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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第2章 プエルモント教国編
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第13話 覚醒

 帰りの馬車は、僕たち以外に客がいなかった。

「誰も王都に帰らないんだね」

「魔物は多いから探さなくて良いし、砂漠では奥に入らない限り強い魔物は出てきませんからね。自分たちのレベルに合わせて討伐が出来るというのが良いところなんです。今ならギルドへの貢献ポイントも付くし、失敗のペナルティも無いし、しばらくは賑わうんじゃないかしら」

とセシリア、アルトは相変わらず、

「でも、砂は苦手です。やはり土の上がいいわ」

と言う。


 僕たち3人だけの貸切状態だ。セシリアが聞いてくる。

「どうして魔物を解剖しなかったんですか」

「ムカデのとき解体しようとしたけど、殻が固くて解体用のナイフで切れなかった。無理すれば切れたかもしれないけど、1節殻を剥ぐだけで相当時間がかかりそうだったんでやめたんだ。マリリアに帰ったらイバダンさんに解体の方法を聞いてみようと思う」

「そうですね、スコーピオンも殻は硬かったですね。節の部分を輪切りには出来るかもしれないけど、10cmのナイフじゃ無理ですね」


 アルトも質問してくる。

「サトシ様、マジャルガオンの袋を使い続けるのですか」

「使い続けようと思っているよ」

「危険なのでは、もし荷物を運ぶことが必要なら私が持ちます。私の身はどうなっても構いませんし、火の属性が消えて戦えなかったとしても、荷物を運んだり、軽いんですよね、料理を作ったりして、お役に立てることはたくさんありますから、それに夜のお相手も」

セシリアの顔色が少し変わる。

「ありがとう、そこまで考えてくれて。でも、大丈夫だと思う。風の騎士ジェイハンの伝説では、属性や属性魔法が消えても行方不明になるまで3年くらいは冒険者を続けていた記録がギルドに残っているらしいし、生活魔法は消えなかったそうだ。そして、生活魔法2も属性が消えてから取得していたらしい。少し不安だったけど、僕の遠距離操作も消えていなかったので問題はないと思うよ」


 ジェイハンの伝説だと、少なくとも3年は今のステータスが下がらないだろうから、僕には何の問題もないと考えておいていいだろう。もし、日本に帰らなくてもステータスが下がると決まったわけではないし、一生遊んで暮らせるくらい3年後までにお金をしっかり貯めとけばいいしね。そのときは他に生き甲斐を見つけるだけだ。


「ご主人様、ステータスが見えなくなったんですよね。攻撃魔法が使えるようになったんですか」

「攻撃魔法はまだ何も取っていないし、属性も空欄だったし、すぐには使えないと思う。ステータスの数値も減ってなかったので今まで通りの戦いは出来ると思うよ」

「剣と盾の使い方も巧くなってます。弓も風の弓なら命中率も矢の威力も上がりますから魔法が無くてもけっこう戦えますよ」


 そうこう話をしているうちにマリリアに着いた。家に帰って一休みする。馬車に乗るというのもけっこう疲れるのだ。リーナはまだ帰ってきていない。


 アルトが身体を拭きに行ったので、僕もセシリアも身体を拭くことにした。アルトの背中を拭こうとしたらセシリアが割り込んでくる。アルトがこちらを向いてセシリアの前を拭き始める。アルトの胸がぶるんぶるん揺れている、さすがに大きい。じっと見るのもあれなのでセシリアの背中を拭く。見慣れた背中だと思っていると、今度はセシリアがこちらを向き僕を拭き始める。アルトが僕の背中に回る。セシリアが僕の胸を拭く。僕の視線はセシリアの胸に釘付けだ。セシリアの胸も成長している、アルトほどではないが。まさに天国だ。


 身体を拭き終わりリビングに戻ると、リーナが帰っていた。あきれた顔で僕を見ているが、リーナの顔が少し赤くなっている。

「戻ったんですね。砂漠でしばらく滞在されるかと思っていたんですけど」

アルトが答える、

「砂漠は私には合わない。暑いし、砂埃は舞うし、虫系の魔物が多いし。山や森がいいです」

「そうそう、ご主人様の魔法も効果がないし、砂で足が取られ動きも悪くなるので疲れるんです。しっかり地面に足を付けて戦いたいですね」

「へー、セシリアまでそう言うんだ」

「私も森出身ですからね。砂は嫌いです」


「で、リーナ、どんな修行してるの」

「実技はライトボールのコントロールくらいです、基本ですから。それよりも知識優先でいろいろ鍛えられています。アラスティア様が調べた光の魔法の効果や有効性の検証が主です。私が目指すべきものがだんだんと分かってきました」

「それでリーナはどんな魔法を取得するつもり」

「『雷槍』と『光の癒し』を考えています。『雷槍』は強力だし、『光の癒し』はHPだけじゃなく異常状態も回復させられるんですよ」

「いいな、それ」

とセシリア。

「ですからハルバードはお返しします。雷杖を買おうと思います」


「サトシさんは属性はどうなったんですか、それに魔法はまだ使えてますか。アラスティア様も属性が変わるなら月が変わったときとおっしゃってましたから。昨日、蛇の月に入ったので調べてみる価値はあると思います」

「これから教会に行って、属性を調べてみようと思う。教会のなら係の人が一緒に見ることはないよね」

「そうですね。1人で見られます」

「私も一緒に見たいんですけどダメですか」

とセシリアがいうので、

「じゃあ、一緒に見よう」

セシリアはにっこり笑って言った。

「はい、ご主人様」


「アルトとリーナはどうする?」

「夕飯の支度をします」

「私はスウェードルさんのところに行って雷杖を買ってきます。アラスティア様からイバダンさんに連絡してもらっているので」


 ということで教会へはセシリアと2人で行くことにした。教会は冒険者ギルドの東側にある。中に入ってシスターに、

「ステータスが見たいのですが」

と言うと、

「はい、こちらです」

と案内してくれた。立ち会いは必要ですか、と言われたので、

「いえ、私たちだけで見させて下さい」

と答えると、シスターは部屋から出て行った。


「ご主人様は、ガビー村のマスターのときは私に交渉を頼んだのに、女の人、シスターだったら自分でするんですね」

と言われてしまった。

「人見知りが少し治ったのかな」

とりあえずそう言っておく。


「じゃあ見るよ、ステータス」


 サトシ・ヒライ

 人族 男 16才

 レベル  15(経験値 25077)

 職業   冒険者D

 属性   闇

 HP   65/65

 MP   34/25+9

 力    22

 敏捷性  23

 持久力  22

 知力   25

 魔法   生活魔法1、生活魔法2

 特殊能力 鑑定、翻訳1(大陸共通語のみ)、遠距離操作、魔食い

 ポイント 4P

 所有奴隷 セシリア(エルフ)、アルト(人族)

 

 取得可能特殊能力

   特殊能力<レア>

    翻訳2(1言語ごとに)/2P

 以上


「ご主人様、属性が『闇』になってます」

「ステータスは減っていない。だけど、取得可能魔法も増えていない」

「え、そんな~。もっとしっかり見て下さい」

「・・・、特殊能力が増えてる。『魔食い』って何だろう」

「聞いたことない・・・。アラスティア様に聞いてみましょう」


 家に帰るとアルトが聞いてきた、

「サトシ様、いかがでしたか。属性はありましたか」

「うん、闇になっていた。取れる魔法は増えてなかったけど魔食いってのが特殊能力にあった。ステータスが見えていたときなら使い方が分かったんだけど、水晶じゃそこまでは分からないみたいだ」

水晶にはカーソルが無い、有れば使い方が分かったと思うんだが。話していると、リーナが帰ってきた。

「ただいま、サトシさん帰っていたんですね。雷杖を買ってきました。属性はありましたか」

「おかえり、闇だった。ものすごい杖だね。高そう」

「イバダンさんの作です。アラスティア様の杖と同じ物だそうです。杖自体も軽くて、鉄よりもかなり硬いそうです。付加される魔力を考えたら安かったんですよ」

「へー、いくら?」

「金貨200枚でした。凄く安いでしょ」

僕は絶句する。日本円で2千万だよ。即金かよ、さすがお嬢様、教皇って超高給取りなんだ。

「ハルバードは、火のハルバードに改造できるそうです。アルトさんの持っている火の杖の魔石をハルバードに取り付けることで。金貨2枚でやってくれるそうですよ」

「アルトどうする?」

「ぜひお願いします。私が一番攻撃力が弱そうですから」

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