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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第2章 プエルモント教国編
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第1話 2人のエルフ

プロローグ的なもので短いです。

 ワイバーンは地上に舞い降りた。いや、舞い降りたというよりも落ちたといったほうが良いかもしれない。左の翼の付け根は焼け焦げて今も煙が出ている。右の翼は無傷だが、左はズタズタに破れている。それでもしっかりと両足で立ち、人間たちを睨んでいる。


 睨まれているのは冒険者たち、コンラッドを中心とするパーティー「紅バラの剣」のメンバーである。ベテラン冒険者で大盾と戦斧を使うコンラッド、その妻で「炎の大剣」を持つアイリーン、魔術師のアラスティア、レンジャーのバーナード、魔法戦士のクラウディオ、支援魔法師のカタリナの6人だ。


「全員、もう一度『身体強化』をかけ直せ、カタリナ、『加速』と『強化』を頼む。これからが本番だ」

とコンラッドが叫ぶ。バーナードが「龍殺しの矢」を放ち、右目を潰す。アラスティアの魔法「雷槍」でワイバーンを仰け反らせ、コンラッドとアイリーンそしてクラウディオが一気に駆け寄り、攻撃する。カタリナは攻め寄った3人に「強化」をかけ続ける。ワイバーンも反撃を試みるが、右目と左翼をやられ、反撃はままならない。アイリーンが「炎の大剣」をワイバーンの首に突き刺す、これがとどめとなった。ワイバーンは動かなくなった。


 このワイバーンは、アリンガム侯爵領に現れ、いくつもの村や街を潰していった。侯爵は侯爵軍を差し向けたが、ドラゴンの亜種であり翼を持つ竜であるワイバーンに対して、追い払うのがやっとであった。そこで高ランクの冒険者パーティーである「紅バラの剣」に討伐を依頼したのだった。


 依頼に成功した「紅バラの剣」はアリンガム侯爵に謁見した。王城と違いこの侯爵領では謁見の際でも武装を解かれることはなかった。

「ワイバーン討伐、感謝する。侯爵領の領民全てに代わり礼を言う、ありがとう」

コンラッドは恐縮し応えた。

「いえ、私と妻が、冒険者最後の仕事として、ワイバーンと戦えたことを感謝いたします」

「引退するのか? これからどうするのだ」

「まだ決めておりません。私と妻はもう40歳を超えています。これからはゆっくりした人生を過ごしたいと思っております」


 アイリーンは、

「スカーレット様にこれを献上いたしたいと思います。守り刀として受け取っていただけますか」

スカーレットは目を輝かせ、

「ありがとう、で銘はなんていうの」

「『炎の大剣』、ワイバーンにとどめを刺した剣です。流浪のドワーフ、イバダンの作です」

「私でも使えるようになるかしら」

「はい、スカーレット様の属性は『火』ですよね。強くなれば使えます」

「私、強くなる」

頬ずりせんばかりに大剣を抱くスカーレット、よほど相性が良いのだろう、重さをあまり感じていないようだ。アイリーンはそのことに驚いている。

「アイリーン、私に剣を教えて」

侯爵も

「コンラッドも若い兵を鍛えてはくれぬか」

との願いがあり、コンラッド夫妻は、これを受け入れ侯爵に仕えることにした。


 その後、「紅バラの剣」は解散し、もともと貴族であったアラスティアとバーナードは王都に向かい、2人のエルフ、クラウディオとカタリナは2人組の冒険者となった。


 ◇ ◇ ◇


 アルトを抱いた次の日、セシリアにご両親のことを聞いた。もちろんキングサイズのベッドの上で、左にセシリア、右にアルトの体勢で、

「17年前にワイバーンを倒して『紅バラの剣』を解散して、2人で冒険者を続けていたのだそうです。そして私ができて、引退し、オルガ村で静かに暮らしていたそうです」

「そして教国から使者が来た」

「そうです、それからのことはよく分かりません。何があったのかは」

「依頼を受けながら情報を集めよう、一度、プエルモント教国にも行ってみたいな」

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