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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第3章 魔物侵攻編
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第8話 ゴースト

「ゾンビ、スケルトンが5匹なら問題ない。奥へ行こう」

と、僕たちは奥へ進む。洞窟は十分に広く、前列にアルト、僕、セシリア、後列に、リーナ、ナナという体勢で進む。ゾンビとスケルトンが一斉に襲ってきたが、アルトのハルバード、僕の剣、セシリアの氷の刃で難なく倒すことができた。


 進んでいくと階段がある。セシリアが索敵をする。

「下に、魔物の集団がいます。ゾンビとスケルトンです」

「どれくらい?」

「35匹、整然と並んでいます。全てゾンビとスケルトンです」

リーナが怪訝な顔で、

「ゾンビやスケルトンが並ぶなんて聞いたことがない。何者かが指揮しているんじゃない」

セシリアはもう一度索敵をしたようだ。

「違う魔物がいます。何だかは分かりません。その1体だけは動いています。他は並んだままです」

「サトシ、どうする?」

「進むしかない。王女の安否も確認しなければならない。せめて形見に王女の武器だけでも回収しよう」

「縁起でもないこと言わないで。シェリルが死んだと決まった訳じゃないんだから。セシリア、人はいないの」

リーナは怒ったように言う、ただ目には涙を浮かべている。

「私の索敵では、人間の場合、私に敵意を持っていないと分からない」

「とにかく、その動いている1匹が問題だ。僕たちも成長しているから、ゾンビやスケルトンは、囲まれなければ何とかなる。この階段を下りて一斉に攻撃しよう。アンデッド系だったらリーナの魔法が一番効くんで、リーナ、そのボスみたいな奴を頼む」

「分かったわ」

「下りて王女の姿がなかったら、範囲攻撃でも何でも撃って、一斉に攻撃しよう。ナナも支援頼むよ」

「分かったにゃん」

「じゃあ、行こう」


 階段を下りた。そこは大きな広間になっていてゾンビとスケルトンが横7列に並んでいた。そして1匹黒い影が浮かんでいた。ナナが叫ぶ、

「ゴーストです。物理攻撃が効きません」

「まかせて」

リーナがライトボールを撃つ。ゴーストはひらりとかわす。そのときゾンビとスケルトンが一斉にかかってくる。ナナも支援魔法をかける。アルトが叫ぶ、

「ファイアーストーム」

辺り一面に火が飛びゾンビの隊列が崩れる、スケルトンには効かないようだ。僕は豪力をかけ盾で思いっきりスケルトンを押し返す。スケルトンが吹っ飛び、後ろのスケルトンを巻き込む。そうして乱戦になっていく。


 アルトがもう1回ファイアーストームをかけ、セシリアと共に魔物の中に突っ込んでいく。僕はナナとリーナを守るように1歩前に出る。ゴーストが何やら叫んでいる。ゾンビたちが隊列を立て直す。その指示を出している隙にリーナが雷槍をゴーストに向けて撃つ。ゴーストがはじけて消えた。ゾンビたちは連携を失う。立ち止まっているのもいる。それを次から次にアルトとセシリアが倒していく。こちらに来る魔物は僕が倒す。ナナは支援魔法をかけ続け、リーナはライトボールでセシリアとアルトの後ろに回る魔物を倒す。すばらしい連携だ、と感動しているうちに戦いは終わった。


 セシリアが索敵を使う。

「下には魔物が9匹います。先ほどのゴーストが8匹、それに人間が1人おそらく女性、こちらに敵意を持っています」

「シェリルかもしれない。ゴーストに操られているのかも」

とリーナに希望の光が見える。

「敵かもしれない。どちらにしても王女かどうかがハッキリするまでは攻撃できないね。じゃあ行こうか」

「待って、ゴーストなら私の魔法が必要になると思うけど、MPが切れそう。MPが回復するまで時間を潰さないと」

「分かった。じゃあ階段に結界を張ろう。セシリア」

「ゴーストのことはよく分からないので緑の結界では不安です。結界石を使って下さい」

とセシリアが言うので階段に結界石を置いた。


 30分くらい経って、

「じゃあ、そろそろ行こうか」

と言うと、リーナが、

「さっき、ほとんど使ったんで2時間は休憩させて」

「でも1分でMP1回復するんじゃないの?」

「いえ、私はMP1回復するのに5分はかかります。サトシは1分なんですか」

「そうだけど」

「私も5分かな」

と、アルトが怪訝そうな顔で言う。セシリアは、

「私は3分くらい。エルフと獣人は早いのよね、ナナ」

「はい私も3分くらいです」

ナナとセシリアが3分、アルトとリーナが5分かかるようだ。リーナが僕に向かって、

「サトシって何者。1分で回復するなんて聞いたことない」


 答えに困っていると、アルトが、

「サトシ様はステータスが見えていたんですよね。生活魔法しか使えなかったんでMPの回復が早いのかもしれないですね」

「そうかも」

とセシリアもうなずいている。リーナも納得したような顔をしている。僕に聞かれてもなぜだか分からないのだから、どうしようもない。


「ゴーストをどうやって倒そうか」

と聞いてみると、リーナが答えてくれた。

「できるだけ近づいて、雷槍で倒すしかないと思う。もしシェリルがいるとなるとアルトのファイアーストームはできれば使わないで欲しい。ファイアーアローも少しは有効だと思うからそれで攻撃して」

「火の魔法も有効なんですか」

とナナが聞く。リーナは自信なさそうに、

「たぶん、アンデッド系には少しは効くと言われているから」

「じゃあ、この火の杖なら何とかなるかにゃ」

「私のハルバードも火の魔石を使っているから使えるかも」

アルトも答える。セシリアも聞く。

「氷の刃は効かないかな」

「分かりません、火の方が確実です」


「ゴーストってどういう攻撃をするか分かる?」

「おそらく魔法、ダークボールを撃ってくると思う」

「じゃあ、こうしよう。ナナがみんなに消気をかけて階段を下りる。下りたら人間がシェリルかどうかを確かめる。シェリルじゃなかったらアルトがファイアーストームをばんばん撃って、リーナが雷槍で倒していく。シェリルだったらゴーストにとりつかれている訳だから、僕とリーナとセシリアがシェリルのところまで突っ込んで、リーナが光の癒しでシェリルを正気に戻す。それが出来なければセシリアが拘束する。ナナは魔法防御をかけ続ける。セシリアがシェリルを確保して、ゴーストを倒せるなら倒して、倒せなければ、そのまま逃げよう」


 2時間後、ナナが僕たちの気配を消して、結界石を取り除き、下に下りて行く。中が見える位置に来てリーナがいう。

「シェリルです。間違いありません」

セシリアは氷の刃と火の杖をナナと交換した。と、そのときウインドカッターがシェリルから放たれる。魔封じの盾で防ぎ、

「いくぞ」

と走ってシェリルに近づく。シェリルの赤い眼が禍々しい。シェリルは剣を振りウインドカッターを放つ。魔封じの盾で防ぐ。ナナが魔法防御をかける。セシリアが蔓の捕縛を放つ。シェリルの体に蔓が巻き付きシェリルが倒れる。なおも暴れている、セシリアが蔓の捕縛を重ね掛けしてぐるぐる巻きにする。シェリルは動けなくなった。


「リーナ、ゴーストを頼む」

リーナは、ゴーストに雷槍を次から次に打ち込む。アルトとナナもゴーストの攻撃を巧みにかわしていたが、ダークボールがアルトにかすった。幸いダメージは少なかったようだ、ナナの魔法防御が効いている。セシリアは火の杖でゴーストを攻撃している、わずかであるがダメージを与えているようだ。


 僕は、シェリルの武器を闇の袋に入れ身体強化と加速をかけて、蔓で縛られたシェリルを抱えアルトとナナの後ろに駆け込む。セシリアとリーナも続く。全員揃ったところでアルトがファイアーストームをかける。セシリアが緑の結界をかけ階段を駆け上がる。洞窟を出て森に入り、結界石を置いて野営の場所を確保する。


 落ち着いたところで、セシリアがアルトを治療し、リーナが光の癒しをシェリルにかける。セシリアも蔓の捕縛を解く。シェリルの表情が緩む。冷たい感じの美少女が、輝くような美少女に変化していく。身長は160cmくらいだろうか、髪は薄いブルーだ。気がついたようだ。眼が開く。髪の色を濃くしたようなサファイアブルーの眼だ。洞窟内にいたときの赤い眼のときとは印象がかなり違う。事前にこの顔を見ていたら体に触れることにかなり躊躇していただろうなと思う。


 リーナのレベルが15になった。アルトも上気した顔でこちらを見ているので15に上がったんだろう。


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