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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第3章 魔物侵攻編
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第18話 遺跡の謎

 日記を読んでいく。リーナが聞く、

「ねえ、何が書いてあるの」

「彼は学者で、南の遺跡の調査隊員だったらしい。遠征は3度にわたったと書いてある」

「3回も遠征したんだ」


「そう、1度目の遠征の所にはこう書いてある。調査隊は、マディアから20kmほど南下したところで遺跡を発見した。石造りの祠を中心に半径30mくらいに石畳が広がっている。大発見をしたのだと嬉々として遺跡に踏み入れた。そのとたん、火トカゲの群れが襲ってきた。護衛の奴隷たちが戦っている間に逃げ帰った。奴隷たちは帰ってこなかった」

「奴隷は何人いたの?」

「それは書いてない」

「ふーん、それで」


「2度目の遠征のときには、軍が警護にあたったそうだ。南の魔物の侵攻が激しくなってきていたみたいだからね」

「国も動いたのね」

「火トカゲやレッドウルフを倒して、遺跡にたどり着いて調べてみると、サマルカン大陸に続いている神の門というのがあるというのが分かった。学者たちはそこから火属性の魔物が侵攻しているのではないかと考えた」

「赤帝龍サマルカンの大陸に」

「壁画や壁に書かれている文字を解読すると過去にも神の門が開きかけて災厄がもたらされたと書いてあったようだ。今回も、何らかの原因で神の門が開きかけているのではないかと判断した。神の門を閉じる方法は魔方陣の横に書いてあったそうだ」

「それで閉じたの」

「いや、神の門を閉じるには、火と土と光の魔力を同時に流さなければいけなかった。遠征隊には光の属性の者がいなかったために出直すことになった」

「じゃあ、私達なら閉めることができるのね」

「そういうことだね。リーナとアルトとナナがいるからね」


「3度目の遠征で神の門を閉じることができた」

「それで魔物は?」

「3度目も軍が随行してくれたので遺跡までは無事だった。神の門を閉じて、神の門の調査に向かったときにリトルサラマンダーに襲われたとある。マディアに逃げ戻ったのは彼1人だけだったらしい」

「英雄がリトルサラマンダーを倒して国を守った。という伝説があるわ。そのときのリトルサラマンダーなのかも」

「リトルというくらいだから、そんなに強かったのかな」

と僕が聞くと、

「帝龍やサラマンダーやフェンリルは伝説上のものとして神格化されてるわ。彼らに敬意を表して実際にいるのにはリトルを付けているだけよ」

「じゃあ、強いんだ」

「あたりまえでしょ」


「そうして逃げ帰った彼は、1人では魔物のいる砂漠を越えることもできずにマディアで暮らしていたようだ。逃げ帰ってからの記載は1週間分くらいしかないのでどれだけ生きたかは分からない」

「リトルサラマンダーが国を襲っていたのなら助けを期待するのは無理だよね」


 3日後、スカーレット様たちが戻ってきた。日記を読んだことを報告した。

「サトシ、古代語が読めるのか」

「古代語翻訳の魔法を取得できました」

「翻訳の魔法か。あるんだそんなのが。で、なんて書いてあった」

僕は、日記の内容をスカーレット様に話した。


 スカーレット様は、黙ってじっくりと話しを聞いていた。そして、

「近衛隊の精鋭が来ることになっている。遺跡までの道筋は分かっているのだな。」

「地図はあります。大ざっぱなものです。古いので地形は変わっているでしょうが、方向だけなら」

スカーレット様は安心したような顔をして、

「ユージン様の部隊と一緒に遺跡を目指す。案内を頼む」

「分かりました」

「詳しくは、明日、ユージン様がいらっしゃってからだ」


 僕はザリアさんに会って魔法のことを聞いた。

「ザリアさんは、魔法に詳しいそうですね。教えていただけますか」

「いいですよ。マインドボールを魔食いしたんですよね。魔食いって、どうやるんですか」

「魔法を持つ魔物と接触して念じるんです。魔法を盗むのに3秒くらいかかるんです」

「3秒か、意外に長いんでしょうね」

「はい、長いです。一人では苦しいですね」


「そうそう、マインドボールですね。マインドボールはゴースト系の魔物が使う魔法で、受けてしまうと精神が錯乱してしまうものです。3分位効果が続くといわれています。闇の属性に分類されています。ただ、人族が使った記録は無かったと思います。私は、精神をコントロールできるのではないかと考えています。かける者とかけられる者の言葉が通じればですけど」

そうか、魔物が人間をコントロールしようとして言葉というか命令が伝わらずに錯乱してしまうのか。

「じゃあ、魔物の言葉が分かればコントロールできるんですか」

「私の勝手な考えですけどね。でも、魔物ごとに言葉も違うでしょうから。それに、意志の疎通ができるとされている神獣や高位の魔物には効かないと思うし、弱い魔物で試そうにも精神をコントロールする前に倒してしまうでしょうね」

「そうですよね。そうじゃなかったらチートすぎますよね」


 ザリアさんは、いいことを思いついたという顔で、

「私にかけてみてくれませんか、マインドボール」

「無理です。ダメージも受けるようですし」

「そうですね、私の体力では命を落としてしまうかもしれませんね。もし何か分かったら教えて下さいね」

それから、いろいろと話しをした。次に魔食いをするならなにがいいかなんかも話し合った。でも、ザリアさんからも、

「魔物相手に3秒も無防備になるのは危険すぎますよ。偶然、魔物が瀕死状態にならない限り死の危険が常に伴うことを忘れないでくださいね」

とくぎをさされた。


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