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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第2章 プエルモント教国編
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第19話 ナナル

 夕食後、一番大きい部屋、セシリアたちの部屋でナウラ姉妹を待つ。クラウディオ夫妻にはナナルのことはセシリアが話していたようだ。しばらくして、ナウラさんとナナルさんが入ってきた。猫耳の姉妹だ、可愛い。


「こんばんは。えっ、紅バラの剣の」

「はじめまして、カタリナです。こちらが主人のクラウディオです。そんなに緊張しなくてもいいですよ」

「私の両親なんです」

とセシリア。ナウラさんはすごく堅くなって声が出ないようだ。

「ナナルです。よろしくにゃ、・・・、よろしくお願いします」

か、可愛い。身長は150cmもないだろう。小柄で細くしなやか。子供のような身体だ。猫人族の成長は遅いらしい。


「ナナルさん、大変なめにあったんだってね。傷はまだ痛む?」

「ナナって呼んで下さい、呼び捨てで。はい、少しだけ。でももう動けます」

ニャニャって呼びそうだなと思っていると、ナウラさんが、

「前のパーティーでは、ニャニャって呼ばれていたそうですからそれだけはやめて下さいね」

やっぱり考えることは同じなんだな。僕もそいつらと同じレベルか。

「ナナも、もっと気楽にしゃべってよ。パーティー組むかも知れないんだし」

「はい・・・」


 ナウラさんが、

「パーティーに入れて下さるんですか」

「お互いがいいと思ったらね。いろいろ聞いていい」

とリーナ。

「はい」

とナナルが答える。

「支援魔法って、どんなものが使えるの」

リーナが聞く、

「加速、身体強化、土の加護、消気です。まだポイントはいくらか余っています」

「レベルは」

「14です」

「人族とパーティー組むことに抵抗はないの」

「はい、あの4人、ブルグマンのパーティー以外であれば」


「ブルグマンのパーティーというのか、まあいい。猫人族は敏捷だし、それだけの支援魔法が使えるのならメンバーとしては申し分ないと思う」

とクラウディオ。カタリナも、

「あと、支援魔法で魔法防御を取得すれば、支援魔法使いとしては一人前ね。わたしはいいと思うけど」

「私も賛成です」

とリーナも言ってくれた。


 セシリアは、

「ご主人様がよければ」

という。クラウディオがこちらを睨む。ご両親の前で「ご主人様」って言うなよな。

「僕もいいと思う。これからよろしくね」

「はいにゃ、・・・、はい、サトシ様」

「無理やり言葉直さなくてもいいから、気楽に話して。呼び捨てでいいし、敬語もいらないよ」

アルトが、

「とりあえず、火の杖を使って下さい。あれ、けっこう使いでがありますよ」

「マリリアに帰ったら、レンジャースーツ、私のを使って。私はローブを買う予定だから」

さすがお嬢様、いったいいくら持っているんだろう。


 ナウラが横で泣いている。

「みなさん、ありがとうございます。明日朝、荷物を持って伺います」

「ナウラさん、僕たちの家は西マリリアの北にあるから、冒険者ギルドには登録してあるんですぐに分かると思う」

「西マリリアですね。ギルドに移転の希望出しておきます。空きができたらすぐに私もマリリアに行きます」


 次の朝早く、僕たちはナウラさんに見送られマリリア行きの馬車に乗った。マリリアの家に着くと一つ大事なことに僕は気づいた。部屋割りをどうするかだ。カタリナさんが、

「セシリアを末永くよろしくね」

って言ってくれたので、セシリアと同室で良いのだろうけど、クラウディオさんの目が恐い。何も言わなかったが、僕とセシリアとアルトが同じ部屋で、リーナとナナ、クラウディオさんとカタリナさんという部屋割りになった。


 アルトも疲れていたため街の食堂で夕食を済ませた。リーナとナナがリビングに出て来た。セシリアは両親の部屋に行っている。

「サトシ、ナナに呼び捨てでいいって言ったんで、これからこう呼ぶね。明日はどうするの」

「うん、いいよ呼び捨てで。明日は、アラスティア様のところに報告に行かないといけないね。朝、セシリアがアポとりに行くって言ってたから、昼から王宮に行くことになると思う。それからナナの拠点変更届を出して依頼を選ぼうと思う。ナナのマント買わなきゃならないし」

「マントって高いんでしょ。いらないにゃ」

にゃと言うと、しまったという顔をするナナが可愛い。守ってやりたいタイプだ。

「北に遠征に行くことが多くなると思うんで、買っておいてもらわないと行動を共にとれないよ。とりあえず稼いでからの話だけど」

「私はスウェードルさんの店に行ってきます。私は光のローブを買うんだ。このまえ頼んでおいたんで、用意できてるはずだけど」

「私は、近衛隊の詰め所に伝言を頼みに行きます。よろしいですか」

とアルトが言った。

「カーラに伝言だね。いいよ」


 セシリアたち3人が部屋から出てきて、クラウディオさんが聞いてきた。

「これからどうするんだ」

「明日は王宮に報告に行って、買い物して、ギルドに依頼を見に行きます。2、3日軽い仕事で連携を見て、AランクかBランクの依頼を受けたいと思います。できれば魔法を使う魔獣を相手にしたやつを」

「今までのことをセシリアに聞いたが、Aでも何とかやれるかも知れないな。無理はするなよ。お金のことは俺たちもいるので何とかなるから」

「はい、無理はしません。でも魔法を取得したいので」

「魔食いか、でも、あせるなよ。お前だけの命じゃないんだからな」

「分かっています」


「魔食いって何ですか。魔法を使う魔獣ならルグアイ王国が多いけどにゃ、・・・」

気にしないそぶりで、

「魔食いって魔獣の魔法を奪う魔法なんだ。いろいろあって取得したんだ」

「サトシって属性はにゃに」

「闇だよ」

「闇、初めて聞いた。リーナは光だし、セシリアは属性2つあるし、アルトは料理がすごくうまいっていうし、私は・・・」

アルトが、

「それだけ聞くとすごいパーティーにみえるけどね。あんまり過大評価するとがっかりするよ」

「そうそう」

とみんなも首を縦にふる。


 カタリナが、

「支援魔法の凄さを教えてあげるからね。何も心配しなくていいよ」

と言ってくれた。

「紅バラの剣の人から直接教えてもらえるにゃんて、すごいにゃ」

興奮して子供言葉になっているようだ。僕はとてもうれしい。

「サトシも少し鍛えるからな」

とクラウディオさん。こわっ。


「クラウディオさん。これから鍛えて、長期の依頼なんかもこなしていくと思うんです。この家を使って下さい」

「そうもいかんだろ。娘の主のところに世話になっているなんて人聞きも悪いしな。良い家を見つけるまでは世話になることにする」

「お父さん、近くにしてね」

「分かってるよ」

とセシリアには甘い顔をする。僕は睨まれるばかりなのに。


 しばらくして解散し、それぞれの部屋に分かれる。

「ご主人様、ウォーターカッターを取っていいですか」

「いいけど、どうして僕に聞くの」

「奴隷ですからね。それにパーティーのリーダーはご主人様だし」

「それ、けっこう重荷なんだよね。実力もないし」

「だめです。ご主人様がリーダーでなければいやです」

アルトも、

「そうですよ。サトシ様がリーダーでないと誰がリーダーになるんですか」

「まあ、そう言われるとしょうがないけど。ウォーターカッターって凄いの」

「はい、ウォーターボールが殴るんならウォーターカッターは切るんです。数倍の威力と思って下さい。ウインドカッターより遅いですが、威力は上です」

「それは凄い、ぜひ取って」

「はい、かしこまりました」


 さすがに隣にご両親がいると思うとセシリアに手が出せなかった。次の朝、アルトがキスで起こしてくれた。アルトはそのまま朝食を作りに行った。セシリアの機嫌がすごく悪い。起きる前にセシリアを抱きしめキスをする。数分間そのままにしておくとだんだんと機嫌が治っていった。


 朝食後、セシリアは王宮に行った。リーナはスウェードルさんの店に、アルトは近衛隊の詰め所に行った。ナナと僕で朝食の後片付けをした。アルトが帰ってきてから、僕とアルトとナナの3人は、冒険者ギルドに行った。ギルドに入るとすぐに依頼の掲示板を見に行く。アルトが、

「アダラードの森の奥にレッドウルフが現れたんですって、その討伐依頼があります。ランクはAです」

「レッドウルフは魔法を使うニャ・・・、ファイアースピアを使ってきます」

「よし、思い切ってそれを受けよう。期限はある?」

「はい、2週間となってます」

「じゃあ、受けよう。連携を試す時間もあるし」


「レッドウルフの討伐ですね」

「はい。何か注意することはありますか」

「レッドウルフは4mくらいの赤い狼です。やっかいなのは、ファイアースピアを撃ってくることと、黒色狼や灰色狼を十数頭引き連れていることですね。魔法と群れの両方に気を遣う必要があります。期限は2週間となっています。よろしいですか」

「はい、お願いします。それとナナの拠点異動届をお願いします」

「はい、手続きします」


 家に帰ると、リーナが光のローブを着て待っていた。とても防具とは思えない美しさだ。一見白いドレスに見える。しかし、締められるところは締まっていて動きやすくなっているようだ。いかにも高そうなローブだ。

「わーきれい」

とアルトとナナは、はしゃいでいる。リーナはナナにレンジャースーツを渡した。

「にゃ、ほんとに良いんですか。ありがとう」


 クラウディオとカタリナもほほえましそうに見ている。セシリアが帰ってきた。

「すぐに、王宮に来てって言われました」

「じゃあ、みんなで行こう」

と7人は王宮に向かった。


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