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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第3章 魔物侵攻編
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第17話 レイス

 カンテラに火を入れ、セシリアが階段を1段下りる。

「魔物がいます。ゴースト、・・・、いえ、レイスです」


 ゴースト系の魔物が出た場合の手はずは打ち合わせ済みである。最も効果的な攻撃ができるリーナ頼みになるのは当然だ。手はずどおり魔封じの盾をリーナに渡す。ナナに魔法防御をかけてもらい。僕とリーナが地下に下りる。カンテラの光が部屋を明るくする。部屋は8畳くらいの広さで、中央に魔方陣が書いてある丸い円板。右には、壁に向かうように机と椅子があり、机の上には本が開いたまま置かれている。奥にはベッドがありレイスが座っている。


 突然、レイスは立ち上がり、攻撃してくる。やや色が薄いダークボールが飛んでくる。横に飛んで避けるとリーナが盾で受け止める。レイスは僕に襲いかかる。僕は恐怖心を隠し、手を差し出す。レイスは僕に覆い被さる。リーナが数を数える。

「1,2,3」

3秒後、リーナが光の癒しを放つ。レイスが僕から離れ、リーナに向け攻撃態勢になる。リーナが盾を構え、光の槍を連打する。レイスからの魔法攻撃は無かった。リーナは、盾を離し雷杖を構え雷槍を放ちとどめを刺す。それを遠のいていく意識の中で見ていた。そして微笑みながら意識を手放した。


 2日後、僕は目を覚ました。横を向くとリーナが寝ている。こちらを向いて右手を僕の胸に乗せている、金色の髪が乱れて顔にかかっている。寝顔がとても可愛い。もっとよく顔を見ようと髪をすくい耳にかける。リーナは目を覚ました。

「あっ、気がついたのね」

恥ずかしそうに僕から離れ、光の癒しをかけてくれた。

「ありがとう、もう大丈夫だ」


「魔食い、できたんでしょ」

「できた。マインドボールというらしい」

「どんな魔法か、あとでザリアさんに聞いてみましょ。ザリアさんは魔法に詳しいのよ。学者というよりオタクって感じだけど。みんなに知らせてくるね」

そういって、リーナは部屋から出て行った。


 最初に入ってきたのはスカーレット様だった。

「お前は私の部下ではないし傭兵でも無いので強くは言わんが、勝手なことをするな」

「すみません。気を失ったのは計算外でした」

「それくらいで済んだので良かったが、お前に死なれるとあの2人にも影響があるのを忘れるな。魔食いの魅力に取り憑かれると命を落とすぞ」

「分かりました」

と言うと。スカーレット様は、

「オアシスの制圧はほぼ終わった。魔物はほぼ排除できた。地下室も調べたが魔物はいない」

「地下室の魔方陣とか本とかは?」

「本は、おそらく古代語だと思う。アラスティアくらいしか読めないだろう」

僕なら翻訳をとれば読めるかも知れないと思ったが、試してみるまでは言えないので黙っていた。

「一度、第一近衛隊のベースに戻る。お前たちはここにいろ。知らせたらすぐに戻ってくる」

と言って、スカーレット様が部屋から出たとたん、セシリアたちが入ってきた。


 セシリアは僕の胸に飛び込みキスをする。

「心配したんですよ、ご主人様。レッドウルフは全滅させました」

「よくやったね」

と頭をなでてやる。アルトが食事を持ってきてくれた。野菜中心のスープだ。一口食べて、

「美味しいよ」

と言って、ゆっくりお腹の調子を確かめながら食べた。何の問題もないようだ。


 シェリルが入ってきて、

「スカーレット様が出発するそうよ」

「じゃあ、みんなで見送りにいこう」

といって、立ち上がる。少しふらつく。セシリアが支えてくれる。立ってしまうと脚に力が入ってきた。

「あ、ごめん。大丈夫だよ」

と言ったが、セシリアは腕も放さない。仕方なく、そのままで外に出た。病人ぽくって少し恥ずかしい。


 スカーレット様を見送り、僕は地下に下りた。机の上の本を手に取り文字を見ながら『翻訳2』を取得するように念じる。すると、その本が読めるようになった。何度目だか忘れたが、魔法って凄いなと思う。


 その本は、日記だった。リーナが話しかけてくる。

「サトシ、古代語が読めるの」

「うん、翻訳の魔法が使えるから」

「へー、凄いな。魔食いに翻訳か、いいな」

とあきれ顔。尊敬の眼差しはしてくれないのかな、なんて思う。


「何が書いてあるの」

「まだ読んでない。読めるようになっただけだ。これからだよ」

「そうそう、ザリアさんから聞いたわ、『マインドボール』って相手の精神を錯乱させるものなんだって。使い方によっては凄い魔法だそうよ」

「そうなんだ。普通のダークボールよりも使えそうだね」

「レベルの高い魔法だそうよ」

どうやら、良いものを手に入れたらしい。


 シェリルが入ってきて、

「サトシ、イバダンさんがサトシの持っている風の弓を借りたほうがいいって言ってるけど、貸してくれる」

「いいよ。イバダンさんは残っているんだね。調整してもらうといい。矢もいっぱいあるから、あとで闇の袋に入れておくといいよ」

そういって、風の弓と矢が6本入った矢筒を渡す。

「ありがとう」

と言って、シェリルは出て行った。リーナが微笑んで言った。

「シェリルったら思いっきり楽しんでるね。1年後に王城に戻るなんてできるのかしら」


 日記を読んでいくと、これを書いた人が遺跡に遠征したときのことが書いてあった。書いた人の名前はどこにもなかった。とりあえず、ぱらぱらとページをめくっていくと魔方陣についての記述があった。


「リーナ、この魔方陣はオアシスを守るものだ。『水の魔石』がいるらしい。イバダンさんなら持っていると思うんだけど」

「呼んでくる」


 イバダンさんが入ってきて、

「水の魔石なら幾つかある。質の悪いものでよければ使っていいぞ」

「おそらく大丈夫だと思います。魔方陣の真ん中の窪みに置いて下さい」

イバダンさんが魔石を置くと魔方陣が光り出した。

「この日記によると、魔物が入ってこられなくなるそうです。人には効かないらしく盗賊避けにはならないとあります。このあたりに盗賊はいないでしょうから、これで安心できます」


読んでいただいて、ありがとうございます。

目標だった、総合評価10,000ptを超えることができました。

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感謝いたしております。本当にありがとうございます。

これからも頑張りますので応援して下さい。

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