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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第1章 メルカーディア王国編
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第1話 異世界へ

 平井聡志ひらいさとしは18才、大学1年生、5月病真っ盛りである。


 高校2年のとき人生で初めて女の子に告白した。

「私、スポーツマンが好きなの。せめて体鍛えてから言ってよね」

とあっけなく振られた。スポーツマンで、もてもての親友からも、

「お前は元が悪い分けじゃないから、もう少し締まればいい男なんだけどな」

と言われる。そういうわけで、彼女いない歴=年齢を卒業するために、受験勉強が終わり、大学入学と同時に運動部に入ったのは自然な流れである。


 アーチェリー部に入っている。高校時代の僕を知っている人がいたら、「あの人見知りがサークルに入るなんて」って驚くだろう。何か運動がしたいと思ったのだが、高校時代は帰宅部で、もともと部活で経験差が付いているのは嫌だし、未経験者が多いアーチェリー部を選んだ。まだ、矢もまともに打たせてもらえない基本練習ばっかりだ。


「あーあ、だるいなあ、今日も休みにしよう」

地方の高校から大学に入り、東京に出てきて、1か月半が過ぎていた。髪も染めたことはなく黒髪に黒目、身長は175cm、体重は68kg、まだまだ運動の効果は出ていないようだ。


 だるくても腹は減る、「コンビニにでも行くか」ジャージのポケットに千円札1枚突っ込んでドアを開ける。都会のマンション6階建ての4階に1人で住んでいる。といっても、築何年なんだろうというくらいの古さであり、エレベーターも付いているが、時々変なところで止まったりする。事故がないのが不思議なくらいだ。


 事故ったら怖いので、できるだけ階段を利用している。エレベーターはちょうど4階に止まっている、だるいので何も考えずに乗ってしまった。1階のボタンを押ししばらく降下して止まった。


 エレベーターのドアが開くと景色が一変した。

 玄関ホールや掲示板、自動ドアなんかがあるはずなのに何もない、いや、真っ白とかじゃなく景色はあるんだけど・・・。そこにあるのは、うっそうとした森だった。振り返るとエレベータが消えていた。まだエレベータから降りたつもりはなかったけど、横も後ろもやっぱり森だった。


 こんな場合パニックになりそうだけれど、妙に落ち着いているのが不思議だ。これだな、よくある異世界転生ってやつ。いやいや、ライトノベルやゲームの世界でしか聞いたことはないけど。それに死んでないから転生はないか。


 異世界に迷い込んだってことはチート能力があるわけで、まずは「ファイヤーボール」と叫び右手を前に突き出す。突進していく火の塊がまっすぐに進んでいく・・・はずだったのに、何にも起きない。


 異世界に来たことより、チートじゃないのがショック。どうやってきたか分からないのだから、元にもどる方法なんて思いつくわけもない。そのうち自然に元に戻るかな、彼女もいないし、戻れなくても未練はないけど。


 気を取り直して考えてみる。何とか生きていかないといけない。「異世界に来て飢え死にしました」、終わり、では面白くないし。持ち物は、千円札が1枚。もちろん使えるわけはないだろうし、紙切れ1枚では何にもならない。芸術作品として売ろうにも、描かれている人物はここでは無名だろうし、美人画でもないし、くしゃくしゃだし。


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