   闇

 HP   67/67

 MP   36/27+9

 力    24

 敏捷性  25

 持久力  24

 知力   27

 魔法   生活魔法1、生活魔法2、加速、身体強化、豪力、ファイアースピア、マインドボール

 特殊能力 鑑定、翻訳1(大陸共通語)、翻訳2(古代語)、遠距離操作、魔食い

 ポイント 6P

 所有奴隷 セシリア(エルフ)、アルト(人族)

 

 取得可能特殊能力

   特殊能力<レア>

    翻訳2(1言語ごとに)/2P

 以上


「サトシ、経験値が10万を超えるって何を倒したんだ」

「ユージン様、スカーレット様のパーティーと一緒に、リトルサラマンダーを倒しました」

「それで遠征前よりも5万以上も経験値が増えたのか、凄いことだぞ。冒険者ランクがCではつり合わない。俺の権限でお前はA、他のメンバーはBランクだ。いいな」

と言われ、Aランクにされた。冒険をする上では特に何の役にも立たないと思うのだがステータスの問題らしい。


 ナウラが、

「冒険者ギルドのランクは強さだけでは上がりません。貢献度や人格で決まります。普通ならAランクになるのは順調にいっても20年はかかります。私は少し甘いような気がします、嬉しいんですけどね」

クラウディオさんは、

「甘くはない。ユージンやスカーレットが共に戦おうというくらいだ。人格的にも問題は無いと判断して良いだろう。王女や教皇の娘もパーティーにいるのだし」

「それはそうですね。Aランクというのは凄いステータスなんですよ。身分は下級貴族と同等になります、男爵よりも子爵に近いんです。それに、パーティーにAランクが1人でもいれば王に謁見するとき以外は武器を預けなくて良いんですよ、王宮でも。Sランクになると伯爵と同等です。武装したままでも王に会えます。Aでも、ギルドの施設は使い放題ですよ。練習場も、応接室も会議室も」

話を聞いても、凄いんだろうなとしか思えない。まあ、王宮に入るときに武器を預けなくてもいいのはいいな。

「ピンと来ていないみたいだな。まあ、シェリル王女のいるパーティーだからな。今までも特別扱いされているだろうから、実感はないだろうな」


 レベルは、シェリルが16、他のメンバーは17になっていた。ほとんど同じだけ経験値が入った計算になる。魔素も1人6万くらい入っている。魔素だけで1人金貨60枚分だ。これに剥ぎ取った素材を得れば相当な金額になるだろう。そろそろ馬を飼うことも考えなくてはいけないかな。それからは、他愛のない話しをして過ごし、アラスティア様たちが到着するのを待った。


「それにしても冒険者登録から2か月でレベル16なんて聞いたことがない、新記録だなシェリル」

「2か月でリトルサラマンダーだもんね、非常識だよ」

とリーナも言う。シェリルはまんざらでもないらしい。


 1時間くらいして、2人が到着した。入ってきて、いきなりバーナード様が、

「サトシ、どうだった」

と聞くので、カタリナさんが、

「まあ、とりあえず座って下さい」

と落ち着かせる。ナウラが飲み物を用意する。お酒もあるので、クラウディオさんの方を見ると、

「正式な報告はいずれ王宮で行う。今日は仲間内の報告だ、酒でも飲みながらゆっくり話しを聞きたい」

と言われた。


 とりあえず、乾杯した。

「で、どうだった」

「サマルカン大陸と繋がっていた神の門を閉じることに成功しました。これで火属性の魔物の侵攻は終わると思われます」

「サマルカン大陸、火属性、神の門、何だそれは。ちゃんと順を追って話せ」

「では、始めから」

と言って、話しは始めた。


 第3近衛隊のベースでスカーレット様と合流し、マディヤのオアシスに行ったこと。そしてオアシスを制圧し、中央の建物の地下室で日記と魔方陣を見つけたこと。それからユージン様と合流し、南の遺跡に行ったこと、途中でリトルサラマンダーと遭遇して倒したことを話していった。

「リトルサラマンダーって、それをお前らだけで」

「いえ、ユージン様もスカーレット様も一緒です」

「いやそれでも30人くらいで何とかなるものなのか」

「ユージン様の話では、子供ではなかったかと。体長は30mくらいだったので」

「それでも30mだろう。ワイバーンクラスだぞ、おそらく」


 それから、南の遺跡に入り、神の門を閉じた話しをした。セシリアが、

「ユージン様って、子供みたいで、せっかちだったんですよ。みんなに待つように言って1人だけサマルカン大陸に100mくらい入って、俺1人だけサマルカン大陸に行ったなんて言うし」

と言うと、バーナード様は、

「そうそう、あれできっちりとやることはやるし、強いんだから可笑しいよな」

と笑っている。


 アラスティア様が、

「遺跡の壁に書かれている文字は写し取ったのか」

「はい、ユージン様が持ち帰られます。オアシスのものも」

「そうか、良かった。で、サトシは古代語が読めるのだな」

「はい、古代語翻訳のスキルを取りましたから」

「じゃあ、ユージンが帰ってきたら翻訳を頼む」

「分かりました」

と言うと、クラウディオ様が、

「Aランク以上の依頼だぞ」

「もちろん謝礼は払うさ。学者集めて解読しても相当時間がかかるからな。翻訳スキルか、それだけで十分食っていけるぞ」

「ダメです。サトシは冒険者です。私たちと一緒にまた、冒険に出ます」

とリーナ。

「冗談だよ。遺跡や日記の正確な翻訳が手に入ると、それを教科書にして学者たちの古代語の知識が増えて、これからの翻訳スピードが上がるはずだしな」

「じゃあ、それも謝礼に含めといて下さいね」

とリーナが言う。お金持ちのお嬢様のくせにきっちりしてるなと思っていると、アラスティア様が、

「任せておけ、それくらいの価値がある」

と言ってくれた。


「サトシ、魔食いはできたか」

とバーナード様、

「はい、ファイアースピアとマインドボールを魔食いしました」

「マインドボールって何だ」

アラスティア様が、

「ゴースト系の上位の奴が使う魔法だ。当たると錯乱するらしい」

「錯乱だけじゃなく、言葉が通じると意思をコントロールできるかもしれません。思いが込められるんです。思いを込めても魔物は錯乱するだけで通じませんでしたが」

「それも試してみよう」

「マインドボールが当たるだけでも相当にダメージがありますが」

「何とかする」


 それから、神の門やサマルカン大陸の様子をいろいろと話した。リーナ、シェリル、セシリア、ナナはそれぞれの師匠に自分の戦いの様子を話し、誉められたり助言を受けたりしていた。僕とアルトはナウラにドラゴンステーキのことなどを話し、楽しい時間が過ぎていった。

 これで第3章が終わりました。第4章は「北の遺跡編」の予定です。


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