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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第2章 プエルモント教国編
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第7話 採掘

 その日、アルトはリーナの部屋に泊まった。さすがお姉さん、リーナの気持ちが分かるんだろう。出来れば僕が慰めてやりたかったが、そう簡単にできるわけがない。セシリアのジト目も怖いし。


 次の日、リーナの目は少し赤かった。その顔がまた良い。朝食は5人で一緒に取った。

「リーナの装備はどうしよう」

「ミレットさんが昔使っていた革の鎧を貸してくれるそうなのでそれを着ようと思います」

「武器は?」

「持ってないです」

「弓は使える?」

「使えません、弓も剣も槍も使ったことがないです」

アルトが、

「火の杖を貸します。火の属性が無くてもファイアーボールが打てるんですよね」

イバダンさんが答える。

「打てる。火は小さいだろうが打てることは打てる。そうだなゴブリンにファイアーボール当てて、倒せたらそれで良いし、倒せなかったら他の者が倒せば経験値は入っていくので何とかなる」

「アルトはそれで良いの?」

と聞くと、

「ファイアーストームは杖無しでも使えますから、ライトボールが打てるようになったら返してもらいますけど」


 朝食を食べ準備を済ませ、お弁当を持って、坑道へと登っていく。セシリアは索敵でゴブリンを探す。まず出会ったのがゴブリン2匹。リーナにファイアーボールを打たせた。アルトのファイアーボールの3分の1くらいの大きさだが効き目は十分あるようだ。1匹はそのまま倒れ、1匹はこちらに向かってきたのでセシリアが倒した。

「あたりが一瞬光り輝いて見えました」

リーナはレベルアップしたようだ。


 坑道の入り口まで普通なら1時間のはずだが、ゴブリンを探しながら2時間以上かけて登っていった。遠距離攻撃だったためかゴブリンが醜悪だったためか、リーナは淡々と攻撃していた。経験値はみんなに守ってもらっているせいか入り方が思ったより少なかった。それでもレベルは3になったようだ。

「レベルは3回上がったと思うんですけど、魔法ってどうやれば使えるようになるんですか」

「まずは、生活魔法1を使いたいって強く念じてみて」

「はい、やってみます、・・・、でどうしたら」

「指の先に火がともることをイメージして、ファイアーと言ってみて」

「ファイアー」

指の先に火が灯った、成功だ。

「では、同じ要領でライトボールを使いたいって強く念じて」

リーナはライトボールを取得したようだ。

「試してみて」

「ライトボール」

光の塊が岩をめがけ真っ直ぐに飛んでいく。岩に当たり土埃が舞った。岩は削れているのか割れたのか表面がきれいに磨かれているように見えた。

「出来ました」

これで、採掘の準備が整った。


 僕はハルバード、セシリアは片手剣と盾、アルトは火の杖と盾、リーナには魔封じの盾を持たせた。イバダンさんは採掘用のツルハシだ。少し早いが、お弁当を食べ、30分くらい休憩し、坑道へ入っていった。


 坑道に入ってすぐのところにいたゴブリンを1匹倒し、中に進む。やはり、300mくらい進むとゾンビとスケルトンの集団が索敵にかかった。そこから慎重に進み近寄り、罠を仕掛けていく。罠といっても大がかりなものではなく。足を挟む物やはしご状の道幅を狭くする物で、木や竹を巧く組み合わせて出来ている。真ん中に細い通路を造り1匹ずつ出てこられるようにしておく。罠は数多く用意されていたが坑道に並べてみると5m分くらいしかなかった。僕が中に入り、ファイアーでゾンビを挑発し、中央の細い通路を使って逃げる。ゾンビとスケルトンの集団が一斉に襲ってくる。


 皆が待つところまで逃げ、攻撃を開始する。ゾンビとスケルトンは3、4列で突っ込んできたが、端のものは罠にかかり倒れたり足を捕らえられたりしている。中央から来る1匹だけが相手だ。イバダンさんがツルハシで倒す。次から次へと出てくる。後ろで固まっているところにリーナがライトボールを放つ、1匹ずつではあるが倒れて行く。両端からも罠にかかったゾンビを乗り越えてスケルトンが来る。これからが本番だ。イバダンさんが中央、セシリアが左、僕が右の体勢、後列は左がリーナ、右がアルトだ。


 セシリアが盾で攻撃を受け止めている隙にリーナがライトボールで攻撃する、左の方は順調だ。僕はハルバードを振り回しスケルトンを1匹倒す。アルトはファイアーアローでゾンビを攻撃している、ゾンビは倒れはしないものの怯んでいるのが分かる。イバダンさんは次々に倒している、前からの攻撃だけなら全く問題ないようだ。2匹目のスケルトンが来た。僕は左から思いっきりハルバードを振り回す、スケルトンの胴は真っ二つに切れた、勢い余ったハルバードは右の壁深く突き刺さった。そして抜けなくなった。


 その隙に次に来たゾンビが僕に襲いかかった。僕は体当たりをくらい吹っ飛ばされた。ゾンビはなおも僕のほうに向かってくる。アルトが盾で動きを止めようと正面に出る。僕はゾンビの心臓めがけてフリーズをかける。しかし、ゾンビの動きは止まらない。アルトとゾンビがぶつかる。アルトがずりずりと後ろに下がる。ゾンビの後ろにはスケルトンが迫ってきている。

「アルト!」

と、セシリアが叫ぶ。セシリアのほうにもスケルトンが2匹いる。イバダンさんは正面のゾンビの行列にツルハシを叩き込んでいる。リーナはMPが切れているみたいだ。僕の、僕のミスのせいでみんながピンチになる。リーナが駆け寄ってくる。僕は魔封じの盾を受け取りアルトと一緒にゾンビを押さえにかかる。アルトはもう限界だった。アルトが後ろに飛ばされ、僕が正面に出る。ゾンビを必死で押さえる。少しでも力を弱らせようとゾンビの膝や足に氷を作っていく。後ろのスケルトンは動きが鈍い。足に罠をからませて引っかかって進めないようだ。でも時間の問題かもしれない。

「サトシ、右に受け流せ」

イバダンさんの声が聞こえた。盾を右後ろに引き、ゾンビを後ろに流す。ゾンビは壁にぶつかり首があらぬ方向に曲がる。そこへリーナがアルトの杖を振り下ろす。鉄で補強した杖は首をたたき落とすには充分な威力だったようだ。


 そのとき、後ろのスケルトンが竹の罠を引きずりながら迫ってきた。

「ウォーターボール」

セシリアが叫んだ。ウォーターボールが飛んでスケルトンの足下が水浸しになった。フリーズを連発して足下を凍らせる。スケルトンの動きが止まった。リーナが首をめがけて杖を叩き込む、スケルトンの首が飛んだ。戦況を見ると、動ける敵はあと3匹だ。イバダンさんと、セシリアが落ち着いて対処している。


 アルトは倒れたままだ。僕は後ろに下がった。そして戦いは終わった。


 僕のせいだ。僕のせいでピンチを招いてしまった。アルトを傷つけてしまった。イバダンさんがハルバードを抜いてくれ、僕に渡しながら、

「1人のミスがみんなを危険にする。もっと武器の使い方を訓練しろ、武器が泣くぞ」

と怖い目で睨む。

「すみません」

僕は、それだけ言うのがやっとだった。セシリアがアルトにヒールをかける。幸い大事にはいたらないようだ。ここから先、しばらくは僕が背負って行くことにする。


 それから、罠を回収し、できるだけゾンビとスケルトンの核を潰し、奥に進んだ。途中、スケルトンやゾンビが現れたが、集団でないとこれほど弱いのかと思えるほどだった。セシリアとリーナが冷静に対処していく。、

「何回も光が見えました。相当レベルアップしたと思います」

とリーナ、

「私もレベルアップしました」

恥ずかしそうに背中でアルトが言う。


 奥まで進みイバダンさんは龍鋼石を掘り出した。僕はそれを闇の袋に詰めていく。セシリアは周りを見張っている。横になっているアルトは側にいるリーナと何やら話している。聞き耳をたてると

「サトシさんて弱かったんですね」

「はい、サトシ様は弱いときは極端に弱いんですよ。でも強いときは極端に強くなる、なんだか分からない人なんです」

「へー、強そうには見えないなあ」

なんて聞こえる。本格的に鍛錬するかな。


 それから5日間、採掘は続いた。イバダンさんは質の良い物だけを300kgずつ掘ると言っていた。闇の袋の担当を順番にして、待っている間、坑道の中でセシリアに剣の稽古をしてもらう。一気には強くならないだろうが、毎日修行することに意義があるはずだ。


書き直しました。

少しはましになったかな。戦闘シーンは難しいですね。


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