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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第3章 魔物侵攻編
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第16話 オアシス

 朝、暗いうちに出発した。日が昇り明るくなってくるとマディヤのオアシスが見えてきた。セシリアが索敵するとレッドウルフが3匹かかる。火トカゲは見つからなかったようだ。ここからだとオアシスの半分も索敵できていないとのことだ。それも1階層だけしかハッキリ分からないそうだ。そう言えばゴーストのいた洞窟では下の階の魔物は階段を1歩下りないと分からなかった。索敵の限界もしっかり把握しておかないと空や木の上、地下から突然襲われるなんてことが起こるかもしれない。


 オアシスに入る。ナナに、

「消気をかけてくれ」

と言って、みんなの気配を消す。パフィアさんとセシリアが、交互に索敵でレッドウルフの位置を確認しながら中央部に進む。パフィアさんが、

「左前方30mにレッドウルフです。火トカゲも2匹います。今1匹消えました。レッドウルフが食べているようです」

火トカゲは、レッドウルフの餌になっているのか。それで数が減ったのかもしれない。先日の群れとなって移動したのかもしれないが。


「右にも1頭います。戦闘になると増えるかもしれません」

「じゃあ、僕とセシリアで左のを、右のが来たらリーナとシェリルとアルトで、それ以外のはスカーレット様、お願いします」

「分かった。パフィア、頼むぞ」

「かしこまりました」

セシリアを戦いに使うので索敵はパフィアさんだけになる。


「ナナ、消気と加速を。セシリア一太刀浴びせたら、蔓の捕縛をお願い」

セシリアが走る。僕は魔封じの盾をかざしてレッドウルフの前に飛び出す。レッドウルフが僕に気付く。ゆっくりと構えて、僕を睨み突進してくる。そこを気配を消したセシリアが足をめがけて氷の刃を振り抜く。左の太ももが切り裂かれ、凍っていく。それでもレッドウルフは僕をめがけて突進してくる。


「豪力」

と叫び、盾で5mはあるレッドウルフを受け止める。ドンと大きな音がしてレッドウルフが止まる。セシリアが蔓の捕縛を連打する。後ろ足に蔓が絡まりレッドウルフはもがき始める。僕はレッドウルフの首に捕まり、

「魔食い」

と叫ぶ。レッドウルフは首を動かし、僕を引き剥がそうとするが耐える。レッドウルフは苦しまぎれにファイアースピアの体勢に入る。今までの経験では約3秒で魔食いが完成する。


「危ない」

と、カーラがスカーレット様の前に身を挺す。レッドウルフが咆哮とともにファイアースピアを放つ。


 しかし、ファイアースピアは不発に終わった。魔食いは成功したようだ。僕は、さっと体を離し、右手をレッドウルフに向けて、

「ファイアースピア」

を撃った。手の先から炎の槍が伸びレッドウルフの胸に突き刺さる。セシリアが素早く飛び乗り首に止めを刺す。


 後ろから、雷と炎の音がする。左からも戦う音がする。

「セシリア、索敵を」

「池の横の廃墟にレッドウルフが2匹と火トカゲが5匹います。こちらに来る気配はありません」

イバダンさんが近寄ってきて、

「ファイアースピアを取得できたようだな」

「はい、やっと攻撃魔法が取得できました。火の属性の魔物にも少しは効くみたいですね」

「効きは悪いが使えるはずだ」


 残りの2頭も倒したようだ。スカーレット様が、

「サトシ、あの廃墟まで行って拠点を作る。行くぞ」

アルトが、ファイアーアローを放ちレッドウルフをおびき出す。レッドウルフが2頭並んで廃墟の屋根に姿を見せる。火トカゲがこちらに5頭固まって襲ってくる。


「火の属性攻撃を」

とスカーレット様が叫ぶ。ジャブのつもりなんだろうな。僕もファイアースピアを放つ。アルトのファイアーアローよりも威力は大きいのだが射的距離が短い。火トカゲを倒すのには成功したようだ。スカーレット様とアルトが一緒にファイアーストームを放つ。火トカゲの勢いが止まる。火の攻撃を見たレッドウルフが戦えると判断したのだろう、こちらに並んで突進してきた。


 満を持して、それぞれが魔法攻撃を放つ。ウォーターカッター、ウインドストーム、石つぶて、雷槍、トルネイドが一斉に2頭のレッドウルフに襲いかかる。レッドウルフもファイアースピアを放つが、魔法防御が2重にかかり、普通の盾でも受け止められるようだ。僕とイバダンさんとで受け止める。


 受け止めたと思ったときには、セシリアとカーラがレッドウルフに襲いかかっていた。スカーレット様は言う。

「数の勝利だな。連携も良い。エトシャ、廃墟に入り結界を張れ」

「かしこまりました」

エトシャさんが結界を張る。僕とイバダンさんは魔物の解体を始める。それをナナも手伝う。ディアレさんとザリアさんが魔物を埋める穴を掘る。解体が終わり、死骸の処理が終わった。


 結界石を置き、みんなで廃墟を片付け生活できるように整えていく。僕とセシリア、イバダンさんとパフィアさんが交代で見張りをする。索敵にかかるレッドウルフは残り7匹、ばらばらに動いているようだ。火トカゲは約30匹くらい、こちらは2か所に固まっているようだ。他の魔物はいない。オアシスの外には虫系のものがときどきかかるそうだ。今は僕たちが屋根の上で見張りをしている。のんびりと周りを見ていると、下から声がかかった。

「サトシ、来て」

「なに?」

と返事をして下に下りる。パフィアさんが屋根に上がってくる。


 部屋に下りると、床に階段らしきものがある。岩でふさがれている。

「サトシ、豪力でこれをどかして」

とシェリル。

「豪力って魔物相手以外でも使えるのかな」

と言いながら、豪力と念じると2mもある岩が動く。つかみ所が無いので持ち上げることは出来なかった。壁が壊れている所に押しつけておく。豪力ってこんな使い方もあるんだと今更ながら魔法の応用の広さに感心する。


 岩をどかすと、階段を塞いでいた蓋が現れる。岩のせいで割れている。それを外すと、地下に下りる階段が見えた。下は真っ暗だった。


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